1学期の授業録


使用教科書/『高校 日本史A』実教出版 (7実教・日A002)
副教材/『地歴高等地図・最新版』帝国書院 (帝国・地図599)

第1回 キミは「戦争」を知っているか?〜プロローグ〜
2003年3月に「イラク戦争」がはじまった。1ヶ月あまりで「戦闘終結宣言」はでたものの、今でもイラクは「戦争」状態にある。それにともなって、日本国内では戦後の日本社会の仕組みを大きく変える動きが出てきた。これらの動きは日本を、日本の人びとをどこに連れて行こうとするのか?かつて日本が引き起こした戦争を分析の対象とし、考えていきたい。その他、授業の方法・評価方法について述べた。
第2回 下田からはじまる日本近代の歴史〜開国と社会の変動〜
1853年、ペリーが浦賀にやってきた。当時の人びとは好奇のまなざしで黒船を見物に出かける。そして、国交のない日本とアメリカとがお互いに発砲・交戦ではなく話し合いでもって、日米和親条約を結んだ。ペリーが来たころの世界情勢を考えれば、きわめて特殊な事例である。アジアは欧米列強の植民地となり、侵略されていたからだ。幕府も一歩対応を間違えれば、戦争となり、植民地となったかもしれない。交渉の過程、そしてアメリカ人と下田の人びととの交流について史料を読んだ。今、国交のない北朝鮮と、わたしたちはどう向き合うべきだろうか?

加藤祐三『黒船異変〜ペリーの挑戦〜』(岩波新書)、田中彰『明治維新 日本の歴史【7】』(岩波ジュニア新書)、児玉幸多・大石慎三郎編『日本歴史の視点3 近世』(日本書籍)、ペルリ提督『日本遠征記(四)』(岩波文庫)、下田市史編纂委員会編『図説 下田市史 増補版』、了泉寺宝物館編『幕末異文化交流下田絵巻 黒船』

第3回 近代日本のモデル探しの旅〜明治維新〜
1871年、岩倉使節団が出航した。それは、新しい国づくりのためにさまざまな国を調査・研究するためである。帰国後、久米邦武は『米欧回覧実記』を著し、アメリカ、イギリスといった≪大国≫やベルギー、オランダなどの≪小国≫への関心をあらわす。岩倉使節団帰国後の大久保利通政権は、「富国強兵」「殖産興業」をスローガンとして掲げ、ドイツをモデルとした≪大国≫路線を選択することになる。大久保とともに岩倉使節団に随行した中江兆民は、大久保の路線に対して≪小国≫路線の立場から批判をした。

田中彰『小国主義―日本の近代を読みなおすー』(岩波新書)、田中彰『明治維新 日本の歴史【7】』(岩波ジュニア新書)、樋口陽一『自由と国家―いま「憲法」のもつ意味―』(岩波新書)、鹿野政直『近代国家を構想した思想家たち』(岩波ジュニア新書)

第4回 「生き血」を採られる?〜富国強兵と地租改正〜
世界各地でいま、デモが起きている。アメリカ、フランス、南米。そして日本の高校生も。校則が厳しくなったことに対して、生徒が校庭に座り込んだそうだ(2006/4/18)。デモは、権力の「暴走」に対する異議申し立てである。さて明治時代。学制、徴兵令、地租改正条例と矢継ぎ早に改革の嵐。ふつうの人びとにとっては江戸時代と生活は変わらない。いや、むしろ負担増である。権力の「暴走」である。これに対して、学校襲撃、血税一揆、地租改正反対一揆と異議申し立てをし、かろうじて地租が3%から2.5%となった。

佐々木克「開化政策と民衆」『歴史でみる日本』(2001年・2004年度放送)、戸井昌造『戦争案内 ぼくは20歳だった』(晶文社)、大江志乃夫『徴兵制』(岩波新書)、原田敬一『国民軍の神話〜兵士になるということ〜』吉川弘文館

