里山仕事・しょんた塾

しょんただより Vol.3


1999年4月6日

1ヶ月の間にお伝えすることがテンコ盛りになりました。でもしょんた塾の中身はこれから創っていくところです。

もくじ

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■ 3/28 設立惣寄合(総会) 成功裡に終了

■ 特定非営利活動法人設立認証申請書を提出

■ 惣寄合から、活動日程、誓約書、事業方針

■ 3/27 決行!雨中の枝打ち大作戦てんまつ

■ 3/20.... 樵の会の活動から..植林・植樹

■ 春 しょんた 芽吹きとスミレとカタクリと

■ お薦め本「新しい里山再生法」重松著ほか

■ 発行人から..議案の余部、BackNumberあり

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■ 3/28 設立惣寄合(総会) 成功裡に終了 ■■■■■■■■■■■■■■

3月28日(日)しょんた近くの神谷城東組公民館を会場に里山仕事・しょんた塾の設立惣寄合(総会)が行われ、その日の登録正会員11名(うち委任状1)同賛助会員4人途中傍聴者1名のほか相談役のおふたりも終始出席いただき成功裡に終了しました。惣寄合では、冒頭で会員の申込を受付け、正会員の顔触れを確認した後、議長、副議長を選出して議事に入りました。肝煎総代から最初に議案の1号から11号まで、定款、役員、事業計画、予算など主に法人設立上必要な議案が提案・説明され採決、全員一致で成立。続いて12号から14号まで、土地所有者への誓約書、活動参加者の申合せ事項、年間活動計画が提案され同じく全員一致で成立を確認しました。

なお、年間活動計画は詳細まで決めるのは早計で当面の活動日の設定だけを、という肝煎寄合からの提案もあり、4月から7月までの第4土曜日を活動日として確認しました。

法人設立のための法定議決事項だけで16ページにおよぶ議案なので、たよりへの掲載は見合わせますが余部もあり、今後の入会者やその他の希望者にも配付することになります。

........と、ここまで、堅ぁ〜くて、いつもの調子じゃないのはワケがあるからで、そのワケは、そのウチどっかでご披露いたします。飲み会か合宿の折りにでも。


■ 特定非営利活動法人設立認証申請書を提出 ■■■■■■■■■■■■■■

設立惣寄合での議決を受け、4月5日に「特定非営利活動法人設立認証申請書」を県知事宛に提出しました。一度4月2日に窓口の県民生活課NPO推進室(旧称)で提出書類を見ていただき、欠落などの不足を補って5日に提出となったもの。肝煎総代とともに惣寄合議長の山本さんが2日にわたって同行(山本さんは53歳ながら学生さんなので春休み。珍道中のハナシは割愛)、さらに環境部環境共生総室森づくり室の佐藤主幹も同席していただきました。

この日から2ヶ月間、定款、設立趣意書、事業・予算計画などがNPO推進室および志太榛原行政センターで一般のみなさんに「縦覧」され、そのあと認証、不認証が決定されます。また、里山仕事・しんた塾の認証申請を受付けました、というお知らせが今週か来週の「静岡県公報」に掲載されます。....だれかコピーとっといて。

会員、応援団の皆さんもおヒマでしたら「縦覧」会場を覗いて書類をご覧ください。係のヒトたちも縦覧件数があんまり少ないので手持ちぶさたのご様子。賑わしは喜ばれること請け合いです。特に志太榛原行政センターでは縦覧されてる団体は当分ウチだけのはず。

縦覧期間中にイチャモンがつかなければ、「認証」は、許可や認可と違い認証するのが本来、というもので、どーしても認証できない場合には県知事はその理由を文書で申請者に通知しなくてはなりません。申請書類の不都合は決定前に照会があるので、惣寄合で議決された「認証申請書類の字句修正についての委任」(第10号議案)に基づき、設立代表者(つまり肝煎総代)がハンコ持ってスッ飛んでけば直ぐに「補正」することができます。

昨年12月1日の「特定非営利活動促進法(通称NPO法)」施行以来、静岡県では7つの団体が申請しています。まもなくこれらの団体の認証、不認証の決定が出るそうで、里山仕事・しょんた塾の決定は6月くらいになるだろうとのこと。ちなみに「環境」を活動目的にするNPOの申請は県内では私たちが初、ミニミニNPOですが、名誉といってもいいみたいだな。

