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 純粋宗教曲世界

 

     最初にお断りしておきますが、太陽領はクリスチャンではありません。(きちんとした仏教徒でい)
     さらに太陽領は、音楽とはまったく関係のない仕事をしています。
     楽譜が読めません。  楽器も弾けません。
     職場の飲み会ですら、カラオケのある二次会は固辞するほど、歌が嫌いです。

     こんなわたしが、日曜日の朝はミサ曲を欠かさない。(コーヒーがうまいから)
     こんな生活に偏りのあって、信仰心が皆無の人間がおすすめする宗教曲、ということを
     ご承知の上で、以下をご覧ください。

     キリスト教の宗教音楽は、スリリングな日常生活への、起爆剤となりうるでしょうか?

                            太陽領の仏教のコーナーはこちら(準備中)


 
なお、太陽領がおすすめする、最初に聴いて欲しい宗教曲ベスト5は、次のとおりです。

          1 モーツァルト 「大ミサ ハ短調
          2 ヘンデル 「メサイア(救世主
          3 ペルゴレージ 「スターバト・マーテル
          4 アレグリ 「ミゼレーレ
          5 大バッハ 「カンタータ第106番《神のときこそいと良きとき》
 

そして、太陽領の考える、極めつけの宗教曲の最高峰ベスト5は次の5曲。

          1 大バッハ 「マタイ受難曲」
          2 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ・パンジェ・リング
          3 モーツァルト 「レクイエム」
          4 メンデルスゾーン 「エリヤ」
          5 ブリテン 「戦争レクイエム」
 

バッハヘンデルハイドンモーツァルトシューベルトベルリオーズ


ートルダム・  ・14世紀)  約35分
                                   La Messe de Nostre Dame   
       ギョーム・ド・マショー 作曲  

          ・  「聖母マリアの潔めの祝日のためのミサ典礼による」(2月2日)
          ・ ひとりの作曲家によって、最初から最後まで完成された初めてのミサ曲、として名高い作品。
                マショーはヨーロッパで最初の大作曲家、と呼ばれる。
          ・ 作曲の目的 18世紀にケリュスが唱えた「1364年のシャルル5世の戴冠式のために書かれた」という説が長い間信じられていたが、
                最近の研究では
 

ミサ曲《もしわたしの顔が青いのなら》  (仏・1450年ごろ  約35分
            Missa  Se la face ay pale 
               ギョーム・デュファイ作曲  

            ・ 歌詞
 

ミサ曲《ロム・アルメ、種々音階による》  (仏・1500年前後  約41分
   (戦士ミサ) Missa L'homme arme super voces musicales 
              ジョスカン・デ・プレ作曲  

            ・ 歌詞 ラテン語 (通常典礼文) 全5曲   
            ・ 作曲の目的 不明。  人生の半ば頃、ローマで書かれたのではないかと考えられている。 その後、同じコンセプトでもう
              一曲ミサ《ロム・アルメ・セクスティ・トニ》を書いた。
            ・  題名の由来  当時の流行り歌 《ロム・アルメ (戦士)》の旋律が各章の旋律の素材となっている。また、「種々の音階による」
              とは、キリエでイオニア旋法(第11旋法)、グロリアでドーリア旋法(第1旋法)、クレドでフリジア旋法(第3旋法)、サ
              ンクトゥスでリディア旋法(第5旋法)、アニュスデイでミクソリディア旋法(第7)とエオリア旋法(第9)がそれぞれ使
              用されていることによる。  うん、よく分からん。  これは、〜長調とか〜短調とかと同じものかな? 
 

      あのマルティン・ルターも絶賛したフランス出身の大家、ジョスカン・デ・プレの作品。
      第1曲目キリエの深い出だし!!  私にとって、もうこれだけ。 
      重い霧、黒い蒼空、雲のない太陽、白い槍、碧の草、牛の角、朱い本、濡れた壁、これらのものが渦を描いて混じり合い
      ながら、深く、深く、深く、深く、深く、深く、深く、深く、深く、深く、深く                沈んでいく。
      わたしのロバの耳では、どこにロム・アルメが使われているか、聞き分けることが出来ないです。「定旋律として置かれる」
      って、どういう意味なんでしょうね。  旋律の一部として引用されているという意味ではないようですね。
      ああぁ、ジョスカン、オザンナ・イン・エクセルシス、アニュス・デイ・・・・・・ 螺旋を描いて、昇っていく。
      なんだかそういったイメージだけで出来ているような、綺麗な曲です。

               おすすめCD
             ・ピーター・フィリップス指揮 タリス・スコラーズ
                                           ('89)(ギメルPHCP-1910)  ¥2,500
                      タリスのCDは高いけど、太陽領の基本アイテムだ。 でもぜひ、ジョスカン・デ・プレのミサ曲全集は
                      お早く完成させて欲しいですね。 あなた方の演奏以外ではジョスカンのミサは聴きたくありません。
                      まだわたし、ジョスカンのミサで聴いたことあるの、たったの4曲ですもん。
                      本を読んでいるとジョスカンにはまだまだ名曲があるようで、イライラします。
                      このCDのもう一曲のカップリングは、セクスティ・トニ。 これもおすすめ。
 

ミサ曲《パンジェ・リング(舌よ、称えよ)》 (仏・1514年以後/作曲者の最後の数年間  
                    Missa Pange lingua     約29分
              ジョスカン・デ・プレ作曲  

            ・ 歌詞 ラテン語 (通常典礼文) 全5曲   
            ・ 作曲の目的 不明。  
            ・  題名の由来  グレゴリオ聖歌の 《パンジェ・リングァ》の旋律が各章の旋律の素材となっている。
                  ・ ジョスカンの真作とされている18作のミサ曲のうち、17作は作曲者の生前にイタリアのペトルッチ社から出版されたが、この曲は
           疑わしい作品をのぞいて唯一、生前に出版されなかった曲。 (出版は、作曲者の死の18年後の、1539年)
                  ・ CDの解説書より 「ジョスカンはこのミサ曲を、いわゆる循環ミサ曲の形式に従って、前述の聖歌を用いて作曲した。 聖歌の旋
           律は、一定の声部にのみ現れるのではなく、4つの声部のすべてに用いられ、また多様に姿を変えて現れる。 ときには各声部で
           絡み合うように聖歌旋律が使われたり、自由にパラフレーズしながら模倣を重ねたりしている」
              ・・・・・・ううぅ、意味が分からないよう。 このロバの耳では、聖歌の旋律すらところどころ聴き取れるだけ。

        あのマルティン・ルターも絶賛したフランス出身の大家、ジョスカン・デ・プレの作品。
      キリエの冒頭だけで、泣いてしまう。 って、ロム・アルメでもそうだな。
      聖歌のパンジェ・リングは、単体で聴いても(歌詞はともかく)聖歌の中ではそれほど特徴的な曲とも思われないのに(←ロバ)
      ジョスカンの手に掛かると・・・・・・。 思わず歌ってしまう。 いい旋律だ。 旋律がな。
 

ヴェスペレ(晩課)
《聖母マリアのべの》 (伊・1610年/作曲者43歳

Vespro della Beata Virgine
           クラウディオ・モンテヴェルディ 作曲  

       ・ 正式には「マリア被昇天の祝日のための晩課」 (8月15日)
       ・ 「晩課」(ヴェスプロ、夕べの祈り)とは、その名の通り、カトリックの政務日課の中で、夕暮れ時に行われる儀式(?)。
                祈りの詩句は「詩篇」を中心に構成され、最後に「マニフィカト」が付く。
                マリア崇拝のもっとも好適な題材として、多くの作曲家が作曲を試みた曲種だが、モンテヴェルディのこの曲には、いくつか
                この曲の定式とは異なった部分がある。
       ・ 作曲の目的 ローマ法王パウロ5世に献呈。 同時献呈曲は『ミサ・イン・イッロ・テンポレ』
           マントヴァの宮廷に不満を持っていた作曲者が、新たな就職先 & 長男の教皇庁附属神学校への入学を求めて。・・・→ 失敗。
       ・ 歌詞 ラテン語   
 
