3学期の授業録


使用教科書/『高等学校 新現代社会』第一学習社 (183・第一・現社013)

第44回 3年B組金八先生(第2シリーズ)「卒業式前の暴力」A
1981年に放送された3年B組金八先生「卒業式前の暴力」Aを視聴する。加藤優らは荒谷二中に乗り込み、校長らを放送室に監禁し、これまでのことについて謝罪を要求する。そして校長はこれまでのことを謝罪し、解放される。加藤らは警察に捕まり、金八先生たちは加藤らを返すよう警察に求める。金八先生シリーズでは名作中の名作。
第45回 どうする?少年法〜少年法の≪現在≫〜
問題行動をおこした少年たちはどうなるのであろうか?14歳以上に適用される少年法という法律によれば、家庭裁判所での審判を受けることになる。凶悪な場合には、検察庁に逆送され、通常の裁判を受けることもあるという。いずれにしても、少年法という法律は、人格的に未熟な少年を保護し、教育・指導によって更生させるという保護主義の立場に立っている。これは、前回見た金八先生の立場とも通じる見方である。しかしながら、このところ少年による凶悪事件が相次いでいるとし、少年たちを厳罰に処すべきだという世論も高まっている。少年たちによる事件を減らしていくためには、保護主義の立場を維持すべきなのか、あるいは厳罰に処すべきなのか、いま、その岐路に立っている。

『NHKスペシャル 少年院』、加藤好一『公民授業プリント 生徒のやる気をひきだす』(地歴社)

第46回 「加藤優」の誕生〜生存権〜

『NHKスペシャル ワーキングプア』『NHKスペシャル ワーキングプアU』(2006年放送)

第47回 「腐ったミカン」の方程式〜教育を受ける権利・前編〜

斎藤貴男『機会不平等』(文藝春秋)、斎藤貴男『教育改革と新自由主義』(寺子屋新書)、東京大学WEB(『学内広報1348』2005年学生生活実態調査の結果)

第48回 「加藤優」の再生産〜教育を受ける権利・後編〜

斎藤貴男『教育改革と新自由主義』(寺子屋新書)、斎藤貴男『機会不平等』文藝春秋

第49回 毒まんじゅうをくるむ甘い皮〜新しい人権〜
政府が「国民のみなさんに新しく「人権」を与えます、だから憲法を変えよう」なんて言っている。ジェファソンが言うように、ここは一度疑って見なくてはならないだろう。ねらいは何か、と。なぜなら、そもそも人権・権利を与えようという自民党のみなさんのこれまでの人権・権利に対する態度は、あまりにもヒドかったからだ。環境基本法制定時に「環境権」ということばを拒否したのは、どの政党だったか。情報公開法制定時に「知る権利」ということばを拒否したのは、誰だったか。いまさら、人権・権利を与えますなんて、ウラがあるに違いない。もう一つ。そもそも人権とは、お上から与えられるものではない。私たちが獲得するものである。その点も、忘れがちである。

愛敬浩二「『新しい人権』って必要なの?」(『い・ま・こ・そ・憲法』愛知憲法会議)、『法律時報VOL.7710』(日本評論社)、渡辺治『増補 憲法「改正」』旬報社

第50回 キミは人を裁けますか?〜裁判所と人権保障〜
2009年までに日本では裁判員制度が始まる。それは、重大な刑事事件を対象として、プロの裁判官3人とくじで選ばれた6人の裁判員の合計9人によって、裁判を行なうというものである。外国にも一般の人が裁判に参加する仕組みはある。日本の裁判員制度には、まだいくつもの課題があるが、その中で1点考えた。それは、憲法76条にあるように、裁判員がその良心・憲法・法律にのみ拘束されて、判断することができるのかという点である。このところ何でも厳罰にしようという傾向が強い。そのなかで、裁判員は、先入観や感情、マスコミによってつくられた情報などに左右されず、判断できるのであろうか。そこが裁判員制度の成否の鍵である。「裁判は復讐の場ではない」(ドラマ『あなたは人を裁けますか』)とは名言である。