この晴れ舞台、肝煎総代は惣寄合の前夜にビショぬれ(後述)なのを必死に洗って乾かし、書方役の落合さん制作になるユニフォーム用アイロンプリントで仕上げた「里山仕事・しょんた塾」の背ロゴ入り作業服。なかなかシブくて受けました。NPO推進室の専門監のおひとりは、是非ともしょんたを見に行きたい、とのこと。


■ 惣寄合から、活動日程、誓約書、事業方針 ■■■■■■■■■■■■■■

当面の活動日程は以下です。全部土曜。雨天の場合は翌日の日曜に繰り越されます。なお、肝煎総代ほか誰かはおおむね第2、第4の土日(公立学校の休みの日)には、しょんたで何かしら仕事してる予定です。会員の証明である帽子ができたら、それを被ってればしょんたに立ち入っても「不審者」扱いされないようになります。

日 程
活 動 内 容
4/24

しょんたの自然観察会...主に植物・植生のお勉強
講師:県「森づくり室」佐藤さん(公務にあらず、ボランティア)
集合:10時 しょんた大框(おおがまち)「しょんた塾」看板前
持物:弁当、飲物、ルーペ(あれば、子供のムシメガネでも良い)、図鑑
(「静岡の植物」というのが高本肝煎のお薦め....当日見せますから後で買うなり翌日復習もよろしいでしょうとのこと)、雨具(この活動に限り、日和見主義はなし、雨天決行だぁ〜)

5/22

未定(測量、毎木調査にかかるかどうか肝煎で検討予定、以下同じ)

6/26

未定(いずれも季節にふさわしい作業を検討します。まだ夏作業は経験が

7/24

未定(少なくノウハウ不足。徐伐、草刈りはベース作業として予定か..)

定款その他は「カタ」くて面白くないのと、縦覧、事務所に常備が義務など別にご覧いただく機会もありましょうし、「活動参加者の申合せ事項」は毎回の活動ごとに配付する予定ですから、この紙面では、土地所有者に提出する「誓約書」と「事業活動方針」を議案から転載します。惣寄合で議決いただいたので、2日に肝煎総代の実印を捺印して小関のおじちゃん(土地所有者)に届けました。

 

誓 約 書

活動の場として、別紙の土地の利用を承諾いただくにあたり、里山仕事・しょんた塾(以下、会と略記します)は会員の総意により、利用する期間の全てを通じて、地内では以下の事項を順守し、活動の参加者に徹底することを誓約いたします。

1 火気の使用の原則的禁止、火の始末の徹底

内燃機関の使用以外の火気を原則的に禁止し、タバコ、タキ火は特定の場所で複数の監視が可能なときのみに限定します。また、事前に承諾を得たとき以外には、野焼き、煮炊き等を行いません。

2 所有者の責任の不存在

活動の中で発生した事故、損害等に関しては、土地所有者にはいかなる責任も存在せず、全て会が責任を負うものします。

3 会および参加者の権利の不存在

賃借権、地上権、耕作権、利用権等のいかなる権利も発生させず、所有者が求めるときにはその理由を問わず利用を終了します。

4 地形、構造物、水系・水質の保全

地形、構造物に手を加える際には事前に承諾を得るものとし、みだりに改変になる行為を行いません。また、小屋、窯、堰、道路等の構造物や埋設施設を設置する際には、必ず事前に承諾を得るものとし、実施の際には水系・水質等を変化させることのないよう十分に注意することとします。

5 境界の尊重

隣地との境界を尊重し、みだりに隣地に立ち入ることを行わず、境界の指標物は絶対に移動させることのないようにします。また、特に隣接の耕作地への立ち入りは厳に戒め、作物への損害はもちろんいかなる迷惑もかけないように注意を徹底します。

6 動植物の尊重

立木、植物の採取は、事前に承諾いただいた範囲に限定します。また、活動によって動物の棲息環境を破壊することのないよう十分に配慮して行動します。林地・田畑の整備により生態系が変化することが予測される場合は、事前に相談することとします。

