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    第116弾    中国が日本を超える日
                                                 upload.6.01.08.(日          


 

 

 

 

 

 

 

 
 
 05年12月20日の朝日新聞夕刊に次のような記事が載った。

 
『中国、GDP、仏国並みに』

「中国政府は20日、国家統計局が実施した経済センサス(統計調査)によって、第3次産業や個人企業などの実態を反映させた結果、04年のGDP(国内総生産)が16.8%増えたと発表した。

ドル換算すると、04年は世界5位の仏に近い約1・9兆ドル、05年は英国並みの世界4位になる可能性がある。中国政府の想定以上に、第3次産業や民間企業の存在感が高まっていたといえそうだ。

発表によると、04年のGDPは、15兆9878億元(約1・9兆ドル)。従来より、2兆3千億元増えた。増加分の93%は、第3次産業だった。

中国政府は合計3千万余の事業主に対して、千万人の調査員を動員した統計調査(04年12月末時点)を実施。第3次産業や個人企業まで細かく調査したのは初めて。既に一部の結果が発表され、就業人口は第2次、第3次産業とも1億5千万人ずつだった」

いくらGDPが
「仏国並みに」なったとしても、中国の人口は13億、フランスの人口は6千万強として計算すると、一人当りのGDPはフランスに遙かに及ばない20分の1近くにしかならない。また、フランスが中国にGDPで追いつかれたと言っても、フランスの人口を日本の人口に置き換えると、GDP額はさして差はなくなる。日本人一人一人の生産能力が特に高いというわけではない。そこ勘違いして、日本人は優秀だと思い上がらない方がいい。実際に特に優秀なわけではないのだから。日本が中国に追いつかれて、アジアでの日本の活躍の場が狭められたとき、当然GDPも下がる。

逆に中国は国内のみならず、アジアでの活躍の場の拡大に応じて、その生産能力は比例して高まり、GDP(国内総生産)に跳ね返っていく構造を取る。

中国の国民一人当りのGDPの低さは13億人の中国人人口のうち、約60%に相当する8億人の農村住民の都市住民と比較した極端な収入格差が原因と以前から言われている。

中国政府は2004年から2008年まで5年掛けて農民の負担となる農業税の全廃を通して農民収入の向上を図り、都市住民との1人当りの純収入が3分の1とされている収入格差の是正を目指す方針でいたが、それを2年繰り上げて、06年内に全廃に持っていくという。

05年12月6日の朝日新聞朝刊にそのことの記事が載っている。

 『中国税収5年で倍増 貧富の差縮小へ農業税全廃』

「中国の05年の税収は3兆元(1元=約14円)に達し、前年比で2割増、5年前の5倍強に達すること見通しとなった。06年度は農業税の全廃や個人所得税の課税最低限の引き上げなどで、広がる貧富の格差に対応するとともに、内需の拡大を目指す。一方、遺産相続税や燃料税など負担増につながる税制度の導入は先送りされそうだ。

中国の財政省によると、05年1〜10月の税収は、前年同月比17.5%増の2兆4583億元。とりわけ、企業所得税(法人税に相当)や個人所得税収が3割強も伸びた。05年通年での税収は全体で3兆元に達する勢いで、00年の2倍を超える。国内総生産(GDP)の伸びを上まわる。

中国政府は好調な税収の伸びを背景に、高成長下で広がる貧富の格差の縮小に向けて税制改革を進める。
まず、06年に農業税を全廃する。都市住民には所得税の控除基準があったが、農民はどんなに貧しくても税金を支払わなければならず、中国税制上最大の矛盾とされてきた。さらに、個人所得税を計算するときに所得から差引ける基礎控除額を25年ぶりに全面的に見直し、06年1月から現行の月額800元から1600元に引き上げる。

最低基準の引上げで年280億元の減収が見込まれるため、財政省は『高額所得者からの徴収管理を強化する』(幹部)としている。ただ、遺産相続税や固定資産税といった財産にかかる税については「個人の財産に関わる情報把握が十分でない」「(同)として、早期の導入は見送られた。急増する富裕層の存在と「無産階級」を前提とした従来の税制間の矛盾は残ったままだ。マイカーの普及に伴って検討されてきた燃料税の06年度導入は延期される見通しだ。