最高裁判所WEB、日弁連WEB、森英樹『新版 主権者はきみだ』(岩波ジュニア新書)、浦部法穂・大久保史郎・森英樹『現代憲法講義1〔講義編〕』法律文化社、『NHKスペシャル あなたは人を裁けますか』

第51回 多数決で決めてはいけないこともある〜国会の運営と権限〜
安倍内閣は自民党の「数の力」に任せて、このところやりたい放題である。いまの国会は残念ながら民意を反映していない。なぜかといえば、10年ほど前、「政治改革」の名のもとで導入された小選挙区比例代表並立制に問題があるからである。この選挙システムの問題点を探りつつ、では、国民の投票によって選ばれた国会だからといって、何でも、どんな法律でもできるのか、という点を考えた。そもそも国会や内閣など権力を分けているのは、権力が「暴走」して、人権を侵害することもあるからである。ある意味、民主主義は暴走することもあるのである。その典型例がナチスである。だから、立憲主義の立場から、歯止めをかけるシステムが必要になるのである。

長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)、阪口正二郎「立憲主義の展望」(自由人権協会編『憲法の現在』信山社)、マガジン9条WEB、本秀紀「国民が主人公となる政治のしくみって?」(愛知憲法会議『い・ま・こ・そ・憲法』)、水島朝穂WEB「平和憲法のメッセージ」

第52回 首相は国民が直接選んだほうがいい?〜内閣と行政の民主化〜
先日、宮崎県知事選挙でそのまんま東こと、東国原英夫さんが当選した。予想外に好評である。一方、小泉首相が退陣し、安倍内閣が成立したが、支持率は月を追うごとに下がっている。両者の違いは、前者が県民が直接選んだ代表者であるが、後者は国民が直接に選んだ代表者ではないという点である。日本の首相を選ぶ仕組みはどうなっているのかを確認した後、では、首相は国民が直接選ぶべきなのかを考えた。ちなみに、イスラエルでは1996年に首相公選制を導入したものの、わずか5年で廃止した。なぜだろうか?

水島朝穂WEB「平和憲法のメッセージ」

第53回 憲法の「改正」?「制定」?〜憲法改正〜
日本国憲法には、改正のための手続きが述べられている。しかし、なんでもかんでも「改正」できるのだろうか?お化粧・整形程度ならば、まだ、その人といえるだろうが、心まで変わってしまったら、同一の人とは言えない。ところで、「国民投票」については憲法上定めがあるが、@投票権はだれにあるのか?、A「過半数」をどうとらえるのか?、B改正項目が複数ある場合は、一括方式でやるのか、逐条方式でやるのか、などなどまだ、課題が山積している。今年の国会の注目点はこの憲法改正手続き法案です。

芦部信喜『憲法 新版 補訂版』(岩波書店)、浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、森英樹『新版 主権者はきみだ』(岩波ジュニア新書)、水島朝穂『憲法「私」論』(小学館)

第54回 大切な一票、「私」のために〜憲法「改正」〜
1年を終えようとしているキミたちに、そして遠くない将来、憲法改正国民投票が行なわれ、一票を投じるかもしれないキミたちに、ぜひとも考えてほしい問題を提起して、1年間の授業の締めくくりとしたい。それは、憲法「改正」の問題。いま、政治家や財界から憲法「改正」の大合唱が聞こえる。安倍首相も先日の施政方針演説の中で、これまで歴代内閣が発言できなかった憲法「改正」について、初めて述べた。ところで、そもそも憲法とは何だったか。誰が憲法尊重擁護義務を負っているのか。いまの改憲論議の中で落ちているのは、その点である。そして、これまで人類は憲法に書かれた理念を実現しようと「努力」してきた。例えば、「平等」がそうである。現実に合わせてなくしましょうなどという動きはなかった。「平和」の問題は、ちがうのであろうか。大切な一票を、「私」のために使いたい。

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、水島朝穂『憲法「私」論』小学館、森英樹『国際協力と平和を考える50話』(岩波ジュニア新書)

第55回 ≪特論≫〜〜
学年末テスト

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