コロンビア大氷原〜バンフ
98.8.19 快晴
シャトーレイクルイーズは、すべての面で満足のいくホテルだった。CP系のホテルはどこもすばらしいのだが、ここはまた格別だ。とにかく、レイクルイーズのほとりに立っているだけでもすばらしいのに、ホテル内の調度品、雰囲気、落ち着き度といったら何とも言えない。チェックアウトを済ませ、旅行会社主催のツアーバスが到着するのを待った。
バスを待つ間、ホテルの外で、リスに出会った。とってもかわいらしい仕草で、わたしたちを楽しませてくれた。
快晴のレイクルイーズに誘われ、湖畔に足を運んでみた。風がないせいか、さざ波もたっていない湖水には、ヴィクトリア山がくっきりと写っていた。
午前9時にバスは出発し、一路ハイウェイを走る。雲一つない空の青色と、氷河を頂いた山々とのコントラストがまた美しかった。
最初の目的地は、クロウフット氷河。カラスの脚という意味の氷河だ。ちょうど、カラスが3本の脚の指をひろげたところに似ているところからつけられたそうだ。親指に当たる部分が何年か前に崩れ落ち、今では2本の指が残っている。氷の厚さは30mほどあるらしい。写真を撮って、また、バスに乗り込んだ。
クロウフット氷河
アイスフィールドパークウェイの最高地点(2069m)のボウ峠を過ぎ、しばらく走ると、次の目的地、ペイトレイクだ。バスを降りて3分ほど遊歩道を下っていくと、目の前にペイトレイクが姿を現した。写真やガイドブックなどで見ていた時は、印刷の関係でこんな色になっているのかなと思っていたが、ややみどりがかった青色で、本当にきれいな色だった。初めて見る色だった。エメラルド色の絵の具を溶いたバケツをひっくり返したような、まさにそんな色だ。
ペイトレイク
雲も風もなく、湖面が鏡のように山を映していた。前の週まで、隣のBC州で起きた山火事の為、視界が悪く、天候も悪かったようだが、今日は最高にコンディションがいいということであった。現地のガイドも、1年間でこんな日は何日もないと言っていた。
ここからは、しばらく車窓からの観光となった。日本で100キロと言えばかなり走るような気がするが、ここではあっという間だ。オブザベーションピーク、ウォーターフォールレイク、サスカチュワンリバークロッシング、グレーブヤードフラット等を車窓から見学し、更にバスは進む。嘆きの壁、ビッグベンド、そして、バンフ国立公園とジャスパー国立公園の境であるサンワプタ峠(ここは大陸分水嶺)を越えてしばらく進むと、バスや自家用車がたくさん停まっている駐車場が見えてきた。
天候がよく、厚着をしなくても全然寒くない珍しい日だった。足下には厚さ300mの氷。何百万年前から地球の歴史と共に成長してきた氷だ。目の前には氷河氷河氷河。思わず手を広げ声をあげてしまった。
コロンビアアイスフィールド:アサバスカ氷河
氷の色は青色で、表面は、想像していたよりもかなりでこぼこしていた。また、氷河の溶けた水は、低いところを求めて流れていた。観光客が集中しているところから少しはずれると、不気味にクレバスが口を開けていた。足下の氷が毎年数mも動いているというのがとても信じられないが確かなことだ。わたしたちの一生なんて、地球の営みとくらべた・・・。毎日せかせか働いているのがなんだかばからしいちっぽけなもののように感じられた。人間も、もっとドンと構えてゆったりと生きて行くべきなのかも知れない。また、そうしなければ自然のすばらしさや偉大さを理解できないのかも知れない。
ここだけではないのだが、カナダの景勝地には、安全用の柵や手すりといった物がほとんどない。日本ならば、観光用の歩道や手すり、ロープなどが張り巡らされる、少しでも危険なところにはぜったいに入れないようになるのだろうが、カナダは、本当に危険なところ以外、一切そういった物はない。自分のことは自分で守る、自分のことは自分で責任をとるといったことだろうか。
昼食をとり、再びバスに乗り込んだ。帰り道は、睡魔が襲い、1時間ほど寝入ってしまった。目を覚まし、行きと同じ風景を眺めながら、ぼんやりと、日本のことを考えた。日本の外に出て日本のことを考える機会は、ふだんあまりないので、結構いろいろ考えてしまった。たった1つだけ言えるのは、あと数日すれば現実の世界に帰ってしまうということだ。それだけに、カナダの大自然を満喫せねばと改めて考えた。
帰り道に、唯一寄ったのが、ボウレイクだ。時間帯のせいか、光線の具合がよく、湖面がきらきらと輝き、大変美しかった。逆光が似合う景色だ。やはり氷河から流れ出した川がそそぎ込む湖の色は、美しく、ここでは写真をいっぱい撮ってしまった。
ボウレイク(夕方…太陽を背に撮影)
今日の宿泊は、バンフのダウンタウンにほど近い、バンフパークロッジ。部屋も広く、滞在するにはちょうどいいホテルだった。ここに3泊もできると思うと、それだけでもわくわくした。今回の旅行を通して、どこのホテルも、こんなところに泊まってもいいの?場違いじゃない?と感じるところばかりだったが、新婚旅行なので、たまにはこんな贅沢もいいか、なんて思い、ホテルステイを満喫した。
夕食は、ホテルのレストランで、ステーキのコース料理を食べた。フィレ肉のステーキということだったが、正直なところ、肉の赤身のいいところだけに、逆に堅くて食べにくかった。
翌日が終日フリーで、自分たちで立てた計画で動くため、早く寝た。
(8月19日 終わり)
(14.2kmハイキング・モレインレイク・ヨーホー国立公園等)