第5回 明治の憲法草案と日本国憲法〜自由民権のめばえ〜
現在の改憲論のなかで、「日本国憲法はGHQに押し付けられたので、日本人自身の手で新しい憲法をつくろう」と、日本国憲法が日本の人びとの意思を反映していないかのような議論がある。果たしてそれは本当だろうか?明治時代におきた自由民権運動のなかでつくられた数多くの私擬憲法のうち植木枝盛の『日本国国憲案』をとりあげ、現在の日本国憲法と比較してみたい。すると、よく似ていることが分かる。日本国憲法には、自由民権の「血」が流れているのである。

水島朝穂「憲法再入門U 憲法が注目される時代を考える」(『司法書士』2004.3)、樋口陽一『自由と国家―いま「憲法」のもつ意味―』(岩波新書)、樋口陽一『個人と国家―今なぜ立憲主義か』(集英社新書)、『週刊朝日百科・日本の歴史100 自由・民権・国権』(朝日新聞社)、戦中生まれの女たちによる「九条の会」WEB

第6回 「ただ苦笑するのみ」〜大日本帝国憲法の制定〜
大日本帝国憲法が発布されたとき、それを通読した民権派の中江兆民は「ただ苦笑するのみ」であった。なぜか?完成した大日本帝国憲法と民権派が求めた憲法とを比較して検討した。大日本帝国憲法は、「憲法」と称しながら、権力を拘束し人権を保障するものではなく、その逆であった(外見的立憲主義)。しかし中江兆民は「ただ苦笑するのみ」であっただけではない。「恩賜的民権」を「恢復的民権」に組み替える論理をもっていた。日本国憲法下に生きるワタシたちはいかが?

樋口陽一『先人たちの「憲法」観―“個人”と“国体”の間―』(岩波ブックレット)、『週刊朝日百科102 伊藤博文と田中正造』(朝日新聞社)、田中彰『日本の歴史7 明治維新』(岩波ジュニア新書)、樋口陽一『自由と国家―いま「憲法」のもつ意味―』(岩波新書)、樋口陽一『個人と国家―今なぜ立憲主義か』(集英社新書)

第7回 「愛国心」の果てに…〜天皇制と教育〜
少年犯罪の増加、学力低下の原因は教育基本法にあるとして、教育基本法の「改正」案が国会に上程された。そして「愛国心」(表現は違うものの結局は「愛国心」)を組み込もうとしている。戦前の教育では「愛国心」が徹底的に鼓舞された。結果として、どのような子どもたちが育てられたのだろうか?戦争の経験を経て教育基本法は制定されたのである。「愛国心」を組み込もうとしている人びとは北朝鮮の教育を批判するものの、やろうとしていることは北朝鮮と同じである。某都知事はその典型である。

山中恒『子どもたちの太平洋戦争〜国民学校の時代〜』(岩波新書)、藤原彰・吉田裕・伊藤悟・功刀俊洋『天皇の昭和史』(新日本新書)、安川寿之輔『十五年戦争と教育』(新日本出版社)、安川寿之輔『大学教育の革新と実践〜変革の主体形成〜』(新評論)

第8回 ≪修学旅行特論@≫もう一つのヒロシマ〜日清戦争〜
ヒロシマというと被爆地というイメージがある。正しい認識だ。しかしもう一歩深めて、なぜヒロシマが被爆地になったのかということを考えたい。すると、ヒロシマのもう一つの顔が見えてくる。それは、軍都としての顔である。ヒロシマを繰り返すなという「ノーモア・ヒロシマ」ということばには、@核兵器を廃絶せよ!という被害者としてのヒロシマの叫び声と、A侵略戦争と軍隊の象徴ヒロシマを繰り返すな!という加害者としてのヒロシマの叫び声が混じっているのである。

広島平和記念資料館WEB SITE、広島平和記念資料館バーチャル・ミュージアムWEB、HIROSHIMA PEACE SITE、中国新聞WEB、水島朝穂編『ヒロシマと憲法〔第4版〕』(法律文化社)、荒井信一『戦争責任論 現代史からの問い』(岩波書店)、山田朗『軍備拡張の近代史 日本軍の膨張と崩壊』(吉川弘文館)

