2学期の授業録
使用教科書/『高等学校 新現代社会 改訂版』清水書院(清水・現社517)
授業の方法
3単位の授業。授業を2本立てで行なう。
*理論編=基本的に教科書の内容を学習する。テーマとしては「人間らしく(自分らしく)豊かに生きることを考える」。内容的には「労働と経済」→「法と人権」→「青年期」で1年間授業を行なう。
*実態分析編=週の最後の授業は、「新聞を読み、分析し、発信する」というテーマで行なう。2学期は「新聞を分析し、発信する」ことを主眼に置き、「新聞切り貼り作品コンクール」(中日新聞社主催)に応募する作品を作成する。
第35回 | 3年B組金八先生(第2シリーズ)「卒業式前の暴力」A | |
1981年に放送された3年B組金八先生「卒業式前の暴力」Aを視聴する。加藤優らは荒谷二中に乗り込み、校長らを放送室に監禁し、これまでのことについて謝罪を要求する。そして校長はこれまでのことを謝罪し、解放される。加藤らは警察に捕まり、金八先生たちは加藤らを返すよう警察に求める。金八先生シリーズでは名作中の名作。 | ||
VTR・3年B組金八先生「卒業式前の暴力」A | ||
第36回 | 権利のための闘争〜個人の尊重と人権保障〜 | |
浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、イェーリング『権利のための闘争』(岩波書店)、古沢保『3年B組金八先生 卒業アルバム 桜中学20年の歩み』(同文書院) |
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第37回 | 腐ったミカンの方程式〜法の下の平等@〜 | |
「腐ったミカン」は放り出せというのが、荒谷二中の論理であった。 | ||
浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、水島朝穂編『知らないと危ない「有事法制」』(現代人文社)、斎藤貴男『安心のファシズム』(岩波新書)、佐藤学『習熟度別指導の何が問題か』(岩波書店)、「蘇れ!加藤優」のweb |
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第38回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するA | |
2学期の≪実態分析編≫の授業は、中日新聞社主催の「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するための作品をつくることを課題とします。今回は、各グループごと新聞を読みあい、テーマに沿う記事を集めた。2次企画書を来週末までに提出してください。 | ||
第39回 | 命の重さに軽重はあるのか?〜法の下の平等A〜 | |
Xは実父Yを殺害した。このとき、旧刑法では200条の尊属殺人で裁かれ、死刑か無期懲役しかない。しかし、一般の殺人は199条で裁かれ、死刑、無期、3年以上の懲役となる。尊属を殺すことと他人を殺すことは違うのか?法の下の平等をめぐって、裁判が行われた。最高裁判決は、刑罰に著しく不合理な差別的取扱いがあり違憲であると判断した。裁判官の中には、尊属殺人と一般殺人とで差を設けること自体が違憲であるとしたものもいる。前回と今回と平等を扱ったが、近頃、戦後日本の基本理念である「平和」と「平等」が崩れつつある。 | ||
芦部信喜編『法セミBOOKS 1 判例ハンドブック 憲法〔第2版〕』(日本評論社)、浦部法穂・大久保史郎・森英樹『現代憲法講義1〔講義編〕』(法律文化社)、浦部法穂『入門 憲法ゼミナール・改訂版』(実務教育出版) |
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第40回 | 中学生による権利のための闘争〜精神の自由〜 | |
九州では、丸刈り校則をもつ中学校がまだたくさん残っている。Xはこれに抵抗して、3年間普通の髪型で通した。そしてXは髪型は思想の表現だといって裁判所に訴えた。はたして、そうなのか?判例を通じて学習した。表現の自由は、思想・良心の自由とは異なり、内在的制約が存在する。が、髪型はだれの人権を侵すのだろうか? | ||
中村睦男「丸刈り校則裁判」(『別冊ジュリスト118 教育判例百選(第3版)』)、浪本勝年・箱田英子・岩崎政孝・吉岡睦子・船木正文『教育判例ガイド』(有斐閣)、浦部法穂・大久保史郎・森英樹『現代憲法講義1〔講義編〕』(法律文化社)、浦部法穂『入門 憲法ゼミナール・改訂版』(実務教育出版) |
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第41回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するB | |
今回も引き続き、各グループごと新聞を読みあい、テーマに沿う記事を集めた。2次企画書を今週末までに提出してください。 | ||
第42回 | 罪と罰〜人身の自由〜 | |