 

ミゼレーレ Miserere           (伊・17世紀半ば  約13分
             グレゴリオ・アッレーグリ作曲  

       ・ 歌詞 ラテン語  聖書の詩篇第50篇から   
       ・ 作曲の目的 教皇庁直属の聖歌隊のために作曲。  システィーナ礼拝堂以外では演奏してはならない門外不出の作品と
           して知られた。

     少年モーツァルトがローマに来たとき、楽譜の持ち出しが厳禁のこの曲を、たった一度聴いただけで正確に楽譜に写し
     てしまったというエピソードで有名な曲。  わたしもはじめ「へぇ〜、けっこう単純な曲なんじゃないの?(笑)」という気
     軽な気持ちで聴き始めました。 ところがっっ。 こんなきれいな曲聴いたこと無いっ。   もう、言葉が出せませんでし
     た。      (その後ジョスカンのミサと合わせて「とてつもなく透明な音楽の双璧」と呼んどります。)   
      曲は、透明な合唱が、あちらとこちらで、ゆったりと互いに歌い交わす、といった感じです。   

                おすすめCD
             ・ 「ライヴ・イン・ローマ」 ピーター・フィリップス指揮 タリス・スコラーズ
                                           ('94)(ギメル PHCP-1934)ライヴ録音  ¥2,548

                         タリス・スコラーズはいくつかこの曲のCDを出しているそうですが、パレストリーナとラッスス没後400年記念演
                         奏会のこのCDが一番すばらしいときいて、これを買いました。  パレストリーナのマルチェルスのミサその他
                         も入っています。ところでここ、システィーナ礼拝堂じゃないけど、もう、いいのかな? (ローマのサンタ・マリ
                         ア・マジョーレ教会)

オルガンミサ
 《教区のためのミサ》 (仏・1690/作曲者22歳約66分
             Messe a l'usage ordinaire des paroisses, pour les festes solemnelles     
                フランソワ・クープラン作曲  
                   ・作曲の目的

      バッハの、建材が天から次々と降ってきて自動に巨大な建築物が組み立てられるかのようなオルガンとは違って、地の
      底から圧倒的な力でもってせせり出してくる巨大な岩山のようなオルガン。
 
 

詩篇 第126番シ・ミヌス(主家)》RV608 (伊・1717ごろ
     アルト独唱、弦楽通奏低音のための  Nisi Dominus, Pasalm 126     約21分
             アントニオ・ヴィヴァルディ作曲  

       
                   ・作曲の目的 作曲者自身が音楽教師として働いていたピエタ孤児院の、名高い一人の女性聖歌隊員のために作曲された。
                   ・歌詞 ラテン語 聖書の詩篇126から   全9曲。
                   ・曲の特徴 非常に劇的、絵画的。 
                   ・第4曲では、「眠りを描くために」催眠術のように「絶えず繰り返される」バスの上に半音階で上昇するモティーフを取
                 り入れている。 (この手法は四季の春でもまったく同じ目的で使用されている。)
                   ・第7曲の「父と子と聖霊に栄えあれ」の楽章では、歌に寄り添うようにヴィオラ・ダモーレが活躍するが、通常この曲で
              は喜びで描かれるのが普通なのに、ヴィヴァルディは沈んだ調子で書いている。

         この曲をはじめて聴いたときの、太陽領のうろたえぶりを皆さんにお見せしたかった。
        (四季以外の)普通のヴィヴァルディの快活な協奏曲の風に始まったと思ったら、そこにパーセルかバッハ(?)を思わ
         せる感じの歌が乗っかってくるのだ。 そして、泣きたくなるくらいにピッタリなのだ。
         グローリアをはじめて聴いたときと同じぐらい、びっくりした。
         ほんとうに、ヴィヴァルディの、楽想を縦横無尽に使いまくる手腕には心底惚れるよ。
         一曲一曲が、実に個性的に聞こえる。 
         誰だよ、「ヴィヴァルディはひとつの曲を800回書き直しただけ」なんて言ったのは。

                おすすめCD
             ・ トレヴァー・ピノック指揮  イングリッシュ・コンサート  
                    マイケル・チャンス(カウンターテノール)
                                 ('95)(アルヒーフ POCA-1131)  ¥ 3,059 

ターバト・ーテル (悲しみの聖母)  (伊・1735年ごろ  約37分
                                           Stabat  Mater    
        ジョヴァンニ・バティスタ・ぺルゴレージ作曲  

       ・ 「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」とは、本来「セクエンツァ(続誦)」の中の一曲である。
               オペラが全盛時代を迎えた17世紀以降でも、イエスにまつわる物語をオペラにすることは禁じられていたが、
               宗教的な恍惚を上品に表現したい芸術家たちが、死んだイエスを抱え上げる聖母マリアの嘆きに乗せて、ドラマ
               チックで感情豊かに歌を歌わせることが流行った。
       ・ 作曲の目的 不明。 
       ・ 歌詞 ラテン語。  続誦のための固有文より。  全12曲。
               (1)悲しみにくれる聖母は涙にしずみて(二重唱)  (2)嘆き悲しみて(ソプラノ)  (3)おお、神のひとりごの
                 (二重唱)  (4)尊き御子の苦しみを(メゾソプラノ)  (5)これほどにまで嘆きたまえる(二重唱)
               (6)また瀕死のうちに見捨てられ(ソプラノ)  (7)愛の泉なるみははよ(メゾソプラノ)
               (8)わが心がそのみこころにかなうべく(二重唱)  (9)聖なるみははよ(二重唱)
               (10)われにキリストの傷を負わしめ(メゾソプラノ) (11)おお、乙女よ(二重唱)
               (12)肉体が欲するとき(二重唱)
       ・ ソプラノとアルトの二重唱、またはアリア(独唱)により成る曲。 弦楽合奏。 オルガン。 
       ・ 「イタリアのモーツァルト」と呼ばれるぺルゴレージの26年の生涯の最晩年に作曲された曲。 終曲(第12曲)は未完に
               終わり、レオナルド・レオによって補筆された。

     夭折が惜しまれる大天才の天国のような作品。  似たような曲を探すのが不可能である。
     この曲の最大の特徴は、短くて鋭いリズムと、楽曲の切れの良さ。
     歌手は絶対に脳底が天国の方に向かって裏返っている。(←なんだそれ)

                おすすめCD
             ・ クラウディオ・アバド指揮  ロンドン交響楽団員 レスリー・ピアソン(オルガン)
                       マーガレット・マーシャル(ソプラノ), ルチア・ヴァレンテイーニ=テッラーニ(アルト)  
                                 ('83)(グラモフォン POCG-1118)  ¥ 2,500 

                         人を寄せ付けない、冷峻な歌が聴きたいならこれ。

             ・ シャルル・デュトワ指揮  モントリオール・シンフォニエッタ 
                       ジューン・アンダーソン(ソプラノ), チェチーリア・バルトリ(メゾソプラノ)  
                                 ('91)(ロンドン POCL-5188)  ¥ 2,000 

                         天国のような、少しやわらかい歌が聴きたいならこれ。
 

カンタータ第4番                     (独・1714年? 1707年? 1708年?)  約23分
 《キリストとりこなれり》BWV.4
             Kantata No.4  Christe lag in Todesbanden          
       ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)作曲  

