トライアングル・オフェンスとは?

 シカゴ・ブルズで行われていたトライアングル・オフェンスは、アシスタント・コーチであるテックス・ウインターが1950年代に考案したシステムです。当時、彼はみずからが考案したトリプル・ポスト・オフェンスと呼ばれたシステムを用いてカンザス州立大をアメリカ1のチームにしました。

 このオフェンス・システムの基本的な考え方は、フロアにいるプレイヤーすべてが意志を合わせながら動くことによって、ディフェンスのバランスを崩し、フロア上に無数のオープンな場所を作るために動きの流れを巧みに調整することです。
 トリプル・ポスト・オフェンスの名前の由来は、サイドラインでの3角形を形作ることです。つまりコーナー、ポスト、ウイングに5m前後離れて3角形を作るようにポジションを取ります。後の二人は、逆サイドのウイングとトップ・オブ・ザ・キーに位置します。(図1)


図1

 このオフェンス・システムは、いくつかの制限を持ったモーションオフェンスです。つまり、エントリープレイによってトライアングルを形成し、そのときのディフェンスの動きに対応して、5人が共に互いの動きを強調し合いながら動き、ノーマークのプレイヤー(オープンなスペース)を作ります。
 ポイントは、ディフェンスと1対1にならず、ディフェンスを翻弄させ、思い通りにさせないようにすることです。それには、チームとして考え、調和して動かなければなりません。

トライアングル・オフェンスの原則

 トライアングル・オフェンスには7つの原則があります。

1.      オフェンスはディフェンスを打ち破って進まなければならない

2.      オフェンスはフルコートのディフェンスを伴わなければならない

3.      オフェンスは適切な間隔をあけなければならない

4.      オフェンスはプレイヤーとボールとが目的に適した意味のある動きが出来るようにならなければならない

5.      オフェンスはすべてのシュートに対して、リバウンドとセイフティへの動きのバランスを提供しなければならない

6.      オフェンスはボールマンに他のプレイヤーにパスする機会を与えなければならない

7.      オフェンスは選手個人個人の技を使わなければならない

ディフェンスの突破

 ディフェンスを崩すために、オフェンスはディフェンスを突破しなければなりません。これを行うためには、3ポイント・ライン近くの場所からシュート、パス、ドライブで突破することを狙います。最も良い選択は、ボールをポストへパスして、ファールをもらいながらの3ポイント・プレイを行うことです。

プレッシャー・ディフェンス

 トランジション・オフェンスは、ディフェンスに始まります。プレイヤーはエンド・トゥ・エンドでプレイを行えなければならないし、ファーストブレイクを積極的に狙わなければならない。

適切なスぺースを作ること

 プレイヤーは、コートを動き回るときに、互いのスペースを5〜6mの距離を保たなければならない。もちろん、スクリーン・プレイやカット・プレイにおいて2人が重なることは構わない。

目的を持った動作を行うこと

 すべてのプレイヤーは目的を持ち動かなければならないし、その目的には他のプレイヤーと共通のものでなければならない。

フロアー・バランスとシュートセレクション

 このオフェンス・システムは、すべてのプレイヤーに均等なシュートチャンスを与えます。そのために、均等なフロアー・バランスを取り、シュートに対してリバウンドに参加したり、速効に備えてセイフティポジションへ移動しなければならない。この動きは、プレイヤーの特性ではなく、そのときのポジションに応じて動かなければならない。

オープン・スペース

 このオフェンスシステムにおいて、プレイヤーとボールは一個所に留まることなく、動き続けなければならない。そのために、ボールを持たないプレイヤーは、シュートを狙えて、ボールマンからパスを受けることが出来る場所でノーマークを作らなければならない。この動きによって、個々のディフェンスからのプレッシャーを下げることが出来、プレイの選択肢を増やすことが出来る。

特徴のあるプレイヤー

 このオフェンス・システムでは、コート上にいるすべてのプレイヤーがディフェンスに脅威を与えるオフェンスをしなければならない。つまり、チームの中で自分が一番うまくできることを見つけ、それを動きの中で行わなければならない。ロドマンのリバウンドやカーの3ポイント・シュートなどである。