チュニジア報告3

3 サハラ砂漠でキャンプ
(ドゥーズ ラクダツアー)
 

<ドゥーズへ>

翌日も早起きして出発の準備をしていると、宿の兄ちゃんが私の部屋をノックして、バスターミナルまで送るよ、だの食事はどうするの?、だのと余計なちょっかいを出してくる。要するに小遣い稼ぎにいろいろ世話しよう、という魂胆なのだが、タクシー呼ぶから3D出せだのうるさいって。結局私が宿を出るときついてきて、頼みもしないのにお茶屋に連れていかれ、コーヒーをおごらされ、タクシーに乗せられて。
「なんだよ頼んでないじゃんよ。」なんて押し問答するのもめんどいので、まぁいいや。なんて思っちゃうんだけど、タクシーの人もたった2ブロックしか走ってないのに1Dなんて言うし。バカ言うなよ。500ミル玉を渡して降りた。無駄金を使わされてしまった。

今日はいよいよサラサラの砂のサハラ砂漠が見られるドゥーズへ行くのだ。チュニジアはどこをとってもサハラ砂漠なんだけど、町があるような普通の場所は岩がごろごろとし、地面が固まっている砂漠で砂の砂漠ではない。チュニジアでサラサラのサハラ砂漠観光が出来る拠点といえば南のドゥーズか西のトズールか、というところ。
タタウィンからドゥーズに行くには、ルアージュを何度も乗り継でいく。

タタゥイン→メドニン  1h    2D
メドニン→ガベス   1h    2.7D
ガベス→ケビリ    1.5h  5D
ケビリ→ドゥーズ   0.5h  1.3D

12時には砂漠の町ドゥーズに到着。乗り換えもスムーズだし、待ち時間もほとんどないし、チュニジアってホント、どこに行くにもスムーズ。
 

<現地ラクダツアーに参加>

ルアージュがドゥーズに着くと、早速紺のベルベルコートを着た恰幅のいいおじさんが「ラクダツアーいかが?」と車窓から声をかけてくる。ここに来る外人観光客は皆ラクダツアーが目的だから、こうしてこのおじさんは毎日ルアージュやバスから降りてくる観光客に声をかけてるんだろう。私も私で、めんどくさいから素直にそのおじさんのオフィスへ。客引きって慣れると便利なんだよね。チュニジアは、客引きがいなくて困る。タタウィンのクサール巡りなんて、絶対客引きすべきだよ。私だったらやるね。一人100Dとか言って大儲け!営業マン魂炸裂させて金持ちのおばちゃんおじちゃん相手に親切&にこやかに。一年くらいしたらランクル買えちゃう。ね?良い案でしょう。タタゥイン市民のみなさん。

客引きのおじさんに連れられてラクダツアーをやっているオフィスに行く。
ツアーはラクダに乗ってサハラ砂漠を歩いて戻ってくる、というもので、
午前のツアー、午後のツアー、一泊のツアー、2,3日のツアー、といろいろある。

私は夜寒いのが辛いので、ラクダに乗ってちょろっと行って帰ってくる昼間のツアーでいいと思っていたのだけど、そんなものは人気が無いらしく、私一人だけ。夜キャンプは18人のツアーがあるという。
だいたい砂漠でキャンプってのは究極なのを(!)ヨルダンでやったばっかりだし、夜は寒いし・・・と乗り気でなかったのだが、砂漠の真ん中でアラブのオヤジとふたりっきりってのは絶対避けたいので、夜のキャンプに申し込む。
75Dといわれたけど50D出した。多分35位までは値切れたんだろうけどこのくらいにしておく。

2時半集合、ということで、それまでの時間はスタッフの人と一緒に車でなんだかいろいろ連れて歩かれる。
まず、「ラクダ乗り場」に行って、なにやら打ち合わせ。多分ラクダの数を伝えたんだと思うけど・・・。
ラクダ乗り場、まさに砂漠の入り口、といった感じでラクダがいっぱい待機している。周りはツーリスティックなエリアで、砂漠観光を楽しむ為にやってきた観光客の為の豪華なホテルが立ち並んでいる。
町まで戻り、食事。レストランでクスクスを注文。レストランの奥の座敷の部屋で、絨毯とマットレスという、チュニジアンスタイルのかわいい部屋で食事。出てきたクスクス、大皿で出てきて20センチもあろうかという巨大なシシトウがでーんと乗っかっていてびっくり。味は良かったけど半分くらいしか食べられず。
 

<いざ、サハラ砂漠に出発>

いよいよ出発。みんなが集まってくる。ほとんどがフランス語圏の人で、英語の人もいるけどカップルばかり。
一人一頭のラクダに乗って出発。私のラクダはマックス君といい、若くて少年風のかわいいラクダ君。なかにはゲロゲロいって泡吹いてる汚いラクダもいたから、ラッキーなのだ。

