2学期の授業録


使用教科書/『高等学校 世界史A』清水書院 (清水・世A003)
副教材/『地歴高等地図・最新版』帝国書院 (帝国・地図599)

第21回 戦う人、耕す人、祈る人〜西ヨーロッパ世界の人びと〜
古代ローマ帝国亡き後の新しい西ヨーロッパ世界の社会の仕組みについて概観した。「戦う人」は土地をもち「耕す人」を支配しつつ、「戦う人」同士で自らの財産の保護を求めて「契約」を結んだ。「戦う人」は将来的に「貴族」になっていく。また、「戦う人」も「耕す人」もこの時代、常に死の恐怖と隣り合わせの生活を送っていた。そのため、「祈る人」も大きな地位をしめた。キリスト教の聖職者である。今回の授業では、作る人、商う人は扱わなかった。

樺山紘一『新装版 世界史の知88』(新書館)、佐藤彰一・池上俊一『世界の歴史I 西ヨーロッパ世界の形成』(中央公論社)、堀米庸三編『生活の世界歴史6 中世の森の中で』(河出書房新社)、阿部謹也『逆光のなかの中世』(日本エディタースクール出版部)

第22回 皇妃テオドラ〜東ヨーロッパ世界の成立〜
一方でゲルマン人の移動の影響をあまり受けなかった東ローマ帝国は、6世紀のユスティニアヌス帝の時代に最盛期を迎えた。彼は、身分は低いが忠実な部下たちと、元舞台女優(踊り子)だった妻のテオドラによって支えられていた。東ローマ帝国は、ローマ帝国の制度や文化を維持しその伝統を受け継いでおり、それが東ローマ帝国(ビザンツ帝国)滅亡後、西ヨーロッパでおこるルネサンスの原動力となっていく。

高山博「皇妃テオドラ〜ビザンツ帝国〜」『NHK教育 世界史』(2004年度放送)、井上浩一・栗生沢猛夫『世界の歴史J ビザンツとスラブ』(中央公論社)、『週刊朝日百科 日本の歴史55 750年の世界』(朝日新聞社)

第23回 教皇VS皇帝〜西ヨーロッパの教会〜
教育実習生による授業でした。カノッサ事件を通じて教皇の力が世俗権力よりも強くなったことが理解できればよいでしょう。
第24回 「正義の戦い」の名の下に〜十字軍〜(M科ver.)
A、E、J、K科の4学科は、教育実習生による授業。M科は私の授業。2003年の「イラク戦争」において、アメリカのブッシュ大統領は、自軍を「十字軍」と表現した。しかし、イスラーム圏からの反発によって、すぐに撤回した。なぜ反発したのか?1095年、ローマ教皇は「正義の戦い」と称して十字軍を派遣することを決めた。しかしイスラームからの視点から見るとそれはとても「正義の戦い」とは言えないものであった。結局、目的を果たすことができず、ローマ教皇の権威は落ちていった。「正義の戦い」という思想は、「イラク戦争」でもみられた。

大江一道・山崎利男『物語世界史への旅』(山川出版社)、橋口倫介『十字軍〜その非神話化〜』(岩波新書)、佐藤彰一・池上俊一『世界の歴史I 西ヨーロッパ世界の形成』(中央公論社)

第25回 憧れと恐怖の東方〜ユーラシアの交流圏〜
十字軍が派遣されたころのヨーロッパの人びとは、遠いアジアの人を「妖怪」のように描いた。接触がなかったからである。しかし、13世紀ごろからユーラシア大陸全体で人とモノの移動が始まる。アジアではモンゴルによってヨーロッパでは十字軍によって。ヨーロッパの人びとは、アジアに対する憧れを強める。そしてアジアからもたらされた火薬や羅針盤を使い、ヨーロッパの人びとはアジアを目指すことになる。再びヨーロッパ人はアメリカ大陸の人を「妖怪」のように描く。

