MARSを訪ねて

11月21日、MARS来訪のため、前日無理矢理東京に出張してきた私は、背広姿というおそらくテストプレイ者の中でも屈指のお堅い格好で東松戸駅に降り立った。
長かった・・・
方向音痴な上、地理に不慣れな私は途中反対方面行きの電車に乗りかかるという天然もののボケをしながらもここに定刻通りにたどり着くことができた。
 「おい、なにやってんだ」
感無量な私に、背後から声をかけてきたのは、上京時の定宿にして、高校時代からの友人の小林一俊(仮)である。 何故、こいつがこんな所にいるかというと、話は数日前に遡る。

 「でさ、今度の週末泊めて欲しいんだわ」
 「別に構わんが、何かあるのか」
 「いやー、桝田昇二さんわかるか?お前も好きなネクストキングを作った人だけど。」
 「ああ、もちろん」
 「その桝田さんが開発中の『俺の屍を越えてゆけ』のテストプレイをさせてもらえることになってな、前日仕事でそっちに行くから夜泊めて欲しいんだ。」
 「ふーーーん、で、いつだ。」
 「なにが」
 「そのテストプレイに行くの」
 「次の土曜日だけど?」
 「俺も行けないかなぁ、」
 「おいおい、駄目にきまってんだろ。」
 「見学だけでもいいからさぁ、頼むよ」
 「無理に決まってんだろ、俺だって何ヶ月か前に応募してやっとなんだからな」
 「駄目なら駄目でいいからさぁ。頼む。聞くだけでも聞いてみてくれよ」
 こうなるとこいつは折れないのだ。駄々っ子のようであるが仕方ない。
 長年のカリもあることだし、駄目もとで頼んでやるか
 「聞くだけだぞ、駄目だったら諦めろよ。」
 「おう。」
溜め息混じりに話す私に、小林は嬉々として答えたのだった。


その後、マーズにメールを入れてお願いしたところ、見学という事でご許可を頂き、お供としてこいつを連れてきていたのだ。
おそらく、テストプレイにお供を連れてきたのも私くらいなものだろう。

 「で、ここからどうするんだ?」
 「駅に着いたら、電話することになってる」
 「じゃ早くしろよ」
緊張しながら、マーズに電話をする。
マーズの長野さんに道順を聞き、意気揚々と歩き始める私達。
 「氷雨よう」
突然、辺りを見回していた小林が声をかけてきた。
 「なんか、この駅の周りって懐かしいよな。
 いや、ほら、俺らの高校の近くってこんな雰囲気だったじゃん」
 「そうだなぁ」
 「それに、俺が通ってた大学の近くもこんな感じだったんだ」
感慨深げに話す小林に私は
 「まだいいよ、コンビニあるんだから。実家や今住んでいるとこなんてコンビニすらないんだからな。俺から見れば十分都会さ」
なんて、話をしながら歩き続ける二人、
歩けども歩けども、依然として、それらしき建物は見えてこない。
 「おい、道間違えてんじゃねーの」
 「大丈夫だって。俺を信じろ」
それから暫く歩いて行くと
 「今朝もさ、いきなり走り出したかと思うと反対車線の電車に飛び乗ろうとするわ、乗り換え線間違えるわ。お前、自分が方向音痴だってわかってる?」
 「失礼だなぁ。いくら俺だって。駅を出て−以下割愛−と言う道くらいわかるわ。第一、右左間違えるか」
 「おれ、その建物ならさっき通り過ぎたと思うけどな・・・」
 「気のせいだって、もう少し先に行ってみようぜ」
またもや歩き出す二人。
 「やっぱさぁ・・・・」
坂を上っていたためか息が荒くなった小林が三度疑問を口にした
 「絶対違うって、」
事ここにいたり、強気だった私もさすがに道を間違えたらしいとおもい、近くの人に番地を確認する。
 「ああ、その番地ならずっと下の方だよ」
なにぃ〜ここまで来た俺の努力は
 「ほら見ろ、俺の言うこと聞かねぇから」
嘲るような小林の冷たい視線に耐えながらもと来た道を戻る。
そして、ようやく目指すマーズを発見したのであった。


挨拶をした後、
 「ずいぶん遅かったね」
桝田さんの言葉に
 「道に迷いました」
と答えるのが精一杯の私達でした。
つづく

 


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