戻る このページのTOP 次のページ HOME5 ワディ・ラム
朝6時半のバスでアカバからワディ・ラムに向かう。
20人乗りの小型バスで、1時間強。1JD。バスは朝と昼の2本のみ。
☆ワディラムからペトラへのバスは、一日一本で、このアカバから来た朝のバスのみ。ワディ・ラムは、ベドウィンが住み、どこまでも続く赤い砂の砂漠と岩山砂漠の国ヨルダンの観光の目玉の一つ。
バスはレストハウス前で停車。
バスを降りるとワディ・ラム入場料を払う。(1.5JD これでレストハウスでドリンクが飲める。)なんだか砂漠の真ん中に突然現れたツーリスティックなエリアで、
大きなレストハウスと観光案内所がある。
レストハウス裏には観光客向けの宿泊用テントがいっぱい常設されていて、シャワー&トイレがあり清潔。
有名観光地でありながらホテルはなく、宿泊施設はテントのみのようだ。
おっと、レストハウスの建物内はホテルの部屋も有るのか?(歩き方にはそう載っているが・・・)レストハウスの周りはこの村の中心地になっていて、
ラクダもいっぱいいるが、多くのベドウィン達が砂漠ツアーの客引きをしている。
砂漠観光はレストハウスのツアーに申し込むか、直接このベドウィン達のガイドに頼むしかない。
政府でやっている4WDのツアーは一台4時間貸し切りで35JDと、安くない。
そこへいくと直接交渉のほうが融通がきいて安くあがるのだ。私達がこのワディラムに着いたとき、ここには2時間くらい観光するだけで、
昼過ぎにメインのペトラに向かうつもりだった。しかし、これが大間違い!
ペトラ行きのバスは朝に一日一本しか無い、と言うではないか!!!!
アカバから乗ってきたバスがそのままペトラへ向かうので、
一日一本。。。。。。結局、地元のベドウインガイドのすすめで、その日は砂漠にキャンプすることに!
どうなることやら・・・・・・。でも、二人で宿泊つきで一日35JDは悪くない。
私たちのガイドはムハンマドとアリーという、25歳くらいの青年達。
若いだけあって、なかなか楽しい奴ら。いざ、砂漠探検に出発!
6 砂漠で野宿
20年モノのランドクルーザーは、真っ赤な砂の砂漠を駆け抜ける。
時折砂にはまってスタックするけれど、なれたもので、すぐに抜け出し、力強くまた走り出す。
周りは風化して溶けているような赤い岩山と、その細かい砂のみ。どこまでもどこまでも続く砂漠。
ときおりベドウインが羊を放牧していたり、らくだで移動したりしているが、他に人影も全くない。お昼は岩山で日陰ができる、草木のはえた場所でアウトドアごはん。
そこらへんに落ちている、からからに乾いた木を集め、
ライターで火を付けると、すぐにめらめらめら・・・・・!
ホントにあっという間に火がついて、びっくり。ムハンマド達がお茶をわかしてくれて、
私達の持っていたパンやスイカやお菓子に、
車に常備のツナ缶をはさんでいただきまーす。
最高に楽しいおひるご飯でした。
楽しい砂漠ごはん。
ベドウインの暮らしや、この砂漠について、いろんなことをおしえてもらいました。
◇ ベドウインは15年くらい前までは、テントに住んでいた。
◇ 長屋のような黒いテントは5部屋あり、20名くらいが住んでいる。
◇ お父さん1人にお母さんは2人。4人持つ人もホントにいる。
◇ 子供はひと家族に8〜12人くらい。
◇ 食事は肉をよく食べる。
◇ ベドウインは、子供の時からラクダの乳を飲んで育つのでストロングなのだ!!!
(キャメルミルクでストロング!ってのはみんなが口をそろえて言ってる。面白いっ)◇ 雨は年に5回程度。
◇ 水はワディ(涸れ川)を50〜100m掘ると出てくる。
◇ ラクダは一家に5頭くらい。
◇ 運転免許は18歳から
◇ ランドクルーザーは5000ドルくらい。(すっごい無骨な奴ですが、丈夫!)20年くらい乗る。◇ ワディ・ラムの人口は約2000人。彼らは2000人全員知っている!