7 山野草、キノコ、果実等の採集

事前に承諾を得たツクシ、ワラビ、ゼンマイ、筍、きのこ、ヤマイモ、アケビ、クリなどのごく少量の採集のみに限定します。隣接地におけるこれらの行為を禁止します。

8 耕作・栽培の禁止

会とその構成員及び事業参加者が耕作・栽培に類する行為を行うことを原則的に禁止します。整備の都合上特定の動植物群を導入したり、排除を図る際には事前に承諾を得るものとします。

9 利用に伴う生成物の処理

整備に伴う刈草や粗朶、伐木は、ごく少量の記念品程度の持ち帰りを除外して、事前に承諾を得た利用にのみ限定します。

10 幕営・宿泊の禁止

事前に承諾を得、会の活動の一環として行う場合以外の幕営、宿泊を禁止します。

11 近隣の迷惑となる行為の禁止

迷惑駐車、ゴミの放置・持ち込み、ラジカセ・放歌高吟など近隣の迷惑となる行為を行わないよう十分な徹底をはかります。

12 会および役員の無限責任

以上に列挙した事項に違背し、所有者および隣接地の所有者もしくは集落の方々に迷惑や損害を与えた場合は、会および役員が一切の責任を負うものとします。

 

事業実施の方針

 

初年度は、主としてしょんた中心部の整備と参加者の技能習得、会員の指導技術の向上を中心に活動し、里山整備モデルの手法・ノウハウの蓄積をはかる。しょんた中心部の整備と並行して、周辺の林地所有者からの要請があれば積極的にこれに取り組み、しょんた一帯ならびに周辺の整備をはかる。年度後半以降には、近隣の国定史跡、諏訪原城址の整備や榛原町、小笠町、岡部町などの静岡県補助事業としておこなわれる里山整備事業への協力を開始する。 整備に当たっては、対象地の所有者の意向を尊重しつつ、林野と休耕地の生産力の回復・保持、既存の植生や生態系の保全と多様化を目標としたものとし、棲息環境を奪うことや不用意な動植物の移入を行わない。また、事業の実施を計画的に行うとともに、随時適切に記録し、これにより整備の経過を明らかにすることによって、手法やノウハウ、整備の意味するところを広く知らしめる素材として蓄積する。

習得する管理や作業の技術は、安易に機械力や近代工法を使用しないで、できるだけ地域の在来技術を継承、保存することに重点を置く。また技術の継承にあたり、できるだけ地域のお年寄りなどに教えを請うこととし、在野の人材の発掘、活用と親密な関係の構築を目指す。 参加者は、当初は会員を中心としつつ、整備対象区域の拡大に合わせて徐々に対象をひろげる広報活動を行い、新しい参加者を迎えていく。また事業の実施に当たって、参加者の安全管理に最大限の注意を払い、事故を未然に防止するとともに、安全管理のノウハウの蓄積をはかる。

金谷町神谷城ならびに周辺地域の自治団体等との積極的な接触をはかり、事業・活動への認知と理解をひろげ、協力、共同の関係の構築を目指す。また、近隣及び県内外の団体等との交流をひろげ、里山の管理技術や運営のノウハウを蓄積しかつ提供する。

当初は、定款等に掲げる事業・活動を、それぞれ個別に分けて行うのでなく、整備の事業と一体として総合的に行うものとし、次年度以降に、講演会や自治団体等への公式の働きかけなどを計画していく。


