モーリタニアの旅ガイド

2004年 1月5日〜1月25日






紫の線と赤い丸は私が実際に行ったルートと都市。
南の首都からネマまでの1100kmに及ぶ舗装道路は希望街道と呼ばれている。


基本情報
国名 モーリタニア・イスラム共和国
Islamic Republic of Mauritania
面積 103.1万km2(日本の約2.7倍)
国土の3/4はサハラ砂漠。旅行先はすべて砂漠といってよいだろう。南部の一部、セネガル河沿いはサバンナの草原地帯。
人口 270万人(2000年)
首都 ヌアクショット(80万人) 一体どこに80万人も住んでいるのかは謎。砂が積もった田舎の地方都市のような町。
人種 ムーア人(アラブとベルベルとの混血、全人口の80%程)、アフリカ系など
言語 公用語はアラビア語。口語ではハッサニア語というアラビア語の方言が使われているが、正則アラビア語(フスハー)もよく理解され子供でもきれいなアラビア語を話す。
フランス語も日常的に広く用いられている為、外国人はフランス語を使うことになる。英語は全く通じないので英語のみでの旅行は無理。
宗教 イスラム教(国教)
主要産業 農牧(ソルガム、粟、米、牛、羊)・漁業(タコ・イカ等。日本に多く輸出)、鉱業(鉄鉱石)  一人当たりGNI 360ドル
通貨 ウギア 1米ドル=268ウギア 
外貨はユーロか米ドル。どちらも銀行、民間とも両替可能だが、若干ユーロのほうが流通していて使いやすい。
大使館 モーリタニアに日本大使館はない。在セネガル大使館が兼轄。
外務省データによると2002年現在在留邦人1名。



行程


1/5 成田=モスクワ=深夜パリ着(アエロフロート) パリの空港内泊
1/6
パリ=ヌアクショット(エールフランス) ヌアクショット泊
1/7 ヌアクショット ヌアクショット泊
1/8 ヌアクショット ヌアクショット泊
1/9 ネマへ。(乗合タクシーで丸二日) 途中の道の駅のテントで乗客全員ゴロ寝
1/10 夕方ネマ着 宿の人(普通の家)に拾われ、投宿 
1/11 夕方まで車待ち。ネマ=ワラッタ(商店のトラックの荷台で4h) ワラッタ泊
1/12 ワラッタ ワラッタ泊
1/13 ワラッタ=ネマ(トラック3h)  乗り換えてヌアクショットへ。 途中の道の駅のテント泊。私は車の中で寝る
1/14 午後3時ヌアクショット着。(乗合タクシー) ヌアクショット泊
1/15 ヌアクショット=アタール(乗合タクシーで6h) アタール泊
1/16 車待ち。正午アタール=シンゲッティ(トラックの座席で2h30) シンゲッティ泊
1/17 午後からラクダに乗って一泊ツアー。 遊牧民のテント泊
1/18 ラクダで朝9時出発。正午シンゲッティの町に戻る。 シンゲッティ泊
1/19 シンゲッティ=アタール(トラック座席2h)
別のトラックでテルジットへ。(1h30)
テルジット泊
1/20 テルジット テルジット泊
1/21 テルジット=分岐点(トラック0.5h) 別のトラックの荷台でアタール
夕方まで車待ち ヌアクショットへ。(乗合タクシー6h 深夜着)
ヌアクショット泊
1/22 ヌアクショット最終日 深夜空路パリへ 機中泊
1/23 早朝パリ着 終日パリ観光 パリ泊
1/24 午前のフライトでモスクワ経由成田へ 機中泊
1/25 成田到着



ビザ


東京にあるモーリタニア大使館でとれる。
イエローカードは必要だが、特に提示を求められることはなかった。

陸路ならダカールかラバトで取る人が多い。以前は航空券(ダミー含む)が必要だったらしいが、今は問題なく簡単に取れる。西サハラとのボーダーでもその場で取れるらしい。



入国ルート


私が利用したフライト

<行き>
成田=モスクワ     SU582 1300-1725
モスクワ=パリ     SU257 2105-2320
パリ=ヌアクショット  AF764 1055-1520

<帰り>
ヌアクショット=パリ  AF765 2355-0600+
パリ=成田       SU575 1145-1055+

東京=パリ アエロフロート (毎日)
パリ=ヌアクショット エールフランス(週3便)
空路はパリからが一般的。エースフランスは週3便。他にカサブランカ経由でエアーモロッコなど。


ほとんどの旅行者はスペイン〜モロッコ、西サハラ(西サハラは現在モロッコ統治下にある)と陸路を南下、陸路でヌアディブに入りロッソからセネガルに抜ける。 陸路マリへも抜けられる。 (マリ行きのルートについては都市別ガイドの「ネマと希望街道」参照。)

入国時の外貨申告の制度は空路、陸路とも現在はない。
出入国税を払うらしいが私の場合航空券代金に含まれていたので詳細はわからない。
陸路入国した人の話では、ボーダーでは入国税は取られなかったと聞いたが・・・。


通貨・両替 (2004年1月)


 
リタニアのお札。飾っておきたいくらいきれい! お札は他に緑の500UMとオレンジの200UMがある。


モーリタニアの通貨はウギア。(UM)

<両替金額(すべて現金)>

US1ドル=268ウギア(1円=2.4ウギア)ヌアクショットの銀行
1ユーロ=325ウギア(1円=2.2ウギア) エールフランスがくれたお金のレート
1ユーロ=390ウギア (1円=2.8ウギア) ヌアクショットの宿の人
1ユーロ=260ウギア(1円=1.9ウギア) 空港職員(エールフランスの現地職員) 

1ドル=110円
1ユーロ=140円

大雑把に 「1円=2ウギア」と考えるとわかりやすい。

日本から持っていく外貨はユーロか米ドル。どちらも銀行、民間とも両替可能だが、民間では若干ユーロのほうが流通していて使いやすい。
両替屋は外見ではそれとわからないが、旅行者と見ると声をかけてくる。両替屋はどこの町にでもいるので大丈夫。

