※2006年2月5日の文章です。
防衛施設庁発注の空調設備工事が
官談合だと発覚して、ついで岩国基地
滑走路沖合移設工事と続き、
06年
2月3日の朝日新聞の夕刊では、「施設庁が04年度に発注した主要な土木・建築工事は、すべて官製談合であらかじめ受注企業が決まっていた疑いが強いことが関係者の話で分かった」と伝えていた。04年度に入って、急に官製談合が始まったというわけはないし、防衛施設庁に限った話でもないから、前々からの<伝統・文化>としているものだろう。
いくら小泉首相が構造改革を叫ぼうと、政治家と協同体制を組まなければならない官僚がこの体たらくなら、小泉先生、一生懸命目の粗いザルで砂金をすくっているようなもので、国家予算を細部にまで亘って金額どおりに有効に役立たせることなど、今までと同様、無理な注文で終わるのではないか。
工事発注は、施設庁時代の高い役職と高い給与に比例して天下り先が負担せざるを得ない待遇を考慮した発注額が割振られるよう、自分たちで作成した「配分表」のルールで決めていたというから、工事の受注を狙っている企業側に当たり前なら負担になる構図なのだが、少しでも高い役職にあり、高い給与を得ていた人間を迎え入れようといやでも競い合わせることになっただろうし、天下る側にしても、天下り先でヒナ人形の役にしか立たない無能であっても、肩身が狭い思いをしないで済む巧妙ともいえる配分方法ではなかったか。
薄汚れた片方の靴を拾ってくる犬ではなく、札束を拾ってくる犬の扱いを受ける幸運を最初から授かってい
たのである。
防衛庁職員の天下り
規定は、自衛官も含めて特別職として扱われていて、一般の公務員の退職前の5年間に関わった分野の営利企業への就職は、2年間は認められないとする規定とは異なり、天下り先企業で役員にならなければ規制を受けなかったが、98年の防衛庁調達実施本部背任事件を受けて自衛隊法が改正され、役員にならなくても、等しく2年間は天下りが禁止されるようになったという。
ところがどっこい、そこは頭のいい日本の高級官僚である。職員の殆どが防衛施設庁の建設部の出身で、防衛施設庁から仕事をもらって組織と自分たちの身分と給与を維持している公益法人「防衛施設技術協会」に退職後2年間在籍することで、自衛隊法が定める再就職禁止規定をクリアしてから、退職前の5年間に関わった分野の営利企業へ堂々と胸を張って天下っていくという、彼らにしてはウルトラCでも何でもない、ごく普通の手を使って、私利私欲の上昇志向を果たしていたのだ。
「防衛施設技術協会」の業務を新聞で見ると、「施設庁から請負う業務は@各施設局が発注する建設工事の現場監督A防衛施設の建設技術などの調査研究――の二つ。04年度は現場監督は全国44件を約10億円で、調査研究が同21件を約2億円で請負い、年間14億円前後の事業収入の9割近くを施設庁から随意契約で取った委託業務で得た。協会に天下ったOBたちの仕事は、大半が施設庁の予算で賄ったことになる」(06.2.1.『朝日』朝刊)
実質的な現場監督は請負企業が行うから、飾りでしかなく、思うに、定期的に昼前に行って、請負企業の現場所長や現場監督を引き連れて、彼らの説明を適当に聞き、昼飯を食って帰るか、夕方頃の時間に行けば、現場事務所で、ハイ、夕飯と行かず、場所をクラブか料亭に替えて、女のサービスつきの酒と食事のご馳走に与る、というよりもタカるのを仕事とする現場監督だろう。2年後に自分たちの会社に天下ってくるかもしれない「現場監督」なのだから、下手には扱えない。
「建設技術などの調査研究」にしても、そんなことは面倒臭いとばかりに下請けに出して、体裁だけ整え、大変なことは何もしないといったところではないか。
こういった官と民との間の業務遂行を可能にしているのは、官が何様で振舞い、民がその何様に言いなりに従う、人間関係を上下で律する封建的なまでの権威主義の力学なのは言うまでもない。
額賀防衛庁長官が今回発覚した談合の質の高さに憤って、防衛施設庁を解体して、防衛庁との統合を進めると息巻いているということだが、98年の防衛庁の調達実施本部の背任事件当時も防衛庁長官を務めていて、その責任を取って、防衛庁長官を辞任している。
辞任以降、調達実施本部解体やチェック体制強化に取り組んだいうことだが、これらの経緯は、組織や制度を解体、あるいは改革しても、組織の全構成員の、下層が上層を受け継いで、同じ体質と化すのだから、上層部も下層部も合わせて、官僚の特異体質となっている薄汚いまでに卑しい私利私欲の意識・感覚を一掃し、根絶しないことには、すべてが形式で終わることを証明しているに過ぎない。
