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●Nikon F(Photomic T)●



標準のNikon F(アイレベルファインダー)


TTL露出計内蔵のNikon F Photomic T(フォトミックTファインダー)
アクセサリーシューとソフトレリーズ(これはF2に付いていた)はオプション。


 Nikonがペンタプリズムとクイックリターンミラーを採用した一眼レフとして世界で始めて量産化に成功したカメラ、現在多く発売されている一般的な一眼レフは全てこのNikon Fから発展されたものです、多くの名カメラマンを生んだNikon Fは一眼レフの神様存在!登場は1959年で後継のNikon F2が登場した2年後の1973年まで作られました。当然シャッターは機械式でフォーカスもマニュアルです。もはや私のような若造が紹介するには恐れ多いカメラですが、それではホームページが成り立たなくなってしまうので私なりに主なところを紹介しておこうと思います。

 Nikon Fの登場以前も一眼レフカメラは有ありましたが、当時はペンタプリズムではなく上からスクリーンを覗くウエストレベルのためスクリーンに逆さに写った映像をを見なくてはなりませんでした、またクイックリターンミラーも無かったのでシャッターをレリーズするとミラーが上がったままになってしまい、その都度ミラーを戻さなければなりません、レンズの絞りも自動ではなかったので撮影前に絞り解放でピントを合わせ撮影するときに絞り込むことをしなければなりませんでした、そこでNikon Fに新たに開発されたのがペンタプリズムとクイックリターンミラーに自動絞り込み機構、これらのお陰でスクリーン逆像やミラーの戻しから解放され一眼レフカメラの実用性が一気に向上したのです、その後各メーカーの一眼レフもこのスタイルを取り込み今の一眼レフのスタイルとなりました。
 Nikon Fのもう一つの特徴はNikon Fの登場から現在まで40年以上も受け継がれているFマウント、重いレンズに耐えられるようにバヨネットを採用し、大口径レンズにも対応できるようマウント径はφ44oとしてあります、40以上前のNikon Fから現在の最新のNikon一眼レフシリーズまで基本的にどのレンズでどのカメラでも使えるのです(一部機能が制限されたり構造上使えない物もあります)、これはNikon一眼レフを使い続ける者にはとても有り難いことで、いかにNikonがユーザーを大切にしているかが伝わります。
 ファインダー視野率を100%にしたのもNikon Fの特徴、これはNikon F一桁シリーズ(各世代の最上級モデル)全てに受け継がれています。ファインダー視野率とはファインダーに写った被写体の範囲と実際にフィルム上に写し込まれる映像の範囲の比率です、100%ということはファインダーに写った範囲の映像がそのままフィルムにも同じ範囲で写し込まれると言うことです。
 このほかに特筆すべき点としてチタン幕シャッター採用・露出計(Nikonメーター)とレンズとボディの連動・モータードライブの採用なども世界初となっています。
 Nikon Fシリーズは技術と精度と信頼性に世界一厳しいNASA(アメリカ航空宇宙局)が当時唯一認めたカメラです、その始まりはアポロ計画から始まったのもでNASA仕様のNikon F(フォトミックFtn)が最初に宇宙に行きました、その後はスペースシャトルではNikon F3のNASA仕様などもあります、Nikonが世界最高レベルのカメラであったことが分かります。
 これらは私が特に目に付いた点であってNikon Fには他にも多くの新技術が盛り込まれています。

 私が使ってみた実用的感想ですが、まず購入したボディは中古とは言えあまり使われておらずスレもほとんど無くて新品みたいなボディです。
 実際いじってみるととても手の込んだ丁寧な作りで頑丈そうです、普段からマニュアルフォーカス・メカニカルシャッター一眼レフカメラを使う私にとってはほとんど問題も違和感も無く使うことが出来ました、作りを見て40年以上も前に誕生したカメラなのにやはりNikon Fは伝説通り素晴らしいカメラだと思いました、ここまで手の込んだ丁寧な作りは今では絶対作れないカメラです。
 始めてNikon Fのシャッターを切ったときの感触とシャッター音と感覚はまさに感動でした、うるさすぎず静かすぎないなめらかで上品なレリーズ感覚はNikomat FT2のコパルのシャッターとはまた違った良さを感じました。フィルム巻き上げの感触もNikon F2同様確実な巻き上げが出来ます、Nikon Fのシャッターボタンは他のカメラと比べると少し後ろにありこれを気にする人が多いですが私はソフトレリーズを付けているせいか気になりません、唯一気になるのはそれまでのレンジファインダーカメラNikon Sシリーズの名残がある裏蓋、Nikon F2以降は一般的な蝶番式になりましたがNikon Fはまだ取り外し式のため急いでフィルムを交換したいときはやはりわずらわしいです。
 フォトミックTファインダーはNikomat FTと共に始めてTTLを採用した露出計内蔵ファインダーです、フォトミックTはCdsによる前面平均測光なので中央部重点測光のNikomat FT2Nikon FM2に慣れていた私には使い辛かった、もっとも露出精度にあまりうるさくないネガフィルムでしか使わないのでこの問題は気にしてません、あとレンズの解放F値をセットするつまみが回しづらいのが困ります、後期型のフォトミックTファインダーは改良されたようです。