杉山正明・北川誠一『世界の歴史H 大モンゴルの時代』(中央公論社)、佐藤彰一・池上俊一『世界の歴史I 西ヨーロッパ世界の形成』(中央公論社)、「歴史を変えた中国物産〜モンゴル帝国の時代〜」『NHK高校講座 歴史でみる世界』(2003年度放送)、「アメリカ大陸との出会い〜時空を超えてC〜」『NHK高校講座 世界史』(2004年度放送)

第26回 「歴史なき大陸」の歴史〜サハラの塩金交易〜
アフリカは「暗黒大陸」とか「歴史なき大陸」と言われてきた。しかし、14世紀や16世紀にアフリカを訪れた人たちの記録によると、そこには豊かな世界が描かれていた。その中でも今回は、塩金交易で栄えていたマリ王国をとりあげた。しかし、モンテスキューのような優れた啓蒙思想家たちがアフリカの人びとを自分たちと同じ人間ではないことを説いたため、そうした見方が広がり、奴隷貿易が行なわれることになった。日本の人びともヨーロッパ人の目を通してアフリカの人びとを見ているのではないか。

松田素二「アフリカのイスラーム化と諸王国の興隆」『NHK教育 世界史』(2005年度放送)、松田素二「アフリカの光と影〜忘れられた歴史〜」『NHK教育 歴史でみる世界』(2001年度放送)、福井勝義・赤阪賢・大塚和夫『世界の歴史24 アフリカの民族と社会』(中央公論社)、『世界史B・新訂版』(一橋出版)、ジェレミー・シーブルック『世界の貧困』(青土社)

第27回 2人のカリカット訪問者〜明の成立〜
イブン・バトゥータがカリカットを訪れてから60年後、中国から一人の人物がやってくる。返り咲いた漢民族帝国・明の第3代皇帝永楽帝が派遣した鄭和である。鄭和はカリカットの人びとから受け入れられた。それから100年後、西ヨーロッパ世界から一人の人物がやってくる。ヴァスコ・ダ・ガマである。ガマはカリカットの人びとからは受け入れられない。この違いは一体何なのだろうか。2つの「大航海時代」をみた。

『明解世界史A 最新版』(帝国書院)、岸本美緒・宮嶋博史『世界の歴史K 明清と李朝の時代』(中央公論社)、宮崎正勝『グローバル時代の世界史の読み方』(吉川弘文館)

第28回 殺されたマゼラン〜大航海時代〜
毎年4月27日、フィリピンでは戦勝記念祭が行なわれている。これは、ヨーロッパのマゼランとフィリピン・マクタン島の王であったラプラプ王が戦い、その結果マゼランが殺されたという事実をもとにしたお祭りである。ここで問題なのは、なぜマゼランはラプラプ王に殺されたのかということである。どうもマゼランたちのふるまいに問題があったようである。そこにヨーロッパの男たちがなぜ危険な航海(マゼラン一行は227人で出航し、たった18人しか帰ってこれなかった)に乗り出したのかが透けて見える。

本多勝一『マゼランが来た』(朝日文庫)、増田義郎『太平洋−開かれた海の歴史』(集英社新書)、樺山紘一『世界の歴史O ルネサンスと地中海』(中央公論社)、福井憲彦「海の向こうの豊かな世界へ〜大航海時代〜」『歴史でみる世界』(2001年度放送)、『週刊朝日百科 日本の歴史22 1500年の世界』(朝日新聞社)

第29回 それでも地球は動く!〜ルネサンス〜
14世紀から16世紀にかけて、イタリアをはじめとした西ヨーロッパ各地において、力強い文化創造の展開がみられた。ルネサンスである。今回は、地動説をめぐる動きを中心に学習した。ガリレイらの動きというのは、中世を通じて権威を確立してきたローマ・カトリック教会に対する異議申し立てとみることができるだろう。しかし、ガリレイらはローマ・カトリック教会の強力な弾圧のもとに敗れ去ってしまう。ちなみに、ガリレイの死後350年目の1992年になってようやくローマ教皇はガリレイに謝罪し、名誉回復が行なわれた。