9月14日、大阪教育大付属池田小学校で2001年、児童8人を殺害、教師を含む15人に重軽傷を負わせた宅間守死刑囚の死刑が執行された。新聞記事を読みながら、宅間守死刑囚を死刑にすべきであるかどうか、を考えた。そもそも刑罰はいったい何のために科すのか。「人間の性根が腐りきってしまうことなんか、絶対にありえないんです!」(金八先生)であるならば、教育によって更生への道も考えられるのではないだろうか。 | ||
初宿正典・高橋正俊・米沢広一・棟居快行『いちばんやさしい憲法入門』(有斐閣アルマ)、菊田幸一『新版 死刑〜その虚構と不条理』(明石書店)、菊田幸一『<改訂版>死刑廃止を考える』(岩波ブックレット306)、「蘇れ!加藤優」のweb |
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第43回 | 権力による「暴走」がはじまるとき〜経済活動の自由〜 | |
有事法制。「公共の福祉」による人権制限もありうると、福田官房長官(当時)はいう。さて、なんでも「公共の福祉」によって制限することはできるのだろうか?日本国憲法の「公共の福祉」ということばを分析した。自由権の中では経済活動のみに「公共の福祉」による制限がある。それは、「自由に儲ける」ことの弊害がでてきたために制限をかけたのだ。なんでもかんでも「公共の福祉」でもって人権制限するのは、国家権力による「暴走」といわざるをえない。 | ||
浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、水島朝穂編『知らないと危ない「有事法制」』(現代人文社)、浅井基文『戦争する国しない国』(青木書店)、斎藤貴男『教育改革と新自由主義』(寺子屋新書) |
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第44回 | 「クーラーはぜいたく」?〜生存権〜 | |
1994年9月6日付けの『毎日新聞』に、埼玉県桶川市で「クーラーは、生活保護家庭にはぜいたく品」として、市の指導によってクーラーを取り外させられたあと、79歳の一人暮らしの女性が脱水症状をひきおこし、病院に運ばれたという事件がおきた。この事件を憲法25条との関係で見た。これまでの平等権・自由権と生存権などの社会権とは性格が異なる。平等権・自由権は国家権力の排除を求めたのに対し、社会権は国家権力の介入を求めた20世紀に入ってからの人権である。生存権以外にも労働権、教育を受ける権利についても扱いたかったが、パソコンが壊れ、新しい授業ができない。 | ||
初宿正典・高橋正俊・米沢広一・棟居快行『いちばんやさしい憲法入門』(有斐閣アルマ)、浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社) |
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第45回 | 人権とは人びとの「叫び声」〜新しい人権〜 | |
国鉄時代のこと。禁煙車両はなかった。非喫煙者は、禁煙車両を半数以上設置することと、タバコの煙の害による損害賠償を求めて、裁判をおこした。根拠として憲法13条の「幸福追求権」である。この裁判を通じて「嫌煙権」が世に知られるようになった。憲法には一々書いていなくても、憲法13条をもとに「新しい人権」が導き出される。その点で憲法13条は「ドラえもんもポケット」とでもいえそうだ。しかし、「秘密道具」の使い方には注意しなければならない。 | ||
『基本的人権の事件簿』(有斐閣選書)、江橋崇「列車内における喫煙の禁止」『憲法判例百選T〔第2版〕』(有斐閣)、浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、『愛知憲法通信』(390、2004年9月) |
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第46回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するC | |
2次企画書が出たので、次はレイアウトを考えよう。自分たちの考えを分かってもらうために、どのように表現するか、しっかり考えよう。この構想が大事。また同時に関連記事の収集に当たった。 | ||
第47回 | こころの構造を読み解く〜フロイトの場合@〜 | |
憲法学習は前回で終了。基本的な考え方は押さえたので、もう十分でしょう。今回から倫理的な内容を扱う。今回からしばらくフロイトの考えを紹介する。フロイトは、こころを意識・前意識・無意識に分け、私たちが自分の無意識を探る方法として、@錯誤行為、A夢、Bこころの病があるといいます。単純な言い間違えや度忘れにも意味があるのです。 | ||
八重島建二他『現代心理学』(培風館)、鎌原雅彦・竹綱誠一郎『やさしい教育心理学』(有斐閣アルマ)、NHK教育「知への旅・20世紀の伝導者・フロイト」、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房)、小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』(講談社現代新書) |
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第48回 | 異性の親へのあこがれ〜フロイトの場合A〜 | |
