はやし浩司

Q&A-5
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知育・学習の問題
はやし浩司

Q:小学2年生、7歳の子供に国語や感想文の宿題を教えていますが、その子は集中力がなく2
分と前を向いて座っていられません。とにかくよそ見が多くて家庭教師の方も教えるのを断念
して断るらしいのですが、集中力をつけさせるいい方法はありませんか?いろいろな方に聞き
ましたがこれほど集中力のない子はいなかったらしく参考になりませんでした。その子にどうに
かして覚えたり学んだりする楽しみをわかってほしいのでいい方法がありましたらお教え下さ
い。

A:いくつかの方法があります。
(1)図書館の児童読書コーナーへつれていき、まず好きなことをさせます。1〜2時間も好きに
させていると、自分で好きな本をもってきます。つまりそれで子どもの方向性を知ります。
(2)その方向性について、親や教師の望まないものであっても、何も言ってはいけません。「こ
んな本はだめ」とか「こちらの本にしなさい」とかは言わないことです。
(3)このタイプのお子さんを預かるコツは、要するにがまんくらべと思うことです。短気を起こし
たら負け。
(4)方向性(たとえば機関車とかサッカーとか)がわかったら、「国語」とか「勉強」とかを意識し
ないで、その方向性にあった本なり読書を通して、「文字」のおもしろさを教えます。(子どもに
よっては、ゲームの攻略本なら読むという子どももいます。)親にそのあたりを理解してもらい
ます。まともな本(?)を読むのは3〜6ヶ月先ですと告げます。あせらないこと。(最初から児童
文学書的な本を読ませようと思うと、失敗します。)
(5)図書館でだめなら、(図書館でも落ち着かないようであれば……)本屋へ連れていき、「好
きな本を一冊なら買ってあげるよ。どんな本でもよいから選んでごらん」と話します。同じように
子どもがどんな本をもってきても、「おもしろそうだね」と言って、それをほめてあげます。
(6)方向性がわかれば、それに準じた本を与えるようにします。要するに教える側が、子ども
の世界に入るということです。

私の場合、もう15年ほど前ですが、毎週日曜日に、「読書クラブ」をつくり、毎週7〜8人の子
どもを連れて図書館通いをしました。しかしこの方法は、親には理解されず、「遊ぶに行く」と思
われ、評判はよくありませんでした。(実際、皆遊んでいましたが……。私も自分の好きな本を
読んでいました。)で、そのうち、一人二人と減り、結局1年半くらいでやめてしました。しかし本
好きにするには、これがベストの方法です。アメリカでも図書館のおける読書指導にたいへん
力を入れています。

さて集中力の問題ですが、疑ってみるべきは、「多動性児」の問題ですね。サイトのhttp://
www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/の「スクラップ」と、「中日新聞コラム」(http://www.chunichi-tokai.
co.jp/education/child_world/で読んでいただけます。

もし多動性児であれば、指導は、

(1)まずカルシウム、マグネシウム分の多い食生活にこころがけ、精神面での沈静化をねらい
ます。カルシウムを、リン酸化する、リン酸食品をひかえます。
(2)勉強時間を、きわめて短時間に集中させます。2分もたないなら、2分だけと決めてかかり
ます。そして間に、遊びをいれ、気が向いたらまた2分だけ学習をねらいます。その間は毅然と
した態度で臨み、それを繰り返します。
(3)本来なら、勉強はあきらめ、その分のエネルギーを運動面やほかの面に向けさせて、エネ
ルギーを消耗させたほうが、結局は子どもにとってもよい結果が出るようです。英語にも、「打
ち寄せる波は止めることはできない」ということわざがあります。無理をすれば、免疫性や抵抗
力をつけ、さらには勉強嫌いにしてしまいますから、注意してください。7歳の子ども(生徒さ
ん?)ということですので、もうそろそろ落ち着いてくると思います。この1〜2年が勝負です。

集中力と知能は表裏一体の関係にあります。知的能力の高い子どもは、人を寄せ付けない集
中力を見せます。言い換えると、知的能力を高める方法がないのと同じように、集中力をつけ
る方法はなく、結局は子どもの方向性を見極めながら、その方向性にそった指導をするしかな
いようです。そしてそこから徐々に、好奇心を利用して、集中力を引き出していく……。M君とい
う男の子がいました。小学3年生でした。ゲームの攻略本なら読むので、「ソルダックの防御力
を2倍にするには、どうすればいいか」「金バージョンと銀バージョンはどう違うか」という作文を
書かせたら、喜んで書いていました。

あまり参考にならないかもしれませんが、私の経験がお役にたてればうれしいです。では、失
礼します。


Q:学校の先生に問題があるが……

A:学校の先生の悪口、批判は、絶対に子どもの前ではしてはいけません。これは家庭教育の
大原則です。子どもが先生の悪口を言ったときも、「そうね」とか、「ママもそう思うわ」などと、
絶対に言ってはいけません。相槌を打てば打ったで、子どもは先生の指導に従わなくなるばか
りか、あなたの言葉は確実に先生に届きます。そうなればなったで、信頼関係は崩壊します。
もし問題があるなら、子どもとはまったく関係のない世界で処理します。


Q:中学校での期末試験が終わって、がっくりしました。ミスだらけです。どうしてでしょうか?