       ・ 「カンタータ」とは、ドイツのルター派キリスト教会の礼拝で使う宗教曲のこと。 別名「歌ミサ」。
       ・ 作曲の目的   カンタータ106番と同時期の作品か?    復活節日曜日(第1祝日)用に作曲。
       ・ 歌詞  ドイツ語。  マルコ伝16.1〜8 (キリストの復活) から。
       ・ 全8曲  (1) シンフォニア     (2) コラール合唱 《キリストは死の縄目につながれたり》   
              (3) コラール編曲 (ソプラノ、アルト) 《死にうち勝てる者絶えてなし》     (4) コラール編曲 (テノール) 《神の子なる
             イエス・キリスト》    (5) コラール合唱 《世にも奇しき戦おこりて》    (6) コラール編曲 (バス) 《ここに神が命じ
             て、定めたもうたまことの過越の仔羊》  (7) コラール編曲  (ソプラノ、テノール) 《かくてわれらこの尊き祭りをことほぎ》
             (8) コラール合唱 《われらは食らいて生命に歩まん》
        ・ 編成  ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱   トランペット、トロンボーン、弦楽器、通奏低音。
       ・ 曲の特長  ルター作のコラール(賛美歌)を、厳粛で緊張感にあふれた変奏をする。
       
      第1曲目から、何かが始まるぞってかんじ。  この緊迫感が何曲も続くのに圧倒。

 

カンタータ 第51番                         (独・1730年/作曲者45歳)  約18分
 《全地よ、かいて歓呼せよ》 BWV.51
       Kantata No.51  Jauchzet, Gott in allen Landen !          
      ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)作曲  

       ・ 作曲の目的   バッハが、ライプツィヒで働いていたとき、「三位一体節後第15日曜日」の礼拝に使うため作曲。
       ・ 歌詞  ドイツ語。  作詞者は不詳。  ガリラヤ人への手紙、マタイ伝 から詩がとられている。
       ・ 全5曲  (1) アリア 《全地よ、神に向かいて歓呼せよ》   (2) 叙唱 《われらは宮に向かいて伏し拝む》
               (3) アリア 《いと高きものよ、なんじの慈しみを》  (4) コラール 《賛美と誉れと栄光》
               (5) アリア 《アレルヤ!》  
        ・ 編成  ソプラノ独唱用カンタータ  トランペット、弦楽器、通奏低音。
       ・ ソリストに要求される技巧と広い音域がこの時期に作曲された他の曲に比べて際だっているため、ライプツィヒ以外の土地
            (たとえば優れた歌手のいたドレスデン、またはヴァンセンフェルスの宮廷)で作曲されたと考える説もある。
       

     とても華麗な曲! 輝かしい! 
     砂川しげひさ氏の例の本を全部引用しちゃえ。
     「ぼくの愛聴盤はマリア・シュターダーのソプラノ、カール・リヒター、ミュンヘン・バッハ管弦楽団の方だが、ワニ目(の
     編集者)に借りたCDは、同じリヒター、ミュンヘン・バッハ管弦楽団の伴奏だが、ソプラノをエディット・マティスが歌っ
     ている。 同じ演奏なのに、マティスの方が、エネルギッシュで、歌い方も数段に派手である。 ちょっと、カンタータとい
     うより、「ソプラノとトランペットのための協奏曲」みたいだ。 シュターダーの方はトランペットが麗人を邪魔しないように
     寄り添う感じだが、マティスの方はトランペットも負けずに吹きまくっている。 淑女もへったくれもあるか、とまるでセク
     ハラ・ラッパだ。 教会カンタータという性格からすればちょっとナアという感じだが、聴く方は、こちらの方が面白い。 
     最後のハレルヤは、ソプラノの妙技が聴きもの。 とくにハレルヤの三点ハという声を出すなんて、厳粛な教会で、ちょ
     っと、ひんしゅくものではないかと思うくらいの名人芸。 こんな声が出せるのはカストラートしかいない。 三点ヘにたど
     り着くまで、あと60年、モーツァルトの魔笛まで待つことになる」
 
 

カンタータ  第111番                        (独・1725年/作曲者40歳  約22分
  《わが神うことつねこり BWV.111
               Kantata No.111  Was mein Gott will.  das g'scheh allzeit         
     ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)作曲  
 

        ・ 作曲の目的 バッハが、ライプツィヒで働いていたとき、「顕現節後第3日曜日」の礼拝に使うために、作曲。
        ・ 歌詞 ドイツ語。 作詞者は不詳。 ローマ人への手紙、マタイ伝、ヨナ、サムエル記上 から。
        ・ 全6曲。 (1)合唱《わが神の欲し給うことみな実現し》  (2)アリア(バス)《おそれるでない、わたしのこころよ》
            (3)叙唱(アルト)《愚か者だ!》 (4)二重唱(アルト、テノール)《そこでわたしは元気な足取りで歩く》
            (5)叙唱(ソプラノ)《ですから神よ、ついに死が精神を》  (6)コラール《主よ、わたしがもうひとつお願いを》
        ・ 第1曲合唱と、終曲のコラールは、プロイセン公アルプレヒト作のコラール(1554年)からの転用。
        ・ 編成  ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ×2、弦楽器、通奏低音
 
 

カンタータ 第106番                         (独・1707年?/作曲者22歳?)  約22分
  《こそいときとき》 BWV.106
       Kantata No.106   Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit         
     ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ) 作曲  

       ・ 作曲の目的 バッハが、ミュールハウゼンに住んでいたとき、エアフルトの伯父の葬儀で演奏するために作曲したと考えられている。 
                           哀悼行事用のカンタータ。   現存するバッハ最古のカンタータ?
       ・ 歌詞  ドイツ語。  聖書の詩篇、イザヤ書、ルカ伝、他から。
       ・ 全8曲 (1)ソナティーナ   (2a)合唱《神の時こそいと良きとき》   (2b)アリオーソ(テノール)《ああ主よ、願わくばわれらに》
                     (2c)アリア(バス)《なんじの家に遺言をとどめよ!》  (2d)三重唱とアリオーソ(ソプラノ)と器楽コラール《こは旧き契約の
                           定めぞ/しかり、主イエスよ、来たり給え》  (3a)アリア(アルト)《わが霊をば御手にゆだねる》 
                      (3b)アリオーソ(バス)と合唱《今日、なんじはわれと共に天国に/平安と歓喜をもってわれは今》
             (4)コラール合唱《誉れ、賛美、尊崇、栄光》
        ・ 編成  アルト、テノール、バス、合唱  ブロックフレーテ(竪型フルート)、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音。
       

     あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、バぁッハのフルートぉぉぉぉぉぉ〜〜〜(錯乱)。
     バッハのフルート (リコーダー、フラウト・トラヴェルソ含む) が密かに活躍する曲が異常に好き。  管弦楽組曲第2番、プラン
     デンブルク4番、音楽の捧げ物・・・・・      (不思議なことに10曲近くあるフルートソナタはそれほど・・・・) 
     それもこれも、すべてこの曲のせいなのだっ。
     この曲で活躍するのは、実際にはフルートじゃなくて、小学生のころおなじみだったあのリコーダー。 じっくり聴いてみ
     ると確かにそうじゃわい。  ところがそのチープなイメージのあるリコーダー (失礼!) が、この曲では見事に「天国に対
     するあこがれ」の象徴となっているのです。  この曲のコンセプトは「ああ、人生ご苦労さん、天国に早く行ってのんび
     り出来るといいね〜〜」なのです。  わたしもこんな曲に送り出されたいものだ。(まだ早い)
     同時期に作曲されたと思われる第4番と正反対なところが興味深い。
     太陽領のもらい泣きスポット(笑)は、7曲目。  バスのフィッシャー=ディースカウが「今日、わたしと一緒にパラダイス
     へ行こう〜」と歌っているところに、少年合唱風の合唱が寄り添ってきて「安らぎと喜びをもってわたしは主のもとに行
     くけど、今気持ちはとっても静か」と歌う。 しばらくバスと合唱は平行して歌っているが、いつの間にかバスの独唱が
     消えて、まもなく合唱も絶え、弦楽と低音で静かに曲を締めくくる。   ってところ。   で、リコーダーがやっぱり絶妙
     なんだわ。
     もう最初から最後まで、明るい野原の河の向こうの方で死んだおじいちゃんおばあちゃん、先祖の方々がおいでおいで
     をしている曲です。