安井俊夫『歴史の授業108時間(上)』(地歴社)、樺山紘一『世界の歴史O ルネサンスと地中海』(中央公論社)、福井憲彦「ミケランジェロとルター〜ルネサンスと宗教改革〜」『NHK高校講座 世界史』(2005年放送)、『週刊朝日百科 日本の歴史22 1500年の世界』(朝日新聞社)

第30回 ザビエル来日の理由〜宗教改革〜
1549年、宣教師ザビエルが来日した。ザビエルは来日する前、インドや東南アジアで布教活動をしており、東南アジアにいた日本人に出会って来日したのである。では、なぜザビエルは海外で布教活動をしていたのだろうか。当時ヨーロッパでおこっていた、中世を通じて権威を確立してきたローマ・カトリック教会に対する異議申し立ての動き、宗教改革と関連がある。ルターは、ローマ・カトリック教会の強力な弾圧にも屈せず、批判を続けた。そのなかで、ローマ・カトリック教会のなかから建て直しの動きがでて、その中心となったのがザビエルが所属するイエズス会であった。イエズス会は海外布教に力を入れた。

福井憲彦「ミケランジェロとルター〜ルネサンスと宗教改革〜」『NHK高校講座 世界史』(2004年放送)、樺山紘一『世界の歴史O ルネサンスと地中海』(中央公論社)、J.M.ロバーツ『図説世界の歴史E 近代ヨーロッパ文明の成立』(創元社)、『週刊朝日百科 日本の歴史22 1500年の世界』(朝日新聞社)

第31回 キムチと大航海時代〜朝鮮・韓国の歴史@〜
キムチは、漬物の一種で、冬の厳しい朝鮮半島で工夫された保存食であり、ずいぶん昔から存在する。しかし、登場したころのキムチは赤くはなかった。簡単な塩漬けであったり、山椒や生姜などを香辛料として使っていた。キムチにトウガラシが使われ始めたのは、18世紀のころだといわれている。トウガラシは、いつ、どのようにして朝鮮半島に伝わってきたのだろうか。朝鮮半島にも「大航海時代」の影響が及ぶ。

千葉県歴教協世界史部会編『世界史のなかの物』(地歴社)、シルヴィア・ジョンソン『世界を変えた野菜読本』晶文社

中間テスト
第32回 特論≫ヨーロッパに行った少年たち〜天正遣欧使節〜
テスト返却。その後、30分程度で授業。大航海時代、日本からヨーロッパに行った日本の少年たちがいた。宣教師ヴァリニャーノが日本でのキリスト教布教の支援を教皇から得るため、かつ、日本での布教実績を教皇にアピールするために勧めたものである。8年間の旅を終え、帰国した少年たちを待っていたのは、豊臣秀吉によるバテレン追放令であった。帰国後の彼らを追った。

『週刊朝日百科日本の歴史25 キリシタンと南蛮文化』(朝日新聞社)、京都大学電子図書館WEB

第33回 「探検」から「征服」へ〜アメリカの古代文明〜
「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」という言い方は正確だろうか?大航海時代以前のアメリカ大陸の文明について、アステカ帝国を中心にみた。それにしても、なぜアステカ帝国は最盛期にわずかな数のスペイン人たちによって滅亡したのか?アステカの人びとの考え方に触れた。その後、先住民は激減するが、かれらの文化が征服によってすべて消滅したのではなく、一部はイベリア半島の文化と融合しながら現在にまで残っている。

『世界史B・新訂版』(一橋出版)、増田義郎『ビジュアル版世界の歴史L 大航海時代』(講談社)

第34回 ラス・カサスの訴え〜アメリカの植民地化〜
アメリカ大陸には多くのスペイン人が植民をした。そこで、スペイン人は原住民のインディオを酷使したり虐待したり虐殺したりする。インディオの数が激減する中で、今度はアフリカから黒人を連れてきた。そして彼らを奴隷として酷使したのである。黒人奴隷についてはのちに話すが、アメリカ大陸でのこのような状況をみたスペイン人聖職者であったラス・カサスは、良心の呵責を感じるようになり、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』などで告発をする。そして、…。