また、批判が強まっている外資系企業の優遇税制については、企業所得税率を内外企業で統一する方針が決まった。しかし、外資の直接投資の減少を懸念する商務省を中心とした消極的な意見も残り、結論はまだ出ていない。

『共富』目指し進む弱者対策(田中修・日中産学官交流機構特別研究員の話

中国は改革開放以来、経済政策の柱としてきた『先富論』を『共同富裕論』に転換しようとしている。そのなかで、農業税の全廃や個人所得税の給与所得控除額の引上げといった『弱者』の負担を減らす動きが出ている。不公平感を薄めると共に、内需を刺激し、投資主導から消費主導の成長方式への転換を目指すものだ。

所得再分配の仕組みの改革に当たって、地方交付税に当たる財政移転支出の見直しや社会保障制度の整備も重要になる。財政の役割はこれまで以上に大きくなるだろう。また相続税・贈与税の導入も重要な課題だ」

「中国の05年の税収は3兆元(1元=約14円)」を日本円に換算すると、42兆円。日本の05年度の税収当初見込みは44兆円で、景気回復を受けて、46兆円を超えると見込まれている。税収額だけで見てみると、4兆円程度の差である。

 42兆円を人口の13億で割ると、一人当りの税金は3万2000円。収入は低くても、物価も安い上に税金も安い。色々な見方ができる。否定的な一つの評価ですべてをくくる人間がいるが、そうでもないと言うことである。勿論平均値だから、農民により負担が重いだろうことは無視することはできない。

「共富」を目指す中国の税制改革は緒についたばかりではあるが、貧富の格差の是正が国民全体の活力を増大させる。農業税の撤廃は省単位ごとの実施で、上海市は2004年時点で既に全廃を果たしたという。

制度改革も技術革新もカネがモノを言う。有数の貿易港であり、商・工業都市でもある上海市は(世界最大級の新港が05年11月に一部開港したという)財政が潤沢だからだろう。日本のように財政がジリ貧状態にあり、赤字国債でやっと手当てしている国は、改革が改悪にウエイトを置いた内容となる。各種増税、社会保障費の圧縮、給与所得控除額の引下げ、行く行くは定率減税の廃止等々。さらに人口減という悪要因が重なって、暗い話ばかりで、活力を発揮しようにも発揮できない。そのような状況の中で、株式市場活況がもたらすうまい話が以前にも増して投機的傾向への傾斜を強め、その反動が実業への虚しさを一段と増しかねない。

たいしたこともない給料を手に入れるために、コツコツと真面目に働くことがバカらしくなって、カネと頭のある人間は株や土地、マンション、あるいは金に投資して、汗をかかずに大金を手に入れようとする。カネも頭もない人間は、銀行かパチンコ店の景品所を襲うか、スーパーの売上げを狙って大金を手に入れようとする。何かでムシャクシャし、それを発散させるための女と遊ぶカネもない男は、女児に悪戯して、バレるのを恐れて殺してしまう。

中国は国を豊かにするために開放経済に向かい、外資導入を図った。但し、主要産業を担う大型外資の全額出資による企業設立は認めず、合弁方式のみ許可した。トヨタも日産も、さらにドイツのBMWも、その他の自動車メーカーも、また他の重要産業の外国企業に関しても、出資比率が半々か、半々前後の合弁のみの許可となっている。この方式の中長期的な狙いは、100%出資を認めることで経営と製造の支配権を相手に与えて、そのことによって中国人従業員を製品を組み立てるだけの要員に貶めることを避け、逆に経営と製造に対等な資格で参加させて、技術移転を中国側にスムーズに移転させるための政策だったろう。

各種の技術習得に他国に大きく後れを取っていたから、1から始めるのではなく、西欧の現在の水準に早い時間経過で一気に追いつくための、極めて政治的な戦略としてあったものに違いない。

