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「は〜い。」(遠藤氏、藤田氏 あまりの声の大きさに ついに耳を塞ぐ。)
──向山氏を見た遠藤氏──
「やぁ、試合どうだった?」
「優勝したよ。」
「優勝か、すごいなァ。」(これはジュンちゃん)
「今、現象が終ってフィルムが乾くのを待っているの。」
(藤田氏がジュンちゃんの本棚の中に“性”という文字のついた本が沢山あるときに気付きニヤニヤしながら言う。)

漸く遠藤氏、自分で分っているのか分っていないのか、分からない様なことを喋っている。ジュンちゃんは、これを自慢のカメラの埃を払いながら聞いている(向山氏は半分位分かった様子。藤田氏は全く分からず、ますます本棚の本の方に眼が移っていく。)

「さて、そろそろ乾いた頃だろう。」
──ジュンちゃん、フィルムを見に行く。三人は、ついていく、──
「あァ、かなりきれいに写っているよ。これだったら使い物になるんじゃないかな。」
──遠藤氏、そのフィルムを通して、蛍光灯を覗き、──
「先生、こうやって覗いてみると干渉が見えますよ。」
「どう……、アッ,本当だ。良くみえるね。」
──他の二人も覗き流石に喜びを隠しきれず、ニコニコしている。藤田氏ともなると細い眼を一層細くして眼が無くなってしまっている。──
「遠藤、マウントって言ってスライドをつくる為のものがあるんだけれども、それを買って来てスライドを作れよ。あっそれからマウントする時にはちゃんと手袋をしてやれよ。指紋を付けると駄目だからな。」

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