◎初期キリスト教音楽と世俗音楽_ |
グレゴリオ聖歌 教皇グレゴリオ1世?(9世紀〜)
アンブロシウス聖歌
シトー修道会の歌
カルミナ・ブラーナ
12世紀のドイツの学生や坊さんたちが書き散らした落書きのような詩や歌が集められている。必聴
!!
祝祭劇「ダニエル劇」
音楽自体は素朴で乱暴なものだが、聴いているうちに頭の中に中世の民衆たちとこの劇を観ている自分の姿が。
聖母マリア頌歌集(カンティガ) 賢王アルフォンゾ10世編(カスティーリャ・13世紀)
この王様、「賢王」という名前が付いているものの、政治的にはそれまでの王たちとくらべると恥ずかしい業績しか残していない。
しかしそれ以外の分野ではスペイン史、大法律書、天文書、宝石の本、チェス並びにさいころの本(なに、これ?)、そして420
曲もの聖母マリアへの歌集を残しているのである。
もちろん自分一人で書いたわけでなくて、宮廷詩人たちに書かせたんであるが。
スペイン特有の憂い旋律と、豪快な合唱、軽快な踊り。 わたしこの曲でスペインが好きになりました。
◎ゲルマン人の移動と初期のヨーロッパ_ |
歌劇「アッティラ」ヴェルディ(伊・1846) 全三幕
これも愛国的な曲として、熱狂的に受けたんだそうです。楽劇「ニーベルングの指輪」 ワーグナー(19世紀)
初演地がヴェネツィアだったので、ゲストとしてフン族の侵略を避けてアドリア海の海の上にヴェネツィアを建設したという騎士フォレストが登場する。(ヴェルナーの原作にはいないキャラ)
ローマの貴族エツィオがアッティラに向かって「この勢いに乗って自分と力を合わせて西ローマと東ローマを打ち破ってしまおう」と持ちかけるが、アッティラは一蹴。 騎士フォレストはかつての許嫁のオダベッラに向かって「父を殺した男に媚びる女め!」と罵りまくる。 アッティラがフォレストとオダベッラとエツィオに対して忘恩をなじると、オダベッラがアッティラからもらった剣でアッティラを殺害…… 本当に愛国的なのかあ? こういう微妙なあたりが堪らない。 音楽も力強くて堪らない。
この曲のCDを買ったのは高すぎる投資でした(泣) なんでこんなの楽しんで聴けるの? アッチラ大王も出てこないし。劇付随音楽「アーサー王、またはイギリスの英傑」パーセル(英・1692) 2曲の序曲(+α)と全5幕(全42曲の音楽) 約1時間30分
台本は初の桂冠詩人ジョン・ドライドン。作曲家グラビュのために書いた台本「アルビオンとアルバニウス」の続編として書かれた。(この二作はチャールズ2世の即位25周年を讃える上演を想定して企画されたが、作品が日の目を見る前にチャールズ2世が死んでしまった)
パーセルは実現されなかったこの台本をふたたび取り上げ、(台本作者を怒らせながらも)愛国的な作品に仕立て上げようとした。作品の上演は王家とは関係がないところで行われたが、ちょうど国王ウィリアム3世がネーデルラントでフランス軍相手に戦っていた頃であったので、聴衆から熱狂を受けたという。アーサーはケルト人(=ブリテン人)の異教的な王というよりは、侵略者(=サクソン人)から祖国イギリスを守った偉大な守護者として描かれている。強い頼り甲斐あるアーサー王、なんだか意外だ(笑)。 しかしアーサー王の物語であるというのに、気高い騎士サー・ランスロットも王妃グウェニヴィアも、豪傑トリスタンも無垢なる騎士パーシヴァルも厨房長ケイも登場しないのだ。なんたる事だ!! (そういう話ではないのに)強大なサクソン軍相手に、聖剣エクスカリバーもラーンスロットもガウェイン卿も聖杯も魔女モルガンもなしにアーサー王だいじょうぶ?と心配になってしまうのも、しかたがあるまい(笑)。 ただ、大魔法使いマーリンだけは登場します。