第9回 ≪校外学習≫忠魂碑はなにを語るのか?〜日露戦争〜
清工のそばに秋葉神社があり、そこには立派な「忠魂碑」がある。これは日露戦争後につくられたものである。このような立派な碑をたててもらった遺族はどのような気持ちになるのだろうか? しかし実際、戦死者をだした遺族の気持ちはそんなものじゃないはず。そこに忠魂碑の≪感情の錬金術≫(高橋哲哉)としての役割が存在する。戦死者やその遺族に対してこれほど手厚い支援をする背後にはねらいがある。それは……。忠魂碑と同じ役割を果たしたものが、東京の靖国神社であり、各県の護国神社である。

原田敬一「日本近代の戦争認識と戦没者祭祀〜国家と民衆」『講座戦争と現代3近代日本の戦争をどう見るか』(大月書店)、荒川章二『軍隊と地域』(青木書店)、原田敬一『国民軍の神話〜兵士になるということ〜』(吉川弘文館)、大江志乃夫『徴兵制』(岩波新書)、田中伸尚・田中宏・波田永実『遺族と戦後』(岩波新書)、高橋哲哉『靖国問題』(ちくま新書)、山田朗『軍備拡張の近代史 日本軍の膨張と崩壊』(吉川弘文館)

第10回 「竹島(独島)問題」を考える〜朝鮮の植民地化〜
今回も時期としては日露戦争の時期を扱う。日本と韓国とのあいだで領有権をめぐって問題になっている「竹島(韓国名・独島)」。それぞれの言い分を聞いてみると、1905年がポイントになってきそうだ。この年に、日本は閣議で竹島と命名し、島根県に編入したのである。この時期前後の日本と韓国との関係に注目し、「竹島問題」の解決の方法を考えた。日本と韓国という国と国との関係は冷え切っているが、「平和を愛する諸国民」の関係は決して悪くはない。ここが問題をかかえる日韓関係を改善していくポイントになるのではないだろうか?

外務省WEB、海野福寿『韓国併合』(岩波新書)、『週刊朝日百科・日本の歴史108 植民地 内と外』(朝日新聞社)、内藤正中「竹島は日本固有領土か」『世界 740』(岩波書店)、高崎宗司「歴史問題を軽視してはならない」『世界 739』(岩波書店)、水島朝穂『憲法「私」論』小学館

中間テスト
第11回 テスト返却、NHK朝の連続テレビ小説『おしん』(少女編、第1回)の視聴
前半にテスト返却。後半30分あまり、1983年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説『おしん』の総集編(少女編)の第1回をみる。涙ぐむ生徒の姿があちこちで見られた。
第12回 『おしん』の世界〜産業革命と社会問題・前編〜
前回見た『おしん』のおしんは明治時代に幼少期を過ごした。明治に幼少期を過ごした女性のなかには、生糸生産に携わった女性の少なくない。山本茂実さんの『あぁ 野麦峠』を読みながら、生糸を生産するとはどういうことかを学習した。なかでも低賃金のカラクリを学んだ。この話は、「昔話」ではなく、現在、大企業を中心に行なわれる能力給制(成果主義)にも見られるし、さらに日本の大企業が海外展開するにしたがって、中国や東南アジアにも「おしん的世界」は広がっているのである。本当は、映画を見たいのだが、見つからないのです。どなたか知りません?生糸と繭の実物を提示した。

山本茂実『あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史』(角川文庫)、中村政則『労働者と農民 日本近代をささえた人々』(小学館ライブラリー)、森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書)、岡谷市教育委員会『ふるさとの歴史 製糸業・岡谷製糸業の展開〜農村から近代工業都市への道〜』

