この駆動部は、この分光分析機で一番重要で受光器を心臓部といえば、腎臓部と言えるだろう。また、この部分はまさしく富士高物理部 生物物理班が開発したもので、あらゆる文献に一行としても記載されていない。この部分の誤差は実験データーを左右するだろう。現在ネジ回転式と決まり、その方式を使うつもりだが、この方式を使うまでの経過を説明してみる。
まず、著者は2つの方式を考案した。それはワイヤー方式と、ボルト方式である[Fig6]
Fig6に示したように大きな違いは無いが用途によって使い分けるとBETTERと思う。
なぜならば、分光分析においてある一定の波長を測定する場合ワイヤー方式は少しの滑車の回転によって、移動距離が長くなるために、一定波長[最高分解能5Å]を求めるためには、電流の変化を見る場合困難を要するであろう。従ってワイヤ方式は精密に吸収波長を測定する場合には向いていない。反面ボルト方式は、ピッチ2mmであるため、1回転2mmずつ進む、従って最高分解能利用時には最適といえる。
ここでボルト方式の欠点がある。それは3000Åを一度に測定する場合移動速度がおそいため、時間がかかり、シンクロスコープの一画面にはとても描くことはできない。
(∴シンクロスコープのスポットが時間軸(横軸)を動くスピード(掃引時間)が1秒間に1cm、(1cm1sec)で130mmブラウン管では13秒で終わってしまう。従がってボルトが最高スピードで回転する場合の限度が1cm1secのため1回の掃引時間内では、受光器は13cmしかすすまず、3000Åの帯スペクトルを30cmに広げた場合、1回の掃引で1300Åしか測定することができないからである。)
ところがこの解決方法がないわけでもない。それは単掃引の場合、1回の掃引が終わった場合、終わったと同時に次の掃引が始まるから、ボルトの回転を止めないで、同一スピードで回転させれば希望波長を連続的にブラウン管に描くことができると思う。また、シンクロスコープの目盛を使いたい場合時間軸の微調整で、掃引をコントロールすれば可能と思う。具体的には、カメラのシャッターを開放にして写真撮影すれば解読可能である。この場合1枚のネガに連続的にカーブを描くことができると思う。
しかし広範囲測定時には、ワイヤー方式を使ったほうが楽かもしれない。