はやし浩司
心の問題 はやし浩司
Q:「この4月より、4歳の長男が保育園に通い始めました。
その長男の事で、少しお話を聞いて頂きたいと思います。 初めは喜んで通っていたのですが、連休明けくらいから、
ちょっと様子がおかしくなり、行くのを拒むようになりました。
今のところ、なんとか嫌々ながらも通園しています。 その原因を、少しずつ探っているのですが、なかなか解決の兆しが見えません。 もうすぐ1歳になる弟がいるのですが、 兄の邪魔をすると、
兄が突き飛ばすことが多くなってきました。
息子は、とても明るく、物怖じしない、のびのびとしていて、 おっとりした性格です。 その反面、神経質で、繊細な面も持っています。 ことばが遅く、3歳を過ぎて、やっと自分の要求を ことばで言えるようになりました。 今でも、言いたい事がさっと言葉に出来ず、 嫌な事を言われても、ある程度は、グッとこらえているようです。 それでも、それにも限度があるようで、口より先に手が出てしまい、 取っ組み合いになってしまいます。 言われたら言い返すのが、筋だと思うのですが、それが出来ない息子は、 どうしても手が出てしまうのです。 そして、大抵、相手を泣かせてしまいます。 息子の方は、涙目になりながらも、泣き喚くことはなく、 '自分は悪くないんだ!'と、訴えてるかの目をしています。 飛び抜けて体が大きいので、相手に怪我をさせないかヒヤヒヤしてしまいます。 園での出来事など、詳しい事は何も教えてくれないので、 先生から聞いた話でしか、分かりません。 口が達者な子供が多いようで、初めての集団生活に戸惑いを感じているようです。 このような事も登園拒否の原因の一つかなと、勝手に解釈してしまっています。 外でも、大人にぶつかられた時、"痛いっ!"と言えば良いものを、 『あーーーーーーーーっ!!!』などと、大きな声を出すだけで、 相手の大人には、通じないことが多々あります。 先日も、スーパーで、レジに並んでいた息子の前に、 年配の女性が割り込んで来ました。というか、来たんだと思います。 私はよそ見をしていたので、定かではないのですが、 そのときも、大声をあげただけで、周りには'うるさいガキ'だとしか、 見えてなかったと思います。 最近、かなり心にストレスを抱えているように思えて仕方ありません。 どうすれば、言われても手を出さずに、言い返せるようになれるのか? 親として何が出来るのか、悪戦苦闘しています。 このまま黙って様子を見ていて大丈夫なのか? うまく集団生活に馴染んでいけるのか? ストレスで、体に異常が出てきたりしないか? とても、心配です。 何か良いアドバイスがあれば、頂けると嬉しく思います。 こちらの状況が、うまくお伝えできたかどうか分かりませんが、 よろしくお願い申し上げます。 (兵庫県 SKより)
A:メール、ありがとうございました。
いただきましたメールから、まず疑われるのは、 (1)情緒不安です。つぎにその原因は、(2)下の子が生まれたことのよる 赤ちゃんがえり(プラス型)です。(3)激怒するのは、かんしゃく発作もしくは、 過剰行動性です。 心の緊張感をうまくほぐすことができず、そこへ不安や心配が入り込むと パニック状態になると考えてください。そのため、まず第一に考えるべきこ とは、いかにして心の緊張感をとるかということです。4歳の長男の方は、 愛情飢餓の状態(その根底に嫉妬)にあると考え、いま以上の(あるいは 下の子が生まれる前の状態の)愛情復帰をします。「お兄ちゃんだから」 と突き放すのではなく、温かい愛情で包んであげてください。濃厚なスキン シップ、添い寝、手つなぎ、抱っこが有効です。 また激怒については、白砂糖の多い、甘い食生活を断ち、カルシウム、 マグネシウム分の多い食生活にこころがけてください。一週間、徹底し てすれば、かなりみちがえるほど、改善するはずです。 また言葉の問題は、症状からすると、パニックになったとき、@興奮して 暴力的にでてくるタイプと、A混乱状態になっておどおどするタイプがあり ますが、長男の方は、後者かと思われます。言葉の発達とは直接結び つけないほうがよいかと思います。
Q:はやし先生へ
こんにちは、4歳男児の母です。 先日の授業のことです。息子が突然、幼稚園で泣き出してしまいました。先生が宇宙人 の話をしたためです。 普段から、UFOの存在をものすごく信じていて、以前お菓子のおまけに葉巻型UFOが 入っていた時にもとても怖がっていました。私に甘えたいという欲望が、UFOのモ チーフをきっかけに、爆発したんでしょうね。他にも前々から、色々なことに感情移 入しやすくて、2〜3歳の頃は、「さるかにがっせん」のサルがかにに柿をぶつける シーンになると烈火のごとく怒って、「こんな本やぶって捨てる」と叫んだり、TVで スポーツ珍プレーなど見ていて、失敗シーンが繰り返し流れると、自分のことではな いのに、ゴーゴー泣いて、「馬鹿ヤロー、こんなTVすててやる!!」となったり・・ ・。ちょっと喜怒哀楽が激しすぎる感があります。 また、最近では、幼稚園に行きたがらないのですが、理由を聞いてみると、「新しく 入った女の子が、頭が良くて、僕はもう押しつぶされそうだ」って、言うんです。 「?」と思い、「どうして頭が良いって思うの?」と聞いたところ「終わりの挨拶の 後、先生は女の子を先に帰すでしょ!あれは、女の子のほうが頭が良いからだよ。」 と、勝手な解釈をしているんです。 プライドが高い割りに、自分に自信が無いので、そう思い込んでしまうのでしょう か。 年中さんになったばかりの頃、幼稚園でこんなこともありました。遠足を後日に控え たある日、家に帰るなり「ママ、僕遠足行けれないの?」と聞くんです、もしや私が 出欠の届出に間違えて、欠席の丸をつけてしまったのでは・・・と不安になり、先生 に確認を取ったところ、「朝、『いい子だけが遠足に行けるんだよ。』と生徒たちに 話した後、休み時間にY君が『先生僕は遠足行けるかなー?』と聞いてきたので、 先生はふざけて、『どうかな〜』と答えてしまったので、それで自分は行けれないと 思ったのでしょう」と言うお返事が返ってきました。その時は、「Yも色々考えて るんだなー。面白いなー。」と思っただけだったのですが、いまはデリケートすぎる のかなとちょっと不安を覚えます。 朝ごはんをおひざの上で食べさせてもらっている。だけでなく、晩御飯も3歳の次男 と、私のひざの取り合い、寝る時もどちらがママと寝るかで、けんかです。最後は結 局次男の強引さに負けてしまうので、とても不憫に思います。主人も三男が生まれて から子育てにとても協力的で、なるべくYとスキンシップを取ろうと努力している のですが、やはり父親より、私と2人でべったりしたいようです。最近では、次男三 男が寝た後もまだ起きていて、雑誌の付録などで、私と主人を誘って遊んでいます。 成長のためにも、早く寝かしつけたいのですが、いつもより、目をきらきらさせて、 幸せそうに遊んでいるのを見るとついつい夜更かしを許してしまいます。なかなかYにとって、 ベストな状態に持っていくのは難しくどうしたものだろうと考えてしま います。アドバイスをよろしくお願いします。(兵庫県、Yの母親より) A:赤ちゃんがえりを甘く見ない 幼児の世界には、「赤ちゃんがえり」というよく知られた現象がある。これは下の子ども(弟、 妹)が生まれたことにより、上の子ども(兄、姉)が、赤ちゃんにもどる症状を示すことをいう。本 能的な嫉妬心から、もう一度赤ちゃんを演出することにより、親の愛を取り戻そうとするために 起きる現象と考えるとわかりやすい。本能的であるため、叱ったり説教しても意味はない。子ど もの理性ではどうにもならない問題であるという前提で対処する。 症状は、おもらししたり、ぐずったり、ネチネチとわけのわからないことを言うタイプと、下の子 どもに暴力を振るったりするタイプに分けて考える。前者をマイナス型、後者をプラス型と私は 呼んでいるが、このほか情緒がきわめて不安定になり、神経症や恐怖症、さらには原因不明 の体の不調を訴えたりすることもある。このタイプの子どもの症状はまさに千差万別で定型が ない。月に数度、数日単位で発熱、腹痛、下痢症状を訴えた子ども(年中女児)がいた。ある いは神経が異常に過敏になり、恐怖症、潔癖症、不潔嫌悪症などの症状を一度に発症した子 ども(年中男児)もいた。 こうした赤ちゃんがえりを子どもが示したら、症状の軽重に応じて、対処する。症状がひどい ばあいには、もう一度上の子どもに全面的な愛情をもどした上、一からやりなおす。やりなおす というのは、一度そういう状態にもどしてから、一年単位で少しずつ愛情の割合を下の子ども に移していく。コツは、今の状態をより悪くしないことだけを考えて、根気よく子どもの症状に対 処すること。年齢的には満四〜五歳にもっとも不安定になり、小学校入学を迎えるころには急 速に症状が落ち着いてくる。(それ以後も母親のおっぱいを求めるなどの、残像が残ることは あるが……。) 多くの親は子どもが赤ちゃんがえりを起こすと、子どもを叱ったり、あるいは「平等だ」という が、上の子どもにしてみれば、「平等」ということ自体、納得できないのだ。また嫉妬は原始的 な感情の一つであるため、扱い方をまちがえると、子どもの精神そのものにまで大きな影響を 与えるので注意する。先に書いたプラス型の子どものばあい、下の子どもを「殺す」ところまで する。嫉妬がからむと、子どもでもそこまでする。 要するに赤ちゃんがえりは甘くみてはいけない。
Q:はじめまして。この2月3日で、3歳になります女児の母です。