物語冒頭で、侵略者サクソン人たちは生け贄を捧げてヴォータンやトールに対する祭りを繰り広げ、一方でブリトン人たちは高らかに英国の守護聖人ジョージの加護を歌い上げるのだが、初演当時、聴衆はアンデンティティの危機とかは感じなかったんでしょうか?(謎) また、当時の慣習として、最後の所で国王への讃歌が歌われるのですが、その歌詞が「この国に迎えられた外国人の王たちは、彼らの本国における王冠を軽んじる」……・ いいんだろうかこんな歌詞で。(※当時の英国王は、「名誉革命」でオランダからやって来たウィリアム3世とメアリ2世)。 そう考えると題材も微妙だよね。
(第一幕) ブリトン人の王アーサーとサクソン人の王オズモンドは十回にわたる戦いを繰り広げた。その全てにアーサー王が勝ち、サクソン人が占領した土地はケントを除いて、アーサー王に取り戻された。 サクソンの王オズモンドの補佐として、強大な力を持つ魔法使いオズヴァルドがいて、数体の精霊を操る。また、アーサーとオズモンド王はふたりとも、コーンウォール公の美しい盲目の娘エメリーンを愛している。
(第二幕) サクソン軍を追撃するブリトン軍。 その追っ手を罠にかけようとする魔法使いオズヴァルドの作戦をマーリンが打ち破る。
(第三幕) 美しい娘エメリーンはオズヴァルドに捕らえられてしまう。彼女はオズヴァルドとオズモンドのふたりに言い寄られてとても困る。 ブリトン人はサクソンの砦を攻めようとするが、城の周りには深い魔法の森が広がっている。アーサー王はマーリンの助けを借りて森を抜けてサクソン砦までたどり着く。マーリンは盲目のエメリーンの目に魔法の薬を塗り、彼女の目は見えるようになる。彼女は初めてアーサー王のカッコイイ姿を目にするのだった。
(第四幕) オズヴァルドは城の周りを魔法で氷の世界にし、エメリーンの心をつかもうとするが、マーリンに打ち破られてしまう。 アーサー王を誘惑しようと妖麗な魔女と精霊が近づくが、アーサー危機一髪で逃れる。
(第五幕) アーサー王とオズモンド王が一騎打ちをして、アーサー勝つ。
なお、この作品は「セミ・オペラ」(=劇付随音楽)という形式で、話の筋は普通の演劇で、ところどころに舞曲と合唱が入るという形なので、アーサー王もマーリンもエメリーン姫も歌は歌いません(-_-)。 歌を歌うのは「ブリトン人の勇士」とか「キューピッド」とか「空気の精」とか「名誉」とか「寒さに凍える人々」とか、抽象的なワキ役だけ。
話のスジは魔法とか合戦とかハデハデなのに、パーセルの音楽は意外にこぢんまりとしていてやや物憂げで、でも小気味よくキビキビとしていてステキ。 ('01.9.30)
こんな曲聴いてられっか!! (たいくつ) もっともビデオで1回観ただけだが。 パーシヴァルは一番好きな騎士なのに〜〜歌劇「トリスタンとイゾルデ」 ワーグナー(1858〜59)
同上。歌劇「オルランド」 ヘンデル (英・1732) 全3幕
ワーグナーは性に合わん。
アリオストの『狂えるオルランド』に題材をとった作品。仮面劇「アルフレッド」 アーン (英・1740)
シャルルマーニュは出てこないけど、歴史音楽に入れてしまっていいですよね。 (オルランド(ローラン)は「シャルルマーニュの十二騎士」のひとり)
この話の中で非常に情けない姿を見せる勇者オルランドが見どころ。(それがテーマなんです)
初演はローマでされましたが、初演時のコンサートマスターがあのコレッリ(大作曲家兼名ヴァイオリニスト)で、この老巨匠は外国人の
この作品を気に入らなかった様子。 それ以降、この作品は駄作という烙印を押されることとなってしまった。 その評価が一転したのは20世紀になってからだが、正直なところ、どうなんでしょ。
余談ですが、最初の方に善の魔法使いゾロアストロがオルランドに「愛で身を持ち崩した古代の英雄たち」の幻影を見せて恋に狂うオルランドをたしなめ、それに対しオルランドが「愛を持ったことでますます力を得たヘラクレスとアキレス」の例を挙げてうち消すのですが、さきに魔法使いが見せた「英雄たち」って、誰なんでしょうね?
