レンタカーで走るロッキー

98.8.20 快晴

レイク ルイーズからビクトリア山を望む

Lake Louise:レイクルイーズ

  1. バスにてバンフスプリングスホテルへ
  2. レンタカーを借りる
  3. カナダのハイウェイ
  4. レイクルイーズ(左写真)
  5. プレインオブシックスグレイシャーズ
  6. ティーハウス
  7. 氷河とクレバス
  8. モレインレイク
  9. エメラルドレイク(ヨーホー国立公園)
  10. タカカウ滝(ヨーホー国立公園)

 

 今朝は、昨日よりも少し早く起きた。朝食をとらず、バンフアベニューのバス停に向かった。

レトロ調のバスの車内  しばらく待っていると、レトロ調のかわいらしいバスが走ってきた。2人で2C$を払ってバスに乗り込んだ。木でできたしゃれたシートに揺られながら、まだ人の動き出さないバンフの街を、バンフスプリングスホテルへと向かった。

 7,8分でバスは到着し、さっそく、レンタカーを借りる手続きをした。日本で予約をしておいたため、国際免許証と日本の免許証、そして、クレジットカードの提示をし、あとは、保険の内容の確認で終わり、駐車場の場所を教えてもらい鍵を受け取った。

 ホテルの立体駐車場に停めてあった車はボルボS70。やや緊張しながらアクセルを踏み込み、出発した。最初、右側通行に緊張したが、なれれば左ハンドル車はとても運転しやすかった。

 今日の一番の目的は、レイクルイーズからのハイキングだ。往復14.2kmを歩く予定だ。

 バンフアベニューにあるインフォメーションで、国立公園と軽トレッキングの資料をもらいった。そして、バンフ市内のスーパーマーケット、SAFEWAYで簡単な朝食と、500mlのミネラルウォーターを1人1本づつ買い、午前9時前、バンフの街を出発した。

 ハイウェイは快適そのもの。快晴のカナディアンロッキーを静かな車で音もなく加速していく。80キロあまりの道のりをわずか40分ほどで走ってしまった。(アメリカと同様、ハイウェイは無料。途中、国立公園に入園する際、数C$を支払っただけだ。)

レンタカーで借りたボルボS70

 レイクルイーズの駐車場に車を止め、トイレに行ってから、湖畔を出発したのは午前9時40分だった。

 

 今日のレイクルイーズは、雲ひとつない快晴。湖面にビクトリア山が映り、雲一つない天気だ。ため息の出るような美しいレイクルイーズをしばし眺め、歩き出した。

快晴のレイクルイーズ

 今回のハイキングは、この旅行を計画する際にカナダの観光局から取り寄せた小冊子に紹介されていたもので、プレイン オブ シックス グレイシャーズ(6つの氷河が集まる平原の意)という所だ。

 昨日から、カナディアンロッキーの美しさを実感していたが、今日のこのハイキングは他のどこよりも感動的だった。まず、スケールの大きさがちがう。遠近感を失い、時間の流れを忘れる。とにかく、地球の鼓動を感じるような力強さ。目の前に広がる大氷河。一歩、また一歩と進むにつれて次第に広がる壮大なパノラマ。想像していたものよりもはるかにすばらしかった。

 湖畔を歩き始めて30分もたたないうちに、ハイキングコースへ入った。

 途中、休憩をしながら、目の前に広がる美しい景色を目に焼き付け、また、写真に収めた。歩きながら後ろを振り向くと遠くにレイクルイーズが見えた。正面にはビクトリア山がだんだんと近づいてくる。

 およそ標高2200mを越えると森林限界を超え、針葉樹林帯を抜け出した。日を遮るものがなくなり、標高からは想像もできないほど汗ばみ、水分の補給を必要とした。しかし、かぜは涼しく、大変心地よかった。

ティーハウスでひと休み  何度か休憩をし、出発からおよそ2時間。ひっそりと森の中に建つ、唯一のティーハウスに到着した。ほっと一息といったところだ。2階の見晴らしのいい席に着き、ちょっと早い昼食にした。サンドウィッチとスープ、アップルパイ、飲み物を注文し2人で27C$程度。30分ぐらい休憩をした。 プレイン オブ シックス グレーシャーズ