娘は、私の姿が見えなくなると大声で泣き、探し回ります。トイレにも、付いてき ます。同年代の子供たちは、お母さんがちょっと見えなくなっても、平気で遊んで いるのに、娘は、いないと気が付いたとたんに泣き出す状態です。一駅離れている 実家には、手伝いもあり、毎日行っています。祖父母達がいれば、一緒に遊んだり して、私一人でも買い物に出掛け手も平気です。原因をいろいろ考えても見るので すが、1つに、2歳1ヶ月の頃に、風邪をこじらせて、1週間入院してしまったこと( 夜は、付き添い不可であったので、随分泣いたらしいのです。)もあるのかなと考 えています。又、親も、私も通った、私立の幼稚園に是非通わせたいと、退院後 1ヶ 月ほどで、幼児教室に、週に2回3時間ほど通わせました。そこでも、親とはなれる ことが出来ずに、毎回、ついに半年間泣き続けました。そこの先生には、親が焦ら ずに、通い続ければ慣れますと言われ、それを信じて続けました。いろいろな方に 相談しても見たのですが、まだ早すぎたのだとか、週に2日では、足りない、毎日 通 うところにすれば良かったとかのご意見をいただきます。時期がくれば、大丈夫と は、思いながらも、今年こそは、合格したいと思ったり、でも無理強いするのは良 くないことなのかと悩みどうしたら、良いのか分からない状況がすっと続いていま す。たまたま、昨日テレビで、分離不安と言う言葉を聞き、インターネットで調べ ていたところに、先生のホームページを見つけましたので、ご相談させていただき ました。よろしくおねがいします。(石川県 Rより)
A:メール、ありがとうございました。
このパソコンは出先からのノートパソコンなので、原稿などは 転送できませんが、簡単に結論から先に申しあげます。 (1)分離不安は、子どもの自意識でコントロールできるよう になるまで、なおらないという前提で対処します。 (なおそうと思わないこと。心の問題は、一年単位で考え ます。入試に間に合わなければ、しかたないでしょう。 そういう前提で考えます。) (2)無理をすれば、一見症状がおさまったかのように見える こともありますが、なおったのではなく、もぐったとみます。 ですからそのつど症状は繰り返しでてきます。 (3)原因については、R様、ご指摘の通りです。 幼いころの異常な体験が子どもの心にキズをつけたとみます。 「捨てられるのでは……」という本能的な不安発作が原因で すので、簡単にはなおらないということです。学者によって は、小児うつ病の一つに考える人もいます。年齢的には 満六歳前後まで、続くと覚悟してください。それ以後は 少女期へと移行し、精神的にも落ち着いてきます(自意識が 育つからです)。 幼児教室では、お母さんが同伴し、許してもらえるなら隣に 座るなど、子どもを安心させることに心がけてください。少し ずつ様子を見て、手を抜いていきます。(席を離れて いきます。) (4)無理をしないことに心がけてください。ここで無理をすると、 さらにやっかいな情緒不安症状を訴えるようになります。 「週2回では少ない」などという乱暴な対処法には耳を貸して はいけません。子どもの心の問題は、より症状が悪くなって はじめて前の症状が軽かったことを知るということを繰り返しながら、 泥沼へと落ちていきます。 (5)心静かな、穏やかな家庭環境を大切にしてください。 スキンシップは濃厚に与え、カルシウム、マグネシウムの 多い食生活を大切にしてください。 (6)詳しくは私のサイト http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ の中のあちこちに書いておきました。 メニューから、(中日新聞)→(分離不安)か、 サイトの中にもあります。 どうか参考にしてください。 メール、ありがとうございました。 Q:小学3年生(長男)の母です。 早速ご相談ですが、私のおっぱいを触りたがってしかたありません。 いろんな本を読んでも触らせてあげてと書いてあるので わかっているのですが、その触り方が激しいというか 恥ずかしくなるのですが私は我慢するべきなのでしょうか? 我慢してさわらせているのですが、余りしつこくて困る時もあって どうすればいいのか迷っています。 言葉も急にきつくなって、反抗期と自立の兆しが見られる今日この頃です。 他にもおねしょや自分から進んで出来ないところなどどうして? と思う事はいっぱいありますが、このおっぱいに関しては 母親に対するシグナルなのか、ただエッチなのかどうなのでしょうか? 宜しくお願いします。(福井県Kより) A:先週、小3男児と小1女児をもっている母親から、同じような相談がありました。 お母さんのおっぱいを取り合って、いつも喧嘩しているというのです。そこで 右はお兄ちゃん、左は妹というふうに、分け合って(?)いると笑っていました。 この方のケースでは、おもしろおかしく、何というか、あっけらかんにとらえて おられました。 お子さんの件ですが、かなり心の中が緊張状態にあるとみます。それがささい なことで、不安発作となり、その不安を解消しようと、情緒が不安定(プラス型 ……暴力的になったり、攻撃的になる)になると考えてよいようです。お母さん のおっぱいを求めるのは、その代償的行為(心を休めるためにする行為。よ く知られているのに指しゃぶりがある)と考えてよいでしょう。性的な快感を もとめるというよりは、あくまでも代償的行為です。ですから無理につきはなし たりすると、かえって情緒が不安定になり、お子さんのケースでは、攻撃的 態度が大きくなると思われます。時と場所を決め、そういうときはお母さんの ほうがぐんと抱き込むようにして、ある程度は容認してあげます。乳首を口 に含むとか、そういうことではないと思いますので。(ただいじるだけなら、 代償的行為。口に含んでおっぱいを吸うような様子を見せれば、赤ちゃん がえりか、幼児がえりということになります。そのあたりはどうですか?) また性的な快感かどうかは、お子さんのペニスの状態を見て判断しますが、 勃起しているようであれば、それが疑われますが、もしそうであれば、また 別の対処法を考えます。(多分、それはないと思います。)あるいはこういう ケースでは、お母さん自身が、まったく何も感じないようにして、淡々と対処 します。お子さんが早熟であれば、そろそろ性的なものに興味をもつことも 考えられますが、小三というのは、たいへん微妙な時期です。下にお子さんが いらしゃいますか。家庭環境は不安定ではないですか。父親の愛情はじゅう ぶん受けていますか。そういうところも一度、客観的にながめてみてください。 子どもにとっては、おかあさんのおっぱいは、特別の存在です。昔 オーストラリアの友人が、こんな話をしてくれました。ベトナム戦争のとき、 サイゴンへ帰ってきた兵隊は、皆、一斉に「女」を買うのだそうです。そして セックスをするのではなく、一晩中、その女性たちのおっぱいを吸うのだ そうです。生死を分けるような戦争の中で、心が極度に緊張するのですね。 そこでおっぱいを吸って、気を休めていた、と。一つの参考にはなります。 ではまた何かわかれば……。
Q:小学5年生のときトイレで滑って汚いと思うようになり、何とか頑張って6年生にな
りましたが、3学期の終わりごろより不登校にな りそれからは学校に関係する全てのこと(人や物・・・)あらゆるものに恐怖があ り、中1の5月に強迫神経症の不潔恐怖症だと診断されました。性格は幼い頃より何で も自分の納得のいくようにしなければ気が済まず、親が手を出すのを嫌う子供でし た。保育園では園の下の子供の世話が良くでき、全く手のかからない子供でした。小 学1年生になって自分の納得のゆく字がかけなくてノートが破れても破れても書き直 すという子供でした。 病気になってから本人が苦しくて家庭の中で暴れたこともありましたが、今では家族 がこの病気を勉強し、子供に寄り添いながら支えていこうと決めていますので、症状 の為のパニックが起きても本人なりにコントロールをしていっています。九州の行動 療法の専門病院で3ヶ月入院治療をしたこともあります。強迫行為の方は良くなりま したが強迫観念のほうは変わりませんでした。むしろ今のところは前よりも学校に関 するものを毛嫌いしているようです。家族としては子供の興味のあることや、楽しい と思える時間を協力出来るようにと生活しています。これからはどのようなことに気 をつけていけばいいのか教えていただきたいです。 高知県のMより A:メール、ありがとうございました。 いくつか気になるところがあります。 「何とかがんばって、6年生になりました」……この段階で、 何か、お子さんの側から見て、無理をなさいませんでしたか? 強制したり、威圧したりなど。症状からみて、「強迫神経症」ということですが、 それが転じて、「学校恐怖症」ではないかと思われます。このタイプの 恐怖症は、いろいろ姿を変えて表われてきますので、お子さんの心を全体として 考えないと、お子さんの心をつかめなくなります。学校恐怖症については、 ここに私が書いた原稿を添付しておきます。どうか参考にしてください。 私の印象では、つまりいただいたメールの範囲では、おうちの方が「なおそう」と あれこれ努力なさっても、かえって逆効果だと思います。「心の風邪」は、そんな ことでなおるはずもないし、またなおそうと思えば思うほど、(親側に「それは悪いことだ」 という意識があり、子ども側に「悪いことをしている」という意識がある限り) かえって症状がこじれます。この問題だけは、少なくとも1年単位で子どもをみな ければなりません。「去年とくらべてどうか」とです。 こう書くと、多分「それではうちの子はダメになる」と思われるかもしれませんが、 そう思うのは、親の勝手な価値基準によるもので、子ども自身の価値基準ではない ことに注意してください。