18人のビッグキャラバンは3,4頭をつなげてスタッフが歩いて引く。
しばらくいくと白い砂だけの砂漠になった。風もなくてほんと気持ちいい。
♪月の〜砂漠を〜♪なんてお約束のように口ずさんでしまう。私のは銀の鞍じゃないけどお姫様気分さ。

サハラの砂はミルク色。コンデンスミルクみたいな色。砂はとっても細かくて、砂というよりパウダー。
砂漠の色って場所によって違う。タクラマカン砂漠は黄色っぽいし、ヨルダンのワディ・ラムは真っ赤だもの。
風紋がきれい。ラクダと私のシルエットを映し出し、幻想的。

サハラの砂はミルク色

2時間弱くらい歩いたかな。砂漠の様子がちょっと変わって、起伏のある草木の多いところでラクダを降り、キャンプの準備。
・・・・といってもスタッフが全部やってくれるから私達はなにもしない。
スタッフはラクダひいて砂の植を歩いてきたのに・・・・・。もっと手伝ってもいいのにな。
布団やらテント幕やら、大きい荷物は車でダーーッと運ばれて来た。
しばらくすると大きなベドウィンテントが建った。すごい!
そして、夕食の準備。メニューはクスクスとスープ。

夕日が落ちるのを眺める。
「もうすぐ夕日が落ちるよ!一緒に見ようよ〜!」なんてヨーロッパ人が声かけてくれるけど、いざ夕日が落ちようとする頃になると、どのカップルも思いきり黄昏ちまって、寂しいってば。もう。暗くなるし、寒くなるし。「けっ。つまんねぇよ。」と思いながら、一人お散歩。

 
左 テントを張る。見てのとおり何もない砂漠。
右 完成したテント。ここに15人が寝る

<砂漠でキャンプ>

すっかりあたりが暗くなると、みんな火の回りに集まってくる。手元は真っ暗、懐中電灯を持っているのは私だけ(!)で、なぜか私だけがいろいろ手伝うハメに。一人だから気を使ってもらったのか、きっとコイツなら使える、と思ったのか。(笑)ちなみにろうそくを持っているのも私だけだったけど・・・・!
きっと現地スタッフには私が同じニオイを発しているように感じたのだろう・・・・・?!

クスクスとスープ、といってもけっこう手間と時間がかかる料理。
クスクスは大釜で蒸す。一度蒸したら、盆にあけてバラバラにほぐして釜に戻し、もう一度蒸す。
トマトスープは野菜や肉を入れ、クミンやアニス、コリアンダーといった香辛料と塩コショウで味付け。


砂漠ごはん。クスクスとスープを作っている。

できあがった頃には吐く息が白い程寒くなってたけど、レストランでたべたのよりずっと美味しかった!
ちょっとサハラの砂が入っていたけど。

食後はみんなで歌ったり踊ったり。歌のうまいスタッフが砂漠中に響き渡る声で歌うあとにみんなが続く。
隣のテントから陽気な女の子達も飛び入りして盛り上がりまくり。
楽しい夜だった。見上げれば星もきれいで・・・。

夜は毛布3枚にくるまって寝る。ありったけの服を着て寝るけど、寒くてなかなか寝付けない。
周りはみんなカップル。あんたたちは寒くないだろーよ。いいなぁ人間カイロ。 と思いつつ、就寝。途中一回トイレに起きた。真っ暗で怖かった〜。
 

<砂漠の朝>

砂漠の朝。一番に起き出して夜明けを待つ。結局寒くて足が冷えて熟睡出来ず。

ラクダもそろそろ起きだし、朝焼けの写真をとったり。
朝のお祈りをする人も。


砂漠の朝。朝の祈りの風景

外ではスタッフがパン作り。
小麦粉を練って40センチくらいの大きな丸い生地を作る。
砂の上に火をおこして炭を作り、平らに均してその上に直接パンの生地を置く。
その上によけておいた炭を直接のせてきれいにかぶせて焼いちゃう。
焼き上がったパンはパンパンとはたくと砂も炭もすっかり落ちて、美味しく食べられる。砂って便利だ・・・・。


パンの焼き方。燃えている炭を直接のせる。

焼き上がったパンにハチミツやジャムを塗って食べ、カフェオレで朝食。
素朴だけど美味しいんだ。

きれいな朝日を見てしばらくして出発。
日が出てくると一気に暖かくなる。

帰り道も晴れて穏やかでとてもいい気分。
途中砂に降りて走り出したイギリス人青年がラクダの骨を見つけて拾ってきたり、
みんな楽しそうで充実した顔をしている。

町に帰ってきたのは10時半頃。
みんなとはオフィスで解散。
寒かったけど楽しい思い出になりました。
真っ白いサハラ。今度は寒くない頃に行きたいよ!
 
 

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