この考案はあくまでも考案であり、成功するかどうか、サイエンスの発達を待つだけである。人工網膜の考案は去年の3月生物学教室の後藤先生とファイバースコープについて、ディスカッションしていた時、脳裏に走ったものである。その後、光と生物について追求して一年を過ぎると、可能性の薄いことにだんだん気がついてきた。しかし、初めの夢を捨てるのはつまらないために、紙上を借りて、現在の案を発表します。
まず、何を話すにしても、網膜について話すのが当然と思いますが、網膜について話し始めたらいつ終わるかわかりません。したがって、その参考になる文献を紹介しておきます。
以上の本がおもなものです。
では、簡単なところから話しましょう。まず網膜の働きを簡単にいうと、光エネルギーを電気エネルギーに変える組織と考えてよいでしょう。もっとわかりやすくいうと、“物体がそこにあるということ”を脳へ信号に変えてしらせる役目をしています。
光→電気信号
こんな働きをするものが何かないでしょうか? あります、まず、フォトトランジスターCDSなどの半導体、ファクシミリなどがあります。さあ、もうここで気がついてくれたと思います。現実に、光を電気に変えている機械があるのです。さあ、このメカニズムをどう利用したらいいでしょう。そのメカを簡単に図に書いてみます。