問題は空港の両替所がいつも閉まっているということだ。
空港職員はフライトがある時間は開いている、と言ってたが、滞在中違う時間に4度空港を訪れたが一度も開いていなかった。 かといって外に両替屋がたむろしているわけでもない。
私は到着時空港職員が両替してくれたのだが、親切な人だと思ったらとんでもないレートで大儲けされていた。
その場のノリで100ユーロも替えてしまった私がバカだった・・・。

ユーロは結局銀行では替えなかったのでレートがわからないが、ヌアクショットの安宿の人が一番レートがよかった、ということはヌアクショットの庶民の両替率が一番良いということだろうか。

もし空港で両替ができなかったら誰かに声をかけて少しだけ替えるのが賢明だろう。
ちなみに空港から町の中心までのタクシー代は200ウギア。到着時はどうせぼられて500ウギア位払わされるので、1ユーロくらいで町まで運んでもらうのも手かもしれない。町まで行けば誰かしら両替屋が声をかけてくる。
帰国時は残ったウギアは宿で両替してもらっておくほうが良いだろう。

銀行はヌアクショットやネマ、アタールなど大きな町にはあるが、シンゲッティやテルジットなど観光地の町にはない。(どこもホントに田舎) 

モロッコからヌアディブに入ってシンゲッティなどを観光してからヌアクショットに行こうとする人はヌアディブまたはアタールでしっかりと両替しておくこと。 ヌアディブはレートが悪く、両替をケチりがちだが、モーリタニアの物価は結構高く、ある程度持っていないと旅を楽しむ余裕がなくなってしまう。ちなみにボーダーには両替所はないが、ヌアディブまでの交通等はユーロでもOKだったようだ。 またATMでキャッシングする人はヌアクショットでしかできないので注意。

クレジットカードは首都の高級ホテル以外は使えないと思ったほうがよい。
トラベラーズチェックに関しては使わなかったのでわからないが、おそらく首都や大きな町の銀行以外では難しいだろう。

モーリタニア人はなぜか小銭を持っていないことが多い。相手がお釣りを持っていなくて困ることが多いので常にある程度のお金・・・100ウギアや200ウギア札、またそれより小さいお金で1000ウギア程度は持っておくほうがいい。 何故か日本円で20〜30円程度は平気で切り捨てたり切り上げたりする。モーリタニア人は金持ちなんだろうか・・・。

紙幣のデザインが非常に美しいのでぜひ記念にきれいなお札を手に入れたい。
紙幣の最高額は1000ウギア。5万円くらい両替してしまうとものすごい厚みの札束になる。しかも紙幣のサイズがとても大きい・・・。



物価


やけに高い。ヨーロッパより安くアラブより高いイメージ。
特に宿で食べる食事代は高い。質素な生活をしても一日3000円〜4000円くらいかかってしまう。

特に水や店で飲むお茶がとても高いので、市場で500ウギア程度で売ってる電熱コイルを買ってお湯を自分で沸かしたほうがいいと思う。

街から遠い場所(シンゲッティやテルジットやワラッタ等)では日用品の値段が上がる。(水など300ウギアしたりする)

水(1.5L)  200ウギア (約100円)
(以下単位はウギア)
安宿     1000〜2000 (テントだと500ということもあり)
ハンバーガー 200〜300
お茶     200
パン     小40 大80 
宿で食事   クスクスだけで1000位
ジュース   150
絵葉書(一枚)200
切手日本まで 370


<使ったお金の総額> (モーリタニア滞在中17日間)

66300円

☆宿泊費、交通費、食費、お土産代などすべての合計

内、土産代(自分の物も含めて)約7500円
切手と絵葉書代 約4500円
ラクダツアー代  約4000円



国内交通


■ヌアクショット市内の交通■

<タクシー>
値段は交渉制。市内を2〜3キロ移動するなら200ウギア程度。 相乗りもできるが値段は一人で乗るのと変わらない。ドライバーはおつりを持っていないことが多いので注意。
また、たまに白タクもある。一般の車が助け合い精神で乗せていってくれることもよくある。

<市バス>
ボディにラインの入ったミニバス。箱型で車の後部がオープンになっていてそこから乗り降りする。ハイエースくらいの大きさなのだが20人は軽く乗せて走る。
適当なところで止まってくれて、降りたいときは壁をガンガンとたたけばおろしてくれる便利な乗り物。20ウギアほどで乗れる。料金は降りたらドライバーに直接払えばよい。
ただし、激込みで、後ろのバンパー部分に人が鈴なりになっているので、大きい荷物を抱えての乗車は無理。

ヌアクショットも海や空港に行く以外は町歩きはすべて徒歩圏内であるが、(それでも私は乗り物好きなので市バスに乗る!)が、他の都市はどこも乗り物に乗る必要のない広さ。


市バス。いつも込んでいて後部乗降部には人が鈴なり。乗り込むには根性がいる。


■国内移動■

モーリタニアの国内移動は運次第。

アタール、ネマなど大きな町までは公共の交通機関(乗合タクシー)があるが、その先に行くとなると、公共の交通機関はなく、目的地まで物資を運ぶトラックに便乗することになる。
この国は長距離バスはなく、移動は乗合タクシーやトラックの座席または荷台。
乗り場も時間も決まっていないので、地元の人に聞いて、頼って車にありつける状態なので、運が悪いと丸一日車待ち、ということもある。
ただし、私が行ったすべての町(村)へは毎日何かしらの車が出ているので、問題はない。

ぎゅうぎゅう詰めの車に長時間、時にはトラックの荷台に揺られる移動はハードだが360度何もない砂漠の中をまっすぐ一本道、ときおり逃げ水が浮かび上がったり、迫力の岩山を抜けたり、サハラの風景を堪能できる。

途中の町には検問があり、係員が通行する車をチェックしている。外国人はその度にパスポート提示を求められる。ほとんどはコピーを見せればOK。

窓越しの日光で熱中症になるのを防ぐため、また砂埃をよける為にも必ず帽子やターバン、長袖の上着を着用すること。


車の中。真中の男が身を乗り出しているのは狭くて肩を並べることができない為。


<乗合タクシー>

ランクルやベンツ、ルノーの3列(または後付けシートで4列)シート、本来7人乗りの車のこと。実際乗るのは客が8人〜12人とドライバー。
荷物はほとんど屋根に載せ、荷物代もかかる。(もしくは荷物代が代金に含まれている。)
旅行者は「ブッシュタクシー」 「セルビスタクシー」などいろんな呼び名を使うが、現地の人は単に「車」(アラビア語でサイアーラ、とか英語のカー、訛ってカットカット等。)と呼んでいる。