サクソンの王アルフレッド大王の勇気と業績をたたえた作品。この中の1曲が有名な「ルール! ブリタニア」
◎十字軍_ |
歌劇「第一回十字軍のロンバルディア人」ヴェルディ(伊・1843) 全四幕
ヴェルディのオペラ第4作目。マドリガーレ「タンクレディとクロリンダの戦い」モンテヴェルディ (伊・1624) 約21分
愛国的オペラとして大当たりを取った「ナブッコ」の二番煎じを狙った作品。「ヴェルディは天からの啓示を受けたような状態でナブッコを作曲した。無我夢中で筆を走らせたに違いない。その歌劇が当たるとか当たらないとか、そういう意識は持たずに、唯々、過酷な運命に対し挑戦し、(1840年に死んだ妻)マルガリータと幼い子供達の冥福を祈り、(中略)それゆえナブッコという作品はヴェルディの全作品の中でも、何か特別の崇高な雰囲気を持っている。(中略) ナブッコの大成功によってヴェルディは次の作品も当てたいという欲を持ってしまった。下賤の輩で言う助平根性というやつだ。受けを狙ってやった仕事は、当たったためしがない。しかし、八千オーストリア・リラという最初の契約の倍以上の報酬を貰うことになってしまえば、義理でも次も当てざるを得ない。ヴェルディの音楽をよーく聴いてみると、その彼の意識の変化が読みとれてくる。つまりヴェルディは、ナブッコの二番煎じの印象を与えないように音楽に変化を持たせることと、観客が期待している二匹目のどじょうを与えることとという、相反する二つのことを同時に成し遂げようとしたのだ」 (永竹由幸 『ヴェルディのオペラ』(音楽之友社))さすがに随所随所の合唱が力強くて気持ち良い。
ただ、話がかなり滅茶苦茶で、何度読んでも意味が分からないんだけど。 たとえば、ヒロインのジゼルダはキリスト教に改宗したサラセン人の王の息子オロンテを愛しているのだが、彼はジゼルダの父の剣を受けて死んでしまう。 次の場面、ジゼルダは寝ていて天使たちが「彼女は愛する人に再会するだろう」と合唱している夢を見るが、朝起きた彼女はこれが、「十字軍の勝利の予言だ」と確信するのだ。
おいおい普通だったら死んだ恋人が奇蹟で生き返るんだと思うだろおっ (←実際、生き返らないし)
原作は、タッソーの詩『解放されしイェルサレム』。 モンテヴェルディの「マドリガーレ集第8巻」(戦いと愛のマドリガーレ集)に収められている。歌劇「アルミーダとリナルド」 リュリ (仏・)
十字軍の時代、イタリアの勇士タンクレディは回教徒の女勇士クロリンダをひそかに愛していたが、ある日偶然それとは知らぬままに二人は死闘を繰り広げる、という話。 本当に物語を聞いているような、またはその場に居合わせているような臨場感あふれるモンテヴェルディの音楽にビックリ。 変幻自在のリズムがすばらしい。 が、やっぱり変な曲だね。
◎騎士リナルドと魔女アルミーダの物語_
タッソーの『解放されしイェルサレム』に材をとった作品群。 解放されしイェルサレムって、こんな話ばかりなのかな?
