12 誇り高きエチオピア人


エチオピア人はとても誇り高い。
彼らは自分たちと「アフリカ」と関連させて語られるのをとても嫌う。

「アフリカの人達は・・・」 なんて言ったら即、
「俺達はアフリカ人じゃない!エチオピア人だ。」と怒られてしまう。
「肌だってアフリカ人みたいに黒くないし、鼻だって丸くないし、かっこいいだろ」と。

「この景色!アフリカって感じだよね〜!」なんて言っただけで
「ここはアフリカじゃない。われわれの国、エチオピアだ!アフリカはサバンナや砂漠しかない不毛の土地じゃないか。この緑や豊かな美しい景色を見てみろ。エチオピアはすばらしい。」と。

エチオピア人はセム系。確かに黒人とは人種が違う。
多民族国家だから南部に行けば黒人もいるのだが、多くは彫りの深いほっそりした顔で、肌は褐色、身体もすらっとしている。
彼らはソロモン王の末裔なのだ。

聖書に語られるシバの女王の伝説・・・・。
紀元前10世紀、3000年も昔の話だ。
アラビア半島の南側に、交易によって大変繁栄していたシバ王国があった。
シバの女王は主の御名によるソロモンの名声を聞き、エルサレムのソロモンのもとを訪れた。
美しいシバの女王とソロモン王は恋に落ち、女王は子を宿して帰ったのだった。
やがて誕生した息子は紅海を渡り、メネリク一世としてエチオピアの建国の祖となるのである・・・・。

敬虔なエチオピア正教徒であるエチオピア人は、自分達が聖書に語られるソロモン王とシバの女王の末裔であることをなにより誇りに思っている。

歴史と信仰の国エチオピア。その険しい土地柄ゆえ列強の支配を逃れ、独自の文化や宗教を守りつづけてきた彼らにとってアフリカとは、きっと「野蛮」そのものなのだろう。

確かに、どこか卑屈で根暗な印象を受けるブラックアフリカの人々に比べ、エチオピア人は性格が明るい。
世界の最貧国といわれる貧しさながら、ひとかけらも卑屈なところが見えない。
屈託なく明るく、冗談好き。金持ちも貧乏人もわけへだてなく、スコーンと突き抜けたような明るさである。

エチオピア人と話をしてると冗談が多く、四六時中ゲラゲラ笑ってしまうような冗談や突っ込みばかり。
そのスルドイ突っ込みがかなりキョーレツで。デリカシーがない、というか、穴があいてるというか・・・。
その調子で口説かれるのもなんともかんとも・・・・・・・。「やろーよ♪」ってあんたねぇ・・・・。

下の話は別として、とにかく自分達に自信と誇りがあるからプライドも高い。
エチオピア人はとにかく約束を守る。
われわれはほかのアフリカ人とは違うんだ!!!っていうのが潜在意識にあるんだろうな。

特にびっくりしたのが待ち合わせ。
ガイドがホテルに迎えにくる時間なんて特にそう。必ず15分くらい前には来てる!遅くても5分前。それが、みんなそうなんだよね。びっくりしちゃう。
女性は奥ゆかしくしているが、男性はすごくプライドが高いから、ちょっとプライドを傷つけるようなことを言うと、たちまち過剰反応する。冗談と紙一重だから厄介なんだよなぁ。
よいしょよいしょ!・・・・・なんでガイドに私が気をつかわにゃならん?

それと、感心するのがよく気が利くこと・・・。
小さい頃から家の手伝いや兄弟の面倒をよくみてきただけのことはある。女性も男性も、子供でもとにかくこちらの必要とすることや思っていることを察してよく助けてくれる。日本人のこまやかさにも似ているところがあるかな。

ただ・・・・それってはっきりとビジネスなんだよね。金がほしいから。決して無償の親切ではないのだよ。
細かく細かく気を使って顧客満足を高め、よりよい報酬をもらう。したたかさはすごい。
そう書くと正しいなぁ、とっても。
ただねぇ・・・・あからさまなんだよね。何事も。なにせ穴のあいた性格だからさ。

エチオピア人は、人はいいです。間違いなく。
ただ・・・・・・・・・なにかと濃くて、疲れるんだよね。

自国を愛し、信仰深く誇り高きエチオピア人。
ただ、それが自国の発展を阻害してる気がしてならないのだよ。

彼らは自分達と自国を正当化する。
いくら貧しくとも他国より自分の国はすばらしいと思っている。
歴史と文化の国。変わらないことが価値。

だから、変わらない。
低俗でもいい。もっと便利に。もっと他を羨め。
残念ながらエチオピアは世界に比べれば間違いなく貧しく遅れた国なのだから。

もちろん、私の勝手な言い草であるのだけども。



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