一応出発時間は決まっているものの、客の集まり具合やよくわからない事情などで出発が大幅に遅れたり、逆に早まったりするので、とにかく乗り場まで行ってみるしか手がないようだ。
どの町であっても朝は遅く、最初の車が出るのは8時以降。

走り出してしまえば道も良く、所要時間は大幅にずれることはないが、車種によってパワー(走るスピード)がかなり違うので、到着時間も変わってくる。

車の乗り場は「ガレージ」または「ラ・ガール・ルティエール(道の駅)」という。
待合室兼、食堂兼、簡易宿泊所にもなるテントが必ずあり、そこらへんを見回すと、仕切っている親父がいるので料金を払う。荷物代もかかる。紙切れではあるが、必ず日付と行き先と値段を書いた紙をくれるので、なくさないこと。あとで回収されたり確認されたりする。

ガレージの場所だが、ヌアクショットはロンプラに記載されている場所とは違うところなので、常に宿の人など地元の人に確認すること。 ほかの町(村)についても同様。乗り場は地元の人に聞くしかない。

長距離移動の場合は途中の町で休憩がある。 またどんな場所を走っていようと決められた時間には車を止め、礼拝もする。休憩所にはトイレがないところもあるが、仕方ない。

また、ネマまでなど2日行程の場合は途中仮眠休憩がある。ドライバーは夜中の2時頃までは走りつづけるが、適当な町の道の駅で停車し、そこにあるテントでみんなでゴロ寝し、(無料)朝7時ごろに再び出発する。また、車の中の空いたシートで横になって寝ることもできる。
道の駅ではクスクスなどの食事もとれるが、相当ローカルなムード。


ヌアクショットのネマ方面行き車乗り場。


ネマ行きの車。希望街道沿いの道の駅で仮眠休憩。
後ろのテントは待合室兼、食堂兼、宿泊所。全員ここでゴロ寝。



<ピックアップトラック>

荷物も人も乗せるトラックのこと。
現地での呼び名は知らない。私は単にアラビア語で「○○行きの車」と呼んでいた。

モーリタニアの観光地のほとんどは近隣の町からの公共の交通機関がない。そこで利用するのが物資輸送のためのトラック。アフリカではよくある形態の交通手段で、相場も決まっている。
乗り場はたいていその車を出す店の前。地元の人はあらかじめドライバーに頼んでおいて自宅までピックアップに来てもらうのが普通。
降りる場所もドライバーに頼めば目的の場所で降ろしてもらえるので便利。

トラックはキャビンと荷台で値段が倍も違う。キャビンは車の中のことで、助手席に2名、ハーフトラックになっていて2列目の座席がついている場合はそこに3〜4名。
荷台は荷物といっしょに荷台に乗ること。 最初は必死だが、慣れてくればなかなか楽しめる。

乗り場も時間も現地で人に聞いて教えてもらうしかないが、地元民にとっても重要な交通手段なのでトラブルはない。


この袋から頭だけ出してる羊ちゃんも荷台の乗客。ちなみに紺色の袋は私の寝袋。


以下は私が利用した交通一覧。詳細は町ごとのガイドにて。

起点 目的地 キロ 交通機関 所要 値段 乗り場 その他
ヌアク ネマ 1100 車プジョー 2日 6700 ガレージルクサール(空港近く)ネマまで直行車は一日数台
ネマ ワラタ 120 トラック荷台 4h 1500 商店前より夕方発夜到着。ほぼ毎日 宿の前で下車
ワラタ ネマ 120 トラック座席 3h 3000 朝発。行きに乗った車に頼んでおく。宿へ迎えにきてくれる。
ネマ ヌアク 1100 車ランクル 1.5日 6500 午後3時発。翌日午後3時着。 車がいいと早い!
ヌアク アタール 500 車メルセデス 6h 3200 ガレージメルセデス 空港より3km程北。車はたくさんある
アタール シンゲティ 100 トラック座席 1.5h 1700 商店前より宿まで。途中の岩山の峠越えの風景は圧巻!
シンゲティ 砂漠の村 15 ラクダ 3h 8000 午後から一泊午前帰り。丸2日だと10000。宿で手配
シンゲティ アタール 100 トラック座席 2h 1800 町の一角より11:30発。
アタール テルジット 80
超ボロT座席 1.5h 1000 商店前より。さほど待たずに同日に乗り継げてよかった。
テルジット 分岐点 10 超ボロT座席 20分 1000 車待ち失敗。素直にアタールまで行けばよかった・・・。
分岐点 アタール 30
トラック荷台 1h 500 峠超えの風景を荷台でナマで堪能。ヌアク行きのガレージ下車。
アアール ヌアク 500 車メルセデス 6h 2500 午前は毎時。午後は車が少ない。5時間待ちで18時発24時着
値段は荷物代も含む。 ヌアク=ヌアクショット。 車は乗り合いタクシーのこと。車の性能によってスピードに差が。
トラック(T)=トラックは座席だと荷台の2倍の料金。座席は2列で客を5人乗せるハーフトラックもある。



☆ネマから陸路マリのバマコへ抜ける方法

ネマからほぼ毎日国境越えの車が出ている。
2004年8月に行ってこられたあっきー様による非常に詳しい情報&体験レポートはこちらをクリック!

