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使う事にしました。さて次の日です。兄貴が工業高校へ行っていた関係でT定規があると言う向山氏にT定規、カラス口をもってきてもらい 線ひきは向山氏に任せるのでした。二人が見ている中で机を製図板代わりにして(ジュンちゃんがこれを聞いたらまた けなすでしょうネ。)向山氏は頑張って線を引くのでした。ここでまた無器用な藤田氏は 溜息を漏らすのでした。ところが製図に全く無知な彼らは カラス口をそのままインクつぼへドボン、何故かというか当然というかT定規が汚れてしまうのでした。それでT定規を少しずらすと紙が汚れてしまい また新しく書き直しをしなければならなくなってしまうのでした。何回も書いているうちに 器用な向山氏ですから気に入ったものが出来ました。そこで何を思ったか遠藤氏と藤田氏、よせばいいのに線を引き始めた。遠藤氏は何とかものになったが いくらやっても藤田氏はうまくならない。線が引けたらもってきなさい と言ったジュンちゃんの言葉通りに彼らは意気揚々と生物科へ 向かうのでした。

コンコン(再びドアを叩く音。)
「失礼しま〜す。」(三人一緒です)
「は〜い。」(中から変な声で返事。)
──間── (ドアから先生の所までかなり距離がある。)
「あの〜、線が引けたので持ってきました。」
「どら、ちょっと見せてごらん。」
──遠藤氏、紙をジュンちゃんに渡す──
──ジュンちゃん、ちょっとみて──
「割ときれいに引けているじゃない。」
「向山君が引いたんです。」
「ああそう、かなりきれいに引けているネ。」
──と言いながら顕微鏡のスイッチを入れるのです──
「どんな線が引けているかちょっと見てみよう。」

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