第13回 生糸と軍艦〜産業革命と社会問題・後編〜
前回に続き、山本茂実さんの『あぁ 野麦峠』を読み、女工たちの労働について考えた。長い労働時間、貧しい食事、安い賃金など「悪条件」の下で働く女工たちは、意外なほどに「行ってよかった」という反応がある。なぜだろうか?日本の農村の貧しさがみえる。この生糸を外国に売って、ゼニを稼いでいた。そしてそれが、軍艦へと変わるのだ。しかも、日本はアメリカに対してもっとも多く輸出していた。日本は経済的にアメリカに依存し、その依存によって軍事大国として自立していた。もしアメリカと対立し、日本のモノを買ってくれないとなれば、その時日本は…。なお、『あぁ 野麦峠』の映画のパンフレット(東京の古本屋で購入)を提示。

山本茂実『あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史』(角川文庫)、中村政則『労働者と農民 日本近代をささえた人々』(小学館ライブラリー)、江口圭一『十五年戦争小史・新版』(青木書店)、富士市立博物館『第35回企画展 夢を紡いだ時代〜旧富士郡下の蚕糸業とその周辺〜』、岡谷市教育委員会『ふるさとの歴史 製糸業・岡谷製糸業の展開〜農村から近代工業都市への道〜』

第14回 興津と平和を愛した西園寺公望@〜第1次世界大戦〜
先日、興津に坐漁荘が復元された。そこの主人は、アメリカ・イギリスとの協調を重視し、平和を求めた老人が暮らしていた。西園寺公望である。彼は、明治末、2度内閣総理大臣となり、元老となり、日本を動かしていた。史上初めて「総力戦」となった第一次世界大戦後、平和を求める国際世論を背景に、パリ講和会議が開かれ、西園寺も日本の全権として参加する。そして、国際連盟が設立される。1928年には、パリ不戦条約も結ばれ、西園寺の支持もあって、日本はこれを批准する。西園寺のこうした行動の背景にあったものは、一体何だったのであろうか?

岩井忠熊『西園寺公望〜最後の元老〜』(岩波新書)、江口圭一『大系日本の歴史14 二つの大戦』(小学館ライブラリー)、浦部法穂『憲法学教室 全訂第2版』(日本評論社)、『朝日クロニクル 週刊20世紀 1913〜14』(朝日新聞社)、『朝日クロニクル 週刊20世紀 1915〜16』(朝日新聞社)

第15回 「大韓独立万歳」〜アジアの民族独立運動〜
近代に入って、日本の人びとは中国や朝鮮の人々に対して差別・蔑視の感情を抱くようになる。その背景には福沢諭吉の「脱亜論」があった。そして、日清・日露戦争を通じて朝鮮半島の植民地化をすすめていった。しかし第1次世界大戦後の「民族自決」の潮流は朝鮮半島にも及び、「大韓独立万歳」を叫ぶ朝鮮民衆の声は朝鮮半島全域をおおった。こうした朝鮮半島における「民族自決」に対し、当時の日本人は「暴徒」による「暴動」としかみなかった。しかしながら、石橋湛山のような認識を示した人もわずかながらにいた。

安川寿之輔『福沢諭吉のアジア認識〜日本近代史像をとらえ返す〜』(高文研)、日中韓3国共通歴史教材委員会『未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史』(高文研)、歴史教育者協議会編集『歴史地理教育 2005年3月増刊号』、鹿野政直『近代国家を構想した思想家たち』(岩波ジュニア新書)、韓国独立記念館WEB

第16回 ≪特論≫兵器はなにを壊すのか?〜科学技術と戦争〜
『授業ノート』をみていたら、「人を殺す兵器はまずいけど、人を倒す兵器なら」という記述をみた。ここでいう「倒す」とは、おそらく「殺さない」という意味であると思われる。第1次世界大戦では、新兵器がたくさん登場し、戦争の方法も大きく変わった。そして、人を殺さず負傷させる目的で作られた対人地雷も第2次世界大戦後、現在に至るまで使われている。対人地雷で被害にあい障害者となった人びとは一般に貧しい。かれらはその後、どうやって生きていくのだろうか?また、兵器の使用は加害者にもココロの病を残す。VTRをたくさん見た。