<レンタカー>

時間がない人は旅行会社を通してドライバー付で車をチャーター(またはツアー参加)することもできるが、物価が安くない。相当な出費になるだろう。(ロンプラには一日あたり約1万円程度と書いてある。) 旅行会社はヌアクショットにたくさんある。ただし、英語は通じないことが多い。
ガイドブックに載っているチジクシャやチシットなど、内陸のオアシス都市へは、現地の日常的には車はないので、旅行用に車をチャーターする以外に方法はない。砂漠の危険なオフロードなので、その場合はガイドもしっかりとした人を雇うこと。
ヨーロッパ、特にフランスではモーリタニア行きの観光ツアーがたくさん出てるのでツアーを利用したい場合は調べてみるとよいだろう。ツアーでもおそらく寝袋は必要。


<列車>

モロッコからヌアディブに入国した人は内陸のシュームまで列車に乗り、アタール経由でヌアクショット入りする人がほとんどだが、(海沿いのルートは危険で困難)この列車は世界一長い列車として有名。延々と貨車が連なり2キロもある長い列車だが、客車は最後尾に一両のみ。ほぼ毎日午後に一本、所要時間はまちまちだが8時間程度で1000ウギアかからないくらいだそうだ。入り込んでくる砂にまみれての列車の旅はエキサイティングで人気がある。夜は寒さで死にそうになるらしい。(苦笑) ちなみに屋根に乗っかればタダ。


<国内線 エールモーリタニア>

ヌアディブ、アタール、アユーン、ネマ、ワラッタ、チシット、チジクシャなど、空港がある町(村)は結構あるのだが、ほとんどまともに飛んでないのが実情なので、よくよく確認すること。 特に砂嵐のシーズンは厳しいだろう。


■ヌアクショット空港から市内まで■
  
空港から市内までは南西方向に3km。タクシーならすぐ。相場は200ウギア。
市内からなら200ウギアで行けるが到着後初めて空港から乗る場合は相場がわからず多く払わされがち。
お金を節約したい人は乗る前に相場を聞くなり地元の人と相乗りするとよい。空港から出て道で拾った時はふっかけられなかった。 

安く行きたい人はゲートを出たところの道には市内バス(黒い色のミニバス)が走っているらしいが、(おそらく20〜50ウギア程度)市内中心部に比べると数が少なく、私も少しバスを待ってみたが見かけなかった。ただし市内バスは恐ろしく混んでいるので乗れたとしても大きい荷物があるとつらいだろう。


アドラール地方のまわり方


注)表記ミスあり アタール=テルジット 約80キロ 80分
所要時間は車によって差があるので目安。キロ数もアバウト。


シンゲッティ、その先のワダン、オアシス都市テルジットなど、アタール周辺のアドラール地方には見所が多いが、回る順番やルート取りを間違うと簡単に一日くらいロスしてしまうので、経験談で最良と思われる方法をシュミレーションしてみよう。私は失敗し、ワダン行きをあきらめた。

ヌアクショットから行くならまず1番にテルジット。 
朝ヌアクショットを出たならアタールまで行かず、約30キロ手前の分岐点Jendermori(ジェンデルモリ)で下車。検問の小屋に係員もいるので手伝ってもらいながらテルジット行きの車を拾う。ここからテルジットまでなら10キロほどなので、その気になれば歩いても行けるし頼めば車で送ってもらうこともできるだろう。とにかく同日夕方にはテルジットに到着できる。
 
テルジットには車は数台しかない。まずは乗ってきた車に予定の日にアタールまで乗せてもらえるか聞いてみること。 仕入れの車はたいてい午前中に出発する。
テルジットの車はほとんどがアタールに仕入れに行くのでここからアタールまでは車があるし、時間も1時間ほどなので荷台でも楽勝。
 
逆にヌアクショットに行こうとするとわざわざアタールまで戻らなければいけない。
私は分岐点でアタールからヌアクショット行きの車を待ってみた。車は1時間に1〜2台通るのだがどの車も満席で結局乗れなかった。
午前中のうちにアタールに着けば確実にヌアクショット行きの車に乗ることができるが午後になると私のようにヌアクショットに戻るのは夜中になるだろう。
 
午前中のできるだけ早い時間にアタールについたらワダンかシンゲッティ行きの車を探す。どちらも公共の交通機関はないので、店のトラックで行くことになる。
シンゲッティ行きの車は簡単に見つかるのだが、ワダン行きの車は数が少なく、タイミング良くあるかが問題。
車が見つかればその日のうちにワダンへ。 時間はおそらく4時間程度。
ワダン=シンゲッティ間の車は通常は無い。
 
アタールからワダンは200キロ。途中シンゲッティまで15km地点の分岐点を通過するので帰りはワダンからアタールまでいかなくても分岐点からシンゲッティまでおそらくいける筈。
 
アタールから同日にワダンに行けなかったらワダン行きを一日待つかシンゲッティに行くしかない。
シンゲッティの次にワダンに行きたければ分岐点で車を待つことはせずに、アタールに戻るべき。最初にアタールに着いた時に手堅くアタールからワダン行きの車が何時にどの店から出るのかあらかじめ調べておけば安心。
 