 そのような狙いを象徴的に示す記事がある。

『中国 エアバス150機を購入 総額1兆円 自国組立も視野』(05,12.6.朝日新聞朝刊)
 

「フランス訪問中の温家宝・中国首相は日、仏首相府で、仏に本社を置くエアバスの中型機A320を150機購入する契約を結んだ。カタログ価格で総額1兆円を超すような大型発注は前例がないという。エアバス社は中国での現地生産も検討しており、中仏は航空機という戦略産業で濃密な協力関係に踏み込む。

温首相は4日、南部トゥールーズのエアバス本社を訪れ、同社と産業協力強化の合意書を交わした。中国が大量発注したA320の最終組立工場を中国に造ることも視野に入れた内容。エアバスはコスト削減も兼ねて中国製部品の調達を増やすほか、新型機の開発に中国技術者を加える。今回の大量発注はこうしたメーカーの姿勢に応えたものだ。

エアバスは、中国の旅客機需要を今後20年間で2千機以上と推測する。
中国でのシェアはボーイングの60%に対して34%だが、13年までに50%に引き上げるのが目標だ。

仏政府は中国の高速鉄道に1億5千万ドル(約200億円)を援助する契約も結んだ」

大型の商機を得るためには、求められる前から技術移転を契約条項に付け加えなければならない状況と化している。このことは高速鉄道に関しても、当然のことながら同じ構造となって現れている。05年11月22日の朝日新聞朝刊に載っている。

『中国高速鉄道 川重など車両受注へ 時速300キロ 新幹線「はやて」改良』

「中国の高速旅客鉄道網計画で、時速300キロ級の車両40〜60編成(1編成=8両)を川崎重工業などの日本企業連合が受注する見通しなった。これとは別に、ドイツ・シーメンスによる60編成受注も正式に決まった。先進技術の導入を目ざす中国政府は日独企業に限って、現地企業と組むよう要請。日中韓の政治的な溝を超え、日本勢も受注することになった。

   独シーメンスも受注
 
 南西四方機車車両(山東省青島市)を提携相手とする日本勢は、JR東日本の東北新幹線「はやて」の改良車両で準備を進める。契約額は1千億円前後の見通し。今回の受注分は、時速300キロ級だけでなく、同200キロ級が一部含まれる可能性がある。

北車唐山機車車両(河北省唐山市)と共同受注したシーメンスの発表によると、60編成のうち3編成と重要部品だけをドイツから輸出し、残りは中国で製造する。7割以上の現地調達率が課せられ、08年以降は現地生産できるような技術の移転を求められている。将来の国産化と輸出を目指す中国政府は、日本勢に対しても同様の対応や列車事故の発生時の補償を強く求めている。

小泉首相の靖国神社参拝問題を受け、インターネット上を中心に日本の新幹線受注に反対する意見が広がり、中国政府も慎重な発言が目立った。だが、各国を競わせて、優れた技術を安く導入したい中国は今秋の『反日デモ』以降、『日本排除』の姿勢を修正。長年の技術協力関係がある日本の排除は得策ではないと判断した。

中国政府は2020年までに総延長1万2千キロの高速旅客鉄道網を新設する方針。都市間の移動を円滑にすると共に、急増する貨物と旅客の輸送を分離する狙いがある。早期着工分のうち、北京−天津はドイツ系の走行が決まっており、『はやて』は武漢(湖北省)−広州などの路線が有力視されている。

中国の高速鉄道商戦では昨年、時速200キロ級の車両を日仏が60編成ずつ、カナダが40編成を受注。今後は信号や運行システムなどの受注が『主戦場』となる。日本、ドイツ、フランス、カナダ、韓国などの企業が引き続き競いあう」

1995年、マレーシアの当時のマハティール首相が提唱した
「中国雲南省の昆明とシンガポールを結ぶ東南アジア縦断鉄道は97年のアジア通貨危機で頓挫しかけたが、01年、中国がにわかに『全面協力』を打ち出した。現在3ルート、約9千キロが計画中だ」(05.111.27.朝日新聞朝刊)