樺山紘一『世界の歴史O ルネサンスと地中海』(中央公論社)、増田義郎『ビジュアル版世界の歴史L 大航海時代』(講談社)、増田義郎『太平洋−開かれた海の歴史』(集英社新書)、『週刊朝日百科・日本の歴史33 1600年の世界』(朝日新聞社)、『DAYS JAPAN』(2004年8月号、2005年1月号、2005年2月号)

第35回 「暴走」する国王たち〜西ヨーロッパの絶対主義〜
16世紀から17世紀にかけて、西ヨーロッパには個性的な国王が現れた。例えば、イギリスにはヘンリ8世やエリザベス1世、スペインにはフェリペ2世。かれらは、くり返し戦争をおこなった。その結果、見た目の派手さとは異なり、莫大な借金を残した。このようなあり方は、ふつうの人びとから見たらどのようにうつるのか?借金の穴埋めのための増税、そして戦争をすることになれば、駆り出され、死の恐怖を味わうことになるのはもちろんふつうの人びとである。さまざまな負担がのしかかる。あれ?現在の日本もよくみれば一緒?

長谷川輝夫・大久保桂子・土肥恒之『世界の歴史P ヨーロッパ近世の開花』(中央公論社)、J.M.ロバーツ『図説世界の歴史E 近代ヨーロッパ文明の成立』(創元社)、増田義郎『ビジュアル版世界の歴史L 大航海時代』(講談社)

第36回 「暴走」する国王を抑えろ!〜17世紀のイギリス革命〜
いま、日本国憲法を変えようという論議がなされている。ところで、ここで問題。憲法は、誰が守るものなのだろうか?私たちが守らねばならないルール?ちがう。憲法は、いわば、権力を持つ人びとが守らねばならないものである。なぜ憲法は、権力を持つ者が守らなければならないのだろうか?今回は、その歴史を、イギリスを例に探っていきたい。ジェームズ2世はイギリスの人々から「権利の章典」をつきつけられた。「アンタ、ここに書いてあることしっかり守ってくださいよ」。そんなできごとが憲法の始まりであり、だからこそ憲法ってのは権力が守らねばならないのである。。

高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、長谷川輝夫・大久保桂子・土肥恒之『世界の歴史P ヨーロッパ近世の開花』(中央公論社)、樋口陽一『自由と国家―いま「憲法」のもつ意味―』(岩波新書)、浜林正夫「イギリスの『人権宣言』」『本郷 23』(吉川弘文館)、『世界史B・新訂版』(一橋出版)

第37回 アムステルダムから出島へ〜ヨーロッパ諸国の世界進出〜
戦国時代の日本に現れたヨーロッパ人といえば、ポルトガル人であり、スペイン人であった。ちょうどヨーロッパでは大航海時代にあたっていた。つづく江戸時代の日本はいわゆる「鎖国」という対外政策をとるが、ヨーロッパの国としてはオランダと貿易関係を築く。世界史のレベルでみていくと、確かに17世紀はオランダの世紀であった。そして、オランダは、中国の生糸を日本にもって行き、日本から大量の銀を持っていった。そういう点から、江戸時代の日本も「鎖国」とはいいながら、しっかりと世界の動きの中に組み込まれていたのである。

『週刊朝日百科・日本の歴史33 1600年の世界』(朝日新聞社)、『週刊朝日百科・日本の歴史25 キリシタンと南蛮文化』(朝日新聞社)、長谷川輝夫・大久保桂子・土肥恒之『世界の歴史P ヨーロッパ近世の開花』(中央公論社)、宮崎正勝『文明ネットワークの世界史』(原書房)、増田義郎『太平洋〜開かれた海の歴史』(集英社新書)