歩き方に載っているベドウインの人の名前も当然全部おしえてくれた。
◇ 広い砂漠でも道(道はないけどさ。)に迷うことは無い。さっすが。
◇ 結婚は男は30歳くらいが普通。(けっこう遅い!)ムハンマドが、私に突然、「日本では同棲が許されているか?」という質問をしてきた。
欧米人ツーリストのあけすけの性や乱れた生活がそんな質問をさせたらしい。
日本では同棲する男女もいるが、基本的には許されないことで、
そんなことしたら家族も悲しむ、という考えが一般的だ、と答えたが・・・・。ほんとになんにもない砂漠で
伝統的な暮らしをしながら、世界中のツーリスト達に接するという、特殊な生活をしていると、
たしかに、こんな疑問がわいてくるだろうな。
俺達の生活ってなんだろう。これでいいのか。もっとちがった可能性やより良い生活があるんじゃないか?何が正しいとはいえないが、私は、自分を最大限に活かせるフィールド、それが家族がいるところだったり、
自分の生まれた所であれば最高に幸せなことだと思うが。
強くたくましく生きるベドウインが街の生活をしても、その能力を同じ価値観で尊んでくれる環境ではないだろう、と思う。
また砂漠めぐりを再開して、しばらくすると、
砂漠の中に麻袋をつなげたような大きなテントが建っていて、
またそこで休憩する。テントの中には誰かが持ち込んだのだろう、砂の上にマットレスや布団が4枚ほどあり、
お茶用のコップやヤカンがころがっている 。そして、アリーが当然のように
「君たちは今日はここで泊まるから。」
って!!!
「へっ?」って思ったね。もう、びっくり!
だいたい、ツーリストが砂漠でキャンプっていったら、
ベドウインの家族が観光客向けのテントに住んでいて、
お母ちゃんの手料理をだしてくれたり、
子供達がじゃれてきたり、一緒に遊んだり踊ったりしながら
楽しいベドウイン生活体験! みたいなのを想像するじゃんよぉ。それがさー、
砂漠の休憩所みたいなところで、
屋根はあるけど、壁はなくって、
地面は砂でなんにもなくって、
電気もなけりゃ水もない、トイレなんてあるわけない。
誰かが便利だと思って家から余った布団をおいていって、ご自由にみんなで使えばいいじゃーん、
みたいなところに、
未婚の女の子(子?)ふたりで泊まれっていうわけ?盗賊やオオカミやサソリが出たらどうしてくれるのよー!!!
「サソリはいないよ。オオカミとか動物もいない。」
周りにはほんとになんにもないんだぜ。
岩山と砂しか。
これが麻袋のテント。
「明日の朝迎えに来るから。」
「なにか必要なものある?買ってくるけど。水と・・・・・」っていってもさ。でもとりあえず(でもすかさず)
「水とパンとトマト。」
「ツナ缶は?」
「じゃあツナ缶も。」
「じゃ、今2時だからこれだけ買ってきて、4時にもう一回戻ってくるよ。じゃあね。」
って言って、ほんとに私達は砂漠の真ん中に置き去りに。
残された私達はしばし呆然。
「とりあえず、昼寝しますか。暑いし。」
そういってK子さんはマットレスに横になってフテ寝。
テントの中はこんな感じ・・・しーーーーーーーーーーん。
午後2時、温度は日陰で32度。
私達の顔の、目や口まわりの少しの水分に、どこから出てくるのかハエがたかって
うるさいことこのうえない。イエメンで買った、インド製の薄い布を顔に巻いてみると、
これがとっても都合がよい。ハエはたからないし、
薄いから透けて見えるし。
怪しげな姿でエアメール書いたりしてすごす。しかしこの薄い布って便利!
私達もイエメンでこの布を買って以来、ずっと旅の必需品としているけど、1)暑い時には日よけになるし、(頭からかぶっても外が見えるし、風も通すので涼しい!)
