§II〜§VIIまで富士高式分光分析機I世の全貌を明らかにしたが、考案してから2年近くなって完成を見るにいたった。現在一番心配なのは、フォトトランジスターの感度である。もし、測光できなかったら第2号機を製作してほしい。この機器の完成を見た陰には、生物物理班の人材が豊富であったことはもちろん、当班が一体となってアイディアを出しあった、努力のたまものであろう。
この機器が完成し、またクロロフィル抽出の技術もマスターされた今、残されたことは、我々の最大研究テーマである“生体色素の波長による吸収特性観測”である。生物の教科書には赤外部の吸収特性は発表されていない。このことについて観測し、定説をくつがえしたらおもしろいと思うが……。こんなことを考えていくと、夢が大きくなり、分光学のスケールの大きさに、ただ驚くばかりである。本来ならば、“考察”には研究をしてわかったことを書くものであるが、今回の考察には研究をすることしか書けない。その点で読者は理解していただきたい。
[研究内容]
以上である。
[研究目的]