 ティーハウスから登山道に戻ったところ(上の写真)で帰る人も多いようだが、そこから1.6km歩くと氷河がすぐ間近に迫るビューポイントということなので、歩くことにした。今までよりもやや勾配のきつい道だったが、30分と歩かぬうちに最終到着点までたどり着いた。

足下には氷河のクレバスが氷河の流れがよくわかる

 心が洗われるとはこんなことを指すのだろう。疲れも忘れ、ただ、目に映る美しい山々や氷河を眺めた。足下には巨大なクレバスが口を開け、青い氷河は、まるで生き物であるかのように感じられた。遠近感がなく、そのスケールの大きさに驚き、ゆっくしと時間が流れるのを感じた。数百万年前に降り積もった雪が氷河となり、ロッキーの山々を削りながら少しずつ少しずつ流れる様子を想像すると、人間の小ささや100年足らずの人生なんて瞬くほどであることがわかった。今ある命を大切にし、一生懸命生きなければと命の洗濯ができた。

ビクトリア山をバックに(外国人のおばさんたちに撮ってもらった)湖の対岸にはシャトーレイクルイーズが見える。 この美しい自然の息吹を、目と写真にしっかりと焼き付け、午後1時、下り始めた。帰路は行きよりも早く感じられ、途中振り返りながら遠ざかっていく氷河に別れを告げた。


 

歩いている途中よく見かけたのがリスだ。あちこちからかわいらしい顔を出し、わたしたちを楽しませてくれた。氷河から流れ出た川がレイクルイーズにそそぎ込むあたり(デルタ)を少々散策したり、近寄ってくるリスに手を伸ばしたりしながらシャトーレイクルイーズに到着した。お土産を少し買い、トイレにより、ジュースを買って駐車場の戻ったのが午後3時だった。

 予定よりもだいぶ早く着いたことと、夜の9時ごろまで明るいことから、この後、モレインレイクヨーホー国立公園まで足を伸ばすことにした。

 モレインレイクまでは、30分だったが、駐車場が込み合っていて、停めるのに5分ほどかかった。

 氷河湖の水は独特な色をしていて、大変魅力的だが、ここ、モレインレイクの水の色は、また、何とも言えなく美しかった。

 湖畔から眺めるよりも、礫でできた山(小高い丘といった感じ)を10分ほど登ったところから眺める水の色は、より一層青色を濃くし、美しく感じられた。ここを訪れたら、必ず登ってみたい。

 モレインレイクと、それを囲むテンピークスは、カナダの旧20C$紙幣の図案になっていただけあって、他のカナディアンロッキーの景色と比べても、トップクラスの景観だ。わたしたちがモレインレイクを訪れた時刻は3時半過ぎだったため、テンピークスの峰々と太陽の方向が同じで、ちょうど逆光になってしまった。ここは、午前中がBestだと思う。

モレインレイク

モレイン レイク

 レイクルイーズも美しい湖だが、このモレインレイクも勝とも劣らず美しい湖だ。観光開発されていないことや、ツアーのコースにあまり含まれないことから、落ち着いた雰囲気を受ける。日本人の団体旅行客もあまりいなかった。個人的には、モレインレイク&テンピークスの方が好きかも知れない。

 午後4時を過ぎ、駐車場を出発した。この後は、ヨーホー国立公園へ向かった。レイクルイーズなども含むバンフ国立公園の西に位置するヨーホー国立公園は、アルバータ州ではなく、ブリティッシュコロンビア州だ。

 ハイウェイは通らず、国道1A号線沿いに車を走らせた。アルバータ州と、ブリティッシュコロンビア州の州境である、キッキングホースパスに着いたのは(アルバータの時間で)午後4時半だ。州と州との境といっても、日本の感覚では、関東地方と中部地方の境に似た感覚であろう。ただ、一つ大きく違うのは、時差があるということだ。(ここで1時間時計を戻さなければならいが、面倒くさいのと、体感的に違和感があったのでやめた)

