第 一 章   マンションとは
1. マンションの定義と構造
   マンションに関する法律の中に、「建物の区分所有に関する法律(以下区分所有法という)」がある。しかし条文には「一棟の建物に構造上区分けされた数個の部分で独立して・…建物としての用途に供する…・以下略」と書かれていてマンションの文字は出てこない。監督している国土交通省(建設省)では一般に「中高層」の「鉄筋コンクリート造り(RC造)<耐火建築物の事>」で、共同(住宅)建ての建物であって分譲又は賃貸の用に供するものを「マンション」と定義づけている。階数で3階以上を「中高層住宅」と言い、建築基準法では「3階以上の共同住宅等(特殊建築物と呼ぶ)は、耐火構造物としなければならない」とマンション建築の構造を規制している。耐火構造物の代表格が鉄筋(又、鉄骨鉄筋)コンクリート造である。尚平成13年8月施行の 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」という)」第2条では、文字として初めて2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び付属施設をマンションと定義づけていて、区分所有法とは若干解釈が異なっている。
   日本の代表的近代建築物といえば、「旧丸ビル」が有名で、先年80年近くを経過し解体され新しい建物に生まれ変わろうとしているが、我国では建物の寿命を誰がどんな基準で設定しているかとなるとかなり漠然としている。過去の例では鉄筋コンクリート造建築物は50年程度が節目のようで、そこに永久構築物ではないマンションの問題が凝縮されていると感じる。
   もう一つの観点は、不動産とは土地及び建物が別個に成り立って各々に権利が分離して存在しているが、マンションに関しては性格上土地と建物を一体化させ分離処分を原則禁止していていわゆる複合不動産として取り扱われる点である。

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