■ 3/27 決行!雨中の枝打ち大作戦てんまつ ■■■■■■■■■■■■■■

惣寄合の前日、3/27は朝からショボショボ雨模様。「日和見主義」が徹底してれば誰も来んだろう、とタカをくくったものの保険もかけちゃったしー、と空を仰いで考えてると大井川町の山本さんが「ナタを買いたいんで」と朝8時半に肝煎総代宅に。お向かいの山口刃物さんでしばらく物色、買い込んでしょんたに出かけてみると予想はハズレ、集まったのは肝煎総代、山本さん、落合、谷許の両肝煎に千原さん、焼津から自転車でやってきた学生のKさんというメンメン。みなさんヤル気マンマンで急かされる。ところでだーれも鎌は持ってきてない。そんじゃまぁー、枝打ちシーズンも最後だしそっちをやるかー。肝煎総代(反面)教師が事前に高本肝煎〔元本職林学教師)にコーチを受けた作業上の注意事項を念入りに伝授して(全治6週間のケガの本人が言うんだから、みんな非常にマジメに聞く)10年生ヒノキ林に取りつくころ雨はショボショボからザァザァ本降り。ちゃぁーんとカッパを取り出して着込むところがタイシタもの....ここまでは。約1時間。本式カッパで完全武装は山本さんだけで、後の連中はそれほどの装備ではないので、かなり濡れてくる。肝煎総代はここにいたってやっと気がつく。「危険ってのは外傷だけじゃない、カゼひいて肺炎なんてことになったら」大声をあげて「作業中止ィー」....ところが、皆さん全身でヒノキの周りのカシやらヤマウルシと格闘中だし雨音がヘルメットに響いたりで聞こえない。結局、一人ひとりを捕まえては怒鳴る。刃物をサヤに収めて周りを見渡すと発見3つ。第1は、たったこれだけの人数でこれっぱかりの時間なのにずいぶん林内が明るくなったこと。第2は巻ツルで梢の折れたのやら、ネジレがひどいのやら、要するに徐伐対象で枝打ちする意味があまりないものなんかがキレイに枝打ちされてる。第3に、やってる人間の性格なんだろーか、徐伐木を揃えて直ぐに搬出できるように纏めてたヒト、ひたすらヒノキ周りの雑木徐伐をやってたヒト、ひたすら周りの樹木は無視して枝打ちだけに専念してたヒト....等々ジツにイロイロ。集合点に戻り、自転車で焼津まで帰るというKさんを叱り飛ばして(彼のカッパはそれに耐えるモノではない)千原さんのクルマに押し込み、解散。指揮官は反省。ジブンも楽しんでちゃだめ、回りや参加者をちゃんと見てなきゃ。参加者の意欲にひきづられてはイカン。午後から翌日の惣寄合準備に集まった肝煎連に聞くと、全員家に帰ってフロ沸かして暖まったという。

【余話....薪のタガと薪の名前】

この日は単にヒノキの枝打ちだけでなく、下ろした枝や回りの徐伐木を放置して林床をマルチ(被覆)してしまわないよう、林外に持ち出して薪つくりをする予定。どーせやるならかつて燃料として流通されてたものを再現したい、というので、薪をくくるハリガネやら規格寸法を調べ始めた。

谷許肝煎は岡山の山奥で子供時代に薪つくりをやったことがあるというので菊川、掛川、大東町辺りの金物屋をシラミ潰しに回るは実家に電話して調べるは、してみたものの相手にされない。肝煎総代はチエを絞って入院中に知りあいになった中川根の製材屋さんに聞く。ハリガネ(タガという)は出入りの機械屋さんかムラの金物屋で500本単位でワッカに仕立てたものを売ってたこと、普通に売ってる軟鉄のハリガネは「焼きなまし」加工してあってすぐに切れてしまうこと、寸法は薪の長さが1尺2寸、タガの直径も1尺2寸だったことなどを聞き込んできた。「製材屋ごとにコワの詰め方がユルかったりしっかり詰まってたりイロイロ評判されたモンよ。川根筋にはタガを売ってるところはもうないよ。20年前以前だナ。つくってるトコがあるとは考えられんナ。」

さて、タガの入手が不可能なこと、寸法の規格はわかったけどもう一つ疑問が湧いてくる。肝煎総代は子供時代ゴエモン風呂を沸かすのが仕事で、薪には3種類あった記憶がある。製材の切り端の薪はコワ、針葉樹で火付きはいいけど火もちが悪く、太めの材を割って束ねたものと、細目の広葉樹をナタ切りにした薪(こいつは火付きは悪いが火力が強くていい燠ができゴエモン風呂がいつまでも冷めない)の名前が思い出せない。思い余って実家の母親に電話するが、ふたりがかりでも思い出せない。

