深穴一発成型

ゴム棒インサート



製品版はPVCですけれど、この完成見本はレジンです
普通の型取り方法では これだけの深い穴は不可能です

これだけの深い穴も 最近では業者抜きで当たり前の真空漕を使えば
穴の奥まで ゴムを行渡らせる事は可能ですが すぐに根元から千切れます
そうならない裏技を少しばかり説明しましょう…

1986年に アーナスを製品化させた際、腕の接続方法は 千草巽氏のコンパチを参考にしました
しかし ただ参考にしたのでは 芸が無いので ゴム棒インサート(ナカゴとかイレコという)で
深穴一発成型を実現してみました

先ず、原型は普通に 穴と棒で組み立てます
(説明写真は ヒカルの完成見本で代用してます)

型取りの時に 穴に長めの丸棒を挿して、飛び出した状態で型取ります

.レジンブロックなどに ボール盤で貫通穴を開け、平らで滑らかな板に載せます
(平らな板と貫通穴のわずかな隙間が エア抜きになります)
そのブロックに高強度シリコーンゴムを流して固めゴム棒を作ります
(高強度シリコーンは 粘度が高く、ゆっくりと穴の下まで降りていきます)
(真空漕が無い場合は 出来た棒の中から気泡の少ない物を選び使います)

穴にしたい部分のシリコーンゴム型凹部にゴム棒をセットします
あとは普通にウレタン注型して複製品からから突き出たゴム棒を抜き取ります

ゴム棒を抜き取る際に 注意深く観察すると、何故 千切れないか解ります
ゴム棒を引っ張ると 出ている部分がぐぐっと伸びます
その伸びは 次第に穴の奥へと 連鎖的に伝わり
応力集中が発生しないので ゴム棒は 千切れないのです
(この時、伸びで生じる隙間が 空気抜きにもなります)

しかし生産を続けると、溶剤侵食によって
ゴム棒の弾力性は 失われていきますから 生産中盤で ゴム棒の交換をします

情報は公開しますので ご質問がありましたら ご連絡ください