はじめに
   我国のマンションは総戸数約640万戸(そのうち分譲マンション350万戸、賃貸マンション290万戸)であり、そのなかに約1,600万人が住んでいて尚毎年16万戸以上のマンションが建設されています。(平成11年度衆議院予算委員会資料より)特にここ数年は建築費の下落と税制改正などが重なり空前のマンションブームになっています。国民の一割以上の人たちが生活しているマンションに対して行政も法律の整備を急いでいるのが現状でマンション管理適正化法も平成13年に施行のはこびになります。
   マンションライフの長所は鍵一つで外出が出来る利便性及び安全性にあり、もう一つは戸建に比べて少ない土地で多くの住戸が確保できる土地の有効利用です。又、生活環境の快適性追求とプライベートの生活の保持と合わせた問題点は、各戸の間隔がコンクリート一枚で区画されているために隣家に音、振動が直接伝わる事と集合体で生活しているため幾つかの生活上のルールを皆が守らなくてはいけない点です。施設の面では構造体、ライフラインが共有ですのでマンションで生活する人たちは必然的に運命共同体にならざるを得ないことです。
   都市型マンションでは年月が経過するとさまざまな事態に直面し、問題が発生します。特に防犯体制については危機的状態といっても過言ではないでしょう。それは都市生活が多様化し社会のしくみが複雑だからかもしれません。そして時間が経てば尚更問題が山積し、問題をいつまでも先送りしているとやがてスラム化が始まります。 そこで分譲マンションの形態、不動産としてのマンション価値、建築の基礎知識「良好な住環境」で居住するにはどうしたら良いか、弱者(高齢者)対策、管理組合及び管理会社との付き合い方、管理組合運営の方法、マンションを購入する際の注意すべき点は何か、区分所有者からみた法律上の問題点などマンションに関する基礎知識の修得とマンションの問題点を基準化・数値化する事により新しくマンションを購入予定の方、又既にマンションに住んでいる方々に他物件との比較検討を容易にする事を目的としてまとめてみました。 
   
平成12年10月

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