第38回 砂糖と茶の出会い〜グローバル化するヨーロッパ経済圏〜
ふつう緑茶に砂糖を入れて飲むことはない(静岡では緑茶に甘みを入れたものが売られているが)。しかし、イギリスの人(だけに限らないが)は紅茶に砂糖を入れて飲む。17世紀のイギリスの人たちにとって、これはどんな意味があったのだろうか?そして、その背景にはヨーロッパ・アメリカ大陸・アフリカ大陸とが一体化していく「三角貿易」があった。アメリカ大陸・アフリカ大陸を「踏み台」にして、ヨーロッパの人たちはコーヒーハウスにて政治を語り、経済を語り、文化を語っていたのである。

川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)、増田義郎『略奪の海カリブ』(岩波新書)、WEB

第39回 「砂糖のあるところ、奴隷あり」〜アフリカの近代〜
ブラジルで行なわれている派手なリオのカーニバル。そこには、かつて奴隷(「黒い積荷」)として連れてこられたアフリカ系の人びとの姿がある。奴隷狩り、「中間航路」、アメリカ大陸での労働の実態について文章を読んだ。このような奴隷貿易は、現在に続くアフリカ社会のゆがみをもたらした。つまり、アフリカ社会における若い労働力の減少、そしてヨーロッパの産業革命の下支えをするプランテーション、そこではアフリカの人びとが生きていく上で必要のない商品作物を栽培させられた。それがアフリカの「餓え」「貧困」を招いているのである。

松田素二「ヨーロッパによる植民地支配〜アフリカの近代〜」『NHK高校講座 世界史』、川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)、本田創造『アメリカ黒人の歴史 新版』(岩波新書)、福井勝義・赤阪賢・大塚和夫『世界の歴史24 アフリカの民族と社会』(中央公論社)、宮崎正勝『文明ネットワークの世界史』(原書房)、安田喜憲『NHK人間大学 森と文明 環境考古学の視点』(日本放送出版協会)、山本宗補『フィリピン最底辺を生きる』(岩波書店)

第40回 綿にしみ込む血と涙〜イギリス産業革命〜
18世紀後半、イギリスにおいて産業革命がおきた。なぜイギリスで世界最初の産業革命がおきたのだろうか?イギリスの人たちの、生真面目な国民性?いやいや、そこには綿をつうじて、さまざまな人びとの血と涙がしみ込んでいたのであった。一つは、イギリス産綿織物のライバルであったインド産キャラコを生産する人たちの血と涙。もう一つは、綿織物の原料である綿をアメリカで生産したアフリカ系黒人たちの血と涙。そして、もう一つはイギリス産綿織物を買わされた人たち、要するにイギリス植民地の人たちの血と涙。こういったのがあって、産業革命が成り立つのである。

川北稔『改訂版 ヨーロッパと近代世界』((財)放送大学教育振興会)、角山栄・村岡健次・川北稔『生活の世界歴史10 産業革命と民衆』(河出書房新社)、加藤祐三・川北稔『世界の歴史25 アジアと欧米世界』(中央公論社)

第41回 権力へのふか〜い疑い〜アメリカ独立革命〜
アメリカ植民地に対して、イギリス本国政府は財政難の穴埋めをするために課税した。イギリス本国政府の「暴走」に対して、植民地の人びとは「代表なければ、課税なし」として立ち上がった。結果として、独立宣言、合衆国憲法をつくってイギリスから独立し、アメリカ合衆国が成立した。独立宣言はイギリスのロックの思想を下敷きにし、「(生命、自由および幸福の追求という)権利を確保するために人類のあいだに政府が組織され」、「もしこれらの目的を侵害する場合には、人びとは」「新たな政府を組織する権利がある」とする。これを起草したジェファソン(第3代大統領)は、「われわれが権力をたくさなければならない人びとを制約的な憲法によって拘束するのは、信頼ではなく、猜疑に由来する」と言う。含蓄のあることばである。

五十嵐武士・福井憲彦『世界の歴史21 アメリカとフランスの革命』(中央公論社)、本田創造『アメリカ黒人の歴史 新版』(岩波新書)、浜林正夫『人権の思想史』(吉川弘文館)、高木八尺・末延三次・宮沢俊義編『人権宣言集』(岩波文庫)、宮沢俊義編『世界憲法集 第二版』(岩波文庫)

期末テスト

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