質問 鉋を早く研ぎたいのですが

  

  鉋の刃研ぎを手抜きできませんか? 初めての人はともかく何かを作りたい、ということで始めます。工具をいじる楽しみ などに進む人は例外です。そうすると早速ぶつかるのが「鉋刃の研ぎ」のめんどうくささです。もともと使い方が下手ですから刃も早く傷みます。 そういう人に限って自分の鉋を持たず、Gr共有の鉋を使ったりして、共有の鉋はいつも使える良い状態にないことが多いのです。 この鉋の刃を手抜きして砥ぐ方法はなにかありませんか。外国の鉋はどうなのでしょうか。台の調整が不要、ということは分かるのですが。
MAR 3/1998 すこや さんからの質問(http://www2s.biglobe.ne.jp/~kikori/kaguhp/nakama.htm)

回答

  木工作業の最大の難関は鉋の研ぎや鉋の仕立てではないでしょうか。しかし,それをマスターすることによって木工作業は飛躍的に向上するので,安直な方法で逃げてしまわないで是非とも,チャレンジして欲しいものです。鉋の研ぎは,理屈さえ分かれば以外と簡単なものです。

  又,鉋は研ぎが上達するのと同時に,鉋の台の仕立ても上達していきます。鉋刃の研ぎだけが出来ても鉋の台の仕立てや調整ができなくては鉋の性能を100%発揮できません。ですから,今回の回答は,安直に逃げる方法,鉋の研ぎと台の仕立てとを説明することにしますので。どうぞ暇を見つけてチャレンジしていただきたいと思います。鉋が研げれば,プロ寸前です。かっこいいじゃないですか。密かに練習して仲間の人をあっと言わせてやりましょう。木工に関する絶対の信頼を勝ち取ること請け合いです。

  電動工具で円形の砥石がぐるぐる回るやつが市販されているので,それを使うのも手ですがやはり仕上げは自分の手で行わなければなりません。


  外国製の鉋の扱い安さは分かりませんが,日本人の感覚からするとあまり扱いやすい物ではないように思います。鉋のかけ方が日本と逆,押して鉋掛けをします。それに,数ミクロンの厚さの鉋掛けをするには,和洋どちらにしてもかなりシビヤーな調整が必要になり,和物とあまり違わないのではないでしょうか(推測ですが)。


押して使う外国の鉋:ウッドクラフト社のカタログより


西洋の鉋

鉋の研ぎ方
1  安直な方法
2 鉋の仕立てプロテクニック
   用意するもの
   鉋刃の研ぎ
   鉋台の仕立て

3 最低限揃えたい鉋

ご注意     カンナを買う時には


  鉋刃には量産物と手打ち物があります。量産の鉋と手打ちの鉋の違いは,量産の鉋は品質が安定していて当たり外れが少ないことです。ただ量産のカンナの刃は地金部分が丁寧に作ってい物が多くあまり柔らかくありませんし,鋼(刃になる部分)が厚いです。従って砥石作業に時間が掛かることになります。手打ちのものは,地金に「す」(小さな気泡。「す」とは言わないかも知れない)が入る程柔らかく,又,鋼の部分も出来るだけ薄く作って有るので砥石作業が楽です。ただし,品質にばらつきのあるのが欠点です。時々焼きが入りすぎて鋼がもろくなっているものや,逆の場合もあります。
  もう一つ注意しなければならないのは,裏刃の造りです。時々見かけるのは裏刃が只の鉄板をプレスして打ち抜いただけの粗悪品です。裏刃は使わずに一枚刃鉋として使うのなら良いのですが,二枚刃鉋としてちゃんと使いたいというので有ればこのような裏刃は全く使用出来ません。これは良くあるので十分注意しましょう。
  鉋の台はカシで出来ているものを選びましょう。アカガシで出来ているものもありますが,シロガシで十分です。又台に油をしみ込ませたものや,台の割れを防ぐ為の細工をしたもの,刃口調整板を取り付けたものもありますが,なにも小細工していないものを求めて自分で仕立てるのがベストです。それから木目の暴れていない柾目のものを求めましょう。
  これらの特長を考えて鉋を買いましょう。仕上げ鉋(お勧めサイズは寸八),中しこ鉋(お勧めサイズは寸四)6,7千円,高くて1.5万円も出せば十分使える鉋が購入できますので,予算が余った分は別の道具を購入すると良いでしょう。

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