私の本業は田邊哲

 
 今年の日経ビジネス一月七日号、不屈の遺伝子特集の中に、新春不屈インタビュー 職業は「長嶋茂雄」とありました。長嶋茂雄さんの名前を見ただけで、いつものように真っ先に読みましたが、得る事が多かったので皆様にも是非一読をお勧めします。
 インタビュー後の三橋英之氏の文章の中の「おれは長嶋茂雄にしかできないことを職業にしている」の一文が私の心の琴線に触れました。私がいつも主張している、人はすべて自分の人生を経営している経営者であり、長嶋茂雄さんはまさに自分の人生の名経営者中の名経営者だと以前から確信していたからです。名選手必ずしも名監督ならず、とか、カンピューターなどと、長嶋さんのことを監督としての器量に欠けるといった批判が少なからずありましたが、私は終始一貫、彼こそが監督であり、それも格の違う名監督だったと 思っています。だいいち、日本のGNPに影響を及ぼす野球監督などしばらく現れないのではないでしょうか。
  人材育成と長嶋茂雄さんと一体どんな関係があるのかを説明致します。
  人材を育成するとは、自分の人生を経営する名経営者を育成する事だと思いますが、その一番有効な手段は、まず自分自身が自分の人生の名経営者になる事です。
  人生の名経営者になるための必要条件は、
一、短期中期長期の経営計画の策定実行チェック
  世界に雄飛している企業はすべて例外なく、短期中期長期経営計画を策定し実行しチェックしていますし、自分の人生の名経営者も例外なく人生設計を策定し、行動し、チェックしています。長嶋さんも勿論です。思ったり考えたりは誰もしています。それだけでは不十分です。書きましょう。そして宣言しましょう。そして宣言した事を行動に移しましょう。そしてチェックし、修正し、宣言し、行動しましょう。頑張る必要はありません。具体的に行動を起こすのです。自分にとっても良くて他の人にとってもいい事なら必ず賛同者が現れます。
二、プラス思考
   長嶋さんそのもの。
   語る必要がないと思いますが、三島由紀夫さんの言葉で表現すれば「癒しがたい楽天主義」です。思考とか主義とかいっても、それは行動習慣です。気持ちや、考えがマイナスになりがちな時こそ大きな声を出したり作り笑いをするのです。作り笑い大いに結構。明るそうに振舞うこと大いに結構。明るそうに振る舞い続けているうち演技なのか本当なのか分からなくなってきます。演技すら出来ない時はチンドンをやりましょう。派手なメイク、派手な衣装でまじめにやればやるほどみんなが笑ってくれます。「癒しがたい楽天主義」を垣間見るには最適です。
三、他人や環境のせいにしない
   躍進し続ける企業は、政治や経済状況がいかにあろうともその環境下で新技術を開発し、ヒット商品を生み、新しいサービスを提供します。うだつの上がらない会社経営者ほど、景気景気と政府に不当な要求をします。名会社経営者は、不景気時も「折角不景気なのだから・・・・」と発想から違います。名人生経営者もいかなる状況下にあろうとも生きがいを創造し続けます。乙武君は、五体不満足が彼の幸せを奪う事を容認しません。五体満足の人でさえ幸せを掴みきれないで悶々としているなかで心から頭が下がる思いがします。コヴィー博士の言葉で表現すれば「自分の身に何が起こるかではなく、それにどう反応するかが重要なのだ」。長嶋さんも現役引退時「打球が野手の正面を衝くようになって体力の衰えを実感した」と語ったように言い訳のない人生そのものです。再びコヴィー博士の言葉ですが、「問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題」なのです。 以上、一二三を実行し、自分自身が自分の人生の最高の経営者になる事に集中する事が、人材育成の近道であると考えます。
  私は、田邊哲株式会社の代表取締役社長です。
 

文責:泉陽中学校P.T.A. 田邊哲(タナベサトシ)

 

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