 キッキングホースパスは、大陸分水嶺として有名で、一本の川の流れが2つに分かれ、一方は大西洋まで2550km、もう一方は太平洋まで1950kmの二つの川に分かれる。いままで1つだった川の水が、自分の目の前で2つに分かれる様子を見ることができ、何だかとっても興味深かった。そして、先ほどまで一緒に流れてきた水の片方が大西洋、また、もう片方が太平洋へこれから数千キロの道のりを経て注ぐのかと思うと、不思議な気持ちになった。

 すぐ近くに大陸横断鉄道(VIA)の線路があり、思わず寝転がって写真を撮ってしまった。貨物列車では、何百両か引くようなので、踏み切りで運悪く列車にぶつかるとかなり待つことになりそうである。

 ハイウェイに合流してしばらくすると、左にワプタレイクが見えてきた。しかし、そこは通り過ぎ、スパイラルトンネルで車を停めた。列車が走っていなかったので、あまりおもしろくなかったが、英語の説明と、イラストで何となく意味が分かった。

 フィールドにあるインフォメーションで資料を調達し、エメラルドレイクに向かった。エメラルドレイクに着いたのは、(アルバータの時間で)午後5時半。エメラルドレイクは、名前の通りエメラルド色をした湖で、典型的な氷河湖だ。

エメラルドレイク

エメラルドレイク

 日本人がほとんどいないので、私は大変気に入った。本当は、時間があればボートにでも乗って、のんびりしたいところだったが、湖の周りを少し歩いて、次に向かった。

 エメラルドレイクからハイウェイに戻る道沿いに、ナチュラルブリッジはある。近くに行ってみるとなかなかの迫力だ。だれが名付けたか、うまいネーミングだ。自然の浸食作用によりできた自然の橋だ。午後6時を過ぎてもまだまだ明るく、とてもそんな時刻には感じない。(ただし、ブリティッシュコロンビア州の時間では、午後5時である。何だか、車でちょっと走ると時差があるのが体感的に理解できず、だまされたような不思議な感じだった。)

タカカウ滝(落差400m以上)  ハイウェイを戻りながら、途中脇道にそれ、ヨーホー川の上流にあるタカカウ滝をめざした。落差400メートル以上ある滝は本当にダイナミックで、水量の多さと、高さからか、スローモーションでも見ているかのようにゆっくり落ちてくるように感じた。滝の途中に虹が出ていて、それもまたきれいだった。タカカウとは、現地の先住民族の言葉で、「すごい!」を表す言葉だそうだ。

 時間が遅かったせいもあるかもしれないが、モレインレイクを出たあと、日本人には全然会わなかった。特にタカカウ滝は、人もまばらで、レンタカーや自家用車を利用するしかないためか、とても空いていて、ゆっくり観光ができた。

 タカカウ滝からハイウェイに戻る道の途中に、キッキングホース川とヨーホー川の合流点があった。上流に氷河湖があるかないかで色のちがう二つの川の水が混じり合う様子を見ることができた。

 タカカウ滝からレイクルイーズジャンクションまで数十キロ、そして、レイクルイーズジャンクションからバンフ市内までは85kmほど。タカカウ滝を午後7時近くに出たのにも関わらず、8時にはホテル(バンフパークロッジ)に到着した。

 長い一日だったが、夕食をとらなければならない。レストランに向かうため外に出たが、まだまだ明るい。町中をエルク(オオツノシカ)が闊歩していた。しばらく歩き、適当に韓国料理店に入り、石焼きビビンバを食べた。ホテルに帰りながら、土産物屋に入り、土産を物色した。

 ホテルに戻る途中、近くの酒屋で、缶ビールを買ったが、1本100数十円という値段だった。日本のそれとくらべると、半額に近い値段だ。ふだん高いお金を払っていることがちょっぴりばからしくなった。

 ホテルのショップは、11時頃まで開いていた。のどが渇いたので、10時50分頃ジュースを買いに行ったがまだまだほとんどのお店が開いていた。日が沈むのが遅いのも関係してか、市内の土産物店も10時過ぎまで開いている所も多い。観光客にとってはありがたいことだ。

 夜、ホテルのベランダから星が見えた。ちょうど、白鳥座とこと座、わし座の一等星が作る夏の大三角形がよく見えた。地球のあちらこちらから、同じ星を見ている人々が、何万人いるのかなぁ、なんて考えていたら、なんだか不思議な気持ちになった。

(8月20日 終わり)

 

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