遠い原因としては、スキンシップ不足、愛情不足、 子どもの側からみて安心できない家庭環境が、乳幼児期にあったものと思われます。 あるいは下の子どもがいたりして、愛情不足を感じていたのかも。さらにその原因 はといえば、あなたがた自身の子ども時代の問題が疑われます。つまりこの問題は もっと根が深いということ。言いかえると、今のお子さんの症状だけをみて、あれこれ なおそうと判断しても、あまり意味がないということです。 大切なことは、あなたやあなたの妻(夫)よりも、お子さん自身のほうが 悩み苦しんでいるということ。それをまず理解してあげることです。この問題 だけは、より症状が重くなって、以前の症状が軽かったということを繰り返しながら、 そして何かを子どもに対してすればするほど、裏目、裏目に出て悪くなっていきます。 今は不登校程度ですが、こじらせると、拒食症や行為障害、引きこもり、あるいは家庭内 暴力へとつながっていきます。ご注意ください。 ではどうするか。いいですか、私もこう書くのはつらいですが、 「あきらめなさい」。風邪で熱を出している子どもに向かって、「泳げ」とは いえないでしょう。そういうあきらめをもつことです。そして重要なことは 何も言わない、何も指示しない、無視する……ということで、あなたのお子さんが あなたの目の前で、のんびりとくつろげるようになればしめたものです。また そういう状態をつくります。今の状態であれこれお子さんに対してすればするほど 泥沼の悪循環に入りますから、くれぐれもご注意ください。 「がんばれ」ではなく、「気を楽にね」という言い方で、接します。 以上が私からあなたへのアドバイスですが、これはあくまでも一つの意見に すぎません。今、あなたの愛情はお子さんに試されています。あとはCA,MG の多い食生活にこころがけ、濃厚なスキンシップをお子さんに与えます。 お子さんが望むようであれば、(少し年齢的に難しいかもしれませんが)、 手つなぎ、抱く、一緒に長湯に入る、一緒に寝るなどの方法を試してみて ください。 またアメリカでは、ホームスクーラーが200万人を超えました。 日本独特の受験制度や、学歴意識ともどうかあなたの心の中で 戦ってください。「学校なんかくそくらえ」(尾崎豊「卒業」)と思うことも どこかで大切なことです。 また何かあれば連絡ください。 今日はこれで失礼します。 子どもの不登校を防ぐ法(前兆を見落とすな!) 子どもが学校恐怖症になるとき ●四つの段階論 同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の 二男はひどい花粉症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。が、その中 でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を「怠学 (truancy)」といって区別している。これらの不登校 は、症状と経過から、三つの段階に分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パ ニック時期、それに自閉的時期。これに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次であ る。 @前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠 感、吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴え る。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜になると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声 で答えたりする。これを症状の日内変動という。学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君が いじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除すると、今度は「B君がいじめる」と言いだした りする。理由となる原因(ターゲット) が、そのつど移動するのが特徴。 Aパニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車 に乗せようとしたりすると、狂ったように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日 は休んでもいい」などと言うと、一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰 ってくる車の中では、鼻歌まで歌っていまし た」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」と思うことが 多い。 B自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻 撃的態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこか ピリピリした感じは続く。そのため親の不用意 な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすることはある(感情障害)。この段階で回避性 障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不安感をもつ。おののく)の症状を示すこ ともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子どもといった感じがするため、たいてい の親は、自分の子どもをどうとらえたらよ いのか、わからなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。 C回復期 ……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊びに行くよう になる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やがて登校でき るようになる。日に一〜二時間、週に一日〜 二日、月に一週〜二週登校できるようになり、序々にその期間が長くなる。 ●前兆をいかにとらえるか 要はいかに@の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるか ということ。たいていの親はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をす る。この無理が症状を悪化させ、Aのパニック期を招く。この段階でも、もし親が無理をせず、 「そうね、誰だって学校へ行きたくないとき もあるわよ」と言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の 問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状 はこじれる。悪化する。 ※……不登校の態様は、一般に教育現場では、@学校生活起因型、A遊び非行型、B無気 力型、C不安など情緒混乱型、D意図的拒否型、E複合型に区分して考えられている。 またその原因については、@学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動な ど不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、A家庭生活起因型(生活環境の 変化、親子関係、家庭内不和)、B本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日本 教育新聞社」まとめ)。しかしこれらの区分のし方は 、あくまでも教育者の目を通して、子どもを外の世界から見た区分のし方でしかない。 (参考) ●学校恐怖症は対人障害の一つ こうした恐怖症は、はやい子どもで、満四〜五歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、 睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加 わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこ の時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでも その一つと考える。 ●ジョンソンの「学校恐怖症」 「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、一九三二年に最 初に使い、一九四一年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始ま る。ジョンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期 の三期に分けて、学校恐怖症 を考えた。 ●学校恐怖症の対処のし方 第一期で注意しなければならないのは、本文の中にも書いたように、たいていの親はこの段 階で、「わがまま」とか「気のせい」とか決めつけ、その前兆症状を見落としてしまうことである。 あるいは子どもの言う理由(ターゲット)に振り回され、もっと奥底にある子どもの心の問題を見 落としてしまう。