日本の巨木−第6回前半−(福岡県)

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南馬場大樟 熊野速玉神社の御神木

 福岡県八女市には『鈍土羅の樟』と並んでもう一本クスの巨木がある。『南馬場大樟』である。国道3号線を八女市街を通り越し、矢部川を渡る手前の馬場の交差点を右折、矢部川右岸沿いに1kmほど下って行くとそれらしい樹叢が見えてくる。
 熊野速玉神社境内にはさらに矩形に塀で囲まれた熊野速玉神社の内殿がある。大クスは内殿内の本殿右手前に生育し、内殿を覆って余るほど樹勢が盛んであった。案内板によると、天武天皇の時代(673年)熊野速玉神社建立と同時に御神木として植えられたものという。『鈍土羅の樟』とは違って外見はまったく無傷ですらりと高い。幹は頼もしいほど太く、ほれぼれするような大クスである。
 内殿階段に老人が一人腰掛けていた。じっと遠くの一点に視線をやったまま、写真を撮ってうろうろする我々には最後まで全く興味を示さなかった。





山内のチシャノ木 征西将軍懐良親王ゆかりの木

 八女市街から国道442号線を東へ向かって黒木町に入る手前、山内の集落の国道端(北側)にチシャノキはある。小さな樹叢に注意しないと見逃してしまいそうな木である。
 説明板によると、約600年前、征西将軍懐良(かねよし)親王が五条頼元の導きにより九州に入り、菊池一族のもとに身を寄せられ九州平定の大業を進められた。菊池への凱旋の際にこの地に休まれて戦勝の宴を張られた。その宮の陣屋跡に芽を出したのが現在のような大木になったとある。
 チシャノキは一名『カキノキダマシ』と呼ばれるように、幹や葉が柿の木に似ている。葉は少し小ぶりで葉面の光沢が少ないが形は柿の葉そっくりで、幹肌も太くなって根元近くに瘤が出来たり、背後では縦に割れて幹内部の空洞を見せているが、ざらざらした柿の幹肌によく似ていた。県内最大のチシャノキである。





津江神社の樟 黒木瞳の故郷、黒木町の巨木

 八女市から国道442号線を東へ向かって、「黒木です。瞳が見てます。・・・」という交通安全の看板に迎えられて黒木町に入る。黒木町は女優黒木瞳の故郷である。
 黒木町の街に屋根よりはるかに高く樹冠が広げている巨木が見えた。近づくと国道左側に津江神社の石の鳥居が見え、その向こうに『津江神社の樟』が境内いっぱいに枝を広げていた。枝下が9mあってすらりと高い。樹勢は旺盛で繁茂している割には、枝が高いので境内が明るいと思った。





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