道路公団を組織的に刷新するための民営化直前に、刷新をあざ笑うがごとくに発覚した官製橋梁談合は、着々と進め、形を整えつつあった改革が何ら力になっていないことを証明したばかりだが、無力証明の舌の根がまだ乾いていないうちの、防衛施設庁の談合発覚である。
言ってみれば、程度の低い日本人であったのが、今日に至っても程度の低い日本人のままだったから、小泉首相が構造改革、構造改革と叫んでいるすぐ足元で、国家予算を談合という形で一部の人間の甘い汁に役立てることが当たり前の慣行として平気で行い得たのだろう。
98年の防衛庁装備調達実施本部の背任事件の発端は、「航空機用電子機器や砲弾などの装備品を防衛庁に収めている製造業者4社が、1988年から94年度にかけて装備品の代金約21億円を過大に請求していた」(1997.9.24.『朝日』朝刊)という事件報道によって知らされたが、防衛庁の処理姿勢がいい。「『意識的な水増し請求ではなかった』として契約解除などの処分はしなかった」(同)
1社だけの水増しだというなら、過失計算ということもあり得るが、4社となると、それも1988年から、すべてが過失計算という偶然の一致は考えにくく、そこに共謀性を看取するのが心理的には自然であろう。看取しないのは、装備調達実施本部も関わっていることを隠蔽するための「意識的な」煙幕だったのだろう。
「防衛庁調達実施本部の石附弘副本部長は『4社の原価の見積りの方法は法的に許される範囲で、不正請求だったとは考えていない。しかし、防衛庁の原価計算の方法と違いがあったので、説明し、過大分を返還してもらった』と説明している」(同)が、「不正請求」とし得なかったのは、「石附弘副本部長」自体も関わっていたからである。
他人の罪を認めないのは、自分も関わっているからというのはよくあるパターンである。
「水増し請求問題の処理がほぼ終わったと1995年6月、調本副本部長(契約原価計算第一担当)を最後に防衛庁を退職。装備品の技術情報管理などを請負う防衛庁所管の協会に天下っていた」「石附弘副本部長」は「自衛隊の装備品価格を水増しして防衛庁に請求していた業者から、退職後に業務を引受け報酬を得てい」て、「問題の責任を取って天下り先の財団法人『防衛生産管理協会』の専務理事を辞任する」(1997.12.19.『朝日』)羽目となった。
石附某は、「防衛庁に水増し請求していた2業者を含む少なくとも5社から、退官後の昨年1年間に顧問料や業務委託費などの名目で計800万円を受取っていたことが発覚した。このうちの1業者からは、一般では入手しにくい非上場株も入手していた」(同記事)ことが露見しているにも関わらず、釈明がまたいい。「『業者との関係にやましいことはない。ただ、私のせいで、協会や防衛庁などの関係者にご迷惑をかけてしまったことは事実だ』」(同)
この手の釈明は、過去から現在まで、こういった事件が起きるたびに決まってのように目にする見慣れた光景としてあるもので、その連続性には感心する。光景の担い手である程度の低い日本人たちが根絶することなく存在し続けているということでもある。
防衛庁調達実施副本部長がこのザマなら、本部長も、1995年に「防衛庁が米国から有償軍事援助(FMS)契約で買う装備品の輸送業務をほぼ独占受注していた丸紅の接待で、アメリカでゴルフしていた」(1998年朝日)
本部長、記者の質問に「時間調整とか時差調整があると、しようがない面がある。社会通念を超えていれば非難されてもしようがないけど・・・」料金は「同行した部下に払うように言ったはずだ。それが節度だと思いますよ」(同記事)
丸紅側の話では、「うちで負担しました」(同記事)ということ。副本部長共々甘い汁を持ちつ持たれつする関係にあるからこその便宜要求であり、便宜供与だろう。
水増し請求・過払いは上記企業だけではなく、天下の三菱重工がミサイル納入で1億3000万円の過払いを受けていたと1998年11月14日の朝日新聞夕刊で報道されている。
「防衛庁にミサイルを納入している三菱重工業(本社・東京)に、ミサイル製造の一部を別の企業(日産自動車)に委託していたのため支払う必要のないミサイル推進部の一般管理費などを支払っていた。約70基分で、総額約1億3000万円。
