第 三 章 マンション管理のホイント |
6. 修繕積立金と保全
マンションで修繕工事を実施する場合、「修繕積立金があるから大丈夫」とは必ずしも言い切れない場合がある。委託管理契約書に「管理費が不足した場合の処置」として「修繕積立金を他に流用できる」等の条文がある場合は特に注意をする心要がある。又、積立金が修繕計画に基づく工事だけでなく通常の営繕工事に転用される場合もあり、残金がいくらあるか絶えずチェックしておかなければいけない。「気が付いたら財布(修繕積立金)はからっぽ」という話はかなり聞かれる。国や東京都では「分譲マンション管理アドバイザー」制度を採用しているのでこれらの機関や組織を活用しできるだけ多くの意見を参考にすると良いだろう。 ● 預金保険制度とマンション管理 預金保険法が改正され平成14年4月からペイオフ凍結解除が施行され、マンション管理組合の資金もこの制度に適用される。標準管理規約によれば(区分所有者は)管理組合に管理費、修繕積立金等を納める事になっているが、 管理組合は預かったお金をどう管理するかについては今まで議論された事は殆どない。しかしペイオフ導入に伴って組合の自己責任が問われてきている。管理組合は体内的には「規約の設定・変更」と「共同の利益の増進」対外的に「ペイオフ対策の自己責任」の両方を満足させなければならはない。法律等の基本概念から管理費等の預貯金分散化は避けられず、その為の対策が急務になる。管理組合は少なくとも
● 通帳類の保全 (財)マンション管理センターの統計では組合財産の預金通帳類は、組合理事長名義口座が61%、通帳を組合(役員)が保管している例が約25%であり、残りは管理会社に依存している統計結果が出ている。管理会社が倒産し、預貯金が差し押さえられた例も有り国土交通省(建設省)ではこうした行為を中止するよう通達を出しているが改善に至っていない。組合員の大切な財産を一業者に全面委任する事の良否は管理組合全員で考えなければいけない事で、このような行為を総会決議でしか変更できない制度も見直す必要がある。組合員として少なくとも管理費、修繕積立金の保全、管理責任を明確にさせることが重要であろう。そして次の項目について確認しておく事が肝心である。
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