しかしこのタイプの子ど もが不登校児になるのは、第二期の対処のまずさによることが多い。ある母親はトイレの中に 逃げ込んだ息子(小一児)を外へ出すため、ドライバーでドアをはずした。そして泣き叫んで暴 れる子どもを無理やり車に乗せると、そのまま学校へ連れていった。その母親は「このまま不 登校児になったらたいへん」という恐怖心から、子 どもをはげしく叱り続けた。が、こうした衝撃は、たった一度でも、それが大きければ大きいほ ど、子どもの心に取り返しがつかないほど大きなキズを残す。もしこの段階で、親が、「そうね、 誰だって学校へ行きたくないときもあるわね。今日は休んで好きなことをしたら」と言ったら、症 状はそれほど重くならなくてすむかもしれ ない。 また第三期においても、鉄則は、ただ一つ。なおそうと思わないこと。私がある母親に、「三 か月間は何も言ってはいけません。何もしてはいけません。子どもがしたいようにさせなさい」 と言ったときのこと。母親は一度はそれに納得したようだった。しかし一週間もたたないうちに 電話がかかってきて、「今日、学校へ連れてい ってみましたが、やっぱりダメでした」と。親にすれば一か月どころか、一週間でも長い。気持ち はわかるが、こういうことを繰り返しているうちに、症状はますますこじれる。 第三期に入ったら、@学校は行かねばならないところという呪縛から、親自身が抜けること。 A前にも書いたように、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考えて、子 どもの様子をみる。B最低でも三か月は何も言わない、何もしないこと。子どもが退屈をもてあ まし、身をもてあますまで、何も言わない、何 もしないこと。C生活態度(部屋や服装)が乱れて、だらしなくなっても、何も言わない、何もしな いこと。とくに子どもが引きこもる様子を見せたら、そうする。よく子どもが部屋にいない間に、 子どもの部屋の掃除をする親もいるが、こうした行為も避ける。 回復期に向かう前兆としては、@穏やかな会話ができるようになる、A生活にリズムができ、 寝起きが規則正しくなる、B子どもがヒマをもてあますようになる、C家族がいてもいなくいて も、それを気にせず、自分のことができるようになるなどがある。こうした様子が見られたら、 回復期は近いとみてよい。 要は子どものリズムで考えること。あるいは子どもの視点で、子どもの立場で考えること。そ ういう謙虚な姿勢が、このタイプの子どもの不登校を未然に防ぎ、立ちなおりを早くする。 ●不登校は不利なことばかりではない 一方、こうした不登校児について、不登校を経験した子どもたち側からの調査もなされてい る。文部科学省がした「不登校に関する実態調査」(二〇〇一年)によれば、「中学で不登校児 だったものの、成人後に『マイナスではなかった』と振り返っている人が、四割もいる」という。不 登校はマイナスではないと答えた人、三九% 、マイナスだったと答えた人、二四%など。そして学校へ行かなくなった理由として、 友人関係 ……四五% 教師との関係 ……二一% クラブ・部活動 ……一七% 転校などでなじめず……一四%と、その多くが、学校生活の問題をあげている。 こわがる子どもを考える法(恐怖症を軽く考えるな!) 子どもが恐怖症になるとき ●九死に一生 先日私は、交通事故で、あやうく死にかけた。九死に一生とは、まさにあのこと。今、こうして 文を書いているのが、不思議なくらいだ。が、それはそれとして、そのあと、妙な現象が現れ た。夜、自転車に乗っていたのだが、すれ違う自動車が、すべて私に向かって走ってくるように 感じた。私は少し走っては自転車からおり、少 し走ってはまた、自転車からおりた。こわかった……。恐怖症である。子どもはふとしたきっか けで、この恐怖症になりやすい。 たとえば以前、『学校の怪談』というドラマがはやったことがある。そのとき「小学校へ行きたく ない」と言う園児が続出した。あるいは私の住む家の近くの湖で水死体があがったことがあ る。その直後から、その近くの小学校でも、「こわいから学校へ行きたくない」という子どもが続 出した。これは単なる恐怖心だが、それが高 じて、精神面、身体面に影響が出ることがある。それが恐怖症だが、この恐怖症は子どものば あい、何に対して恐怖心をいだくかによって、ふつう、次の三つに分けて考える。 @対人(集団)恐怖症……子ども、とくに幼児のばあい、新しい人の出会いや環境に、ある程 度の警戒心をもつことは、むしろ正常な反応とみる。知恵の発達がおくれぎみの子どもや、注 意力が欠如している子どもほど、周囲に対して、無警戒、無頓着で、はじめて行ったような場所 でも、わがもの顔で騒いだりする。が、反対にその 警戒心が、一定の限度を超えると、人前に出ると、声が出なくなる(失語症)、顔が赤くなる(赤 面症)、冷や汗をかく、幼稚園や学校がこわくて行けなくなる(学校恐怖症)などの症状が表れ る。さらに症状がこじれると、外出できない、人と会えない、人と話せないなどの症状が表れる こともある。 A場面恐怖症……その場面になると、極度の緊張状態になることをいう。エレベーターに乗れ ない(閉所恐怖症)、鉄棒に登れない(高所恐怖症)などがある。これはある子ども(小一男児) のケースだが、毎朝学校へ行く時刻になると、いつもメソメソし始めるという。親から相談があ ったので調べてみると、原因はどうやら学校へ 行くとちゅうにある、トンネルらしいということがわかった。その子どもは閉所恐怖症だった。実 は私も子どものころ、暗いトイレでは用を足すことができなかった。それと関係があるかどうか は知らないが、今でも窮屈なトンネルなどに入ったりすると、ぞっとするような恐怖感を覚える。 Bそのほかの恐怖症……動物や虫をこわがる(動物恐怖症)、死や幽霊、お化けをこわがる、 先のとがったものをこわがる(先端恐怖症)などもある。何かのお面をかぶって見せただけで、 ワーッと泣き出す「お面恐怖症」の子どもは、一五人に一人はいる(年中児)。ただ子どものば あい、恐怖症といってもばくぜんとしたものであ り、問いただしてもなかなか原因がわからないことが多い。また症状も、そのとき出るというより も、その前後に出ることが多い。これも私のことだが、私は三〇歳になる少し前、羽田空港で 飛行機事故を経験した。そのためそれ以来、ひどい飛行機恐怖症になってしまった。何とか飛 行機には乗ることはできるが、いつも現地ではひ どい不眠症になってしまう。「生きて帰れるだろうか」という不安が不眠症の原因になる。また一 度恐怖症になると、その恐怖症はそのつど姿を変えていろいろな症状となって表れる。高所恐 怖症になったり、閉所恐怖症になったりする。脳の中にそういう回路(パターン)ができるためと 考えるとわかりやすい。私のケースでは、幼 いころの閉所恐怖症が飛行機恐怖症になり、そして今回の自動車恐怖症となったと考えられ る。 ●忘れるのが一番 子ども自身の力でコントロールできないから、恐怖症という。そのため説教したり、叱っても意 味がない。一般に「心」の問題は、一年単位、二年単位で考える。子どもの立場で、子どもの 視点で、子どもの心を考える。無理な誘導や強引な押しつけは、タブー。無理をすればするほ ど、逆効果。ますます子どもはものごとをこわが るようになる。いわば心が熱を出したと思い、できるだけそのことを忘れさせるようにする。症 状だけをみると、神経症と区別がつきにくい。私のときも、その事故から数日間は、車の速度 が五〇キロ前後を超えると、目が回るような状態になってしまった。「気のせいだ」とはわかっ ていても、あとで見ると、手のひらがびっしょり と汗をかいていた。が、少しずつ自分をスピードに慣れさせ、何度も自分に、「こわくない」と言 いきかせることで、克服することができた。いや、今でもときどき、あのときの模様を思い出す と、夜中でも興奮状態になってしまう。恐怖症というのはそういうもので、自分の理性や道理で はどうにもならない。そういう前提で、子ど もの恐怖症には対処する。 (付記) ●不登校と怠学 不登校は広い意味で、恐怖症(対人恐怖症など)の一つと考えられているが、恐怖症とは区別 する。この不登校のうち、行為障害に近い不登校を怠学という。うつ病の一つと考える学者も いる。不安障害(不安神経症)が、その根底にあって、不登校の原因となると考えるとわかりや すい。
Q:2才4ヶ月の男の子と4ヶ月の女の子のママです。上の子の赤ちゃん返りがひどくて困ってい
ます。私も最近上の子をかわいいとは思えなくなり、すぐ怒鳴ったりたたいたりしてしまいます。 上の子はもともと小食ですが、下が生まれてからはほとんど食べなくなり牛乳ばかり飲んでい ます。体重は今9.8kgしかありません。イヤイヤ期も重なって1日中イヤイヤです。だんなが 泊り勤務なのでいない日はもう虐待しそうなくらい私はイライラしてしまいます。最近はいつも行 っていた公園にも行きたくないと言い出しました、人がいるのが嫌みたいで人がいない公園は 行くこともあります。人がいても主人となら公園にも行けます。主人が言うには、私がかわいい と思っていないことを子供なりに感じ取っているからだ、と言います。私も冷たい態度しか取れ なくなった上の子に悪いと思います。でも、いやいやで泣き叫ばれると、だめなんです。このま まだと私も上の子もだめになってしまう気がします。主人に言っても、おまえが我慢するしかな い、としか言ってくれません。頭では私が上の子を優先して生活していけば上の子も落ち着い てきて私も楽になる、とわかっているのですが・・・私の我慢が足りないのでしょうか?