NHKスペシャル『映像の世紀 第2集 大量殺戮の完成』、NHKスペシャル『世紀を越えて 地雷・無差別兵器の残酷』、NHKスペシャル『世紀を越えて トラウマ』、森住卓『イラク 湾岸戦争の子どもたち』(高文研)、森住卓『イラク 占領と核汚染』(高文研)、長有紀枝『地雷問題ハンドブック』(自由国民社)、静岡平和資料館をつくる会『子どもたちに知ってほしい悪魔の兵器『対人地雷』』

第17回 「豊かさ」のための人類の知恵〜人権の発展〜
村上ファンドの村上氏は「金もうけは悪いことですか」と記者会見で述べた。17-18世紀の市民革命で「自由」を獲得した一部の人びとは、「自由」のもとで利益追求のために植民地獲得競争をした。その結果、「自由」でない多くの人びとに「不自由」をもたらした。労働問題、環境問題、第1次世界大戦…。1917年、レーニンは「資本主義社会には、お金持ちだけのための、少数者だけのための、切り縮められた、にせものの民主主義がある」と言って、ロシア革命をおこし、最初の社会主義国ソ連をつくった。その衝撃は敗戦国ドイツを襲い、ドイツでは1919年にワイマール憲法を制定した。そこには、「勝ち組」の「自由」の制限・規制と「負け組」への国家の介入が認められた。村上氏の発言は、まるで19世紀末の列強のことばである。

杉原泰雄『人権の歴史』(岩波書店)、浜林正夫『民主主義の世界史 「殺しあい」から「話しあい」へ』(地歴社)、浦部法穂『憲法学教室 全訂第2版』(日本評論社)、杉原泰雄編『講座・憲法学の基礎 第5巻 市民憲法史』(勁草書房)、森英樹「いま、憲法の魂を守るために」、NHKスペシャル『映像の世紀 第2集 大量殺戮の完成』

第18回 自由民権運動の「地下水脈」〜大正デモクラシー〜
大正時代には、生活の面において、現在につながる文化が登場した。その背景にあったのは、「大正デモクラシー」である。自由民権運動の結果としてできた大日本帝国憲法は、欧米の憲法と異なり、権力を規制する憲法ではなく、人びとを拘束する憲法であった。しかし、その問題点の多い帝国憲法を、東京帝国大学にいた吉野作造や美濃部達吉が民主主義的、自由主義的に「読み直し」た。しかし、この「大正デモクラシー」も、「普通」選挙法と治安維持法によって「挫折」させられた。政治に人びとの声が反映するようになったのは、結局、戦後まで待たねばならなかった。

加藤好一『歴史授業プリント・下』(地歴社)、樋口陽一『自由と国家―いま「憲法」のもつ意味―』(岩波新書)、鹿野政直『近代国家を構想した思想家たち』(岩波ジュニア新書)、田中彰『小国主義―日本近代を読みなおす―』岩波新書

第19回 よみがえる治安維持法〜普選法と治安維持法〜
6月半ばに会期末を迎えた今国会では、戦後日本のあり方を変える重要な法案が審議され始めた。その一つに「共謀罪」がある。これまで何度も国会に提出され廃案になってきた法律で、今国会でも、反対の声が強く、継続審議となった。なぜ「共謀罪」に反対するのかを考えた。そのヒントとなるのが、戦前の「治安維持法」である。治安維持法は、当初、共産主義者を取り締まるためにつくられたが、のちに法の拡大解釈が繰り返され、それ以外の人が次々と捕まった。そして、マスコミをはじめとして誰も、何も言えなくなってしまい、戦争への道が切り開かれた。さて、「共謀罪」。テロを念頭に、犯罪の組織化と国際化に対応するためというが…。ただの話し合いが犯罪になる世の中が来るかもしれない。

由井正臣『大日本帝国の時代 日本の歴史【8】』(岩波ジュニア新書)、『朝日クロニクル 週刊20世紀 1923年』『朝日クロニクル 週刊20世紀 1933年』(朝日新聞社)、日弁連WEB、国立科学博物館地震資料室WEB

第20回 夏期課題について
前回の補足と夏休みの課題について説明をしました。しっかり取り組みましょう。力作を待つ!
期末テスト

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