今回は無意識に抑圧され「記憶にない」ことをお話します(?)。私たちの愛の原型は、異性の親であり、繰り返しそれを求めます。青年期にあるみなさんは「エー!!」というかもしれません。でも子どものころ、キミたちはこころの中で葛藤していたのですよ。異性の親が大好きなんだけれど、同性の親には憎しみをもっていた。エディプス・コンプレックスです。これを多くの人は、知らない間に解消してきました。でも、解消できない人もいるのです。 | ||
八重島建二他『現代心理学』(培風館)、鎌原雅彦・竹綱誠一郎『やさしい教育心理学』(有斐閣アルマ)、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房)、小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』(講談社現代新書) |
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第49回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するD | |
引き続きレイアウトを考えた。しっかり構想を練ろう。完成したグループは、いよいよ模造紙に作業をします。模造紙を渡されたら、補強のために、まず裏打ちをします。 | ||
第50回 | こころを動かすエネルギーは性欲〜フロイトの場合B〜 | |
どのようにこころは発達し、人格が形成されるのだろうか? フロイトの考えを紹介した。フロイトは幼少期の経験が人格形成の上で重要であることを主張した。口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期と発達段階を分けたが、それぞれの段階で問題があると、その人の人格に大きな影響を与えるのである。 | ||
菅佐和子・高石浩一・名取琢自・高月玲子・橋本やよい『臨床心理学の世界』(有斐閣アルマ)、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房)、小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』(講談社現代新書) |
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第51回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するE | |
ほとんどのグループに模造紙を渡し、裏打ちの作業に入りました。もう下書きをしているところも。 | ||
中間テスト | ||
第52回 | テストを返却しました。その後、「新聞切り抜き作品」作成に取り掛かりました。 | |
第53回 | キミが今、なすべきことは?〜エリクソンの場合〜 | |
今の日本は非常に「豊か」である。しかし「生き辛さ」を感じ、自殺する若者も少なくない。なぜか?こころの発達という観点から、人格がどのように形作られるのか考えた。今回は、エリクソンという精神分析学者を例に取り上げた。エリクソンは、フロイトの考えをベースにし、人生最初の時期を重視しているが、幼児期の経験をのちにどのように受け取り直し、組み直すのかという視点を取り入れている。 | ||
八重島建二他『現代心理学』(培風館)、鎌原雅彦・竹綱誠一郎『やさしい教育心理学』(有斐閣アルマ)、谷冬彦・宮下一博編著『さまよえる青少年の心』(北大路書房)、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房)、斎藤環『NHK人間講座 若者の心のSOS』(日本放送出版協会) |
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第54回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するF | |
下書きをしました。なんだかんだで、もう7回目。授業でやるのは、残すところあと2回だけですよ。 | ||
第55回 | つながりたい心〜青年期の友人関係〜 | |
青年期に入ると親から離れ、その代わりに友人、とくに同性同年輩の仲間集団が力になる。またニューモデルが大きな意味をもつ。彼らの中に自分の理想像を見つけたり相談に乗ってもらったりすることは、キミたちの年代の人びとには大きな心理的意味がある。仲間集団をつくり、そこに所属し、対人関係をつくるとこはアイデンティティの確立にたいへん有益なことである。 | ||
斎藤環『NHK人間講座 若者の心のSOS』(日本放送出版協会)、斎藤環『若者のすべて ひきこもり系VSじぶん探し系』(PHP)、NHK放送文化研究所編『NHK中学生・高校生の生活と意識調査』(NHK出版) |
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第56回 | 好きになる気持ち〜青年の恋愛行動@〜 | |
異性にしても、同性にしても誰かを好きになるということは、青年期の人たちにとって人格形成の上で重大な問題である。青年(女性ももちろん含んでいます)の恋愛行動について、社会心理学的な立場からしばらく考えたい。今回は、「からくりテレビ」の昌平くんとミハヤちゃんの事例を見ながら、なぜ好きということが大事なのかを考えた。 | ||
