リチャード・ジェルダード編著

『エマソン入門――自然と一つになる哲学』

日本教文社

1619円

 

  エマソンの代表的なエッセイ、「自然論」、「哲学者プラトン」、「償い」、「精神の法則」、「円」、「経験」を収録し、それぞれに編著者リチャード・ジェルダードの簡単な解説が付されている。
   たんなるヨーロッパの物まねではない、真にアメリカの風土に根ざした最初の思想を打ち立てたエマソンは、ソーローを初めとする同時代人や多くの後の世代の人たちに直接的・間接的に大きな影響を及ぼした。意外に知られていないことだが、明治の日本の思想家や文人たちのなかにはエマソンに傾倒する人たちがいた。哲学者というよりは本質的に詩人である彼の言葉はまだ生まれたばかりの若い国であるアメリカの未来を予見するような明るさや活力にみなぎっている。この若々しく荒々しい国は彼というスポークスマンを必要としていた。それを知ってか知らずか、彼は自分自身でも完全には把握しえないようななにかを言葉にしようとしている。おそらく彼はこの亀の島の上に書きつけられた「アメリカ」という物語の序章を書いたにすぎないのだろう。いま私たちが目にしているのはそれに続いて語られる小さなエピソードの数々なのだ。


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