                おすすめCD
             ・ カール・リヒター指揮  ミュンヘン・バッハ管弦楽団 & 合唱団  
                    ヘルタ・テッパー(A) エルンスト・へフリガー(T) テオ・アダム(Bs)
                                 ('66)(アルヒーフ POCA-2052)  ¥ 2,200 

                      もうこのCD最高。 今後これ以外のやつ聴くときが怖い。
                      ところが困ったことが一つあります。 さっき上の文章で、バスを歌っているのはフィッシヤー=ディースカウと書いてし
                      まったんですが、ここにデータ書くために独唱者名を見たら、テオ・アダムだったよー。  ここ数年、このCD聴いて
                      いて、ディースカウだと思いこんでいたのにー。 こまったこまった。  とりあえず、わたしの頭の中ではこの曲でこ
                      こを歌っているのはディースカウなので、書き直さずにこのままにしておきます(コラコラっ)。
                      でもテオ・アダムも好きだよー。  良い子のみんなは間違えないでねっ。
 

カンタータ  第111番                        (独・1725年/作曲者40歳  約22分
  《わが神うことつねこり BWV.111
               Kantata No.111  Was mein Gott will.  das g'scheh allzeit         
     ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)作曲  
 

        ・ 作曲の目的 バッハが、ライプツィヒで働いていたとき、「顕現節後第3日曜日」の礼拝に使うために、作曲。
        ・ 歌詞 ドイツ語。 作詞者は不詳。 ローマ人への手紙、マタイ伝、ヨナ、サムエル記上 から。
        ・ 全6曲。 (1)合唱《わが神の欲し給うことみな実現し》  (2)アリア(バス)《おそれるでない、わたしのこころよ》
            (3)叙唱(アルト)《愚か者だ!》 (4)二重唱(アルト、テノール)《そこでわたしは元気な足取りで歩く》
            (5)叙唱(ソプラノ)《ですから神よ、ついに死が精神を》  (6)コラール《主よ、わたしがもうひとつお願いを》
        ・ 第1曲合唱と、終曲のコラールは、プロイセン公アルプレヒト作のコラール(1554年)からの転用。
        ・ 編成  ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ×2、弦楽器、通奏低音
 
 

カンタータ  第199番                        (独・1714年/作曲者29歳  約28分
  《わが心 BWV.199
               Kantata No.199  Mein Herze shwimmt im blut          
     ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ) 作曲  
 

        ・ 作曲の目的 バッハが、ヴァイマールで働いていたとき、「三位一体節後第11日曜日」の礼拝に使うため作曲。
        ・ 歌詞 ドイツ語。  G.C.レームス作詞  コリント人の第1の手紙、ルカ伝18章 からとられている。
        ・ 全8曲  (1)叙唱《わが心は血の海に漂う》   (2)アリア《黙せる呻き、秘めし嘆きよ》   (3)叙唱《されど神はわれに
             恵みを与えたまわん》  (4)アリア《低くくずおれ、悔いに満ちて》  (5)叙唱《かく悔いて、いたく悩めるわれを》  
             (6)コラール 《悲しみにくれし、なんじの子なるわれ》  (7)叙唱 《われはこの御傷のうちにわが身を横たえ》  
             (8)アリア 《いかに喜ばしかな、わが心は》
        ・ 編成  ソプラノ独唱用カンタータ  オーボエ、弦楽器、通奏低音。
       

     わたしがこの曲を愛している理由は、「題名が物騒」だからです(^^)。
     この題名はイメージとしてすばらしいので、ルーンクエストというゲームに出てくる流血の女神、バービスター・ゴアの
     テーマソングに使用しています(^^)。   ただし、すばらしいのはタイトルだけ。 曲の内容は激しさの微塵もない。
     (それでいいんですが)。
     でもこの曲、漫画家の砂川しげひさ氏の書いた 『のぼりつめたら大バッハ』 という本を読んでますます好きになってし
     まいました。  この本にはバッハのカンタータ200曲をすべて聴く、という恐ろしいコーナーがあるのですが、その中
     に書いてあるこの曲の批評  
                 「ソプラノのレチタティーヴォからはじまる。 しんきくさいからやめていただきたい。 第2曲のアリア。 オーボエが眠た
                     そうだ。 朝からそんなことでどうするのだといいたい。 ソプラノものらりくらりと登場する。 やめていただきたい。
                     第4曲の弦のユニゾンが厚みがあって、堂々としているが、ソプラノがあまり面白くない。 陰気が流行している
                     んかと聞きたいくらい」
     と書いてあって、爆笑してしまったからです。  そこまでひどくはないよ、この曲。    しみじみしているよ。

                おすすめCD
             ・ ヘルムート・ヴィンシャーマン指揮  ドイツ・バッハ・ゾリステン  
                     エディッタ・グルベローヴァ(S)
                                 (?)(レーザーライト COCO-78023)  ¥ 1,000 

                      グルベローヴァの歌が絶品だ。

 
 

ンセム祭司ザドク》ニ長調  HWV.258   (英・1727年/作曲者42歳 約 6 分
                         Zadok, the priest   
         ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲  

       ・ 「アンセム」とは、イギリス国教会の礼拝に使用される、儀式音楽。 =モテット。
               そんなに長くはないが、国王を讃えるために「派手」なことが多い。 
               国王を讃えると宗教音楽になるなんて、イギリスって、スバラシイ!
       ・ 作曲の目的 1727年10月11日にウェストミンスター大寺院で行われた、国王ジョージ2世の戴冠式のために作曲した、
               4曲のオーケストラ伴奏付きアンセムの、第1曲目。 
       ・ 歌詞 英語。 内容は、「旧約聖書・列王記略上」より。 ザドクとナタンが、ソロモンに油を注いで王とした場面。
               民はみな、喜んで言った。「国王万歳!!」   アーメン♪
       ・ CDの解説書によると、その後、英国の戴冠式ではいつもこの曲が演奏されたという。
       ・ ヘンデルは、この曲の作曲の7ヶ月前に正式に英国市民となった。

     短いけれど、すごく立派な曲。  短いけれど、メサイアと同じぐらい圧倒される。

                おすすめCD
             ・ サー・ディヴィッド・ウィルコックス指揮  イギリス室内管弦楽団 ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団  
                                 ('63)(デッカ POCL-6034)  ¥ 2,000 
                        カップリングは、ハイドンのネルソンと、ヴィヴァルディのグローリア。
 

ラトリオジプトのスラエル人》HWV.54  Israel in Egypt   (英・1737〜38)  
     ジョージ・フレデリック・ハンデル(ヘンデル)作曲  

