受光器は富士高式分光分析機にとって、心臓部ともいえる重要な部分である。受光機設計にあたって、1年を費した。つまり、それだけ資料集めに歳月を費したからである。第1号受光機及び第2号受光機はいずれも同一の回路を本体に組み込んである。また、資料及びその他の助言は東芝総合研究所・電子部研究所におせわになっている。現機完成までを紹介すると、次のようになる。
最初、著者は光を感じる半導体素子に目をつけ、比較してみた。比較の基準は、まず初め富士高式とつくからには、安く、手近であることが第1条件であった。リストに載った半導体は次のようなものであった。
以上であった。
比較するときの参考資料を[Fig8]に示す。Fig8の長所、短所を指摘してみます。最初リストから消えたのは、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー)であった。理由は値段が1個5〜6万円して、手に入れにくかったからである。(備考:東京工業大学には、何本もころがっていた。あつかいも大変らしかった。この部分は興味があったから助手に質問してみたら、「電気的知識がなく、分からない。」という返事だった。従って自分たちが研究している機器が分からないのである。その点、我々は十分理解しているから先をいっている。エラソウニ!)
次は消えたのは、Ge−Siであった。これは著者が初めて知った素子である。特性曲線を見ても、特別特徴がないためにやめた。残りの3素子は選び出すのにむずかしかった。しかし、決め手となったのは大きな長所をPTrが有していたからである。それは、測定波長領域が広くて(4000Å〜15000Å)高感度で、立ち上がりが速いということである。
(補説;立ち上がりが速いということは、早い光の変化をそのまま、電流の変化になおすことができるということである。但し限度はある)