第 三 章  マンション管理のポイント
   新しくマンションが完成し、引越しを始めた時から共同生活が始まる。昔村落や国家が秩序を維持する為に組織やルールを作ると同様に新しいマンションにも組織やルールが必要になる。大半の管理組合は運営面で全部又は幾つかの業務を他に委託している。年数の経過に伴い区分所有者、住民、管理組合及び管理会社の間で日常生活を含めた幾つかの問題が表面化しており、国ではマンション関連の法律整備を検討、実施していると同様に管理組合も今までの体質から脱却する局面に立たされている。時代の変化にどう対処していくかがマンション管理の成否を決める要因になる。マンション管理は運営、施設、生活ルールの3項目に各々費用が関係しており、平成13年にマンション管理費は一兆円を超える巨大市場になっている。しかしマンション管理をどうするかは各区分所有者の自覚がなければ改善することは難しい。

1. 区分所有者、権利と義務
    「やっと手にしたマイホーム、後は管理費を払えばオーケー!」こんな感覚の区分所有者がかなり多いのではないだろうか?実際には権利と同様に責任や義務も生じ、これらの権利義務を念頭に入れてマンションを購入し、生活しなければならないのである。どのような権利・義務例があるか整理すると下記のようになる。 (法律は区分所有法、規約は標準管理規約をいう)
 法律・規約
〇 区分所有者の権利例 
(1) 所有権の目的物になる。(所有権を有し、登記ができる)法1条
(2) 管理組合を構成し集会を開き、規約を定め、管理者をおける法 3条他
(3) 先取特権を有する法 7条
(4) 共用部分を共有し使用できる法13条
(5) 共用部分から生ずる利益を収得できる法19条
(6) 法人を設立できる法47条他
(7) マンションの建て替えができる法61条他
(8) 共用部分の一部を専用使用できる規約12条3
(9) 駐車場を(有償)使用できる規約15条
(10) 専有部分を第三者に貸与できる規約19条
(11) 管理組合の役員になれる規約33条他
(12) 管理組合総会に出席し議決できる規約43条他
(13) 組合記録の閲覧ができる規約48条他
(14) 管理組合に対して訴訟をおこせる規約64条
  
○ 区分所有者(一部居住者)の義務例 
(1) 共同の利益に反する行為の禁止法 6条
(2) 承継人の引継ぎ義務法8・52・54条
規約25条他
(3) 共用部分の分離処分禁止法15条他
(4) 共用部分の管理義務法18条他
(5) 法人の場合は、法人債務を持分割合で負担する義務がある法53条
(6) 管理規約・使用細則の遵守義務規約3条他
(7) 専有と共有持分の分離禁止規約11条
(8) 共用部分・専用部分の用途制限規約12条他
(9) 対象物件の適正管理義務規約20条他
(10) 組合員資格の届出義務規約29条他
(11) 役員選出に伴う業務遂行義務規約31条他
(12) 総会決議事項の実行義務規約46条 

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