友人のリクエストで、サラリーマンパッカー用に「10日で堪能!モーリタニアハイライトの旅」というのを作ってみたので参考にどうぞ。
 

10日で堪能!モーリタニアハイライトの旅

★私だったらきっとこんな旅。勝手にイメージしてみました。
スケジュール
成田=パリ 今のうちに酒飲んでおこう。ついつい飲み過ぎて真っ赤な顔がハズカシイ〜。
パリ→ヌアクショット  まずは空港にいる間にリコンファームをすませてほっと一息。初めて見る民族衣装に喜んで、おいしいハンバーガーを食べたら24h営業のコンビニに行って物資も調達しとこう!
ヌアクショット
→テルジット
無事に車を乗り継いで雄大な渓谷の底、美しいオアシスの村、テルジットに到着。あまりの田舎っぷりになんじゃこりゃ?とつぶやいた後は、夕方は岩山に登ってステキなな夕景を孤独に眺めよう。
テルジット
→アタール
午前はテルジットのオアシス園内を散歩。 大峡谷を眺めたら天然のプールに服のまま入って楽しんじゃおう! 午後は車の荷台に乗っかってアタールへ。 宿に荷物を置いたらワダン行きの車を探して右往左往。おいしいパンを買いだめしておかなくっちゃ!
アタール→ワダン やっとの思いでたどり着いたのは砂に埋もれる世界遺産の要塞都市。いにしえのキャラバン隊に思いをはせ、ちょいと町を歩き回ってみるけどな〜んにもなくて結局気持ちよくくつろいじゃう。夜は星を眺めてロマンティックな気分になるも、口ずさむ歌はやっぱり月の砂漠・・・・(しょぼ。)
ワダン=分岐点=シンゲッティ 慌しくワダンにさよならし、ジャンクションでドキドキしながら親切な係員に手伝ってもらってつかまえた車はやっぱり荷台。あこがれのシンゲッティにたどり着いたら街には店もあるからなんかほっとしたりして。とりあえず砂丘に登って夕日の沈むのをながめよう。
シンゲッティ 午前中は旧市街を散策。午後はラクダに乗って近くの遊牧民の村までショートトリップ! 
夜は宿の人達とと一緒においしいクスクスを食べて楽しい旅の話をしよう。
シンゲッティ→アタール→ヌアクショット 旅の終わり。待ち時間には急いでエアメールを書いて。 いったいいつ車が出発するんだろ〜。
久しぶりに洗面台を見たら、洗濯おばさんと化しちゃった。顔も一生懸命洗っちゃったよ。
ヌアクショット→パリ 出発は夜だから今日は買い物タイム!絵葉書投函しに行ったらグランマルシェに行ってお買い物。買いたいものはあんまりないけど楽しいよ〜。夕方はもちろんタクシー飛ばして港に行くの!
10 パリ→成田 お土産はパリの空港で買ったチョコレート。直行便でひとっとび。酒だ酒だ〜お疲れ様〜。
ついたぞ成田。眠いぞ。明日仕事?ひぇ〜〜〜(涙)
 
・・・・無難にワダンをあきらめたほうがよさそうですね・・・サラリーマンとしては。(笑)



パッケージツアー

現在モーリタニアの添乗員付きツアーを出している日本の会社は聞いたことがないが、(あるとすればマリ等ツアーを出している会社へ問い合わせを) 英語が通じるイギリスの旅行会社のツアーに参加してはどうだろうか

会社名 explore http://www.explore.co.uk/



宿


モーリタニアでは宿のことを「オーベルジュ」と呼ぶ。(大きいホテルは「ホテル」でよい)

ガイドブックにはワラッタや希望街道沿いの町などには宿がないと書いてあり、心配して出かけたが、実際にはどの町にも必ず宿があるので問題ない。 乗合タクシーでもトラックにしろ宿に行きたいといえば必ず宿まで連れて行って降ろしてくれるので非常に楽だった。
また、各町の乗合タクシーの集まる場所には必ずテントの休憩所があり、そこで食事も宿泊(ゴロ寝・無料)も可能。

安宿の部屋には部屋、屋外のテント、屋根などの種類がある。
ほとんどの宿の部屋はカーペットにマットレス(寝具なし)というサハラスタイル。シングル1000〜2000ウギア。(シャワー・トイレ共同)
屋外に常時張ってあるテントなら500ウギア程度、中庭や屋上に持参のテントを張る場合も500ウギア程度。 

モーリタニアの宿には寝具がない。
ベッドにしろ直にマットレスのサハラスタイルにしろ、マットレスと枕は必ずあるのだが、シーツや毛布はないのがモーリタニア式なのだ。おそらく暑い国なだけに民族衣装自体がシーツと上掛けの役目を兼ねるので必要ないのだろう。
この国を旅行するには必ず寝袋を持参すること。現地の人は毛布を持って旅をしていた。 

冬は夜中や朝方の気温は15度程度に下がるが日干し煉瓦を積んで漆喰で固めてあるモーリタニアの家は室内は夜もとても暖かく、テントで寝るのでなければ寒さを心配する必要はない。

シャワーは水シャワー。ワラッタなど水道がない村では共同井戸からポリタンクに汲んできた水をバケツにもらって使用することになる。 水はそれほど冷たくないが、私はぬるま湯をバケツに用意してもらって髪と体を洗っていた。

この国はモノが少ないので宿にあるバケツはトイレ用のバケツひとつだったりするが、慣れとは恐ろしいもので、なんにも気にせずお尻を洗うカップで水をすくって頭も体も洗うようになってしまった・・・・。

大きな町(ヌアクショット、アタール、ネマなど)以外では電気がないのでろうそくと懐中電灯は必携。

宿代に比べ、宿での食事はとても高い。800〜1200ウギアと、部屋代と同じくらいの値段をとるのに出てくるのはクスクス一品とモーリタニア式のお茶(甘すぎる上に量がわずか)だけ。
ワラッタ、テルジットではパンすら買えないので水や食料を十分用意しておいたほうがよい。

モーリタニアの宿はカギをくれないところが多い。 そして結構ズカズカ人の部屋に入ってくる。このノリ、まさに遊牧民。 盗難も強姦もありえないようなのんきな国だが、自分のカギを持っていたほうがいいだろう。 南京錠はどこでも買える。

ロッソ以外ではマラリアの心配はないようだ。テルジットはオアシスなので蚊が多い。水辺から離れた村の入り口付近に泊まるほうが快適。どの宿も南京虫やダニの心配はない。 


カーペットにマットレスのサハラスタイルの宿はくつろぎ度最高!
この日は夜中にひどい雷雨があり雨漏りが。マット上の水溜りと雨受け。(笑)
宿中びしょ濡れになったが、いい思い出。(シンゲッティ)




気候と服装


<気候>

旅行のベストシーズンは11月から2月。寒暖の差はあるが暑さも寒さも厳しくなく、常にさわやか、快適に旅ができる。

ヌアクショットは夏は日中35〜40度、夜間25度くらい。冬は日中30度、夜は15度くらい、と寒暖の差はあるがすごしやすい。
内陸の砂漠(シンゲッティ、ワラッタ、ネマなど)は夏は20度〜50度。最高気温が50度を超えることもあり、日中の外出は熱中症や脱水症状などの危険が伴う。冬は屋外で朝方の気温が10度を割り、日中は35度くらい。寝袋を持っていかないと夜のテント泊は寒い。