三菱重工業は製造図面を提供し、完成した後の燃焼試験に立ち会うだけ。
過払いがあったのは、F1戦闘機などに搭載されるASM1ミサイル」
そしてNEC。「水増し請求し、過払いを受けていた疑惑で、NECは水増しがあったことを認め、その分の代金を防衛庁に返す方向で検討を始めた。NECでは、水増しの違法性について幹部が東京地検特捜部から事情聴取を受けており、社会的批判なども考慮した対応と見られる。NECの担当幹部は『水増しは、適正な利益を確保するための必要悪だ』と供述していることが既に明らかになっている。
防衛庁によると、NECの水増し疑惑は同庁調達実施本部が昨年から調査を進めており、その最終結論はまだ出ていない。NECは、公式には水増しの事実を認めておらず、記者会見では『調査中』と説明している。しかし、関係者によると、人手と労働時間を示す『工数』を実際より多く見せかけて、その分の費用を上乗せするという手口の水増しが古くから常態化していたという」(1998.10.26.『朝日』夕刊)
もうここまでくれば、調達実施本部と取引業者との計画的謀議による違法な経理操作であろう。そのことはNECの釈明が証明している。「NECの幹部らは、水増し問題に関する特捜部の聴取に対し、『大損を防ぐために水増し請求している。ぼろもうけしたわけではない』と説明し、違法性を否定しながらも、水増しを認めているという」(同)。
還流させる分、水増しすることでプラスマイナスゼロにできるということだろう。水増ししなければ、「大損を防」げないということだから、相当金額の還流が行われていたことが窺える。
芋づる式に日本飛行機。「自衛隊や米軍の航空機の整備や部品製造を請負う大手航空機メーカー『日本飛行機
』(本社・横浜市)が防衛庁向けの事業で数10億円の水増し請求をしていた」(2003.5.10.朝刊)。その手口は、「民間企業から請負った航空機整備などに当てた作業を防衛庁向けの作業だったと見せかけるよう作業記録を偽造、作業員と作業時間を掛け合わせた『工数』と呼ばれる単価を実際より上乗せして請求していた」
98年の背任事件そのものは、「NEC関連の東洋通信機とニコー電子が、自衛隊の装備品の代金を水増し請求 防衛庁調達実施本部の幹部2人が、返納させるべき額を不正に減額して、国に約35億4千万円の損害を与えたとされる事件」のことで、「元本部長と会社側の12人は有罪判決が確定。減額の謝礼に賄賂を受取ったとして加重収賄罪などにも問われていた元副本部長は東京地裁で懲役4年の判決を受け、控訴した」(2003.5.10.朝刊・時点)というものである。
1999年以降、国庫に返還させた損害額の総額が725億円にのぼったというから、日本人の程度の低さもここに極まれりといったところだろう。程度の低い日本人たちが一人防衛庁だけの問題ではないから、経済大国としては世界第2位だが、官僚の程度の低さは世界第1位に君臨するのではないだろうか。
問題は中央省庁の職員
だけが程度の低い日本人を担っているわけではないことだろう。政治家の贈収賄、不正政治献金・政治献金と引き換えの不正利益供与、自治体・警察等の裏ガネ、カラ出張・カラ手当・カラ退職金・談合・贈収賄等々、そして民間企業の右翼や総会屋への便宜供与、官と組んだ談合や不正利益獲得、粉飾決算、外国産商品を国産と偽る偽装、例を挙げたらきりがない日本人全体に亘る姿となっている。程度の低さを単に官僚が代表しているに過ぎない。
1998発覚した金融機関による大蔵省幹部に対して慣例的に広く行われていた料亭での飲食やゴルフを主とした接待漬けは、都市銀上位行の接待にかける年間予算が1千万程度といわれる大規模のもので、情報交換や折衝を名目に行われていたが、情報交換には大蔵省の金融機関検査日を漏らす項目も入っていたというから、日本の首相が外国の首相と交わす情報交換に匹敵する高度な内容だったわけである。それも女を近くにはべらせ、酒を飲みながら。
接待は、金融機関側から持ちかけるだけではなく、大蔵省から暗に催促する形式の卑しさからの接待もあったという。さすがに日本の官僚だけのことはあって、自己の金融機関に対する上位権威をうまく利用して、それとなく従わせる権威主義の力関係をフル発揮している。第一勧銀の大蔵省担当行員に連れて行くよう要求し、接待を受けた、新宿の会員制しゃぶしゃぶ店は女性が下着をつけずに接客する店で、当時ノーパンしゃぶしゃぶ、あるいは、パンしゃぶと世間を騒がした。お殿様がお忍びで下々の世界を見てまわるといった図だ。