A:赤ちゃんがえりについては、
小生のHPの「赤ちゃんがえり」のところで 書いておきましので、よろしかったら お読みください。 ヤフーのサーチエンジンから、 「はやし浩司 赤ちゃんがえり」で 検索できるはずです。 また http://www.chunichi-tokai.co.jp/education/child_world/ の中にも、「赤ちゃんがえり」について書いておきました。 対処方法は、かなりこじれていると思われますので、 (1)100%の愛情と関心を一度、兄のほうに 向けなおしてみる。 (2)スキンシップを濃厚にする。 (3)食生活をCa、Mgの多いものに切り替える、です。 そして様子を見て、一年単位で少しずつ、兄から愛情を 下の妹に移行していきます。 兄ししてみれば、いままで100%の愛情が50%になったことが 不満なのです。親から見れば50%ずつの平等と考えるかも しれませんが、それはあくまでも親の論理でしかありません。 あなたが「兄を好きになれない」というのは、 心のどこかに、「男の子」「男の人」に対して何らかの わだかまりがあるものと思われます。心の奥をさぐってみてください。 あなたと父親の関係はいかがでしたか? 今のご主人と、電撃に打たれるような恋をして、相思相愛で 結婚し、今の長男を、心から望んで生みましたか? など、一度、心の奥底をさぐってみてください。 何もなければそれで結構です。 何かわだかまりがあるようなら、しっかりと自分を みつめなおしてみます。 それでたいてい、少し時間はかかりますが、 解決するはずです。 赤ちゃんがえりについては、これ以上 こじらせないこと。それだけを考えて対処します。 なおそうとあせると、失敗します。
Q:はじめまして、2児(4才の年中児男児、2才女児)の母親です。長男のこと、お伺いします。
今年の4月に幼稚園に通いはじめ、最初の一ヶ月は通園バスに乗る のがイヤで大変な騒ぎでした。今ではそれ程では無いのですが、心配しているのは幼 稚園の生活のことです。なかなか友だち関係が出来ないようで、いつも一人で園庭の 隅で見ているだけのような毎日だそうです。家に帰ってくると下の子と仲良く遊ぶの ですが、どうも幼稚園では出来ないようです。運動会の様子なども見てみましたが、 お友だちとはほとんど会話をせず、いつも一人で端っこにいます。とても恥ずかしが り屋で自分を表に出せない性格なので、(時間が解決してくれるかな)とも思うので す が、何か自分の子どもがふびんに思えて悲しくなってきます。普段はとても元気で 遊んでいますが、回りとの関係(特に子ども同士)は全然出来ません。親として見て いると手をさしのべてやりたいのですが、ここは子どもの自主性を尊重して見守って いる現状です。今後どのように対応して行けば良いのでしょうか?アドバイス願います。
A:この時期のお子さんは、無理をしないが、大原則です。
親の設計図(常識)にあわせて、子どもに無理を強いれば 強いるほど、子どもは別の方向にいきます。 そして「以前のほうがまだよかった……」というようなことを 繰り返しながら、あとは底なしの悪循環へと落ちていきます。 そうならないためにも、お子さんの気持ちを大切に 無理をしないこと。この一言に尽きます。 で、ご相談の件ですが、かなりの対人恐怖症が疑われます。 そうでない人から見れば、「気のせいだ」というように 思われがちですが、そんな簡単なものではありません。 私のサイトから、恐怖症を見てください。 (ヤフーで「はやし浩司 恐怖症」を検索してくださっても よいですし、 http://www.chunichi-tokai.co.jp/education/child_world/ の中にも、恐怖症の子どもについて書いてあります。 対処方法は、とにかく無理をしない。家の中で 思う存分、気を抜かせる。安心感を与えるため スキンシップを多くする。Ca Mg などの食生活に こころがける、です。 一度この種の神経症(?)をこじらせると、恐怖症そのものがいろいろ姿を変えて、 日常的に出てきますので、とにかく無理をしてこじらせないことです。 (もうすでにこじらせている心配があります。最初の日に無理をしたことなど。) 今もあなたは、「幼稚園で皆と、一緒に遊ぶべきだ」という固定観念というか、 先入観でお子さんを見ておられるのが、たいへん気になります。 (私なら、幼稚園へ行く日を少なくして、……適当に休ませて 家で遊ばせますが……。無理して行かせなければならない
ほどの価値かあるかどうか……?)
