「その準備でこんな事やっていたんじゃ全くどう仕様もないよ。」
「……」
──あまり二人がシュンとしているので──
「この方法でなけりゃいけないのかい?」
「いえ、そういう訳ではないんですが。」
「それだったら写真のネガを使えばいいんじゃないか?」
「……?」
「つまりネ、白い紙に黒インクで線を引くんだよ。そしてそれを写真に撮ってそのネガを使うんだよ。つまりネガは白と黒が逆になる性質があるだろう。」
「でも黒い部分が透けて見えてしまうんじゃないんですか?」
「大丈夫、フィルムにミニコピーを使えばいいんだよ。」
「ミニコピーですか……」
「今度 紙に線をひいて持ってきてごらん、きれいに引けていたら写真に撮ってやるよ。」
「はい、それではよろしくお願いします。」
──間──(先生の所からドアまで距離がある。)
「失礼しました。」(ハモっているのです。)
これからジュンちゃんの悲劇が始まるのです。全く”類は友を呼ぶ”と申しまして似た者は何故か集まるもののようでございます。
彼らはジュンちゃんに言われたとおりする事にしました。まず第1に線を引くことから開始です。
家にカラス口があるという向山氏にカラス口を任せインクは化学部にあるものを借りてきました(お金のない彼らにはあるもので間に合わせるしかないのです。)そして紙は部室にあった模造紙を