ノーパンしゃぶしゃぶに接待を要求したのは大蔵省金融証券検査官室長・宮川宏一室長で、金融機関に大蔵省の「検査日を漏らすなどの便宜を図った見返りに大手都市銀行から接待やマンション購入代金の値引きなど総額約811万円相当のワイロを受取ったとして、収賄罪に問われ」(1998.9.24.『朝日』夕刊)東京地裁に、「懲役2年6月執行猶予3年、追徴金811万円の判決を言い渡」されている(同記事)。
「811万円」は、マンション購入代金の値引きと、複数の金融機関から受けた飲食やゴルフの接待を金額に換算して合計したものである。分かっただけで「811万」といったところだろう。
厚生省では、埼玉県の特養施設理事から、老人ホーム建設に便宜供与した見返りに1600万円のゴルフ会員権と高級新車の一時提供という利益供与を受けて起訴された岡光厚生次官(1996年)がいる。次官といえば、厚生省の事務方のトップである。
自らを律することのできない程度の低い日本人たちは洗い出せばいくらでも出てくる。一時的な現象ではないということは、文化・伝統としてある日本人性だからだろう。
厚生労働省の関連団体が冊子出版に関して「監修仲介料の名目で5900万円の補助金を還流していた記憶に新しい事件(2004年10月発覚)。以下に「国民健康保険中央会の冊子製作をめぐる監修料と監修仲介料の流れ」(04.10.23.『朝日』朝刊)の図を参考に記してみると、
◎【厚生省国民健康保険課】
↓
補助金00年3億9千万円・02年7億3千万円と冊子製作を委託
↓
[厚労省所管社団法人・国民健康保険中央会]
↓ ↓
監修料00〜03年7千万円 冊子製作外注
↓ ↓
[コクホ中央研究会] [都内の出版社]
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| 02年3千万円 |
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| | 監修仲介料など02〜03年5900万円
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| ↓ ↓
| [厚生問題研究会(代表・厚労省OB]
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↓ 3千万円(コクホ中央会からの3千万円がそのまま流れる)
00〜03年4千万円 |
↓ ↓
◎【厚生省国民健康保険課】――締めて7千万円が還流
その殆どが飲み食いの私的流用とその税金で消費されている。他人の金で飲み食いして、愉快な思いをする。なぜこうも卑しくなれるのだろう。日本人だからなのか。
乞食行為の数々は外務省でも慣習としていた。ノンキャリアだった外務室長の松尾某が官房機密費を約5億円不正流用して起訴され、2002年3月に懲役7年6月の有罪判決を受けている。流用したカネで豪勢にも競走馬を14頭も所有していたというが、ノンキャリアのキャリアに対する日常普段の鬱屈のせめてもの反撃の、自分を上に置くためのステイタスシンボルだったとしても、所詮他人のカネで勝負する見せ掛けでしかない。本人自体は偉くも何ともない。
松尾捜査の過程で露見したのが、外務省幹部らが自分たちの飲み食いの代金を松尾が官房機密費を独自に取り扱える立場にあることを知っていて、彼につけまわしして、松尾はそれを官房機密費から支払っていた不正行為である。お互いに他人のカネで解決していたのだから、両者とも打ち出の小槌を持っていたのと同じで、いくらでもつけまわしできただろうし、松尾某もいくらでも気さくに応じることができてた
のだろう。
キャリアのノンキャリアに対するケチ臭い権力意志と、ノンキャリアのキャリアに対する恩を売る気持を交えることができる歓心がうまく噛み合って可能とした打算行為に共通項として通底している養分は、卑しさだけである。
その卑しさは全身に転移したガンさながらに、外務省を広い範囲で蝕んでいた。松尾某自身の犯罪に関係なく、別個にホテル代の水増しやタクシー代の水増しで、それを裏ガネの原資にして、私的流用していたり、外国勤務の大使や大使館職員までが公金を着服・不正流用していたり、慣習化していたことが発覚して、構造問題に発展した。