       ・ 歌詞 英語  全2部、30曲  直接聖書から採られた歌詞が使われている(これは例外的なことである)。
            大部分は『出エジプト記』、それに3つの詩篇からの挿入。 
       ・ 作曲の目的  劇場上演のため。
       ・ 曲の構成と、歌詞の大意 (1)序曲  約2分
            (2)第1部 エジプト脱出 Exodus   全12曲 うち合唱10曲  約32分
                 エジプトにイスラエル人を迫害する王が現れ、イスラエル人は大いに苦しんだため、主はアロンとモーゼを使わして6つ
                 の奇蹟を行った。 そしてイスラエル人はエジプトを出ていき、エジプト人はそれを大いに喜んだ。 主は紅海の水を
                 割り、敵のみを飲み込んだ。
            (3)第2部 モーセの歌 Moses'Song  全17曲 うち合唱9曲  約54分
                 モーゼは延々と神を称える。おおぅ、神様ーー。 最後にアロンの姉がタンバリンを持って踊る。
       ・ 作曲と上演の経緯 ・《サウル》の完成の4日後(1738年10月1日)に、作曲開始。 第2部から作曲する。 10月11日に完成。
                       卒中で倒れたヘンデルが、回復を祝って作曲し始めたという説もある。
                       最初はこの第2部だけで、ひとつの大きなアンセムとする予定だったらしい。合唱が多いのはそのため。
             ・第1部を10月15日に書き始め、草稿は20日に完成。細部の補充を10月28日、第2部の手直しを11月1日に完成。
             ・初演は1739年4月4日、ヘイマーケットのキングズ・シアターで。「数曲のオルガン協奏曲、とくに新作1曲を伴って」
                  このオラトリオは、3部の章を持つ曲として演奏された。 第1部として37年12月に作曲した《キャロライン王妃のため
                  の葬送アンセム》の題名が《ヨセフの死を悼むイスラエル人の嘆き》と変えたものが、あてられた。
                  とくに題名を巡って「検閲を通過させるために、ヘンデルはオルペウスにまさる奇蹟をおこなった」らしい。
             ・初演は評判が良くなかった。 理由1.初演劇場が大衆劇場で、宗教的題材は好まれなかった。 2.タイトルがいけなかった。   
                  3.合唱が多すぎ、アリアが少なかったせいで、オペラを好む人たちに受けが悪かった。
                2回目の上演では『最後の上演』と銘打ち、他のオペラからの4つのイタリア語アリアが挿入された。
             ・その後、おそらく8回、ときおり思い出したようにヘンデルはこの曲の再演を試み、その都度 曲の構成の細部が変更されたが、
                とくに最晩年には他のオラトリオから充分な推敲を経ぬままに曲を借り、ヨセフその他の登場人物を持つ新しい第1部が追
                加された。 (しかし相変わらず評判にはならなかった)
             ・ヘンデルの死後まもなく、ヘンデルの神聖化が始まり、メサイアに次ぐ人気を博すようになった。
       ・ 一般的な評判が冷たい一方で、ごく少数この曲に愛着を持つ人物がいて、個人的にヘンデルに絶えず支持と訴えを繰り返していたという。 
       ・ 曲の特徴 この曲には、自作以外にも様々な作曲からの曲の借用が多くあり、「バロック時代の他人からの借用の慣例」のもっとも顕著
             な例、として取り上げられることが多い。
                 ・ディオニジ・エルバのマニフィカトから3つの二重唱と7つの合唱。
                 ・ストラデッラの結婚カンタータからの素材が、5つの合唱曲に。
                 ・第2部の2曲の合唱に、シュトルンク、ケルル、ガブリエリらの作品の要素が認められる。
             しかし、このような引用・借用がヘンデルの安易な作曲態度に由来するのかというと、そうではなく、ヘンデル特有の処理が多く
             成されていて、新たに作曲するよりも遙かに手間がかかると見なされるものもある。 だが全体的にこれらの借用部分は、めざ
             ましい効果を上げている部分と、陳腐な印象を与える部分に分かれていて、このあたりがこの曲の評価を分ける。
 

ラトリオメサイア(救世主)  Messiah    (英・1741)  
   ジョージ・フレデリック・ハンデル(ヘンデル)作曲  

       ・ 歌詞 英語  全3部、54曲   
       ・ 作曲の目的 

            おすすめCD
             ・ クリストファー・ホグウッド指揮 エンシェント室内管弦楽団 オックスフォード・クライストチャーチ聖歌隊
                          ジュディス・ネルソン(S)、エマ・カークビー(S)、キャロライン・ワトキンソン(A)
                          ポール・エリオット(T)、ディヴィッド・トーマス(B)  
                                 ('79)(オワゾリール POCL-4166〜7/2枚組)  ¥ 2,900 

                      古楽器での少数での演奏のいいところと悪いところを考えさせてくれる一枚。(このレコードでは、「捨て子
                      養育院版」という、少人数で演奏するための楽譜を使用している。 ・・ったって、歌い手と合唱を除いても
                      38人も演奏者がいるんだが)
                      多分メサイアという曲に求められるであろう、演奏のはでさ、ヘンデルの音の極彩色な豊かさ、巨大性、至高
                      性、という部分は少人数のせいでちっとも前に出てこない。 逆に、「枯れた」「寂しい」という印象を受け
                      てしまう。 またホグウッドの演奏は、序曲や他の部分に、ちょっとした演奏上の耳にさわるクセがある。
                      しかしながら、少人数のおかげで合唱も管弦楽も独唱者も、みんな一体化しているのだ。 合唱も管弦楽も、
                      単体ではすごく地味なのに。 そして、全体的にはのんびりしているのに、細部だけはきびきびしていてスポ
                      ーティ。 これは全部、小編成のおかげだろうか。 みんなが一体となって、曲の見事さを細部まですみずみ
                      聴かせてくれるのである。 最初は違和感を覚えるけれど、慣れると気持ちいい。なによりもしっとり。枯れて
                      いるのにしっとり。 しかし、オレはメサイアにこんな朝礼的な演奏を求めているんだろうか? ってな感じ。
                      でもって、カークビー!! 4曲目最高! でもなんでソプラノ2が歌う歌がこんなに少ないんだようヘンデル。
                      でもまあ、ソプラノ1のネルソンも最高。
 

レクイエム(鎮魂ミサ曲)ト短調   Requiem   (伊・1787年/作曲者38歳  
         ドメニコ・チマローザ (1749〜1801) 作曲   約59分

       ・ 作曲の目的  この年作曲者はロシアの宮廷に仕えることとなったが、彼をイタリアからロシアに呼び寄せるのに骨を折って
               くれた両シチリア王国からの駐ロ大使・カプリオーラ公爵の夫人がチマローザがロシアに来た直後に死去。
               公爵からの懇願によって、非常に短期間で作曲された。 
       ・ 歌詞 ラテン語。  (1)入祭唱 (2)キリエ (3)昇階唱&詠誦 (4)続誦(10曲) (5)奉納唱
               (6)サンクトゥス (7)ベネディクトゥス (8)アニュス・デイ (9)聖体拝領唱 
       ・ チマローザは生涯の間にナポリ → ロシア・サンクトペテルブルク → ウィーン → ナポリ → ヴェネツィア に移り住み、
               宗教音楽の分野では、6曲のミサ曲と4曲のレクイエム、あと多少のその他の作品を残している。。

     思いもかけず、佳品を耳にしたという感じだ。 まず思うのは、構成がガッチリとしているということ。 
     レクイエムだというのに感傷に流れたりなどはせず、ドン、ドン、と食べごたえのあるそこそこの大きさの固まりが順番
     に置かれていく、という感じ。
     曲想はベルゴレージとモーツァルトのブレンドのようなものだが、歯切れが良く、まずワクがしっかりと定めてあって、
     そこからはみ出ることはない。  スキのない、いいつくり。 
     で、これで死者はちゃんと送られていくのかね? (元気良すぎ?)

