2003年の火星と地球の接近は6万年ぶりの最接近距離となりました、2年前の接近と比べて大きさの違いは直接比較してみないと分からない程度ですが、表面の模様が2年前より良く見えていました。火星は約2年2か月ごとに地球に接近します、軌道がいびつな楕円をしているため接近距離は毎回異なり約15年の周期で変化します、最大接近時には5500万kmにまで近づきますが最小接近時には1億kmを越えます、そのため接近時の視直径も25秒角から14秒角と大きな差があります。表面には模様が見えます、暗い模様は海や湖の名まえがつけられており、明るい赤褐色の部分は大陸や高原の名まえで呼ばれています。火星表面が赤いのは表面が酸化鉄に覆われているためである。
1999年と2001年に地球に接近したときに撮影した画像はこちら。
撮影にはSSC−12に8oビデオを装着して撮影。※今年の撮影では画像の真上側がその時間に撮影した地球の地平線側となっています、これはビデオカメラを望遠鏡とは別の三脚に乗せて撮影しているからです。
なお、明るさはその時の状況によってスキャンして有るのでそれぞれの画像での明るさの比較はできません、ただし各撮影日の一番倍率の大きい画像だけ同一倍率になっているので、一番大きな画像同士の大きさの比較は可能です。
中央にキンメリア湾が写っています、右側の隅は夜の部分なので少し欠けてます、丁度昼と夜の堺の所に大シルチスが有ります、元々シーイングが悪くぼやけているので各部の名称は大体その辺にそれらの地域があるよ程度に見て下さい。
2時間ほどしてキンメリア湾は左上隅に移動しシレーン海は裏側に移動して見えなくなりました、そして大シルチスが真ん中に移動しました、火星はこの画像では左上に向かって自転していることになります。
最接近から2カ月も経ち見かけの大きさがかなり小さくなりました、右側に夜の部分が見えてきたため少し楕円形に見えています。9月18日と同じ所を撮影していますが小さくなった上にシーイングも悪いので真珠湾がなんとか確認出来る程度です。
最接近からひと月以上が経ち見かけの大きさも少し小さくなった、これから見る見るうちに火星は地球から離れて小さくなっていく。見えているのは火星上で模様が最もつまらないシレーン海付近、シーイングも悪いの模様が良く見えない。
9/17よりほぼ24時間経った、火星は24時間37分で自転しているので昨日より少し模様の位置が右側(火星上では西側)にずれているのが分かる。つまり火星が1周するのにあと37分足りないのでこのようなズレが生じる。
今度は先ほどより1時間半後に撮影、今度は模様が左側(火星上では東側)に少しずれているのが分かる。37分後に撮影していれば↓の9/17と同じ位置になったが1時間半も経ってしまったのでだいぶずれてしまった!
今回の撮影では子午線湾(サバ人の湾)が正面に写っている、シーイングが余り良くないので綺麗には写らなかった、画像左側(火星上では東側)には大シルチスが見えてきている。
この日は火星と月が見かけ上接近する現象が見られた、詳しくは月と火星の接近のページへ。
この日の撮影では太陽湖が正面に写っている、太陽湖はそのポツンとした形から火星の目玉と言われている、太陽湖はとても見にくい海であるがシーイングの良さと大接近のお陰で始めて確認することが出来た。
2003年8月28日 地球との最接近は8月26〜27日でちょうど最接近している頃に撮影したもの、上の黒い部分はシレーン海でさらに上隅の白いところは南極、私がよく撮影する大シルチスはちょうど裏側にいてこの頃は見えなかった。シーイング(地球の大気の気流の影響による天体の見栄え)はあまり良くないのでシーイングが良ければもっときれいに見えます。
シレーン海は火星の模様の中でもっとも薄く見にくいところなので、今までの接近でもほとんど見えなかったのですが、今年は大接近なのでこれだけ良く見えた。
最接近する数日前に撮影したもの、この年は10年ぶりの冷夏で6月から8月のお盆までずっと曇りと雨に祟られてしまい撮影できず、これが今回初の撮影となった。
表面中央下の色の濃い部分が大シルチス、火星でもっとも模様が見えやすい場所です、上隅のちょっと左付近がキンメリア湾、右上隅の白いところが火星の南極、この白い部分はドライアイス。 下の2001年6月24日の画像とほぼ同じところが見えているので模様を比較すると興味深い、倍率がおのおの違うので大きさの比較は出来ません。
2001年6月24日(比較用) これは2001年6月24日に撮影したもので、上の2003年8月24日とほぼ同じ部分が見えていいます(ただし傾きが違うので注意!)、中央の色の濃い部分が大シルチス、左隅がキンメリア湾、南極の白い部分はこの画像では真上より少し左辺りになるのですが、この年の火星は2003年と違いむしろ北極側(この画像では下側)が見えているため南極はぎりぎりで裏側になってしまい見えていない、これは地球の地軸が公転面に対して23.5度傾いているのと同じ事、火星は25度傾いている。