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に行われました。この時の撮影は水野氏。何故か彼らはノロノロとのんびりやっているのでした。最初に彼らが選んだ撮影場所は物理実験室の後の壁でした。ところがここは光の強さに差がある為良くないという事でやめました。次に選んだ所は物理実験室の机を倒してそこに紙を貼ろうと考えましたが、ここも前と同じ理由によってやめました。そこで彼らはほとほと参ってしまいました。と、下を向いて考えていた向山氏が
「そうだ!これこそ20世紀最大の発見になるに違いない。」
――他の二人唖然としている――
「そうだ!これこそ真のコロンブスの卵なのだ!」
――二人、非常に期待に胸を脹らませている――
「何を考えついたんだい?」
「ここだよ、僕達の足の下。」
「足の下って 床がどうかしたの?」
――遠藤氏はもうすでに分かったのだが、馬鹿な藤田氏はまだ分からず質問する――
「つまりね、机を4つ持ってきてねその上に三脚を立てて、そして床に紙を貼ろうって訳。分かった?」

ところがこの部屋、彼らだけであったら良かったのであるが、なにせ富嶽祭がもう近いという時であるから、沢山の人が忙しそうにしているのです。そこで藤田氏は一言叫んだ。

「みんなちょっとの間 動かないで。」
――それでよしとけばいいのに、又言った――

「時間よ、止まれ!」

こんな風にして何とか回析格子の撮影も終わった。忙しい日が幾日か過ぎ、今日は富嶽祭当日。暗幕で真暗にした部屋に三人のいやらしそうな男がいるので入って来る人はいないのではないかと思わ

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