            おすすめCD
             ・ ヴィットリオ・ネグリ指揮  ローザンヌ室内管弦楽団  モントルー音楽祭合唱団  
                                 ('68)(フィリップス PHCP-20037)  ¥ 1,325 

ネルソン・ミサ(困窮時のミサ)ニ短調 Hob.XXII  - 11 (墺・1798/作曲者66歳    
               Missa in Angustiis,  Hob.XXII  : 11  " Nelson Mass "    
                      ヨーゼフ・ハイドン 作曲                          
 

               ・ 作曲のきっかけ ハイドンは、1794年に新しくエステルハージ侯爵となったニコラウス2世の夫人、マリー・ヘルメーネギルディスの
               命日(9月8日)のために毎年1曲、ミサ曲を書くことになった。 この曲は、その6曲のうちの第3曲目。
         ・ 題名の由来 ハイドンが自分の作品カタログに記した題名 ; 困窮時のミサ,試練の時のミサ,恐怖の時代のミサ。
                 作曲当時、
 

            おすすめCD
             ・ ブルーノ・ヴァイル 指揮 ターフェル・ムジーク・バロック管弦楽団  テルツ少年合唱団  
                                 ('96)(ヴィヴァルテ ソニークラシカル SRCR-1988)  ¥ 2,345 
 

聖体祝日のためのリタニア 変ロ長調 k.125 約35分
                      Litaniae de venerabili altaris sacramento    (墺・1772年/作曲者16歳  
     ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲  

       ・ 歌詞 ラテン語  聖体の祝日のための特別な典礼文?   全9曲。
       ・ ロビンズ・ランドンの本に「この時期(ザルツブルク時代)のモーツァルトは意識的にポピュラーな教会音楽を書こうとしてい
            た。 彼の書いた大司教のための楽しい交響曲や嬉遊曲やセレナードは、宮廷や土地の貴族にしか聴いてもらえず、
            一般人に聴けるものと言えば、ダンス音楽か教会音楽だけだった」と書いてある。
       ・ 聖体の祝日のためのリタニア(連祷)は、ほかに k.243がある。

    まいりました!  さすがはモーツァルト!
    たのしいね、とぴはねているね。  声を除いたら、シンフォニーになりそうだ。
    しかし、もう1曲の k.243 のほうが名作とされているため、こっちの曲はあまり目立たない。
    たしかに個性はないかも知れないが、この曲だけを聴くならばいい曲だ。  とくに独唱の数曲と合唱の進行具合は、
    モーツァルトの宗教曲に求められる充実度に十分達している。 
    うーーん、この曲の情報が少なすぎて、歯切れが悪いな。自分が良いと思えば、それでいいんだけどね。

                おすすめCD
             ・ ニコラウス・アーノンクール指揮  ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス  アーノルト・シェーンベルク合唱団
                     バーバラ・ポニー(S)エリーザベト・フォン・マグヌス(A)ウーヴェ・ハイルマン(T)ジル・カシュマイユ(Bs)
                                 ('93)(テルデック WPCS-6482〜94)  ¥ 24,570 (高い〜〜)

                      これは全13枚の宗教曲全集ですので、本来ならおすすめなんか出来ないんですが、すくなくとも太陽領は「買って良
                      かった〜〜」と思ってしまったので、参考までに書いておきます。この全集でしか手に入れられない名曲も多いしね。
                      どっかでバラ売りもしてるかも。 しかし、この全集の最大の欠点は、あまりにも曲数が多すぎて、曲ひとつひとつ
                      の解説が全くないことでした。作曲者がどのような状況で作品を作ったのか、ということを知りたいのに〜(怒)

 

モテット《べ、いなよ》 k.165(158a)
             Exsultate  Jubilate      (墺・1773年/作曲者17歳    約15分
        ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲       

       ・ 作曲の目的  ミラノ旅行の途中、当地のカストラート歌手ラウッチーニのために書かれた。 
       ・ 歌詞 ラテン語  (全3部) 1.喜べよ、その喜びをあらわせよ(アレグロ)  (-).セッコ・レチタティーヴォ よき昼の光は
                輝き  2.聖処女の冠よ(アンダンテ)   3.アレルヤ(アレグロ)
       ・ 編成 カストラート(去勢された男性のソプラノ)の独唱。  弦楽 オーボエ ホルン オルガン。

    この曲、太陽領が初めて聴いた宗教音楽なのです!
    一番最初の遭遇の印象が素晴らしいと、もうずっとしあわせですよね。  インプリンティング(すり込み)っていうか、ファ
    ースト・コンタクトっていうか。 そんな感じです。  
    そのころ中学生だった私は、NHKのFMでこの曲を聴いたのですが、踊るようなはねるようなしあわせな曲想に聞き惚
    れたものです。  以来、わたしが宗教曲(ならびにキリスト)に入れ込むようになったのは、ごらんの通り。  
    もう、いろんな人に一番最初におすすめしたい曲です。  とか言いながら、冒頭の「最初に聴いて欲しい曲ベスト5」に
    入れないのが、ワタシの悪いクセ(笑)。
    最初から最後まで、一点の曇りもない、ただ喜びの感情だけで出来ている、という曲ですが、やっぱり最後の「アレルヤ」
    の部分が天国の極み(?)ですね!  私にとってはヘンデルのメサイヤのハレルヤの合唱よりも、(こっちの方が聴いた
    のが早かったので)、ハレルヤ!という感じです。
    この曲を語るときによく引き合いに出される映画「オーケストラの少女」ですが、わたしの大学の映像室に置いてあった
    ので、借りて観ようとしました。 ところが同行者がすぐに飽きてしまったので、泣く泣く途中であきらめてしまったのでし
    たー。  おかげで有名な「アレルヤ」を観ることが出来なかった。 今考えるとすごくもったいない。 なんでその後一人
    で見に行かなかったんだ! (でも、ストコフスキーの映像には感激)  この映画、その後なかなかお目にかかれないんですよね。

                おすすめCD
             ・ クリストファー・ホグウッド指揮  エンシェント室内管弦楽団  
                     エマ・カークピー(S)
                                 ('83)(オワゾリール POCL-2537)  ¥ 2,200 (いまはもうちょっと安くなっている)

                      この天使のような曲には、「天使の歌声」とよばれるエマ・カークピーの演奏で! 本当にきれいな歌声です。
                      たまに、別の歌手で聴いてみると、かわった印象を受けます。

 

ッフェルトリウムれみを》ニ短調 k.222(205a)
           Misericordiades Domini       (墺・1775年/作曲者19歳    約 8 分
      ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲       

       ・ 作曲の目的  ? 
       ・ 歌詞 ラテン語  「主のお憐れみを 歌い讃えん 永遠に」 ・・・・・これだけ。 
       ・ 「オッフェルトリウム」というのは日本語で言うと「奉納唱」。  ミサの儀式の中で、捧げものを祭壇に供える(奉納の儀)
              のときに歌われる固有文聖歌。

    某ホームページでこの曲のことが書いてあったので、興味を持って聴いてみました。
    ほんとだーーーー。  第九と一緒だ!!!     それだけ。      まぁ、荘厳でいい曲です。

                おすすめCD
             ・ ニコラウス・アーノンクール指揮  ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス  アーノルト・シェーンベルク合唱団
                     バーバラ・ポニー(S)エリーザベト・フォン・マグヌス(A)
                                 ('93)(テルデック WPCS-6482〜94)  ¥ 24,570 (高い〜〜)