長田雅喜「対人魅力の研究と愛の問題」(『心理学評論』Vol.33、No.3)、八重島建二他『現代心理学』(培風館)、松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、さんまのスーパーからくりテレビ |
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第57回 | 好意をもつ相手は「成果」が大きい人〜青年の恋愛行動A〜 | |
人は、どのような他者に好意を抱くのか。(1)空間的接近、(2)態度の類似性、(3)他者からの評価、(4)身体的魅力が大きいようである。なぜこれらのことと好意が結びつくのか。その理論的説明として、社会的交換理論を紹介した。これによれば、私たちは自分にできるだけ多くの報酬または成果をもたらす他者に好意を抱くようである。 | ||
長田雅喜「対人魅力の研究と愛の問題」(『心理学評論』Vol.33、No.3)、八重島建二他『現代心理学』(培風館)、松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房) |
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第58回 | 恋のかたち〜青年の恋愛行動B〜 | |
まずLETS-2をやってもらい、カナダの心理学者リーによる異性愛の類型を紹介した。リーによれば、愛は「ルダス」「プラグマ」「ストーゲイ」「アガペー」「エロス」「マニア」の6種類に分類される、という。彼の恋愛の色彩理論では、類型どうしの位置関係も重要であることを紹介した。リーに対する批判はあるものの、多くの研究者の関心をよんだ。 | ||
松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社) | ||
第59回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するG | |
下書きをしました。 | ||
第60回 | 親しくなるということ〜青年の恋愛行動C〜 | |
松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、土田昭司編『対人行動の社会心理学』(北大路書房)、吉田俊和・松原敏浩編『社会心理学 個人と集団の理解』(ナカニシヤ)、長田雅喜編『対人関係の社会心理学』(福村出版) |
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第61回 | 親しみのコミュニケーション〜青年の恋愛行動D〜 | |
松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、大坊郁夫『しぐさのコミュニケーション』(サイエンス社)、土田昭司編集『対人行動の社会心理学』(北大路書房)、齊藤勇『仕事・恋愛・人間関係 心理分析ができる本』(三笠書房)、大坊郁夫編著『わたしそしてわれわれ ミレニアムバージョン』(北大路書房) |
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第62回 | 笑顔は幸福な人生のパスポート〜青年の恋愛行動E〜 | |
原島博『顔学への招待』(岩波書店)、大坊郁夫『しぐさのコミュニケーション』(サイエンス社)、大坊郁夫編集『化粧行動の社会心理学』(北大路書房)、日本顔学会web、『発掘!あるある大事典』web |
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第63回 | 愛するふたり、別れるふたり〜青年の恋愛行動F〜 | |
松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、土田昭司編『対人行動の社会心理学』(北大路書房) |
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第64回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するH | |
下書き・清書をしました。 | ||
第65回 | Like or Love〜青年の恋愛行動G〜 | |
長田雅喜「対人魅力の研究と愛の問題」(『心理学評論』Vol.33、No.3)、松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社) |
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第66回 | ≪特論≫失恋からの立ち直り〜青年の恋愛行動H〜 | |
松井豊『恋ごころの科学』(サイエンス社)、土田昭司編『対人行動の社会心理学』(北大路書房) |
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第67回 | ≪実態分析編≫「新聞切り抜き作品コンクール」に応募するI | |
下書き・清書をしました。 |