ついに、実家に帰った折り、伯父(80歳)の家まで行って聞いてみてやっと判明。太めの主に針葉樹の鋸断ち割り木(薪ザッポ)を束ねたものが「センバ」で特にアカマツのセンバは陶器窯にいい値で売れた。細い粗朶をナタ切りにしたのが「ナグリ」..殴り..か。造林したスギ、ヒノキでない薪取り山は「カナギ山」(「金木」かな)と言って、伐ってから20年待つのがしきたりだった。売るための薪出しをやったことがあるのは70代以上だろうなぁ.....。薪の名前は方言の可能性もあります。「コワ」だけは静岡も恵那(岐阜県)も共通みたいだけど。いずれにせよ、知ってる人は確実に少なくなってますね。


■ 3/20.... 樵の会の活動から..植林・植樹 ■■■■■■■■■■■■■■

しょんた塾の正会員にもなっていただいた藤枝のお二人の女性、遠藤さんと市岡さんそれに高本肝煎も加わった「樵の会」旗揚げ興業の岡部町田島沢スギ植林(3/13)と藤枝南駿河台滝ケ谷公園法面植樹(3/20予定が雨天順延で3/21,3/27)は大成功。しょんた塾ルートからの参加者の他にも、新聞に載ったこともあって盛況でした。

残念ながら滝ケ谷公園法面植樹は雨にたたられ何回か追加の作業。3/27に仕上げに行った高本肝煎もビショぬれ。しょんたの枝打ち組と同様、風呂に飛び込んだ由。残りのバークたい肥と生ゴミプラントからの有機肥料をしょんたにいただきました。

田島沢植樹は降らず照られずの天候に恵まれ、山主の浦山さん、高本肝煎、ボランティア指導員の県森づくりスタッフ長谷川さんの指導で、約30人の参加者は楽しく150本のスギ苗を植えました。終了後、斜面の上で作業中のヒノキ植林の現場に出かけ、若苗のヒノキの香りに感激していました。こちらでは真夏には下刈りの企画も予定されています。

現場に転がってた80年ものヒノキの輪切りを2枚、浦山さんの許可を得てチャッカリ持ち帰り、しょんた大框としょんた塾の事務所(肝煎総代宅)のカンバンをつくりました。なかなかのハクリョクです。


■ 春 しょんた 芽吹きとスミレとカタクリと ■■■■■■■■■■■■■■

4月5日、ひとわたり用事も済ませてまだ陽があるので、花見・山見に行ってきました。

最初はしょんたの裏側(大井川向き)の牧ノ原公園、カタクリ自生地。金谷町教育委員会が丁寧に保護してる公園下の東北向きのかなりの急斜面が見事に満開のカタクリの花で埋まっていました。花弁の様子からしてそれほど長持ちはしないようですから、いちばんいいときに見られたのかもしれません。おそらく今週末には終わりなんじゃないかな。

写真で見てスミレより少し大きいくらいかなと想像してたのと違い、おもいのほか大きい花です。草丈は短いですが花弁はスイセンほどもあります。スプリングエフェメラルの呼び名からもっと儚げな可憐さを期待したのかもしれません。氷河期から生き抜いてきたしたたかさを感じさせる葉と花でした(それでもあの獰猛な笹には勝てんわな)。色はこれも想像してたのよりピンク系が薄くて青っぽかったのは天候のせいでしょうか。

ごくごく狭い一郭の笹が刈られて自生地になっているのですが、もっと管理区域を広げて林床を刈ってやったほうがいいんじゃないかな。これだけ孤立してる自生地なのに、種を維持していける規模として大丈夫なんだろうか、と心配になりました。自生地・管理区域は、コナラ、クヌギのかなりの疎林で林床はずいぶん明るく、隣の照葉樹林の鬱蒼とした林相とは全く違います。保護区域内にはギフチョウの食草のカンアオイらしき姿も。

しょんたももう少しで同じ程度の林相にできますが、もししょんたに休眠株が全く残ってなかったら、この自生地から自然に移動するのは絶対に無理。途中の茶畑とスギ林を越えてくる見通しはまずありません。諏訪原城址までの段丘崖を落葉樹林でつなげ、牧ノ原の南西斜面を同じ環境にできたら、ごくわずかな畑地をまたぐの

