物体の運動方程式といえば、ニュートンの運動方程式がある。 ただ、これは万能ではない。 即ち、これだけでは扱えない運動がある。 そのため、見た目は違うがそれと同等な運動方程式がある。 それは、ラグランジュの運動方程式やハミルトンの運動方程式である。 しかし、これらにたどり着く前に沈没するに違いない。 ここでは、それらを簡潔に述べていくことにする。
ニュートンの運動方程式は次の式で表される。
\[ \bm{ F } = m \ddotbm{ x } \]特に、力 $\bm{ F }$ がポテンシャル関数 $V = V( \bm{ x } )$ によって、
\[ \bm{ F } = - \pdif{ V }{ \bm{ x } } \]となっているときを考える。 このとき、ニュートンの運動方程式は次のようになる。
\[ m \ddotbm{ x } = - \pdif{ V }{ \bm{ x } } \]さて、物体の運動エネルギー $T = T( \dotbm{ x } )$ は次の式で与えられる。
\[ T = \dfrac{ 1 }{ 2 } m \dotbm{ x }^2 \]このとき、$\dotbm{ x }$ を1つの変数と考える。 そして次の計算をする。
\[ \pdif{ T }{ \dotbm{ x } } = m \dotbm{ x } \]次に、$t$ で微分する。
\[ \dif{ }{ t } \left( \pdif{ T }{ \dotbm{ x } } \right) = m \ddotbm{ x } \]よって、ニュートンの運動方程式は次の式になる。
次の式 $L = L( \dotbm{ x } , \bm{ x } )$ をラグランジアンという。
\[ L = T - V %= \dfrac{ 1 }{ 2 } m \dotbm{ x }^2 - V( \bm{ x } ) \]このラグランジアン $L$ では、思い切った考え方をする。 それは、$\dotbm{ x }$ と $\bm{ x }$ を独立した2つの変数と考えるのである。 そして、次の計算をする。
\begin{eqnarray*} \pdif{ L }{ \dotbm{ x } } &=& \pdif{ T }{ \dotbm{ x } } \\ &∴& \dif{}{ t } \left( \pdif{ L }{ \dotbm{ x } } \right) = -\pdif{ V }{ \bm{x} } \\ \pdif{ L }{ \bm{ x } } &=& -\pdif{ V }{ \bm{x} } \end{eqnarray*}よって、ニュートンの運動方程式より次の式が得られる。 この式を、ラグランジュの運動方程式という。
ラグランジュの運動方程式において、新しい変数 $\bm{ p }$ を次のように作る。
\[ \bm{ p } = \pdif{ L }{ \dotbm{ x } } \]すると、ラグランジュの運動方程式は次の式になる。
\[ \dotbm{ p } - \pdif{ L }{ \bm{ x } } = \bm{ 0 } \]さて、次の式 $H = H( \dotbm{ p }, \bm{ p }, \dotbm{ x } , \bm{ x } )$ をハミルトニアンという。
\[ H = \bm{ p } \cdot \dotbm{ x } - L \]ハミルトニアンでも 思い切ったことをする。 まず、$\dotbm{ p }$ も変数とする。 さらに、$\dotbm{ p }, \bm{ p }, \dotbm{ x } , \bm{ x }$ の4つを独立変数と考えるのである。 そして次の計算をする。
\[ \begin{cases} \pdif{ H }{ \bm{ p }} = \dotbm{ x } \\ \pdif{ H }{ \bm{ x }} = - \pdif{ L }{ \bm{ x }} = - \dotbm{ p } \end{cases} \]よって次の式が得られる。 これを、ハミルトンの運動方程式という。