                      これ、おすすめしちゃって、いいんかなーーー。  わからん。

クレド・ミサ K.257 (墺・1776)
           ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 作曲  

       
                   ・作曲
 

大ミサ ハ短調 k.427(417a) Missa in C miner ” Grosse Messe
         ( 未完成 )                        (墺・1782年/作曲者26歳    約56分
            ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 作曲       

       ・ 作曲の目的  自分の結婚式のために作曲。  完成しなかったが、結婚してから1年後に作曲者が故郷ザルツブルクに
              帰ったときに、完成された部分だけは演奏された。 妻コンスタンツェがソプラノを歌った。  足りない部分は作
              曲者の他のミサ曲から転用したと考えられる。    
       ・ 歌詞 ラテン語  ミサ通常典礼文。 全13曲。  キリエ、グロリア、ベネディクトゥスは完成。 クレドは最初の部分だけ。
              サンクトゥスは草稿をもとにアロイス・シュミットが復元。  アニュス・デイは存在しない。 

    いい曲だよなあ。 完璧だよなあ。  上の「太陽領がおすすめする最初に聴いて欲しい宗教曲」であげたように、この曲
    をすべての宗教曲の極めつけの代表曲としてもよいとおもう。  
    深い祈り、人間のうちに秘められた激しさ、神をたたえる喜び、に満ちているからである。  この3つの言葉は太陽領
    が宗教曲を表現するときの三点セットなのです。  なにか信仰心が全くない自分が使うのに抵抗感がある言葉ですが。
    未完成なのに、十分完成された作品のように思える。   一見地味で、管弦楽の響きや合唱の叫びなどはレクイエム
    の方が派手にきこえると思うかもしれないが、 やっぱり良く聴くと管弦楽も合唱も神業である。 なんでこれがもっと派
    手にきこえないのかが不思議だ。  
    この曲を作曲するとき、モーツァルトは誓いをたてて、真摯な気持ちで作曲に臨んだといわれる。  彼とコンスタンツェ
    との結婚は、周囲の人たち(とくに父親と姉)に強い反対を受けていたから、モーツァルト自身も生涯最大のピンチ(?)と
    いうような気持ちでいたことだろう。  コンスタンツェは悪妻との声も高いが、モーツァルトが彼女との結婚を真剣に見
    つめ直し、その結果がこの曲ならば、わたしも結婚を申し込みたいくらい彼女が好きだ。  ( ←なにを言っている?)
    うらやましいなあ、自分の結婚のためにこんな曲が書けるモーツァルトっておとこは。
    とくに太陽領は終わりの部分が好き。 レクイエムでもそうだけど、「もう一回繰り返してくれー」っていうような終わり方す
    るんだよねえ。  太陽領がこの曲とレクイエム、どっちの方が好きかっていうと、、、、、、  どっち、、、、、、   とりあえず
    この曲とレクイエムをランダムに混ぜ合わせたMDをつくって車の中で良く聴いています。  変?

                おすすめCD
             ・ ジョン・エリオット・ガーディナー指揮  イギリス・バロック管弦楽団  モンテヴェルディ合唱団
                     シルヴィア・マクネアー(S) ダイアナ・モンタギュー(S)
                          アントニー・ロルフ・ジョンソン(T)  コルネリウス・ハウプトマン(Bs)
                                 ('86)(フィリップス PHCP-1684)  ¥ 2,500 

                      これよりもいいCDってどこかにありますかねぇ?

 

ミサ曲 第2番 ト長調 D.167   Messe G-dur   (墺・1815年/作曲者18歳 
             フランツ・ペーター・シューベルト 作曲       約25分

       ・ 作曲の目的  前年に作曲したミサ曲第1番の初演が好評だったので、2番目を作曲。  近所の教会で初演。 このころ
             作曲者は父親が校長をする学校で、補助教員をしていた。 
       ・ 歌詞 ラテン語  ミサ通常典礼文。    全6曲。 
       ・ この年、「魔王」「野ばら」など150曲の歌曲、交響曲2,3番を作曲。

    太陽領がもっとも愛するミサ曲のひとつ。
    歌曲王シューベルトの作曲する歌曲とはひと味違うみずみずしい曲が続く。
    賛美歌のような合唱としっとりしたソプラノ(たとえるならうなぎ・・・失礼?)が耳に良くなじむキリエ、 言葉のひとことひとことが
    頭に刻みつけられる怒濤のグロリア、 しずかにひかえめにリズミックに始まって、見事なクライマックスを築き上げる完
    璧なクレド、 一転して夕べの歌のようなベネディクトゥスなど。 そして海の底に引きずり込まれるようなアニュスデイ・・・・
    曲想は初期の交響曲のようなはつらつとしたもので、ようするにこの大作曲家のものとしては習作の部類にはいる。
    しかし、その練習曲の段階で後期の「天才技の作品」とは違うきらめきを見せるシューベルトという作曲家は、なんと愛す
    べき存在なのだろう!
    わたしはこの曲の、クレドだけを取り出して何度も繰り返し聞くことが多いです。

               おすすめCD
             ・ ヘルベルト・ケーゲル指揮  ライプツィヒ放送交響楽団  ライプツィヒ放送合唱団
                     マグダレーナ・ハヨショヴァ(S) エヴァーハルト・ビュヒナー(T) ヘルマン・クリスティアン・ボルスター(Bs)
                                 (?)(ドイツ・シャルプラッテン TKCC-15080)  ¥ 1,000 

                      このCD、録音で音ががすごくぼんやりしているんだけれど、とくに管弦楽がとても若々しくて良い!
                      カップリングはシューベルトのスターバト・マーテル。

                 ・ つい先日、わたしのひいきの演奏家、ブルーノ・ヴァイルのCDを買いました。 この指揮者の演奏らしく、とてもきび
                  きびとした、快走の演奏でした。  ところが、なにかこの演奏はこの曲になじまないような気がする。 ケーゲル盤に
                  なじみすぎているせいかもしれないが、ヴァイル盤、演奏は悪くないのに、シューベルトのこの曲の、私が好きな部分だ
                  けごっそり抜け落ちてしまっている気がする。  ケーゲル盤をおすすめします。
                  ヴァイルの演奏は、ハイドンにはぴったりですよ。                     '99.11.3

 

ミサ曲 第3番 変ロ長調 D.324  Messe B-Flat major  約28分  
         フランツ・ペーター・シューベルト作曲    (墺・1815〜16年/作曲者18歳  

       ・ 作曲の目的  この年、シューベルトは多くの宗教音楽を作曲。  比較的演奏する機会が多かったと思われる (他のジャ
              ンルの曲と比べて)。 
       ・ 歌詞 ラテン語  ミサ通常典礼文。    全6曲。 
       ・ 兄フェルディナンドの手紙に「ハインブルクで再演された」とあるので、そこそこ好評だったらしい。

    やっぱり聴いてみると、前作第2番とかなりおもむきが違うので、とても残念に思う。
    ・・・・・・・ と思って聴いていると、第2曲グロリアと、第3曲キリエの充実ぶりにびっくりした。  おもうに、あの若き天才
    のひらめきのような第2番に対して、第3番ではハイドンなみの管弦楽と構成の充実を追求したんだろうね。 曲自体の
    印象はモーツァルトの初期のミサに近いような気も。 大先輩にならう、後の天才。  8ヶ月足らずの間の、このチャレン
    ジ精神に、シューベルトの早熟ぶりを見たっ。   (エラそう)
    これは同時期の初期交響曲の場合と同じだ。
    
