■■ 夢と子供と暖かさと ■■


気が付くと暗闇の中にいた。
そこはいくら見渡しても光りさえ見えなかった…
そして、前も後ろも右も左も…すべてが闇だった。
そう…自分以外は闇に溶け込んでいた。闇の中自分だけが…居た。
 ……誰か!?…
 「イルカ先生!・カカシ先生!・サクラちゃん…サスケ!」
思いつく限り名前を呼んでみる。
しかし、闇はそれさえも飲み込んで、ナルトの声は闇に消えていく…
呼んでも帰ってこない名前をもう一度呼んでみるわずかな望みを持って…
…誰か居て欲しい…誰か居て自分を呼んで欲しい……
一人じゃないんだとわからせて欲しい……
望んで発した声は…やはり闇に飲み込まれるばかりで……
沈黙が闇に広がっていく。
ふと、自分の手を見てみる。かなり夜目には慣れたはずなのに、自分の手が見えない…!!!
先ほどまではうっすらと自分の手や足が見えていたはずなのに…闇が濃くなって来たのか…

 ……こわいっ!!!……

ナルトは、闇から避けるように自分自身を抱き締める。
だんだん闇が濃くなってそれからどうなってしまうのだろう…
このままでは、自分もこの闇に溶けてしまう…
溶けて…闇になってしま…う?

 …オレガイナクナル?……

 オレガナクナ……ル?

 イヤダ!イヤダ!イヤダ!

自分を必死で支えながら、何かに向かって抵抗する。
油断すれば自分も闇に溶かされてしまう…

 オレハ・・オレハナルトダ!!!

溶かされそうになりながら自分を主張する。
自分が自分で有るために。
そこで、ナルトの意識は途絶えた……。

 「……ト!………ルト!!………ナルトッ!!!」
自分を呼ぶ声に途切れた意識が急速に呼び覚まされる。
誰かが自分を呼んでいる?

 ダレダ?

 「ナルト起きろ!」
はっきりと今度は自分を呼ぶ。
声に、導かれるようにゆっくりと目を開ける。光りが視界に飛び込んでくる…
ここは、闇にでは無いことがわかる。
 「ナルト…起きたか……」
明らかにほっとしたような声。
声の主を呼んでみる。
 「カカシ…先生?」
 「お前ね…先生の横で寝るのはいいけど…いきなりうなされ始めるから先生心配しちゃったぞ?」
ふわりとナルトの頭に手が置かれ、頭を撫でる。
 (夢だったのか……)
目の前には、カカシと緑溢れる野原が広がっている…あれは、闇は夢だったとはっきりとわかる。
自分以外存在せず、また自分さえも飲み込んでしまう闇。
頭に置かれているカカシの手が温かい…
そう感じた途端ナルトの目からポタポタと涙が落ちる。
 「ナルト!?」
 「あっ…おっ俺……」
自分が泣いていることに気づき服の袖でゴシゴシと涙を拭う。
しかし、涙は止まるどころか益々溢れ出す…
「みるなってばよっ!」
カカシに泣き顔を見られたくなくて離れようと立ち上がりかけたそのとき…
ぐいっ!!
 「わっわっわ〜〜〜〜〜〜」
カカシの手がナルトの腕を捕らえ自分の方へ引っ張ったのだ。
ナルトはバランスを崩しそのままカカシの腕の中にすっぽりと納まる。
 「まったく…」
カカシはナルトを自分の方に向かせ、涙で濡れた顔を持っていた自分の手拭いで拭く。
 「なんで逃げるのかな…ナルトは…」
 「だっだって…みっともないじゃんか!」
 「何が?」
流石に…泣き顔を見られたくないからとは言えない……
 「とにかくやなんだってばよ!」
 「そんなことないぞ、安心したんだろ…違うか?……ん?」
ナルトの両頬に手を添え、視線を合わせ見つめる…
逃げることの出来ない状況に陥ったナルトは観念したように小さな声でうなずく。
 「……う…ん…」
 「素直でよろしい」
ニッコリといつのもように微笑むとカカシはナルトを抱き締め直しポンポンッと背中を軽く叩く。
 「お前が落ち着くまで側にいるから安心しなさい」
 「ふぇ…せん…せぇ……」
再び涙が溢れ出す。
声を殺して泣く腕の中の背中を撫でてやる。
今まで、全て一人で立ち向かってきたこの子供に甘えることを教えるにはどうしたらいいのか…孤独も差別もそして九尾の狐を抱える恐怖にも一人でため込んで……悪夢を見るほど苦しんで…人の倍以上の宿命を背負ってしまった小さな子供。
 (お前はもう一人じゃないんだよ…)
心の中で呟く。
その言葉を告げるにはまだ早いから…子供はとても人に臆病になっていたから……
今はこうして抱き締めることしかできないけど……いつか必ず伝えたいと思う。
 「…っ……ふぇ……」
 「ナルト……」
抱き締める力を少しだけ強め、撫でていた手はそのまま背中をゆっくりと撫でる。
小さな子供が安心できるように。
 (お前は一人じゃないんだよ…)
呪文の様にそう繰り返しながら……

                           終わり

はい。きいろの本棚一本目はナルトでございます。
どうしてナルトかって?  Q 2巻が出たからです(爆)
そうなんですよ!!カカシ先生がね・・・いい味出してたんで今回こんな話を書いてみました。
ナルトに一番最初に一人じゃないことを教えてくれたのはイルカ先生ですが・・・
仲間のことを大切に思うカカシ先生でもきっと言うだろうと思って書きました。
初ナルトいかがでしょうか?できたら感想下さい・・・


BACK