A:昔、私がはじめて英語を勉強したときのこと。家に帰って「バイシクル」という英語を読んで
みせたら、祖父は、「浩司が英語を読んだ」と、心底喜んでくれました。しかし今、そういう感激
が消えました。テストの点数が悪かったりすると、親は「何だ、この点数は!」と子どもを叱った
りします。あるいは「幼稚園のときから英会話教室へ行ったのに、ムダだった」と嘆いたりしま
す。しかしどうしてそんな残酷なことを、子どもに言うのですか。がんばったとは言えないまで
も、子どもは子どもで精一杯、やったのです。それにテストといっても、日本のテストは、「皆が
一〇〇点だと困る。差がつかないから。しかし皆が〇点だともっと困る。差がわからないから」
が基本です。仮に皆がよい点を取るようになったら、問題が難しくなるだけです。
 さて本論。「ミスだらけ」ということですが、それも「力」(?)のうちです。力というのは、どうしよ
うもない力という意味です。恐らく本人も、どうしてそんなにミスが多いかわからないでいるはず
です。言いかえると、そういう力を責めても意味はないということです。仮に責めたところで、ミ
スがなくなるということでもないのです。
 こういうケースでは、そのミスを一番悔しがっているのは、子ども自身ではないでしょうか。だ
ったら、ミスを責めるのではなく、また「どうして?」と悩むのではなく、子どもの立場で、「あなた
はあなたなりによくがんばったのよ。今度はミスにもう少し気をつけよう」と言うべきではないで
しょうか。こうした暖かい前向きな理解が、子どもを伸ばします。親子のきずなを深めます。 


Q:学校で落ち着きがないと、先生によく注意されます。

A:「落ち着きがない」原因は、いろいろ考えられます。心配なのは、多動性児ですが、ほかに
も、家庭崩壊で心の秩序をなくした子ども、活発型の遅進性が見られる子どもなどがいます。
最近気になるのは、「イメージが乱舞する子ども」です。映像文化の影響と私は考えています
が、詳しくは、中日新聞東海本社のコラムに書いておきましたので、お読みになってください。
トップページからアクセスできるようにしておきました。


Q:成績はまあまあですが、何ごとにつけ、そそっかしくて困ります。ミスが多いのが気になりま
す。

A:子どものもつエネルギーというか、バイタリティを大切にします。多少のミスよりも、子ども自
身が、達成感、満足感を味わうようにしむけます。こまかいことを言いつづけると、かえって自
信をなくしたり、萎縮したりします。ワークブックにしても、半分はお絵描きになってもよい。そん
なおおらかさが、子どもを伸ばします。子どもを萎縮させるものに、完ぺき主義、スパルタ主
義、極端主義があります。「極端主義」というのは、私が考えたものですが、ものの考え方が極
端になる主義をいいます。たとえば「やる」と決めたら、あれもこれも、やり、「やめる」と決めた
ら、すべてをやめてしまうという育て方をいいます。子どもの成長は大きな川の流れのようなも
のです。変化を与えるとしても、少しずつ、ていねいに与えます。急に変えようと無理をすれば
するほど、子ども自身のよさも奪ってしまいます。


Q:漢字の学習をやりたがらないので困っている。(小4男児をおもちのお母さん)

A: そもそも勉強というのは、いやなものです。私も女房がある会の役を務め、そのため書記
的な仕事を手伝っています。名簿を作成したり、会報を作ったり。で、そういう仕事というのは、
しばらくほうっておくと、すぐ山のようにたまります。で、私が自分のパソコンを使って、それを作
るのですが、これが結構めんどうですね。女房は「まだやってくれないの!」と怒りますが、自
分の時間をみつけるのがたいへんです。いや、結構ヒマなのですが、ヒマになればなったで、
自分のために楽しみたい……。
 子どもは学校で、約8時間の重労働を学校でしてきます。その上、家での宿題です。やりた
がらないのが、正常です。むしろ黙々と、従順に漢字の学習を続ける子どものほうが、心理的
に何らかの問題がある子どもとみます。小4でしたら、まだ勉強の必要性を理解できる年齢で
はありませんから、本人の自覚をまつしかないと思います。ただできれば、子どもに勉強を強
いるのではなく、おうちの方が一緒に座ってあげて、学習を楽しむというのはどうでしょうか。3
0分間一緒にすわってあげて、まあ10分、勉強らしきものをすれば、この時期、上出来です。
 メールによれば、「事務的なことが苦手な子ども」ということですが、実のところ私もそうで、お
子さんの気持ちがよ〜くわかります。
 まずいのは、学習を強制して、文字嫌いから国語嫌いや、作文嫌いにしてしまうことですね。
そうなれば、大失敗というもの。メールによれば、能力的、性格的には問題のないお子さんとい
うことですから、今しばらく、このままのドラマを続けられたらよいと思います。将来的には、漢
字など、いつでも取り返せますから。よそのお子さんは、皆、しっかりと学習していると思ってお
られるようですが、そんなことはありません。小4で、家で積極的に学習している子どもというの
は、10人に一人もいないと思ってください。「隣の芝生はよく見えるもの」です。
 このコーナーの「格言集」も、また参考にしてください。


Q:早期教育は必要ですか。小学校入学までに、どんなことをすればいいですか。

A:小学校でする勉強を、先取りするのが早期教育ではありません。幼児期には幼児期にすべ
きことが山のようにあります。早期教育というのは、将来に向かって、その基礎をつくる教育の
ことをいいます。たとえば「文字を教える」のではなく、「文字を好きにさせる」というのが、早期
教育です。これをまちがえると、かえって子どもの伸びる芽をつんでしまいますから、注意してく
ださい。


Q:習い事はどこまですればいいでしょうか。

A:習い事が問題ではなく、子どもの意思を確かめているかどうかが、問題です。子どもの意思
を聞きながら、決めます。ただ子どもは、お調子者ですから、先のことをあまり考えず、「やりた
い」とか、「する」とか言いますが、オーバーヒートさせないように、させるのがコツです。なお習
い事は一度に急にふやさないこと。またやめるときも、一度に急にやめないのがコツです。い
つか機会があれば、私の本を読んでみてください。そのあたりを詳しく書いておきました。