たった今アメリカから帰ってきましたが、向こうでは、もっと気楽に 考えていますね。オーストラリアでは、週3日保育が多いです。などなど。 恐怖症であれば、(あくまでも?の話ですが……、お子さんを見ているわけでは ありませんので……。)とにかく無理をしないでください。 ここでこじらせると、いろいろな形でその恐怖症が姿をあらわします。 「幼稚園へ行きたくない」といったら、「あらそうね。だれだってつらいときがある のよね」と理解してあげること。あなたの価値観を押し付けないことです。 「ふびんで悲しい」……? とんでもないことをあなたは口にしているのですよ! 子どもを愛するということは、子どもを許して忘れる。 子どもの苦しみや悲しみを共有することです。 あなたのお子さんが苦しんでいることを どうしてあなたは理解しないのですか。 お子さん自身が、集団の中で苦しんでいるのですよ。 それを「ふびん」だなんて!!!!!! あなたが「悲しい」のは、あなたが信じている学歴信仰にお子さんが そぐわないからだけではないですか? コースに乗れないことを 悲しんでいるのです。仮に不登校児になっても、それを問題にしているのは 親なのです。子ども自身は、学校へ行かないことをハッピーに思っているのですよ。 あなたのケースも同じです。 お子さんは今、彼なりにがんばって幼稚園へ行っています。 それをほめてあげなさい。無理だと思ったら、午前中で迎えに行って 負担を半分に減らしてあげなさい。そして少しずつ、お子さんを 集団に慣れさせてあげなさい。それがベストです。あくまでもお子さんの 心を大切にしてあげなさい。 一ヶ月も「たいへんな騒ぎ」を続けたあなた自身の神経を私は疑って います。たった数日でも、ふつうの子でも、心に大きなキズが残りますよ。 下にお嬢さんがいらっしゃるから、よけいに分離不安を感じたのかも しれません。 なおそうとはもう思わないこと。これ以上、症状をこじらせないことだけを 考えて、対処します。最悪の場合は、神経症から情緒不安、さらには 精神障害……?ともなりかねませんよ。無理をすれば…。不登校に なるのも時間の問題かもしれない。「家の中ではふつう」という面だけを 信じて、それをお子さんに外の世界でも求めないこと。もう少し心の 問題は複雑です。どうかそれをわかってあげてください。 子どもの自主性を重んじるのは当然ですが、それ以上に あなたの価値観(常識)を子どもに押し付けないこと。 今の状態をこれ以上悪くしないことだけを考えること。 そしてがんばっているお子さんを前向きにほめて励まして あげること。子どもの前で「ふびん」だの、「悲しい」だのという 表情やこごとを決して言わないこと!!!!!!!!! きびしいことを書きましたが、あなたのお子さんのために、 お子さんの言えないことを、代弁しました。
Q:はじめまして。私、6才(幼稚園年長)と4才(幼稚園年中)の二児の母です。長女のことなんで
すが、場面かん黙だろうと言われ一年以上…、 幼稚園では何もしない一日を過ごすことがほ とんど…固まった状態で、一言も口は聞かず…でも、幼稚園が終わると、特定の子ですが、園 庭や公園で普通の子と同じようにはしゃぎまわったりもするのです。自宅にお友達を呼ぶと、 相手が1人ならば遊ぶことが多いのですが、複数の子が遊びに来ると私と遊ぶかもしくは1人 でボーっとしています。お友達の家へ行くと、全く遊べないか、もしくは興奮しすぎの状態で、狂 ったようにはしゃぎまくっているか、とても極端です。 彼女の人見知り、場所見知りは生後4ヶ 月くらいからずっとでした。ハイハイの頃から公園へは毎日連れて行っていたのですが、ほか に子供がいれば何もしないいし、人がいなくて今まで遊んでいたとしても1人でも子供が公園に 来ると突然固まってしまったり…。市のカウンセリングにも昨年一学期間通ったのですが、彼 女への 対処法と言うものが結局見つからず、母親のカウンセリングのような感じで、行かなく なりました。
先生のホームページにはかん黙児と言うのは脳の機能的障害と 書いてありましたが、どういう
ことなのか教えていただけませんか? 今までカウンセラーの方から産まれてからどのように 育ててきたかとか色々聞かれ、私の神経質なところからそうなってしまったのでは…??と思って いました。幼稚園が嫌なのなら行かなくてもいいと思うのですが、本人もとても辛い場所なはず なのに、退めるのは嫌だと言うのです。彼女がダメな時(といっても毎朝ですが)どう対応してあ げればよいのでしょうか? それから彼女を普通に小学校へ通わせて彼女にいいものかどう か悩んでいます。
A:かん黙児の問題は、私は現場で学習指導の経験は、毎年数名していますが、立場上、「治
療」とか言う言葉を使うことはできませんし、そういう目的でお子さんを指導したことはありませ ん。私は、いつも親といっしょに座ってもらい、授業をしています。うまくひきつけると、言葉は出 てきませんが、鋭い視線で授業に集中してくれます。あとはこれを繰りかえします。根気のいる 作業です。そういう形で、時期をまちます。あせっても、効果はありません。気長に、とにかく気 長に指導しています。そして子どもというのは、そういう情報がある程度蓄積されると、程度に もよりますが、ある時期(小学2〜3年ごろ)から、少しずつ心を開いてくれます。それまでがま ん強く待つしかないです。 かん黙児に限らず、情緒障害児(障害という言葉を使いますが、お許しください)は、心がいつ も緊張状態にあるという前提で対処します。柔和な表情にだまされてはいけません。つまりそ の緊張状態をとるのが、指導のコツです。私の場合は、「抱く」という方法をとりますが、私のよ うな他人に抱かれるようになるにも、6ヶ月とか1年もかかります。 機能障害という言葉を使いますが、これはもちろん私が言い出したのではありません。ただ心 の問題は、器質障害と機能障害があり、機能障害は、脳の機能が変調しただけ、つまり「大き な問題ではない」という意味でふつう使います。誰だって風邪をひくように機能が変調すること があるのです。そういう意味で使いますので、あまり深刻にとらないでくださいね。 かん黙児の場合、子どもの心に合わせて、子どものリズムで考えるようにします。おとなの理 屈や常識を、子どもに押し付けてはいけません。子どもの立場からすれば、本当に声が出ない のです。ですから、「どうして声が出ないの?」という言い方ではなく「この前より、あなた表情が 明るくなったわね」というような言い方をして、前向きにプラスの暗示をかけていきます。私は実 際に幼児を教室形式の中で教えていますので、「笑わせる」という方法で、心を開かせるように しています。「笑わせる」というのは、とってもよい方法です。近くに住んでおられるなら、お助け できるかもしれません。場面かん黙でも、メールで見る限り、症状は軽いようですから……。 次のような方法をおすすめします。 (1)濃厚なスキンシップを惜しみなく与える。(抱き癖がつくとか心配する人がいますが、この 際、それはマイナーな問題と考えます。) (2)子どものリズムで生活します。問題児とみるのではなく、「うちの子はうちの子」と納得し、 居直ります。へたになおそうと思わないこと。お母さんが心配していると、それがそのままお子 さんに、その心が伝わってしまいます。そしてそれがお子さんの心の状態を悪いほうに追いや ってしまいます。(親の不安が、子どもの心を不安定にするということです。) (3)あとは時期を待ちます。あせっても、どうしようもありません。しかし時期がくれば、そのま ま自然な形でなおっていきます。もともと繊細な感覚をもち、頭もよい子どもなのですから、中 高校生になるときには、かえってすばらしいお子さんになっていることが多いです。(数年前で すが、医大へ推薦で入った教え子がいましたよ!) (4)「今の状態をより悪くしないことだけを考える」です。心の問題は、より悪くなって、以前の症 状が軽かったことに気づく……それを繰り返しながら、どんどん問題がこじれていきます。だか ら、なおそうと思わないこと。ここが重要なポイントです。 かん黙児の問題は、かん黙児であることが問題ではなく、おうちの方があせってあれこれ無理 をして、なおそうとするから、こじれてしまうのです。夜尿症と同じです。(夜尿症も最近の研究 で、脳の機能障害と位置付けられるようになってきています。つまりかん黙児も夜尿症も同じと いうこと。) あまり深刻に悩まず、居直ってください。そしてあなたのお子さんを、今の状態で受け入れるの です。「固まったから悪い」と考えるのではなく、「固まることもあるから、同じような状況は避け る」と考えるのです。そういうおおらかさが、心に風を通します。私も教えるときは、かん黙児と いうことを一切、気にせず、完全に無視した形で授業を進めています。本人に罪の意識、罪悪 感をもたせないように教えるのがコツです。そして症状は一進一退しますが、とにかく、うまくの ったときは、おおげさにほめ、そうでないときは、無視して授業をすすめるようにしています。 