は何とかなるかもしれん、ひょっとして....などと勝手な想像をしてしまいます。カタクリの移動距離に関する守山先生の実験データだと確か年に5メートルとか。グルリと段丘崖を回ると3〜4キロメートル、800年くらいかかるのかな、なんて考えながらしょんたに向かいました。

しょんたの雑木林、樹冠はヤマザクラ、ウワミズザクラの盛りまじかでした。これも今週末が見ごろ、24日には完全に葉桜でしょう。中層のコナラ、クヌギは芽吹いたばかりでまだみどりがかった銀色です。葉がひろがっていないので、つがいでヤマザクラの幹を上下に忙しく行ったり来たりしてるコゲラの姿がよく見えます。ウグイスはずいぶんアチコチで鳴いていますがまだまだ下手クソです。大框の入口のエゴは薄緑に小さな葉を伸ばし始めています。ヤマウルシの芽はまだ堅く同じころ出てくるはずのタランボももう少し先なのでしょう。

低層のクロモジは若々しい葉がもう一人前のおおきさ、花は散ってしまいました。サンショの葉は握りこぶしを開いて特有の対生ですがみどりはまだまだ濃くありません。残した株は小さいのでサンショミソで一杯、はおあずけにすることにしました。全体を眺めるとぼぉっとみどりがかってはきましたが、ヤマザクラの赤い若葉の印象の方が強いくらいです。ツツジがないのが寂しいですね。林床の草の名前がよくわかりませんが、笹だけのころと比べるとずいぶんいろいろが葉を広げ始めています。地際までツルを払ったアケビの新芽がなかなか可憐です。林縁の陽当たりにはスミレが一杯でみものです。いつくらいまで咲いているのでしょう。4種類くらい見つけられますが名前がわからないのはかなしいですね。水路脇の道にはタンポポとロゼッタ葉のアザミが元気です。田んぼのヨシがもう20cm位に立ち上がっています。すこし離れて棚田を眺めると、こまめに刈った畔の連なりがみどりの縁取りで素晴らしくキレイです。近寄るとほとんどがスギナなのはちょっと残念だけど....。刈るのが遅れた田んぼの畔との違いが一目瞭然で、今年の秋以降の草刈りに決意が燃えます。


■ お薦め本「新しい里山再生法」重松著ほか ■■■■■■■■■■■■■■

「林業新知識」取材のお礼、と全林協の本永さんから重松敏則先生(九州芸術工科大学芸術工学部教授)の新著をいただきました。「新しい里山再生法 市民参加型の提案」、今年3月19日発行のホカホカです。ISBN4-88138-066-4 C2361。編集発行が社団法人全国林業改良普及協会、林業改良普及双書130、新書版180ページの読みやすい本です。値段は923円。重松先生には大阪府立大学時代の91年「市民による里山の保全管理」、93年(共著)「里山の自然をまもる」から久しぶりのご著書です。ともに里山仕事・しょんた塾の企画のバックボーンとさせていただいています。両著ならびにその後の論文から論旨を一貫させつつ、コンパクトに纏められています。導入部の里山の歴史的、自然生態学的な位置を基礎編部分(起)、中核の英国BTCVの紹介(承)、日本国内での国際ワーキングホリデーの企画(転)から、環境・里山ボランティアの組織づくり(結)まで、まさにしょんた塾のテキストと言うべきでしょう。特にBTCVの紹介はこれまでになく詳しくて参考になります。バームクーヘンよりストイック好みは世代感覚の押し付けだーとか言われるかなぁ。肝煎寄合に会員必読文献指定、を提案するつもりです。版元、著者には申し訳ないけど、前著に比べると安いしね。早速10冊注文しました。別に重松先生にはどこかでいつかご指導を仰ぎたく、ギャラの予算は乏しいけれど、本永さんに紹介の労をお願いしています。静岡ってとこは、上京の折りにちょっと途中下車してもらう、というテがアルのだ。

