3学期の授業録


第40回 太陽の沈まぬ帝国〜黄金時代のスペイン〜
大航海時代をリードしていた新興国スペイン。スペインでは強力な国王が登場し、それを支えていた。国王・フェリペ2世は、宗教改革後、スペインこそがローマ・カトリック世界のリーダーたるべきという政治姿勢で臨んだ。そのためあちこちと戦争することになり、スペインの資源を次々と戦争につぎ込んでいった。17世紀前半にアメリカ植民地の銀が枯渇する中で、かれの政治姿勢そのものが、スペインの没落をまねいた。ヨーロッパ各国では絶対主義の体制をとっていた。
大久保桂子「太陽の沈まぬ帝国〜黄金時代のスペイン〜」(『歴史でみる世界』2001年度)
第41回 国王を倒せ!〜17世紀のイギリス革命〜
イギリスにおいて絶対王政が打倒され、立憲君主制の基礎が確立する過程を概観。市民は国王のわがまま(勝手な戦争・勝手な増税)にもう我慢できない。国王を打倒するにはどんな方法があったのだろうか?
安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、長谷川輝夫・大久保桂子・土肥恒之『世界の歴史P ヨーロッパ近世の開花』(中央公論社)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、『世界史B・新訂版』(一橋出版)
第42回 大西洋の両岸を革命の波が洗う@〜大西洋革命〜
18世紀後半から19世紀初めにかけて大西洋の両岸で市民革命が相次いでおこった。なぜ連鎖反応をおこすように大西洋の両岸で市民革命がおこったのか?を、2回にわたって考える。今回はアメリカ独立革命を扱った。これからしばらく続く市民革命の授業の導入として設定した。

油井大三郎「近代デモクラシーの誕生〜アメリカ独立革命とフランス革命〜」(『歴史でみる世界』2001年度)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)

第43回 大西洋の両岸を革命の波が洗うA〜大西洋革命〜
第2・第3の大西洋革命であるフランス革命、ハイティ革命を扱う。ハイティ革命は黒人奴隷がおこしたという点でも、その後のラテン・アメリカの独立運動とは少々異なる。が、中南アメリカ独立の先駆けとなったことは間違いない。アメリカ独立革命、フランス革命、ハイティ革命、それに続く中南アメリカの独立運動がどのようにつながっているのか?を概観した。
油井大三郎「近代デモクラシーの誕生〜アメリカ独立革命とフランス革命〜」(『歴史でみる世界』2001年度)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)
第44回 アメリカは誰のものか?@〜アメリカ独立革命〜
『涙の旅』という絵がある。これは、ネイティヴ・アメリカンが西部へ逃げていくところを描いたものである。なぜかれらは自分たちが住んでいたところを追われなければならなかったのだろうか?独立宣言・合衆国憲法はネイティヴ・アメリカンの目から見たらどのようにうつったのだろうか?を考えた。

安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、『世界史B・新訂版』(一橋出版)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)

第45回 アメリカは誰のものか?A〜アメリカ独立革命〜
独立宣言や合衆国憲法がうたう権利を享受できたのは、一部の限られた大金持ちであった。女性たち、黒人奴隷、ネイティヴ・アメリカンはカヤの外。アメリカ独立革命はそこに限界があった。とくにネイティヴ・アメリカンに注目し、かれらのその後を追う。1960年代に入ってようやく、権利回復へと動き出す。
安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、油井大三郎「近代デモクラシーの誕生〜アメリカ独立革命とフランス革命〜」(『歴史でみる世界』2001年度)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)
第46回 バスティーユを攻撃せよ!〜フランス革命〜
フランス革命がおこった背景とバスティーユ牢獄襲撃事件までを概観。今回はテーマがないので、普通の歴史の授業になってしまった。

安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)

第47回 「パンをよこせ!」@〜フランス革命と女性〜
1789年人権宣言が採択された。しかしルイ16世はそれを認めようとしない。ここでたちあがったのが、女性たちである。パリの女性たちが国王のいるヴェルサイユに押しかけ、「パンをよこせ!」「人権宣言を認めろ!」と要求。その迫力に負け、ルイ16世は人権宣言をやむなく認めた。その後、ルイ16世らはこっそりと国外逃亡を図るが、見つかってしまう。ルイ16世は、360対361という1票差で、処刑されることになった。

安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)、樺山紘一『エロイカの世紀〜近代をつくった英雄たち〜』(講談社現代新書)

第48回 「パンをよこせ!」A〜フランス革命と女性〜
女性はフランス革命において大きな役割を果たした。例えば、ヴェルサイユ行進がそうだ。しかし女性たちの力で国王に認めさせたフランス人権宣言がうたう「人間」とは、男性に限定されていた。なぜ男性だけなのか?その後、現在に至るまでの女性たちの権利を求めての運動を、大雑把に概観する。
安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)、『世界史B・新訂版』(一橋出版)
第49回 悲運の発明家たち〜産業革命〜
ジョン・ケイ、ハーグリーヴズ、アークライト、カートライトなど産業革命期の代表的な発明家である。しかし、彼らは苦しみ・悩みのうちに死んでいった。なぜだろうか?彼らが発明した機械によって職を奪われる人たちがでてきたからだ。機械でつくったものと同じ程度のものしかつくれない人びとはラダイト運動をおこしたり、のちには労働組合を結成したりする。この問題は、実は現代にも通じるところがありはしないだろうか?

安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、『世界史B 新訂版』(一橋出版)、谷川稔・北原敦・鈴木健夫・村岡健次『世界の歴史22 近代ヨーロッパの情熱と苦悩』(中央公論社)

第50回 I have a dream!@〜南北戦争と黒人奴隷〜
1963年、キング牧師はワシントンで演説を行なった。その演説の中で、「I have a dream.」という台詞が何度も登場する。キング牧師が見た夢とは一体なんだったのか?それを考えた。今回は、南北戦争終結までの歴史を概観した。なお、静岡中央高校で数年前に栽培した綿花を教室に持っていった。

猿谷要『物語 アメリカの歴史 超大国の行方』(中公新書)、紀平英作・亀井俊介『世界の歴史23 アメリカ合衆国の膨張』(中央公論社)、本田創造『アメリカ黒人の歴史・新版』(岩波新書)

第51回 I have a dream!A〜南北戦争と黒人奴隷〜
リンカーンは南北戦争中に奴隷解放宣言を出した。しかし彼自身、白人と黒人とは平等ではないと考えていた。そして、それはアメリカ社会では「常識」となり、今日まで脈々と続く。しかし1960年代、キング牧師は黒人差別撤廃運動を展開し、公民権法制定にまでこぎつけた。また、キング牧師とは異なる方法で黒人問題に取り組んだ人物もいた。マルコムXである。格差是正に向けて黒人たちは、現在もたたかっている。
猿谷要『物語 アメリカの歴史 超大国の行方』(中公新書)、『世界史B 新訂版』(一橋出版)、本田創造『アメリカ黒人の歴史・新版』(岩波新書)

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