しかし、です。かん黙児は、必ずなおります。そしていつか笑い話になります。「そういうこともあ ったわね」と、です。成長するにつれて、脳の機能も復元され、正常になってきます。それを信 じて、前向きに考えてください。 そうそうあれこれ過去の原因さがしが書いてありましたが、そんなのはもう忘れなさい。気にし ないこと。お母さんが、自分を責めるのはよくありません。お母さんは、もうじゅうぶん、すばらし いお母さんです。お母さんは、親としてもう精一杯のことはしたのです。どうか自分を責めない ように。ですから、もう過去において、原因が何だったかということは、考えないように。私は皆 さんのお子さんを預からせていただくとき、過去の原因など、一切聞かないようにしています。 (聞いても意味ないでしょう) なお興奮性が強いのは、かん黙の問題ではなく、別に、そう状態、あるいは過剰行動性が疑 われますので、食生活……Ca,Mgの多い食生活にこころがけ、甘い食品をひかえれば、かなり 落ち着くはずです。一度試してみてください。徹底してやれば、一週間ほどで見た目にも興奮 状態はなくなってくるはずです。 幼稚園へ通う、通わないは、お子さんに任せてください。無理していかねばならにところでも ないのです。(アメリカでは、今年、ホームスクーラーが200万人を超えるといわれています よ。ヤフーで、LEARN IN FREEDOMを検索すると、いろいろ情報が入ってきます。)あまり深 刻に考えないように。わかりましたか。かん黙児など、なんでもない問題ですから。少なくとも、 あなたのお子さんは、そう思っていますよ。問題だと思っているのは、一般の尺度でしかものを 考えられない、「あなた」自身なのです。 今、6歳ということですので、もうなおる時期にきていますよ。その前に、あなた自身の不安をな くしてください。あなたに自然な笑顔が戻ってきたとき、あなたのお子さんも心を開きますよ。あ とは「許して忘れる」ですよ。トップページから、「心のオアシス」を、どうか読んでくださいね。き っと力になれると思います。私の経験からでも、お母さんが子どもを愛し、受け入れ、許して忘 れれば、この問題はあっけなく解決します。約束します。いま、あなたのお子さんは、一生懸 命、あなたという親を、育てているのですよ。そういう目で見てあげてください。 では、また何か心配なことがあれば、連絡してください。力になります。
Q:現在小学1年生、女児。母子分離不安と言われ、学校に毎日、親が付き添っています。家族
構成は両親、姉(小2)の4人家族です。幼稚園の頃から登園を嫌がり、無理やり連れて行った ことも何度もありますが、年少の1学期、年長の2,3学期は嫌がるために休園。園でも、泣かな い日がないくらいで、先生が玄関のところにいないと教室にもはいれませんでした。これも年長 まで続きました。 小学校に入学し、本人だけで歩いて登校したのは1週間ほど。以後は毎日、両親のどちらか が徒歩か車で一緒に登校し、子供は自分の席で授業を受けますが、親は教室の後ろに座り、 4時間目終了後、親だけが帰宅するという毎日です。6月の中旬くらいまでは、1時間目が終わ ると本人も納得するので、私も帰宅することができましたが、それ以降、プールを嫌がり、帰ろ うとすると、大声で泣き、泣いて追いかけてきて、結局4時間目までいることになり、現在に至っ ています。朝はほとんど毎日ぐずって起きてくるか、起きてこない日もあり、とても機嫌がわる いです。同じクラスの子が迎えにきてくれても一緒に登校することができないことも多くありま す。学校に行けば、元気な時は友達とも関わっているようですが、友達がいようがいまいが関 係ないようです。本人は学校が嫌いと言います。私がいても、教室にはいれず、泣いたりもしま す。調子のいい日もたまにありますが、朝はほとんど暗い顔をしています。でも、3時間目くらい から元気がでてきて、友達とも遊べるし、帰りも比較的元気に帰ってきます。休日や、帰宅後 は元気が良く、学校を嫌がる子供には見えません。 今までの経過を書きましたが、1学期からなかなか良い方向にいかず、どうしたら、親なしで 登校できるようになるのか悩んでいます。親が付き添った方がいいそうなので、今こうして学校 まで行き、ずっと後ろについているのですが、このままで良いのか不安です。子供は、泣けば、 親や周りの人が何とかしてくれると思っているように思えます。わがままが通ると思っているよ うです。 今のまま学校について行くと、ひとりで大丈夫だよと言ってくれる日が来るのか不安になりま す。1年生のうちは付き添うつもりでいますが、2年生になり親が付き添わなくなったら不登校に なるのでは、と思ってしまいます。学校の規模は大きく、1学年5クラスあり、160人強です。今の ままのやり方で良いのでしょうか?子供にはどのように接したら良いのでしょうか?イライラし て、つい子供に"学校にひとりで行けないくせに"などということを言ってしまいます。子供も苦し んでいると思うのですが、つい傷つけてしまうことを言ってしまう自分にも嫌気がさしています。 どうぞ、良いアドバイスをお願いいたします。 (栃木県Kより)
A:メール、ありがとうございました。
分離不安には、必ずといってよいほど、ひきがねとなった何かの原因があったはずです。それ はともかくもメールの内容からして、分離不安だけではなく、学校恐怖症、対人恐怖症、さらに これらがこじれて、情緒そのものが、かなり不安定になっているように思われます。順に考えて いきましょう。 分離不安は、4〜6歳をピークに、あとは急速に落ち着いてきます。愛情への不安(子どもは 絶対的な安心感のある家庭で心を落ち着けることができます。絶対的というのは、疑いをいだ かないという意味です。)をまず疑ってみます。……といっても、一度分離不安になると、心は いつも緊張状態になるため、ささいなことで突発的に症状が出てきてしまいます。ですから対処 方法としては、付き添いが一番よい方法です。無理をしないの一言です。私の場合は、親に付 き添わせ、授業の中に引き込みながら、少しずつ親の存在を忘れさせるようにしています。 で、結論から言えば、分離不安は必ずなおります。今、小1ということですので、もう時間の問 題ではないかと思います。(ただ分離不安症だけは、おとなになってからも、残ることは多いよ うです。夫の帰宅が遅くなっただけで、言いようのない不安感に襲われる人はいくらでもいま す。) 学校恐怖症については、私のHPの、(子育てのこと)→(子どもの指導法)→(子育て論文集) の中に書いておきましたので 参考にしてください。 情緒不安については、ここに書きましたように、基本的には、心の緊張感がとれないというこ とを、大前提に考えて対処します。「心のキズ」論は、この際、あまり問題ではありません。つま り子どもの心は常に緊張状態にあるとみます。(表情にだまされてはいけません。このタイプの 子どもは、多くは、心と顔の表情が遊離するという症状を見せます、柔和な顔をしながら、その 裏で別のことを考えるなど。)ですから、子どもの立場で、緊張感がとれるような状態を多く、用 意します。抱き癖などを心配する人もいますが、この際、そういうことは考えず(マイナーな問題 ですから)、添い寝をしてあげる、いつも手をつないでがえるなどの、濃厚なスキンシップを与え てみてください。スキンシップには、まだ知られていない、不思議な力があります。特に情緒不 安の子どもには有効です。 不登校については、不登校児になる心配は、十分あります。そこでこう考えてはどうでしょう か。一度不登校児になると、半年から1年単位で学校へ行かなくなりますので、今は、無理をし ないで、不登校児にならないことだけを考えて、週に2〜4日、学校へ行けば、それで十分だと 考えるのです。この問題だけは、「より症状が悪くなって前の症状が軽かった」ということを繰り 返しながら、症状が悪化します。そうならないよう、つまり、今の状態をより悪くしないことだけを 考えながら、今の状態を保つようにします。なおそうとか、なんとかしようなどとは思わないこと です。「お子さんを受け入れなさい」です。あるがまま、「ああ、うちの子は、こうなんだ」と、割り 切って、それを受け入れます。居直るのです。そして先のことはあれこれ心配しないで、(よくあ る話で、大きな問題ではないので)、「ようし、あんたの好きなようにしなさい。お母さんは、どん なことがあっても、あなたを守るから」と宣言します。そういうおおらかさが、あなたのみならず、 お子さんの心に風穴をあけます。いいですか。なおそうとは思わないで、今の状態をより悪くし ないことだけを考えて、今の状態を受け入れます。そうすると、いつの間にかこの問題は解決 します。やがてすぐ笑い話になります。約束します。 付き添いが必要なら、付き添いをしてあげてください。私の場合は、一番うしろの席に、いっし ょに座ってもらっています。そしてやがて、数回のうち一回は、母親がいなくても学習できるよう になったり、途中から親がいなくなっても学習できるようになったりしながら、独り立ちできるよう になります。