予告 「旧東海道夫婦旅」 | 平成13年1月1日 |
訃報 「智満寺の大イチョウ」 | 平成12年7月1日 |
お世話になりました | 平成12年1月23日 |
『木の根橋』で記念写真 |
1999年一年間の巨木巡礼の中で各地でいろいろな方にお世話になった。今でも印象深く思い起こす方を挙げてみよう。 6月20日、愛知県作手村の山中にケヤキを見に行った折り、残念ながらケヤキは何年か前に伐採されていたのだが、ケヤキの持ち主だったO氏のお宅に事情を聞きにうかがうと応接に招き上げられ、コーヒーをいただきながら家族みんなで応対してくれた。伐採に至った理由や伐採時のにぎやかな様子など、写真を交えて当時の思い出話を聞き、帰りにはそのケヤキの断材を土産に持って行けと言うのを丁重に断り、おじいさんにアジサイの花をいただいて帰った。またぜひ夏休みに遊びにおいでと誘っていただき、数時間前には全くの他人であったのに、故郷がもう一つ出来たようで大変うれしく思った。正月に年賀状を送ったところ、返事にアジサイを持たせてくれたおじいさんが体調を壊して入院されていると聞いた。早くよくなって退院されることを祈っている。 8月13日、兵庫県柏原町の『木の根橋』を見に行った折り、資料を貰うため隣りの柏原町役場に立ち寄ったところ、聞きつけた青年が追いかけてきて、「役場の『木の根橋』の担当です」と名乗り、改めて『木の根橋』を案内してくれた。樹木医に頼んだ『木の根橋』の保護の話や、この『木の根橋』の保護がきっかけで、昭和63年秋、柏原町で「第一回巨木を語ろう全国フォーラム」が開催され、以後処を変えて毎年このフォーラムは開催されるようになった話など、詳しく説明していただいた。終わりには『木の根橋』を背景に、我々夫婦の写真を撮ってくれたり、見ず知らずのけったいな夫婦に大変親切にしていただき、良い旅の思い出になった。 10月11日、愛知県弥富町にクスノキを見に行ったとき、薬師寺の本堂前で休んでいると、頭を丸めた庵主さんがお茶を出してくれた。なんと地元の銘菓付である。秀吉がこのクスノキに舟をつないだというクスノキの話を聞き、「あいちの古木」という本にこのクスノキが紹介されていると言って、その本を持ってきて見せてくれた。また近くに「おみよしの松」という名木があるから見て帰ることを勧められた。帰りに小額のお供えを包んだところ、トウガンのお土産までいただいた。 巨木巡礼をしていて、各地で地元の方の親切を受けることが本当に多い。巨木を見て回っているのだというと、おおむね地元の自慢話が多いのだが、10年来の友人のように打ち解けて話をしてくれる。損得勘定のない関係がそうさせているのであろう。貨幣経済がまだ発達していなかった昔、日本の庶民はどんな旅人に対しても、こんなふうに応対していたのだと思う。 |
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