南部には雨季がある。(8月〜10月)
砂漠地帯の砂嵐は3月〜5月が多く、この時期は空もぼんやりしていて旅行には向かない。  

<服装>

私が訪れた1月は非常に気候がよく、終日Tシャツと、羽織るものがあればOK。但し、直射日光に当たると肌が露出する部分が暑いので、上着を着ていたほうが日陰になって涼しい。

オススメはペラペラのナイロンの上着とパンツ。繊維に砂が入りこまないのでいつも快適なうえに、少しの水でゆすぐだけで洗濯終了。Gパンは繊維全体に細かい砂が入りこんでベトベトで重たくなってしまうので、ラクダにでも乗らない限り必要ないだろう。 移動中や砂漠ではトイレがないので、女性は長くて布量の多いスカートも便利かも。日焼けしたくない人は上着の色を黒にするとよい。

日が沈むと一気に寒くなるので、フリースなどの上着が必要。温度差が激しいのでこまめに調節するとよい。 

モーリタニアは何故かハエがものすごく多い。(過去訪問国で一番多かった)顔にはたかってこないのが不思議だが、気になる人はサングラスや頭にベールかぶるといいだろう。

とにかく国中砂に埋もれた国なので、風が強いと砂が飛んでくる。 ハードコンタクトの人はメガネか使い捨てのソフトコンタクトが必要。薄い布を持っていれば日よけ・虫除け・砂よけ・帽子代わりにもなって都合がいい。

持っていって役に立ったのは日本手ぬぐい。 帽子の下にかぶせておくと、日よけになるし、砂よけにもなるし、顔も隠せるし、涼しくてGOOD! 暑いときには濡らすとひんやりして気持ちがいい。砂避けにマスクを持って行ってみたが、断然こちらのほうが役に立った。

それと、靴に砂が入らないように、手作りの砂よけ足カバーを持っていって靴とズボンのすそをガードしてみたら、砂が入ってこなくて最高に便利だった。 もっとも砂が暑くない冬はサンダルでOKなのだが。


シンゲッティの砂丘で。こんな格好で出歩いていた。(汗っ)


電話


電話屋は町じゅういたるところにある。店の電話に料金表示機能がついていて、店の人にお金を払う。
ただし、ワラッタやテルジットでは電話が通ってないので緊急の場合は村の無線を利用することになる。 国際電話は大きい都市でしかできないようだ。

リコンファームの電話は内陸を旅行中はできなくなるので必ずヌアクショットにいるうちに!空港到着時に済ませてしまうのがいちばん簡単。
就航してない会社のリコンファームは国際電話しかない。

また、携帯電話が急速に普及しているが、携帯電話へかける場合はなにかかけ方に決まりごとがあるらしいので店の人にかけてもらったほうが良い。 自力で掛けたらブチブチ切れてしまい、参った。



インターネット


ヌアクショットではインターネット屋は多数。 1時間200ウギア程度。 日本語の読めるネット屋もある。
通信速度は遅いがストレスがたまるほどではない。夜遅くまで開いている。
またアタールにはネット屋があるが、ネマでは見当たらなかった。



郵便


日本まで2週間ぐらいかかる。日本への絵葉書は360ウギア。
投函はヌアクショットの中央郵便局から。ここでは美しい記念切手が購入できる。
ただし記念切手は値段的に2枚組み合わせになるので切手を貼る部分は大きく開けておいたほうがいい。
ポストカードはどこの町に行っても一枚200ウギア。高いが仕方がない。



電気・水道



電気は220V コンセントはブタ鼻。(丸棒2本)
大きな町以外は電気が通ってない。
シンゲッティの送電は19時から23時のみ。
ワラッタとテルジットは電気がない。(テルジットの宿は自家発電のため24時間使えた)
電気の使える町では宿の部屋または周囲にコンセントがあった。
ろうそくと懐中電灯はこの国では必須。

水道も電気と同様ワラッタとテルジットにはない。(テルジットの宿は自前の井戸と水道を持っていた)毎日井戸や共同の水道に水を汲みに行って生活している。
ヌアクショット以外は水道があっても屋外とトイレ(シャワー室)だけだったりするので、どっちにしても不便なことに変わりはない。
村ごとの井戸水なので水の澄み具合は不安定だが大抵はキレイで問題ない。



食べ物



クスクス。右側の黒いものはナツメヤシ。

モーリタニアは大きな町と道の駅以外では食堂はない。食堂のメニューもハンバーガーやクスクス程度なので食事のバラエティーは限られている。じゃぁ屋台くらいはあるだろう、と思うだろうが屋台もない。要するに外で食事をする習慣がないのだ。
だから首都以外では食べ物はローカルコンビニでパンや飲み物や缶詰を買ったり、市場で果物を買ったりして食べることになる。
なんだかひもじいんだよねぇ・・・・。

<クスクス>

モーリタニアの食べ物といったらクスクス。 小麦粉をオリーブオイルと水で練って大変な手間をかけて粒状に仕上げた粒状パスタ。これを炊いて、上から野菜と肉をトマトで煮たスープをかけて食べる。
味付けはは遊牧民らしく、余計なスパイスなど一切使わず、ほとんど塩だけ。癖がないから食べやすいし、肉のダシとトマトの酸味・・・素材の美味しさがひきたってとてもおいしい。
ただし、水道のない場所で作るクスクスは、砂が入っていてジャリジャリしたりする・・・。
砂の上でクスクスを練っているので作る過程で砂が混じるのは避けられないが、問題は鍋。彼らは鍋を洗うときにクレンザー代わりに砂でゴシゴシする。 そして水をケチるもんだからよくすすいでなくて砂がまだ鍋の底にいっぱい残っていても気にしないで調理してしまう。 ワラッタの宿で1000ウギアもとられたクスクスは本当に砂だらけでさすがの私もすこししか食べられず・・・・・(涙)。

クスクスは家族みんなでお盆のようなホーローの大皿に載せて、みんなで手で食べる。(旅行者にはスプーンを用意してくれるので問題はない) モーリタニアの家庭はテーブルがなく、部屋の床にクロスを敷き、その周りにみんなが座って団欒となる。

クスクスにかけるスープは肉、魚、野菜のみ、スパイシーに作ったものなどのバリエーションがある。クスクスだけでなくスパゲティや米にも同じスープをかけて食べる。 
クスクス以外の主食を挙げるとすればパンとパスタ類と米。


