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「うん。」
「あの、それからカラス口ってのは使うのが面倒ですね。インクがすぐになくなってしまうって言うか すぐに書けなくなつちゃう。それにT定規が汚れて紙を汚しちゃったり。」
「T定規が汚れる……? 普通そんな事は無いんだけども……。一体どんな使い方してるの?」
「えェあの、インクツボへ“ドボン”とカラス口を入れて それから余分なインクを拭き取って それで
線をひいているんです。」
──ジュンちゃん、一瞬呆れるがこの連中だったらそれ位当然と思ってやるだろうと考え直す──
「君たちは全く製図の事はわかっていないんだなぁ。インクは一度何か他のものに含ませてそれをカラス口の先へ入れるんだよ。」
「…………」(三人絶句)
「ひょっとするとインクもひどいものを使っているんじゃないの。」
「割といいものですよ。」
「へぇ、そりゃよかった。で、何を使っているの。」
「えぇ、パーカーの黒インクを。化学部にあった奴ですがね。」
「で、 勿論 製図用なんだろ。」
「…………」(三人絶句)
「じゃ 普通の奴?」
──三人頷く──
「困った人達だな、君たちは……」
「今度は紙もかえてインクもかえてインクの入れ方もちゃんとやって来なさい。その出来が良かっ
たら写真を撮ってやろう。」
「それじゃ、お願いします。」(何故か三人は元気がない。)
──間── (先生の所からドアまでかなりある。)
「失礼しました。」(又、三人一緒です。)

この日さっそく彼らは文具店へと急ぐのでした

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