あぶりだしは詰めあがりが、文字や象形になる詰将棋です。その創り方は何やら難しそうで創ることを敬遠している人もあるかもしれません。しかし考え方は至って単純です(もちろん作家によって違いますが)。このページでは2001年の年賀詰将棋を題材にして、私の創作方法を紹介していきます。
図1
あぶりだしは普通詰めあがりから逆算で創ります。今回は21世紀にちなんで「21」を選びました。いくつかの詰めあがりパターンがありますが、角の透かし詰を発見しこれを選びました。
まずは3六角で玉が詰んでいるように必要な駒を配置します。あとは形になるように適当の駒を置いて、それらの駒は創作途中に意味付けをしていく予定です。
詰めあがり形が決定しましたら、収束を創りに行きます。解後感の良いあぶりだしを創るためには、見せ場のある収束を作ることが必要です。ここはじっくり組み立てていきます。
とりあえずまず2手戻します。図1では角を1四〜6九のラインに設定します。とりあえず一番安全な5八に戻してみました。
図2
図2において逆算を考えますと7三と6四玉の形か、4四玉3五金の形が浮かびます。両方の形でさらに逆算を試してみますと、前者で6六飛、同とが入りそうです。
図3
この手を成立するように盤面に細工をします。このように収束に大駒の捨て駒等の気持ちの良い手を入れることができることが逆算の長所です。
ここで捨てるべき飛の配置を考えましたら図4になりました。
図4
図4で飛がうまく角出の邪魔駒になり、しかも3筋の配置が飛の縦利きを妨害しています。あぶりだしでは盤面における駒に制限があり、大駒が暴れすぎて余詰が出ることが多いので、このように利きの多い駒に枷をかけることができると逆算がしやすくなります。
ちなみに6三とが成立するために角を4六にもって来ました。