               おすすめCD
             ・ ブルーノ・ヴァイル指揮  エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団  ウィーン少年合唱団
                     アレクサンダー・ナーダー(S) トーマス・プッヒェガー(S)  ゲオルク・レスコヴィチ(A)
                     ペラ・フィッシャー(A)  イェルク・へリング(T)  ハリー・ヴァン・デル・カンプ(Bs)
                                 ('95)(ソニー・クラシカル SRCR-1771)  ¥ 2,300 

                      ソプラノとアルトに少年を使っているので、ヴァイルの棒と相まって、すごく若々しい。

                  ・ と書いたものの、2番のヴァイル評にあんなこと書いちゃってるんで、なにか心配だな。
                   他の演奏家で聴いてみたいな。                             '99.11.3  

 

ターバト・マーテル(悲しみの聖母) Stabat Mater      
    ジョアッキーノ・ロッシーニ 作曲   (伊・1831年/作曲者34歳  約57分

       ・ 作曲の目的 ある高位聖職者のために曲を書いてくれと、親友の金融資本家に頼まれた。 
       ・ 歌詞 ラテン語(続誦歌詞より)  全10曲。 (初稿では12曲。そのうち6曲をロッシーニが作曲)
       ・ 完成までの経緯 体調が悪かったので、半分まで書いて、残りを兄弟弟子のタドリーニという作曲家に頼み、その合成作品
             を依頼者に献呈した。  ところがその依頼者の死後、楽譜は二束三文で売られ、それを手に入れたある出版社が
             ロッシーニの作品として出版しようとした。(作曲者にはお金が入らない)。  これに発憤したロッシーニはタドリーニ
             が作曲した部分を再び自分で作曲し直し、別の出版社から一足先に出版してしまった。これでがっぽり。(1937年)

    オペラ作曲家・ロッシーニの引退後の作品。
    この曲についてはよく「宗教曲なのにオペラのようだ」と悪口をいわれるが、本当はそれがこの曲の最大の魅力。
    しかし、そんな前知識を持って聴き始めると、1曲目にあまりにもおごそかな、ベルゴレージによく似た音楽がうねるよう
    に始まって意表をつかれる。  第5曲もまるでヴェルディのような無伴奏の合唱で、オペラ「セヴィリヤの理髪師」に親し
    んできた者には別世界に連れてこられたように感じる。  しかし、荘厳で、聴きどころがいっぱいだ。
    しかし残りの曲は、おっしゃるとおり、オペラ。  と言うよりは、イタリアのカンツォーネ。  うたううたう。
    そして、(これが一番言いたいのだが)、最後の曲(第10曲)が本当に英雄的だ!

          おすすめCD 
           ・フェレンツェ・フリッチャイ指揮  RIAS交響楽団 聖ヘトヴィヒ聖堂聖歌隊 RIAS室内合唱団
                             マリア・シュターダー(S) マリアンナ・ラデフ(S) エルンスト・へフリガー(T) キム・ボルイ(Bs)
                                                       ('54)(グラモフォン POCG-6042) ¥1,529  

荘厳ミサ曲   Messe solennelle        (仏・1824年/作曲者20歳  約61分
             エクトル・ベルリオーズ作曲  

       ・ 正式名  「ル・シュウール氏の生徒ベルリオーズによる大管弦楽と大合唱のための荘厳ミサ曲」
       ・ 作曲の目的は(たぶん)、先生からの課題。  (このときベルリオーズは正式に音楽の勉強をはじめてから1年目だった)
       ・ 歌詞 ラテン語 (通常典礼文 + 奉納のモテト、オー・サルタリス、ドミネ・サルヴィム)  全14曲。
       ・ 2度上演された後、作曲者の手によって破棄。  9曲目のレスルレクシトだけのちに手を加えられ、出版。  残りの部分は、
         作曲者の他の作品に流用される。 (幻想交響曲、レクイエム、ベンヴェヌート〜、テ・デウム、クレオパトラなど)
       ・ 1991年、フランス・モールスが、アントウェルペンにて発見。

    元気の出るミサ曲だ!
    ベルリオーズの宗教曲と言えば「レクイエム」だが、わたしはこっちの方が断然好きだ。
    もっともわたしがこの曲を好きな理由は、作曲者が作曲後間もなくこの曲を破棄してしまった理由と重なるから、注意が
    必要だ。  ベルリオーズがこの曲を破棄した理由とは、あまりにも外面的効果を狙いすぎて(ハデさを追求してしまって)
    内容がそれだけになってしまったこと、そして曲想その他が過去の作曲家の借り物のようだ、ということだと思う。
    ベルリオーズはだれもがやったことがないことを目指す、天才肌の作曲家だったのだ。
    しかしそれはウラを返せば、豪快で、取っつきやすいと言うことだ。
    わたしは単純な人間だから、ロミオとジュリエットやレクイエムを聴きながら首をひねっているより、こっちの方がよい。
    ベルリオーズがその後何を目指したのか、さえ知っていればいいのだ。

    ともかく、豪快だ。  スカッとする。  メロディも悪くないと思う。  合唱の力強さも天に昇りそうな勢いだ。
    ところどころ、どっかで聴いたような旋律も出てきて、にやっとさせる。  とくに、第4曲は幻想交響曲の第3楽章だ。
    だれもがおやっ? と思うに違いない。  わたしは第6曲が一番好き (^^ 

         おすすめCD 
           ・ガーディナー指揮   オルケストル・レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク     モンテヴェルディ合唱団
              ドナ・ブラウン(s),ジャン・リュック・ヴィアラ(T),ジル・カシュマイユ(B)
                                  ('93)(フィリップス PHCP-9503〜4)ライブ録音 ¥3,200
                               太陽領はガーディナーのCDはあまり好まない。 音がもごもごしてしまってインパクトに欠けるからだ。(貧弱な装置のせい?)
                               しかしこの曲は演奏、合唱ともすばらしい!
                               復活粗演のメンバーによる録音。 初演のとき彼らがこの曲に対し不機嫌になっていたというのは、皮肉な話だ。
 
 

テ・デウム   TeDeum    作品22    (仏・1849年/作曲者46歳  約43分
             エクトル・ベルリオーズ作曲  

       ・ 誰からの依頼もなく、上演されるめどもないのに作曲された作品。
       ・ 元々の構想は、作曲者が1830年頃、ナポレオンの偉業を称える作品を作曲しようと思い立ったことからだとされる。
       ・ 歌詞 ラテン語 全7曲。 (補遺として行進曲(旗の奉納のための))
       ・ 作曲時、初演時、出版時にそれぞれ、曲の順序や曲数が微妙に異なる。。
       ・ 初演計画は難航し、(1)1850年パリ、サン=トゥスタッシュ教会 (2)51年ロンドン (3)52年ナポレオン三世の戴冠式
            (4)53年ナポレオン三世の結婚式  ・・・・と4度も計画が立てられたものの、どれも立ち消え。
           理由は、作曲者が七月王政のとき政府側の人物だと見なされていたからだったという。
       ・ 結局、初演は1855年4月30日、ロンドン万国博覧会の開会記念のとき(パリで)。
       ・ 合唱部スコアの出版は1855年の暮れ。 イギリスのアルバート公(ヴィクトリア女王の夫)に献呈された。

         おすすめCD 
           ・エリアフ・インバル指揮  フランクフルト放送交響楽団  フランクフルト声楽アンサンブル
                      マインツ・キリスト教会バッハ合唱団&クレンデ   ヘッセン放送児童青年合唱団 
                  キース・レウィス(T) マティアス・アイゼンベルク(オルガン) 
                               ('88)(デンオン COCQ-15156) ライブ録音  ¥1,700
 


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