この事業計画に対して日本は、05年
「11月18日にラオスのビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合と日本の交通相会議終了後の共同記者会見」で、「『日本は東南アジア縦断鉄道構想を支援するのか』という地元記者の質問を受けて」「『事業にどれくらい需要があり、採算があるのか、慎重に検討しなければならない』」とする日本の北川国土交通相の対応と比較して、中国の交通相は、「『構想は地域経済発展のために、壮大で素晴しいプロジェクトだ』」(同記事)と実現への積極姿勢を見せたという。

中国はドイツやフランス、日本から移転を受けた高速鉄道の技術をアジア縦断鉄道建設に活用することは間違いない。日本が参加しなかった場合、ASEAN諸国に対して主導権を独り占めすることになる。日本が参加したとしても、中国は鉄道を介してASEANとの動脈の一端を常に担い、政治・経済の関係をより直接的に密接化できる。鉄道完成と共にその場を去らなければならない日本はカネと技術の提供者で終わりかねない地の利を活用できない位置にいる。ASEAN諸国に対して経済力で圧倒的に優位に立つ中国は、やはり日本の存在に関係なく主導的立場に立ち、政治的にも影響力を強めていくことに変りはないだろう。

日本が参加した場合、カネと技術の提供者で終わらないためにも政治と外交の出番が重要となるが、それだけのテクニックが元々欠けているだけではなく、小泉首相の靖国参拝問題が中国との間に政治問題化していることが阻害要因となって、ASEANと中国に対する日本の政治・外交の関わりを無力化しかねず、中国の優位は変らないのではないか。

日本としては、「靖国参拝は内政問題だ」に拘っていればいいわけだが。

『経済漂流8 空回り続くYENパワー 国益に生かす戦略乏しく 』という、2002年12月22日の朝日新聞朝刊は日本の ODAについて、「カモネギ日本」との小見出しで次のように伝えている。

「アジアへの戦後賠償に始まる日本の途上国支援は、黒字批判にさらされた80年代後半から『資金環流』を含めて膨らみ、年1兆円規模に。01年に米国に抜かれるまでの10年間、日本は世界一の援助大国だった。
円借款はアジアの経済的離陸を助けた。だが、日本には円パワーを国際社会での地位向上に使う明確な意思はなかった。労せずして伸びる援助予算は、使途と効果の検証を曖昧にした。政策研究大学院大学の大野健一教授は言う。
『欧米は例え少額でも援助に自国の理念を反映させている。資金はあるが戦略のない日本は、援助の世界でいいカモだった』
援助政策の本格的な見直しは、景気低迷と財政悪化に外務省の不祥事が重なる01年まで始まらなかった。
自民党のODA(政府の途上国援助)改革ワーキングチーム事務局長、武見敬三・参議院議員は語る。
『外交の武器と言いながら、何のために誰を助けるのかという理念が乏しかった。利他的な援助が国益にどう結びつくのか、一度きちんと整理したい』」
 
まさしく日本の政治の貧困な戦略性がもたらした
「空回り続くYENパワー」に反して、「中国経済の急速な拡大に伴って、人民元のプレゼンスが高まっている」(「力増す人民元 韓国の関心 円から転換 (上・(04.8.11.朝日朝刊))」。元か円かで、元が勢いある位置につけているということである。

中国が人民元の存在感や貿易量を背景に自らの主導性をASEAN各国に対して効果的に定着させるために日本を選ぶか、中国を選ぶかの二者択一を迫ることができる日本との緊張関係は好機とし得る制約事項でもあるだろう。日本と中国が友好関係にあったなら、そのような直接的で露骨な方法は採れない。

勿論日本もASEAN各国に、日本を選ぶか中国を選ぶか迫ることはできる。但し、ASEANに対して中国と日本が置かれている地理的条件とそのことが相互に関連し合う政 治的・経済的な距離的影響の差が中国と同じ方法を許すかどうかである。いわば日本は地政学的にはかなり不利な状況に置かれている。中国には許されるが、日本には許されない二者択一なら、二者二択で、中国と共存する形でしかASEANに関わっていくしか道はないのではないか。