「リナルドとアルミーダ」は古来もっとも多くの作曲家が音楽を付けた題材だそうです。 一体ここに何があるというのか。
リナルドは第1回十字軍の英雄ゴドフロワ・ド・ブイヨンの部下で、かなりな英傑だった。 しかしサラセン魔女アルミーダの魔術にかかり、彼女の宮殿にとらわれる。(キリスト教徒が回教徒を愛するなんて、魔術以外にはあり得ないのである)
で、彼の友人たちが魔女の宮殿を見つけだし、魔女の魔術を解いて彼を助け出すのであるが、いつの間にか彼を愛するようになっていた魔女は、彼を求めてさすらい、最終的にキリスト教に改宗してハッピーエンド。
「リナルドは魔女と一緒にいたほうが幸せだったか」、または「救け出すべきか」という点でバリエーションがあるみたいです。
で、サラセン魔女の方を主人公にする傾向があるようですね。
この魔女、かなり性格が激しいです。
ヘンデル氏のロンドン・デビューの作品。 傑作と名高い …と聞いてワクワクしていたのに、前作『アグリッピーナ』のような力強くてドラマティックな音楽を期待していたわたくしには音楽が生ぬるすぎて、全然好みではないですわ。カンタータ「捨てられたアルミーダ」 ヘンデル (独ーローマ・1707) 約15分
とはいえ、西洋史上の大英雄、ゴドフロワ・ド・ブイヨン氏は華々しく登場するし、サラセンの魔女アルミーダに言い寄られても言い寄られてもはね除け続け、結局最後までアルミーダに屈しなかった主人公リナルドが、なんだか新鮮でした。 (……ってそんなリナルド、全く面白くなんか無いわな♪)
一ヵ所、解説書を読んで爆笑。 このオペラ、観客を楽しませるために怪物・魔法使いが数多く登場し、稲妻、爆発、花火などを使用していて、念のため初演の時は劇場の外に消防隊まで待機していたほどなのですが、当時雑誌に載ったこの公演の記事によると「観客は風邪を引くことなく、またあまり火傷を負うことなく、この劇を鑑賞することができます」 ……「あまり」なのかいっ(爆) 観客は本当にドキドキして舞台を楽しむのね。
上のより数倍楽しめたよ。 というかとても力作だわ、この曲。 Viva!!
全編にとどろく太鼓の音みたいな伴奏音楽が力強くてここちよい。
こっちではキリスト教軍最高の騎士であるリナルドは、最初から魔女アルミーダの虜で、ゴドフロワ率いるキリスト教軍に襲いかかる(おいおい) ※残念ながら劇中にゴドフロワは、名前しか登場しないです。
もう一人、軽薄で役に立たない(笑)リナルドと違って、クロタルコという沈着冷静、駆け引き上手な騎士が登場するのですが、彼もまたゼルミーラというサラセン女性の愛のトリコとなってしまう。
「十字軍って、なんなんだろう???」と考えさせられるお話でした(笑)
※余談ですが、私がこのあいだ買ったCDで、アーノンクールの指揮する『アルミーダ』ではサラセン人の魔女アルミーダを、ホグウッドの指揮する『リナルド』ではリナルドの許嫁アルミレーナ(ブイヨン公の娘)を“歌姫”チェチーリア・バルトリが歌っている。 恐るべしバルトリ、一番の魔女は貴女だよ。
カンタータ「リナルド」 ブラームス (独・1863 終曲のみ1868) 約42分
上の作品たちとは違って、ブラームスのこの作品はゲーテの原作からとられている。歌劇「リッカルド1世」ヘンデル (英・1727) 全3幕 約3時間18分
リナルドが魔女アルミーダに大きな未練を抱き、ぶつぶつと未練を叫びながら船に乗って帰っていく。
ブラームスの円熟期の作品だが、彼の作品の中でも作風がとりわけ渋い。 あまりにも地味、地味、地味で、わざわざ彼にこのテーマで曲を書いてもらわなくても良かったのに、と思ってしまうほどだが、たまにこちらがとても後ろ向きな気分でいるときにこの曲を聴くと、絶大な効果を発する。 いや、それは3曲目の合唱「いけない! これ以上ぐずぐず出来ない」を聴いたときだけかもね。