 40年以上も昔のカメラですが確かに伝説通りとてもレベルの高い素晴らしい作りのカメラであることが実感できました、しかし間違っても現在の軽く全自動で便利なAF一眼レフに慣れている人達に勧められるカメラでは無いです。私のように普段メカニカルシャッター一眼レフを使うと者としてもやはりNikon F2やNikon FMシリーズの方が当然使いやすいです、Nikon Fは今となってはクラシックカメラとしての趣味性の方が強いカメラと言えるでしょう。

 私がNikon Fを買ったのは2000年の暮れにネットのオークションで中古のフォトミックTです、以前Nikonのカメラについてインターネットや本などで調べていたことがありました、それらではNikon Fの技術や機能性について大変誉めていました、しかし読んでいるだけでは実感することは出来ないので自分でもNikon Fを実際に使って、名機と言われるNikon Fが実際にどのようなカメラなのかを自信で体験してみようと思ったのがきっかけでした。主にどこかへ遊びに行った時や旅行先での気軽なネガフィルムでの撮影用に扱き使っています。


《右軍艦部》

 シャッターボタンが手前側に有るのが特徴。
 シャッターダイヤルの上にあるのはシンクロのタイミングモードの表示窓、シャッターボタンの所にあるAとRはフィルム巻き戻しのロックと解除の表示、フィルム巻き戻しリングを解除すると多重露出撮影もできますが、あまり回数が多いと少しづつフィルムが動いてしまう欠点があります、フィルム巻き上げレバーの根本に有る表示は上がフィルムカウンターで下がフィルム長さ、フィルム長さは「20」と「36」の2種類で自分でセットする、当時は24枚撮りフィルムは無く一般に20枚撮りフィルムでした、フィルムを巻き上げるとシャッターボタンも一緒にくるくる回ります(シャッターボタンの赤い点が回転する)
 「NIPPONKOGAKU TOKYO」の刻印は前期モデルのもので、後期モデルは「Nikon」と刻まれています。また後期の内のさらに後期モデルはフィルム巻き上げレバーの指の当たるところにプラスティックの指当てが付きます。このNikon Fは前期モデルです。


《裏蓋》

 レンジファインダーカメラであったNikon Sシリーズの名残でしょうかNikon Fも裏蓋は取り外し式、急いでフィルムを交換したいときは不便です、裏蓋底部の右側はロックレバー、真ん中は三脚ネジの穴、左はフィルム感度設定板。


《Nikonメーター2型を装着》

 露出連動爪の付いたニッコールレンズとカメラ本体のシャッターダイヤルに連動したセレン光電池式の露出計、外すと反射光式の単体露出計にもなります。
 内蔵露出計を持たないアイレベルファインダー用のメーターでレンズとシャッターダイヤルに連動した当時としては画期的な露出計です、アイレベルファインダーで撮影するときに使おうとネットオークションで買いましたが不覚にも使い方が分かりませんでした(^^; ネットや本で調べても詳しく説明されてるものは有りませんでした。

 Nikonメーター2型を上から見たところ、なにやら目盛りの表示があちらこちらにあってどれがどうなっているのかさっぱり分かりません(^^; 使い方が分かる方がいらっしゃったら是非メール下さい!!

 そんなわけで今の所アイレベルファインダーとNikonメーター2型は出番が有りません!

 Nikonメーター2型の裏側、左右にあるハサミでカメラ本体のNikonのネームプレートに挟み込みます、この為Nikon Fのネームプレートはメーターをつけるための加工が施されています。


《フォトミックTファインダーの後ろ》

 アイピースの上にレンズの絞り値が表示されます、ファインダー内はスクリーンの他は露出計メーターが見えるだけです、シャッターダイヤルの上にレンズの解放F値を設定するダイヤルがあります、解放F値の違うレンズに交換したら設定し直さなければなりませんがこれが異常に回しづらい!これは後のフォトミックFtnファインダーで改良されています。


《マヌケなコーナー!?》

 Nikon FとNikon F2の本体のファインダーとスクリーンの取り付け部の構造は両者ともほぼ同じになっています、スクリーンに至っては完全に互換がありますが、私は以前からファインダーも取り付けだけならお互いの物が使えるのではないかと考えていました、そこでNikon FにNikon F2のフォトミックファインダーを付けて、Nikon F2にNikon Fのファインダーを付けるというおバカなことをしてみました、あまりにマヌケな行為なので他のカメラのホームページでもこんな事をして遊んでいる人はいないようです(^^;  冗談で実験してみただけなので真似してカメラを壊さないで下さい。

マヌケな実験コーナーへ行ってみる!



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