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た。しかしこの論文もまだ遠藤氏には満足出来るものではなかった。(本当に彼は、やりにくい男だネェー)そこで結局は彼自身が論文を書かなければならなくなってしまったのでした。遠藤氏は孤独感を味わいながらも緊張感を非常に強く感じて一心不乱にまとめに専念しているのでした。(もし女の娘がこんな彼の姿を見ていたなら、黙ってはいなかったでしょう。ところが彼が一生懸命やっていたのは、生徒が帰ってしまった薄暗い校舎ですから残念な事です。)そんな事をしているうちに発表会の当日になってしまいました。この日彼は非常に焦っていたのです。この時になっても、発表の時に使うパンフレットの印刷がまだ出来ていない。印刷をする段階になっているのならまだ良い方。その段階までも行っていないのだから、情けない。彼は朝7時に学校に着いた。と、彼にガリ切りを頼まれた女の娘が既に来ている。何と彼女は学校の門が開く前から来ていたとの事。そして彼らは生物社会講義室でガリ切りをするのでした。そしてガリ切りが終わるとすぐに印刷に回す。と言っても何分。小規模経営なものですから結局は手の空いている者が印刷するのでした。そのうち無残にも授業開始を告げるブザーが鳴り渡るのでした。授業を無視しようと考えていた彼らの所へジュンちゃんが飛んできて

「お前たち、H・Rに出なけりゃ駄目だゾ!」
「先生、今日は土曜日でH・Rがありません。」
「あっ、そうか……授業出なきゃ、駄目だぞ。さあ早く授業へ出ろ。」

授業をサボろうとした遠藤氏の事、授業を正面(まとも)に受けるはずがありません。ですから彼は授業の時パンフレットを見ては説明の事などを考えているのでした。パンフレットを見ていた遠藤氏、誤字脱字の多いのに気が付いた。さてそうなると次の

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