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 日 時  平成4年9月13日(日)〜15日(火)
 天 候  晴れたり曇ったり、時々雨、海洋性の気候





9月13日 -屋久杉ランド−


 屋久島へ行って『縄文杉』に逢いたいという思いがようやく叶えられた。以前から屋久島へ行きたがっていた会社の先輩と、大阪空港から鹿児島空港で乗り継いで屋久島空港に着く。屋久島は想像したより遙かに大きな島であった。気温29度、海風があり心地良い。さっそくレンタカーを借りて『屋久杉ランド』に向かう。
 林道で屋久島猿の群れに会う。我が物顔に寛いでいて、車が近づいても逃げようとしない。屋久島猿は顔が赤く毛の色も濃くて、日本猿より台湾猿に近い種に見える。標高およそ1,000mの地点にログハウスがあり、管理人はいないが寝袋を持参すれば宿泊できるようだ。
 『屋久杉ランド』には屋久杉見物の遊歩道があり、30分、50分、80分、 120分の各コースが作られている。明日の縄文杉見物の準備運動だから無理をせず80分コースを選ぶ。谷へ下り、渓谷に架かった吊り橋を渡る。登りになると急に道が悪くなってきた。既に辺りは深山の雰囲気で、巨木こそまだ見ないものの、多雨多湿の屋久島らしく、森のいたる所に苔が繁茂していた。
 太忠岳への登山道の中腹、この80分コースの最高地点に最初の屋久杉の蛇紋杉はいた。固有名詞のついた屋久杉には『樹精』を感じるから『いた』と表現しよう。



蛇紋杉

 蛇が卵を呑んだような瘤があり、幹が縞蛇のようなくねりを見せている。






天柱杉

 天を支える柱のように上部まで同じ太さでどっしりと座っている。




母子杉
 太い杉に少し細い杉が寄り添うように立つ。本土ではこれ程近くには育たない筈が、多雨多湿な屋久島の気候が育ててしまうようだ。




三根杉
 根回りが太く、幾つかに別れているように見える。


 三根杉の後、谷川を渡る。樹齢 2,000年はありそうな杉の倒木が岩に引っ掛かり、川をせいでいる。巨木過ぎてこの沢の水量では下流に流せないのであろう。幹にステップが切られ、橋の代わりになっていた。
 多雨多湿では土中で根が呼吸出来ないため、屋久杉の根が地上に出てきている。これを気根という。現物の前に説明板があった。




孫杉
 孫杉は根株の上に、それを土台にして若杉が成長している。しかし、隣の杉に寄り掛かっていて頼り無い。




仏陀杉
 座禅をする仏陀の威厳がある。根元近くに洞がある。


 かって屋久杉を切る前に、木の性を見るため、試し切りをしたという。性が悪かったのか、試し切りをしたまま放置されて残った杉の前に説明板があった。思うに、目の通った性の良い屋久杉は殆ど伐採されて、屋根を葺く杉板に加工され本土に送られた。だから今残るのはニックネームを付けたくなるようなひねくれた屋久杉だけなのだろう。




くぐり杉
 根元が大きく二股に別れ、遊歩道がその下を潜る。


 日暮れも気になったが、屋久島は日本列島の西の端、日はまだ暮れない。もう少し足を延ばすことにする。車で林道をしばらくさかのぼる。
 紀元杉の全景を写真に撮ろうと構えている前を、ちょろちょろと歩いて旦那が女房の写真をとって回る中年夫婦がいた。この夫婦とは明日も明後日も出会うことになる。




紀元杉
 木肌のうねりが写真で見た縄文杉を思わせる。上部は欠けているが、裏へ回るとまだ樹勢があるのが判る。


 一人旅のバイクの青年に車を止められる。「猿を追っ払ってくれませんか。近づくと歯を剥いて向かって来るもんで」と助けを求められる。見ると、ベンチの側にバイクとザックとヘルメットがあり、屋久島猿が数匹集まっている。すぐ側まで車を乗り入れ、しつこく残る猿に小石を投げて追い払った。彼はバイクと荷物を取り返すやこんな所はこりごりと言わんばかりにバイクに跨がった。
 今は止めたが、1時期猿に餌付けしていて、それ以後一部の猿が観光客に悪さをして仕方がないと民宿で聞いた。






川上杉
 紀元杉程の迫力には欠けるが、小山を踏み敷いてそびえ立つ。












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