「ほか」とは失礼な、と怒られるかもしれませんが....インフルエンザで惣寄合に来られなかった東京の野沢さんから、入会申込書と会費といっしょに彼女がアートディレクター、デザイナーとしてつくった「森林小学校」が届きました。(つまり「身内」だから「ほか」)同じく全林協、森林・林業教育センター発行の季刊雑誌で「特集 森林ボランティアの活動プログラムをつくろう」です。残念ながらこの98年春号(Vol.14)を最後に休刊してしまったようですが、なかなか参考になります。もともと林業関係者向けに編集されてますから、「役人さん」のニオイもしますし、林業・硬派、里山・軟派というわが肝煎総代のヘンケンや、農と林の狭間におっこちてて自然保護・環境から造園・ランドスケープなんぞの「美学」派から拾い上げられたわが「里山」と多少ズレるところはありますがオモシロイです。250円でまだバックナバーがあるみたいだから買いモノみたい。そうそ、いつも天候にたたられるしょんたでの企画のうちで唯一、最高のコンディションだった日に宿酔いでやって来た浜田さんもライターとして制作に参加されてます....あらためて見たらこの制作スタッフは女性ばっかりだな。


■ 発行人から..議案の余部、BackNumberあり ■■■■■■■■■■■■■■

【惣寄合議案】惣寄合にいろんな事情で参加できなかったみなさま、惣寄合の議案(A4版29ページ)はまだかなり余部があります。少々おカタイしつらえですが、欲しい方に差し上げます。しょんた塾での活動に参加される機会にお渡しできますが、急ぐぅーとか情報だけ欲しい方には実費でお分けします。80円切手10枚(郵送料の残りは封筒代プラスカンパ)を同封して肝煎総代に申し込んでください。

【設立認証申請書】これから団体、グループを設立しようとか、おれっちもNPOをつくってみべえか、とかのヒトのために「里山仕事・しょんた塾」申請書類の一式コピーをフロッピーディスクで差し上げます。いずれはホームページにアップしますが、それまでのツナギ。実費として80円切手5枚を同封して申し込んでください。もちろんインターネット経由でもお送りできます(コチラはタダ)。ファイルはマイクロソフト社のEXCEL 98 for Macintoshか、EXCEL 97 for Windowsです。98 for Macで作業してセーブしたものがWindowsでは「化ける」ケースがあるようですが、こちらでは責任は持てません。ビールスチェックは一般的な範囲ではしておきます。容量は500KB程度です。なお、EXCELの使い方の相談には応じかねますので、あらかじめご承知おきください。参照式のカタマリです。また、表現上「肝煎」だの「寄合」だのとしょんた塾特有の名称になっていること、標準定款として静岡県からいただいた章・条だてをかなりイジっていることもあらかじめご承知おきください。

【しょんただより】

次号以降の「しょんただより」は、原則として会員(正会員、賛助会員)への配付といたします。会費の納入は法人の設立が完了して振替口座ができてからで構いませんが、入会申込書をいただいていない方への送付はこの号を持ちまして終了させていただきます。バックナンバー(「準備委員募集」を含む)をご希望の方は、80円切手2枚以上を同封して申し込んでください。複数の号は号ごとに80円切手1枚を加えてください。

【会員募集】

里山仕事・しょんた塾へ入会(正会員、賛助会員)を希望される方で、惣寄合への招請状を受け取っていらっしゃらない方は、80円切手5枚を同封して申し込んでください。しょんた塾の入会案内のパンフレットの作成にはもう少し時間がかかりますので、当分の間、設立趣意書、定款、誓約書、申合せ事項と入会申込書をお送りします。

会費は正会員の場合、入会金が2千円、年会費が3千円です。賛助会費はひとり年1口2千円です。払い込みは法人設立後でも構いません。正会員はしょんた塾の運営に責任を持ち、惣寄合での議決権を有する、賛助会員は惣寄合での議決権を持たない、のが違いです。活動への参加はどちらも変わらない扱いですし、会員にならなくても活動に参加することはできます。会員のみに多少参加費を減免する可能性はあります。ただし、しょんたでの「身分証明」になる帽子は会員だけにお渡しする予定です。

【送付】

上記の各申込には、住所、郵便番号、氏名を必ず記載ください。その他の自己紹介、メッセージ、は大歓迎です。しょんたをお知りになった経路も書いていただくとうれしいです。到着した翌週中に発送をいたします。

 

転載、引用自由・おおいに奨励。ただし著作権は「里山仕事・しょんた塾」のもの


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