人里へ買い出しに行った美鈴が奇妙な卵を持って帰ってきた。紫の縞模様に三日月のマーク。
一抱えほどもある大きなその卵は汚れ、いくつもの傷が付いていた。
レミリアがそれはどうしたのかと訊ねると、美鈴はこの卵の悲しい境遇を涙ながらに語った。
レミリアはその話しに深く同情し、微だがまだ生きているこの卵を自らの魔力で孵らせようと決心した。
まだ住む者の少ない寂しい紅魔館。新しい住人を迎えよう。そして私の初めての友達になってもらうのだ。
レミリアはいつか訪れるであろう賑やかで楽しい紅魔館を夢見て、休むことなくこの卵に魔力を注ぎ続けた。
そして、ついに生まれたのが――
「……なるほど。あの二人の関係はそこからはじまったのか。中々興味深い話だったぜ。それにしても流石長生きしてるだけあって物知りなんだな」
「それほどでもないウサ」