とになりました。次の日、スライドガラスを取りに行ってみんなビックリ。ここで彼らはデシケーターの乾燥力のすばらしさを知らされたのでした。1日置いていただけの、それも墨を何回も重ねて塗ったスライドガラスの墨が完全に乾いてしまって全くスリットとしては、使いものにならない位、透き通ってしまっていたのでした。そこで三人、ひと言、
「駄目だ、こりゃ。」
次に彼らの考えたやり方はポスターカラーを使う事でした。ところがこれも乾かずに失敗。彼らはどうして俺たちはこう湿っ気に邪魔されるのかなぁなどと、馬鹿な事を考えながら悔し涙を流しては、またも部室の湿度を上げるのでした。気楽な気持ちで実験準備を始めていた彼らですがこうまで失敗すると若干、焦ってくるのは人並みな証拠。
でもどうするか分らないまま、時間がすぎて行くのでした。そんな時、彼らは気分を転換する為 実験器具として暗筒の作製に精を出す様になりました。最初彼らが作ろうとしたのは細長い箱の内側を黒く塗り その両端にスライドガラスでつくったスリットを置く様に考えたもの。ここでは手先の器用な向山氏のカッター裁きが非常に冴え 人間業ではないと藤田氏を唸らせるのでした。ところがこの時も箱(メートルブリッヂの入っていた箱)の内側に墨を塗り墨が乾くまでと言ってH組へ出かけて行くのでした。しかしここでもまた失敗、墨はとても薄く使い物にはならない。そこで彼らは考えた。艶消しのスプレーを使えばいいんじゃないのかな。誰が金を出したか知らないが彼らはさっそくスプレーを買ってきた。これで暗筒は完成 ところが突拍子も