水増しして得た公金を裏ガネとしてプールして遊興費・その他に転用する制度は、外務省の半数近くに当たる約30課で行われていたという。その蔓延ぶりはガンの転移そのものだが、20年前にも複数部署で同じ問題が起っていたが、内部処理で片付けたという。それが何の役にも立たなかったということは、日本人の程度の低さが生半可なものではないことを証明している。卑しき民族といったところか。
不正行為の数々を朝日新聞の見出しだけでざっと見てみると、
「タクシー券、自宅に220万円分・水増し請求で外務省職員・会社幹部も立件へ」
「外務省、不祥事隠蔽・150万円着服の大使館員処分を外相に報告せず・前次官ら指示」
「イスラエル学会参加費・『旅費2152万円』実は総額3017万円・外務省『過少』に答弁」
「外務省公金不正流用・『どの在外公館も』・中東で、高価絨毯私物化・欧州で、会計に息子の披露宴代・デンバー、流用、料理人告発を1年放置」etc.etc
「外務省、不祥事隠蔽――」(2001・8.14.朝日朝刊)なる見出しは、パラオ大使館の会計担当館員が公金約1500万円を不正流用としたとして1年間の停職処分にしたと発表した問題で、月初めに処分を発令していたが、一旦公表しないことを決め、処分は2週間近く隠されていたという隠蔽体質を告発する内容となっている。
1500万円の不正流用で1年間の停職とは、天下りの原理が自分を含めた後に続く人間のことを考えて仕組まれるのと同じで、厳しい処分をした場合、自分にも厳しい処分が及ぶことを恐れて、前以て防御する意味
合いから仕組まれた軽い処分なのだろう。いわば、自分の立場も考えたなあなあの馴合いの気持に影響された処分というわけである。
2001.12.1.時点で、懲戒免職者5人、停職1年1人、懲戒停職15日間3人、あとは懲戒誡告、懲戒減給、厳重訓戒、訓戒、減給と、40人近くが雁首を揃えている。
社保庁関係も新聞の見出しで見てみると、氷山の一角でしかないだろうが、
「社保庁・マッサージ器購入・保険料財源6070万円・職員向け」
「社保庁職員の関連2社・随意契約6年計38億円・担当者に食い込む」
(上記関連)「社保庁課長を逮捕・随意契約発注・数十万円収賄の疑い」
(上記関連)「社会保険庁・癒着取引21億円・監修料3200万円職員に・公金還流 不信底なし・組織ぐるみ明らかに」
発端の記事の「社保庁職員の関連2社・随意契約6年計38億円・担当者に食い込む」の内容は、「社会保険庁が長年にわたって、元職員が務めるニチネン企画(本社・東京都港区)から市販の約7倍の価格で中高年向け健康啓発パンフレットや金融機関のデータ、エイズ予防パンフレット、その他を購入していた。夫が社長を務める関連企業も合わせた随意契約額は、6年間で総額38億円で、その金額はざっと6千人分の老齢年金の年間支給額に当たる
」。この件に絡んで、「社保庁課長を逮捕・随意契約発注・数十万円収賄の疑い」という経緯を見ることになった。
(上記関連)最後の「監修料3200万円職員に」は、経理課の担当者が監修料名目で還流してきたカネを各課から預かって、職員数に応じて配分していたというもので、監修料総額は5年間に3200万円に達していたというものである。
「社会保険庁・『年金が財源』に批判・職員宿舎45億円・公用車に5億円・保険料から5300億円98年以降・新年度も継続」(04.3.10.朝刊)
「5300億円」というのは、98〜03年度の累計額だが、「事務費に保険料が使われるようになったのは、98年度から」で、「財政再建を重視する橋本内閣が一般会計の負担を減らすため年金の特別会計で賄うように付け替えた」からだそうで、「付け替え」が一種の誤魔化しに過ぎなかったとしても、「職員宿舎に45億円・公用車に5億円」は、コスト意識を超えて、他人のカネだから気前よく使える卑しさ、だらしなさ――つまり、程度の低さがあって初めて発揮可能となる金銭感覚だろう。
中国の官僚の汚職をかしましく非難する傾向が一部にあるが、他人事ではなく、民主主義先進国でありながら、そのことを裏切って、足元をほんの一瞥するだけで、日本の上層部分は程度の低い日本人に支配されてしまっているように見える。
そしてその頂点に天皇が位置して、日本人の程度の低さを隠蔽し、「日本民族優越」を成り立たせる役目を担っている。そのキーワードは勿論、神を祖先とする<万世一系>だということである。だから、どうしても<万世一系>が必要となる。
<万世一系>の正体見たり、枯れ尾花といったところか。