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ろが次の日スライドガラスをみても墨が乾いていないので昨日と同じ様に三人揃ってH組へ向かうのでした。そんな日が幾日か続くと 流石に彼らも焦りました。

「ひょっとすると部室はすごく湿度が高いんじゃないかな。」
「それに日が全く当らないからなぁ。」

大分後になってこんな事を考えるのですから、非常に呑気なのですなぁ。そこで彼らは対策を一生懸命考えました。その対策というのは、当時窓際に座っていた遠藤氏が スライドガラスの番をしながら乾かすというものでした。

「藤田、ちょっときてみィ。」

言われて藤田氏は遠藤氏のところへ行くのでした。

「ほら、これ。」

遠藤氏はスライドガラスを藤田氏に渡しましたが生まれつき軽薄な藤田氏は墨を塗った面をしっかりとつかんだのです。無残にもスライドガラスには指紋がベッタリ。警視庁の科学捜査班を呼ぶまでもなくこの指紋は藤田氏のものです。そこで、遠藤氏はひと言、

「バカ…。」

また塗り直してやったのですがあまり良く乾かずこの方法も失敗、次に考えた乾燥法はいよいよ文明の利器が登場。というのは科学部にあるデシケーターを使って乾かそうという訳。ここで顔の広いと言うより、いろいろな所へ図々しく出回っている遠藤氏が交渉、化学部に1日置かしてもらうこ

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