2)寒いときには上着にもなるし
3)シーツが無い安宿ではシーツ代わり
4)荷物が増えたときは風呂敷に
5)砂漠や、窓が閉まらないバスでは砂埃よけ
6)寝台列車ではカーテン代わり
7)ビーチでは砂にひいてビニールシート代わり
8)水着になったらパレオ代わり軽いし折り畳めばちっちゃいし。
アラブの人達が、どうして帽子じゃなくて布をかぶるのか、よーーくわかったわ。実感だね。
4時になると、約束通りアリーとムハンマドがトマトやパンを持ってやってきた。
しばしの間、ランクルを運転させてもらってあそんだり、
おしゃべりしたりしてすごす。そして、
「じゃあ、僕達は行くよ。明日6時半に迎えにくるから。
「夕日はこの岩山を登ればこっちの方向に綺麗に見えるよ。
朝日はこっち。夜は星が綺麗だよ。じゃあね。」「さぞかし星は綺麗だろうよ・・・・・・」
と思う間もなく、彼らは行ってしまった。
あぁ、とうとう、私達もやっちまったか!って感じ。
いままで何度となくホームステイ(民家に転がり込み!)はしたけど、野宿は初めて。スケベな彼ら(アラブ人は観光客とみればすぐさわりたがるのだ。)と一緒に泊まるのもどうかと思うけど、やっぱり心細い。
二人で岩山にのぼり、夕日の落ちるのを待ちながら日記やエアメールを書く。
あまりにも静かで、
絵はがきに当たるボールペンの音がコツコツと響いてくる。
ほんとに風の音しか聞こえないんだ。
夕日は綺麗だった。
赤い砂漠がバラ色に染まり、刻々と色を変える。
最後の太陽が静みきった時、不安で胸がキュンとなる。
太陽ってすばらしい。
暗くなるのがこんなに不安なものか。
明日、ちゃんと太陽が昇りますように岩山を降り、
「ま、暗くなる前に夜の準備をしときますか。」ということで野営の準備。
砂だらけのマットレスの周りに新聞紙を敷き、
砂まみれのマットレスにはビニールシートをかけ、
他にも
ろうそく、ライター、
ミニランタン、
懐中電灯
缶切り、ナイフ、スプーン&フォーク、
トイレットペーパー、
顔や体を拭く「汗拭きシート」まである。全然困らないじゃない。
なんだ、私たちの旅道具って、キャンプ道具と変わらないじゃん!
だってさぁ、断水&停電は旅では日常茶飯事なんだもん。
そうそう、他にも便利なのはガムテープ。何かと便利なんだよね・・・・。空に星がではじめたころ、夜ご飯。
火をつけようと思ったけど、アリーのように、簡単に火がつけられない。ろうそくの明かりで作ったツナとトマトのサンドイッチ。
おいしい。
星が綺麗!!!ほんとに小さな星まで見える。
けっこう満足して寝床に戻る。暗くなったら寝るしかないので、
ペットボトルの水で顔を洗い、歯を磨き、
大自然でトイレをして、就寝。
ラクダの乳で育ってなくてもたくましすぎる私たち。しかし、何もない割にはときおりけっこう人や車の気配がして。
誰かが余った布団を取りに来たり、
夜中の12位j頃にはベドウインの男が二人やってきて
火をおこして私達にもお茶を出してくれる。私は眠たくて(怖くて?)寝た振りしてたんだけど、
K子さんなんて、「星が綺麗だよ。見に行かない?」
なんて声かけられてるし。結局2人は私達と同じテントに泊まった。何事も無かったが・・・・。
砂漠暑くなく、寒くなく、寝心地もよく、ぐっすり。
朝はアカバで買ってきたアザーンが流れる目覚まし時計で飛び起きる。5時半。どうやら朝の来る気配。ほっ。
朝。バラ色の砂漠
岩山に登り、朝焼けを見る。
周囲は柔らかいバラ色に包まれ、ほんとうに綺麗。
朝が来て、本当にうれしい。6時半に迎えが来て、村に戻る。
35JD払い、お礼を言って別れる。
本当にスゴイ一日だった。