遅くとも、小学3〜4年生までには、解決します。(そのころ、子どもは、親離れをは じめますので……。) さて「わがまま」ということですが、これはわがままではありません。確かにそういう要素もあり ますが、しかしほかの問題の重大性から考えると、わがままという部分は、小さな問題です。私 も30歳のころ飛行機事故に遭遇し、飛行機に乗るのが怖くなってしまいました。他人は、「気 のせいだ」と笑いますが、一度はイタリアへ行く飛行機に乗る直前になって足が動かなくなりま した。他人からみれば、「わがままのようなもの」に見えるかもしれませんが、私にはそうではあ りませんでした。お嬢さんもきっとそうだと思います。本当に「怖い」のです。どうかわかってあげ てください。 今、アメリカでは、97年度には100万人。2001年度には、学校へ行かないホームスクーラ ーが、200万人になるといわれています。それを組織しているのが、LEARN IN FREEDOM という組織です。ヤフーで検索すると出てくるはずです。「学校へは行かなければならない」とい う固定的な先入観とも戦ってくださいね。週に数日行けば、じゅうぶんです。私の経験からして も、小3レベルで、3分の1学校を休んでも。遅れるなどというkとは、まずありません。安心して ください。 げに子育ては苦労がつきもの。こうしてあなたのお子さんは、あなたを育てているのです。「こ の子は私を育てている」と思うことで、あなたはお子さんの問題を別の視点から見ることができ るようになります。 問題はお子さんというより、あなたにあります。あなたが不安に思った分だけ、あなたが苦し む。そしてその苦しみがいろんな形でお子さんに影響します。(お子さんは、学校へ行けないこ となど、なんとも思っていないのです。)むしろ心のケアが必要なのは、あなたでしょう。そういう ときは、こうします。誰でもいいですから、何でも話せる友人に何でも話すことです。包み隠しな く、です。そうすると、気分が楽になりますよ。お嬢さんが分離不安になって、お母さんが付き添 っていく……今のあなたにすれば、やっかいな問題かもしれませんが、こういう時期も終わって みればあっという間のできごと。そこで視点を未来において、「今の時期を振り返ってみたと き、よい思い出となるように」心がけます。「私は子どもの心を守った」という思いが、あなたの 思い出を美しく、輝いたものにしますよ。そういう視点で、今の自分をながめることです。いつか お嬢さんとこんな会話をしてください。 母「あなた、小学生のころ、お母さん、たいへんだったのよ」 子「うん、わかってる。お母さん、ありがとう」と。 あまりよい回答になっていないかもしれませんが、参考にしていただければ、うれしいです。
Q:5才の年長児です。夏休みに入る少し前から、家に帰ると、ずっと絵を描いてます。私が忙し
いと、気が付くと家から一歩 も出ていなかったり。本人は、「家の中が気持ちいいんだ」と、言 っています。私からみると、かなり消極的なタイプです。 このまま、大人になっていって少しは 活発になるのかなと、時々、不安になります。絵の内容ですが、テレビ ゲームのキャラクター が公園で遊んでいる、だとか家の中で暮らしている、という絵を描いたりしています。家の中の 絵は、しっ かり黒のクレヨンで回りが囲ってあります。でも、中にいる人物はきれいな色です。7 月の最初の頃は、幼稚園の終わった後、友達の家と行き来がありましたが、突然行かなくなり ました。幼稚園には、毎日張り切って通っていました。良い面はたくさんあります。でも、よその 子が良く見えてしまう時もあって、駄目な母親だなと、思っています。
A:(1)絵の内容ですが、単純な絵を反復的に描くのであれば、あまりよい傾向ではありません
ので、注意を外に向けさせてください。 (2)ほかにどんな症状が出ていますか? (3)5歳過ぎますと、あまり心をいじるのは危険です。本人の今の姿を受け入れつつ、「ああ、 うちの子はこういう子なんだ」と思い直すことで、子どものよい面だけを見て伸ばすようにしま す。欠点は見ないようにします。 (4)消極的に見えるのは、たいていの場合、お母さんのリズムが1テンポ早いだけです。お子 さんのリズムで歩いていますか? お子さんが外の世界(園や友人の中)でも消極的なら、「消 極的」ということになりますが……? 過干渉、過関心がお子さんの「自信」を奪うというケース も珍しくありません。ご注意ください。
繰り返しますが、5歳の中間反抗期を過ぎると、人格の「核」が定まってきます。この時期を過
ぎたらもうその核をいじってはいけません。「まあ、うちの子はこういうもんだ」という割り切りが 必要です。そしてよい面だけを見ながら、そして悪い面はあきらめながら前に進みます。人間 誰しも、得意、不得意があるものです。それを認めてあげてください。オールマイティな人間な どつくろうと思わないこと。そう考えると、お母さんも気が楽になりますよ。お子さんも気が楽に なりますよ。社交的でなくても、何も困らないのです。 子どもを伸ばす最大の秘訣は、「自分の子どもはいい子」と信ずることです。もしそうでないな ら、毎日、子どもと顔を合わせるたびに、「あなたはどんどんいい子になっていくわね。お母さん はうれしいわ」と、子どもの前で喜んでみせます。最初はウソでも構いません。そのうちそれが 口ぐせになり、お母さんが自然にそれを言えるようになったとき、あなたのお子さんは、その口 癖通りの子どもになります。子どもというのは、そういうものです。子どものやる気を奪うもの に、無理、強制、条件、比較があります。「よその子がよく見える」というのであれば、お子さん が悪いのではなく、あなた自身の子育て観を変える必要があります。比較は一度クセになる と、これから先、ずっとついてまわりますから注意してください。「私は私」「うちの子はうちの子」 という姿勢が、あなたの子どもを伸ばすだけではなく、これから先、豊かな親子関係を築く基本 となります。比較は危険ですよ。他人の目を気にした子育ては、あなたの子育てを醜くすると同 時に、思い出を汚します。いつかあなたの子どもがおとなになり、今の子育てを振り返るときが きます。そういうとき、お子さんの記憶にどんな母親像が残るか、少しだけ想像してみてくださ い。「私を最後まで守ってくれた母親」でしょうか? それとも「他人の目をいつも気にしていた つまらない母親」でしょうか? 私の母は、いつも他人の目ばかり気にしていました。今から振 り返ってみると、本当に私の母は、私のことを思っていてくれたかどうかわからなくなるときがあ ります。子育てというのは、そういうものではないでしょうか。
Q:家の中で暴れるが……。幼稚園ではいい子ぶっている。子ども(幼稚園。年長女児)
A:外でいい子ぶる、いわゆる内弁慶外幽霊というのですね。多分。外の世界で、かなりのスト
レスをためる、(外でいい子ぶるイコール、精神疲労を起こしやすいというわけです)、そのため 家の中で暴れるということです。タイプは、ぐずるというマイナス型と、暴れるプラス型がありま すが、どちらにせよ、こじらせると、最悪の場合、引きこもり、あるいは家庭内暴力……というこ とにもなりかねません。恐ろしいことを書きましたが、そういう結果もあるという前提で、ここは 慎重に対処なさってください。濃厚なスキンシップが有効です。添い寝、手つなぎ、だっこをいと わず、(多少の依存心、抱き癖は目をつぶって)、子どもが求める前に、そっと抱いてあげるな どの行為を繰り返してください。スキンシップには、不思議な力があります。試してみてくださ い。あとは食生活に注意します。甘い食品は避け、カルシウム分、マグネシウム分の多い食生 活に心がけます。かんしゃく発作にしては、年齢が大きいので、それだけでは説明つかないよ うです。私は欲求不満型の情緒不安ではないかとみています。あくまでも参考に。本人を見て いませんので……。
Q:帰宅する前に、どこかで遊んでくる
A: まず疑ってみるべきは、帰宅拒否です。簡単な観察でわかります。
(1)園や学校から帰ってきたら、どこで気を休めているか、観察してみてください。
(2)あなたの見える前で、気を休めているかどうかを、観察してみてください。
もしあなたの子どもが家の中の一定の場所で、気を休めているようであれば、それでよし。決
まった場所がない。あっても、その場所を家人が、荒らすというようなことをしていれば、それは やめます。
どんな動物にも、最後の逃げ場というのがあります。その逃げ場を大切にします。
またあなたがいるところでは、気を休めないというような雰囲気であれば、原因はあなたと考
えます。帰宅拒否の最大の原因は、家族の人間関係です。あなたの姿を見ると、どこかへ逃 げていくようであれば、あなたはかなり反省しなければなりません。子どもが大きくなると、家庭 はやすらぎの場所、憩いの場所となります。そうであるように、家庭のあり方を、よく反省してく ださい。 |