今から60年程前、1939年のドイツで、ロケットエンジンを搭載した小形飛行機が初飛行に成功しました。直ぐさま、その技術は迎撃戦闘機に転用され、世界初の実用ロケット戦闘機Me163が誕生しました。

Me163に搭載されたヴァルタHWKロケットエンジンは過酸化水素とメタノール、水化ヒドラジンを反応させて、爆発的な化学反応で1700kgの推力を発生させ、理想的な機体形状と合わせて、その最大スピードは時速約1000kmにも達しました。難点は実用7分間ほどという滞空時間の短さで、局地戦にしか使用できない戦闘機でした。その上、エンジンの不調や調整の難しさなどから、多くのパイロットの命も犠牲になりました。危険なロケット燃料は、取り扱いも困難で、着陸の失敗などで洩れ出すと、厳重な防護スーツを着たパイロットでも、溶かされることさえありました。
 このジオラマの主人公である、ドイツ空軍パイロット、ヴォルフガング・シュペーテ少佐は、Me163 Komet(コメート)の戦闘航空団JG400の司令官を勤めました。真紅に塗られた彼のコメートは1944年5月13日、初の実戦出撃で飛び立っていきました。
ロケット戦闘機Me163の挑戦と冒険の記録 、真紅に塗られた訳は「ドイツのロケット彗星 Me163実験飛行隊、コクピットの真実」ヴォルフガング・シュペーテ著、高瀬明彦訳(大日本絵画刊)に綴られています。


ハセガワのコメートはもう20年以上も前に発売されたキットですが 、作りやすさ、ディテールのよさ、などとても良いキットです。1/32でも機体の大きさはコンパクトです。参考資料をもとに内部のディテールを追加しました。人形を入れるとほとんど、見えなくなってしまいますが...。 ゴム引きの防護スーツを着たパイロットは、タミヤのBMWサイドカーの兵隊。酸素マスクはアメリカ小火器セットのガスマスクを加工しました。頭はドラゴンの冬帽をかぶったドイツ兵から飛行帽に加工しました。パイロットスーツの資料はオスプレー社刊のGerman Jet Aces of Worid War 2が大変参考になりました。

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