中国は二者択一を既に利用し、成功を収めている。日本が安保理常任理事国入りを目指して「安保理拡大案」への賛成票を投じるよう、開発援助でのこれまでの日本の多大な貢献をアピールできるアジア・アフリカ諸国に、特にアフリカ諸国にさらなる援助ををちらつかせまでして根回ししたが、逆に中国にアジアばかりか、アフリカにまで根回しされてあえなく挫折した経緯は、二者択一による結末だろう。

中国は日本のアジアに於ける中国に優越する政治的プレゼンス(=政治的な指導者となること)を許さないだろう。それを中国の覇権主義だという人間がいるが、日本がアジアで政治的な指導者となること自体を、その資格はないと許したくないからではないだろうか。 

日本が戦後すぐから、意識の上でも正直な態度で自分たちが仕出かしたことの戦後処理を行っていたなら、日本が蹂躙したアジア各国のわだかまりは短時間には消えないものの、時間の経過がそれを風化し、経済だけではなく、政治上のプレゼンスも受入れていったのではないだろうか。

自動車事故を起こして人一人殺したが、自動車保険の対人賠償の無制限条項を利用して何億という保険金を支払ったから、俺は責任を果たした、もうこれですべてチャラだと考えるような人間が、何十年経過したとしても、人の上に立つ資格があるだろうか。

日本はカネでは十分に支払ったろう。だが戦後長く、侵略戦争であったことを認めず、資料が発見されるまで従軍慰安婦の事実も、強制連行・強制労働の事実も認めなかった。戦争に於ける日本兵の残虐行為を素直に認めず、虐殺行為を認めようとしなかった。認めたのは、認めざるを得ず、仕方なく認めるプロセスを踏んだ受身の認知であった。今なお認めない日本人が政治家にも多くいる。その不正直さ・狡猾さが指導者になるにふさわしくない態度だと見られているのではないだろうか。

中国は政治的にも経済的にも、また対内的・対外的に拡大を続けている。様々な問題を抱え、特に経済の過熱化をどうにか抑えながらの危うい操縦ではあるが、成長の飛行を力強く上昇させている。中国が墜落すれば、乗客の利益を受けている日本も、ただでは済まない。日本は逆の状況にはないから、中国に
は様々な矛盾に辻褄を合わせて墜落しない範囲内で力強く飛行を続けて貰わないわけにはいかない。そのような飛行の行き着く一つの場所が、中国がアジアで日本を超える日であろう。

「中国の軍事力の大幅増強は、アジア・太平洋の諸国を自国の制圧下に置き、アジアで君臨することが中国の長期的地域戦略だとしている」などと言う人間がいるが、日本に取って代わってアジアで政治的・経済的に主導権を獲得することが自明となっている中国が、「アジア・太平洋の諸国を制圧下に置」くといった冒険主義は、アメリカが太平洋地域に存在している以上、完璧に不可能事に属す事柄というだけではなく、国際世論の反撥に加えて、中国が建国以来初めて築き得た虎の子とすべき対内外の政治と経済の力を失って自国を危険にさらす自殺行為となり得る愚かしい破滅への道でしかない。

大体が常識的に考えて、中国は、日本を――軍国主義が台頭した戦前から敗戦を経て、奇跡の回復と言われる経済成長とその凋落のプロセスを辿ってきた日本を良くも悪くも反面教 としているだろうから、日本の歴史を逆転さて中国の歴史とするような二の舞となるバカを自ら演じはしないだろう。

情報を自分の頭で考えることができず、鵜呑みにするだけの皮相的人間が言う戯言か、時代錯誤の黄禍論を今の時代にまで引きずっている人間の妄言に過ぎない。

上記の情報がアメリカ発なら、日本と中国の緊張関係が東南アジアの不協和音となって全体のチームワークを弱め、逆にアメリカがバランサーとしてアジアへの関与をより求められて、その価値を相対的に高めて国益につなげることができると考える勢力の情報ということもあり得る。特に日本と違って、お釈迦様の手のひらの中に閉じ込めておくことが難しい中国単独の発展・膨張は、アメリカには国益上好ましくない状況であろう。