<フランスパン>

モーリタニア人は朝と忙しい昼はパンを食べている。フランスの植民地だっただけあって、パンは小ぶりのフランスパンでおいしい。 パンは売店か路上のパン売りから一本20円程度でえる。(ただし田舎ではパン屋がないので買えない。)私は朝、昼、移動中はパンにはちみつとクリームチーズを塗って食べ、夜は宿の食事(クスクス)を頼んだ。アタールのパンは大きかったり丸かったり、バラエティがあって味もすごくおいしい! アタール経由でシンゲッティなど観光に行く人は多めに買って、ちょいとおかずになるものも仕入れておいて食事代を減らすといいかも。

<ハンバーガー>

おいしいフランスパンに、羊ひき肉の串焼き(カバブ)やレタスやトマト、そしてこれでもか!って位いっぱいフライドポテトをはさんだハンバーガーはとってもおいしい! ボリュームもたっぷりで私はひとつで十分満足できた。町の食堂で売っている。200ウギア。

ヌアクショットにはハンバーガー通りがあってこちらはペラペラに薄くて丸い焼きたてのピタパンで具をくるりんと巻いてあって、これもめちゃウマ。どうせ買うならパン焼き釜を持ってる店のがやっぱり美味い!
それと、イラクレストランという名前のにぎわっている店があるが、ここの揚げパンのハンバーガーも美味い。
この店は安くておいしくて英語のメニューもあるので人気がある。
ハンバーガーは現地でもハンバーガーという。 


ヌアクショットのハンバーガー通りのハンバーガー。とってもおいしい!
他の町に行くとバゲットのハンバーガーになる。そっちもおいしい!


<野菜・フルーツ>

モーリタニアは砂漠なので、野菜の種類がとても少ない。 普段料理に使われる野菜はたまねぎ、にんじん、ジャガイモ、かぼちゃ、豆類など保存が利くものがほとんどで、市場で売ってるものも種類は少ない。
傷みやすい葉のものはお茶に入れるミントくらい。

果物はスイカやメロン、オレンジ、リンゴ、バナナなど。りんごやオレンジは輸入物で安くはないが、ローカルコンビニでも買えるし持ち運べるのでよく買っていた。

<飲み物>

モーリタニアの特筆すべき文化にモーリタニアン・ティーがある。
中国の緑茶にミントと多量の砂糖を入れ、泡をたくさん立てて小さいグラスに少量注いで飲む、べらぼうに甘いお茶だが、詳細は別項で。
これが甘すぎて量が少ない上に、食堂で頼むと、なんとハンバーガーと同じ200ウギアとられたりするからびっくりする。このお茶は宿でも民家でも砂漠でも、どこでもふるまってもらえるので、私は食堂で頼んだのは一回きりだった。

他に頼むと出てくるのはネスカフェかリプトンティー。(ネスカフェはインスタントコーヒーの総称、リプトンティーはティーバックの紅茶の総称)
ただし田舎の宿ではこんな洒落た飲み物はない場合が多いので、私はティーパックをバラで買って、マイカップで飲んでいた。電熱コイルもとても役にたった。

<アルコール>

一切ない。 ヌアクショットの最高級ホテルでは飲める。

<ジュース>

コーラなどは100〜150ウギア。
りんごジュースなどはビンに300mlくらい入ったものが一本150ウギア。ジュースの中ではレモネードドリンクが特においしかった。

<水>

1.5Lのミネラルウオーターが200ウギア。 ヌアクショットのコンビニでは180ウギア、田舎だと300ウギアもする。 (750mlのミネラルウォーターもある。)

田舎では水道がなく、共同の井戸から水を汲んで生活している。 生水は飲まなかったので安全かどうかは不明だが、沸かして飲むので問題はない
ただ、ワラッタの水はなぜかお茶を飲んでもお腹がクルクル・・・・
もらったお湯がもったいないからボトルに移してみると、植物のカスなど、浮遊物が混じっていて微妙ににごっていた・・・。

<なつめやし>

アラブ全域で見られる干したナツメヤシの実(タムル)。ここモーリタニアでもシンゲッティ周辺のアドラール地方の特産品となっている。

なつめやしは砂漠の人々の生活になくてはならないもので、コーランでも重要な場面、キリスト誕生シーンでは、マリアはナツメヤシの木につかまってウンウンうなってキリストを産み落としたことになっている。

私はこのナツメヤシが大好き。甘くて疲れがとれて、これを食べると「あぁアラブだぁ〜・・・」と、うれしくなる。

ただしこれ、日本の職場などにお土産にするともっとも不気味がられるもののひとつ。茶色で、3〜4センチくらいの楕円形の干からびた実。表面はテカテカと光ってカサカサで、シワシワの皮はところどころはがれている。
食感は固めの干し柿のようにねちゃっとしていて、中には細長い種がコロンと入っている・・・・。(食欲減退させる表現だなぁ。笑)

見た目で食べたことがない人も多いと思うがぜひひとつ手にとって食べてみてほしい。モーリタニアではお目にかかれなくてもアラブ全域、どこでも食べられる。慣れると愛着が湧く、私にとっては故郷の味のようなものだ。



医療情報


西アフリカといえばマラリア。
モーリタニアは砂漠で水辺がない為、蚊は少ない。雨季でなければ特に心配することはないだろう。町で蚊帳を売っているところも見なかった。
ヌアクショットの宿の人に聞いてみたが、モーリタニアでマラリアはない、と言っていた。(南部を除いて)
ただし南のロッソを通過する人など川沿いの町は心配。マリやセネガルに行く人やマラリアの心配な地域に行く人は予防薬なり治療薬なりで自衛したほうがよい。
マラリアの治療&予防薬は現地の薬局で買える。

マラリアについてはこのサイトが詳しい。
http://eagle.pharm.okayama-u.ac.jp/joho/doc/malarianet.html

この国の医療体制は脆弱で、小さな村では診療所もないようだ。 薬も不足している。
よく薬をねだられたので、現地の人にお土産なにかあげるなら、薬がすごく感謝されそう。
ヌアクショットにはフランス人医師も常駐する大きな病院がある。


熱中症(日射病)や脱水症状も心配だ。
熱中症は帽子や長袖を着用していてもかかるときはかかる。
常に体調を考慮して、暑い日中の観光や無理な行動をさけたほうが賢明だ。長距離移動中の窓際も注意。
 
熱中症による脱水症状を防ぐにはのどの渇きを自覚する前に少量ずつこまめに水分を補給するしかない。また、普段塩分と糖分を適度に摂ることも重要。
ひどい脱水症状になると、高熱を出し、嘔吐と下痢がひどくなり、水を飲んでも吐いてしまう。その場合は経口補水塩(ORS)を溶かした経口補水液(ORT)やスポーツドリンクなど一定の濃度の食塩と糖分の混じった水しか体が受け付けない。逆にこの水さえ飲めば症状はおさまってしまう。
ORSは通常日本の薬局などでは売っていないが、アフリカではよくあるらしい。
私は旅行中は必ずポカリスエットの粉末を持っていくが、水に塩と砂糖を混ぜることで代用可能。
 
ORTの作り方:水(煮沸したもの)1リットルに対して、砂糖40gと塩3.5gを溶かす。
ちなみに売っている水は1.5L。砂糖60gと塩5.25g。あらかじめ計ったものを持っておけば安心だ。
 
熱中症についてはこのサイトが詳しい。
http://www.heat.gr.jp/index.html


この国は食が貧しく栄養がかたよりがち。マラリアも熱中症もその他の病気も抵抗力が落ちたときかかりやすいもの。旅行中はビタミンやミネラル補給のできる栄養剤を定期的、持続的に飲むことをおすすめする。



治安


アフリカでもっとも安全な国のひとつと言われているだけあって非常に治安がいい。
というよりも、首都にしても地方にしても、「治安」という言葉が当てはまらないような田舎の国。
女性が夜一人で歩いていてもまったく危険を感じないし、野外のテントにゴロ寝していても「ま、大丈夫でしょ」、と思える雰囲気がある。

遊牧民なだけあってモノには執着しない。どの家も本当にモノが少ない。物価が高くて仕事もなさそうな国なのに物乞いはいないし、貧しい印象はない。 

ただし、セネガルなど国外から来た黒人はしたたかで、英語も使うし旅行者と見れば下心見え見えで寄ってくるので、かかわらないことだ。

ぼる(ふっかける)人はたまにいる。明らかにふっかけてきた場合は文句をいえばすぐに引き下がって正しい値段になる。田舎では日用品が3割ほど高くなるがこれは仕方がない。モーリタニア人はがめつさやしつこさがないので、市場での交渉も楽。らくちんな国だ・・・。

女性は必ず既婚者ということにしておこう。言葉が通じなくてもダミーで結婚指輪をしていれば事足りる。
こんな田舎で敬虔なイスラムの国で独身女性が旅をしているなんてことが知れたら大変大きな問題になる。
また、結婚していると言いさえすれば、無用な誘惑も皆無。

宗教感に関してはイスラム的考え方にある程度詳しい私も驚いたほどピュア。この国で宗教の話は一切しないほうが無難。 ましては私は無宗教だなどとは絶対に口にしないこと。 


モーリタニアの歴史

モーリタニアの地に人間が住み始めたのは60万年前からといわれる。
先史時代の様子はわずかな出土品や壁画によってしかわからないが、紀元前4000年くらいの壁画では象やキリンなどの狩猟の様子が描かれ、紀元前2000年くらいには羊や牛など牧畜の様子も描かれている。かつては緑に覆われた大地だったことがわかる。

紀元前2000年ころからモーリタニア北部で砂漠化が始まるという異変がおきる。
海の水位も下がり、それまで海の中だったヌアクショット周辺が陸として現れるが塩を含む不毛の大地。
やがて人々は水の確保ができるオアシス周辺に移動し牧畜生活を営むようになる。

紀元1世紀に入るとサハラ砂漠を横断する隊商が大きく活躍するようになった。モーリタニアは地中海沿岸とマリ・ギニア湾沿岸の大国ガーナ帝国とのの中間にあたり、キャラバンルートのオアシス都市はおおいに繁栄した。
10世紀ごろになると隊商ルートにのってイスラム教もどんどん広がり、各地にモスクが建つようになる。

11世紀、岩山とオアシスに恵まれたアドラール地方から興ったイスラム王国のムラービト朝(1056年〜1147年)は、隣の大帝国ガーナとの交易路を抑えて勢力を拡大し、スペインのイベリア半島からアルジェリア一帯を含む大帝国となる。
このころ隊商の中継地シンゲッティ、ワダン、チシット、ワラッタなどのオアシス都市は最盛期を迎える。
特にシンゲッティはモロッコからアラビア半島のメッカに向かう巡礼者の出発点としてイスラム第7の聖地とされ、たくさんのイスラムの高僧や学生、敬虔な信者が集まり、文化、学問の中心ともなった。シンゲッティはワダン、チシット、ワラッタとともに世界遺産として登録されている。これらの都市は後も数百年間繁栄した。

13世紀になると北アフリカからアラブ系遊牧民、ハッサニ族がやってきて土着のベルベル人と混ざり合い、アラブ化したムーア人が形成される。これが今のモーリタニア人の9割を占める人種となり、南部を除くほとんどの地域でハッサニア語が話されるようになる。

17世紀、フランスが当時ヨーロッパの工業で必要としたアラビカゴムを求めて西アフリカに侵入してくる。その後フランスは強大な権力でこの地域の植民化を進め、1900年代に入るとフランスはついにモーリタニアの行政を抑えて植民地化。モーリタニア人は激しい抵抗を見せるが、完全な独立は第二次世界大戦終了後、1960年まで待つことになる。

独立後はズエラットの鉄鋼産業を軸に経済的な基盤も得、紆余曲折はあるものの大きな紛争もなく選挙制、大統領制の施行など、政治基盤も整ってきた。 つつましくも平和で力強い、アフリカでも非常に安定した国と言えるだろう。 美しい自然と伝統的な遊牧民の魅力を残す国として今後のこの国に注目したい。



(2004年1月)


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