初演は大失敗で、これがきっかけであの意気地なし(ブラームス)は劇音楽に進出したい、という野望をひっこめた。
とても技巧的な歌が延々とつづく、(それなりに)魅力的なオペラだ。
この話の中ではベレンガリアはコスタンツァという名前になっている(なぜ?)。 ナヴァーラの王女だった彼女はイギリス王リチャードと結婚するためにキプロス島(なぜ?)に行くが、リチャードが嵐に遭って死んだというニュースが。 で、「実は生きていた」リチャードと、キプロスの腹黒い領主イザーチェと、リチャードと結婚したい彼の娘プルケーリアが出てきて話が進む。
終わりのあたりで、リチャード対キプロスの派手な戦いの場面があるが、そんなことよりも十字軍に行けよ、サラディンが待っているぞ、とか思ってしまう。 一番面白かったのが、王女はキプロス領主に求婚されてもリチャードに操をたてて拒否し、またリチャードも王女救出作戦を立てるのだが、実は二人はまだ会ったことがない、お互いの顔も知らない、というところだった。<登場人物>
◎リチャード1世(リッカルド)(コントラルト)…イングランド王。
◎コスタンツァ(ソプラノ)…ナヴァーラの王女。リチャードの婚約者。
○ベラルド(バス)…コスタンツァの従弟。
○イザーチョ(バリトン)…キプロスの暴君。
◎プルケーリア(ソプラノ)…イザーチョの娘。
○オロンテ(カウンターテノール)…シリアの王子。プルケーリアの婚約者。物語
(第一幕) ナヴァラの王女コスタンツァは英王リチャードとの婚儀のためキプロス島に向かうが、到着直前に激しい嵐に遭い、海に投げ出され、キプロス島の海岸にあるリマソル要塞付近の海岸に漂着する。 彼女はその嵐でリチャードが乗った船も嵐でこなごなになるのをその目で見ていたため、絶望した気分になる。 そこへキプロスの暴君イザーチョが、お供の者と共に現れる。
◎ジャンヌ=ダルクもの_ |
歌劇「ジョヴァンナ・ダルコ」 ヴェルディ
歌劇「オルレアンの少女」 チャイコフスキー
歌劇「火刑台上のジャンヌ・ダルク」 オネゲル
歌曲「ジャンヌ・ダルク」 ロッシーニ (伊・1832)
◎中世の宮廷と戦い_ |
序曲ヘンリー5世 ヴォーン=ウィリアムズ (英・1933)
はて、この曲はオペラの序曲なのか、劇音楽の一部なのか、映画音楽か、それとも序曲だけなのか。ぜんぜんわからん。
映画音楽「ヘンリー5世」 ウォルトン(大戦中)
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」 ヴェルディ(1854〜55)
歌劇「タンホイザー」 ワーグナー(1842〜45)
交響曲「画家マチス」 ヒンデミット(1934)
死の舞踏 リスト (仏?・1849) 約17分
ちょっと聴いているのがツラいぞ。
交響詩「死の舞踏」 サン=サーンス (仏・1874) 約7分
よく学校で使う資料集なんかに、中世のヨーロッパでペストが流行し、その死の恐怖を死に神とダンスと踊るという表現で(絵
や歌で)あらわした、と書いてあります。 あの絵を見ながらこの曲を思い出せばよろしい。 骨が踊るから。
歌劇「シモン・ボッカネグラ」 ヴェルディ(1856〜57)
14世紀のイタリア・ジェノヴァ。貴族派 vs 国の御用海賊&平民派の頭領・シモンとの激しい勢力争い。
歌劇「マクロプロス家の秘伝」 ヤナーチェク(1923〜25)
錬金術師だった父が神聖ローマ帝国皇帝の命令で調合した不老不死の霊薬の実験台にされて、、300年以上も生き続けること
になってしまったオペラ歌手の物語。 ・・・・・どうして神聖ローマの皇帝はその薬をつかわなかったーーーっ!!
ルイ12世戴冠式のためのファンファーレ「国王ばんざい」 ジョスカン・デ・プレ(仏・1498) 約1分
あのジョスカンが、あのルイ12世のためにっ!!!!! って、ルイ12世ってだれ???
と思って検索をかけてみたら、当たるわ当たるわ。 へぇ〜、ふぅ〜〜ん。 佐藤賢一の『王妃の離婚』って、彼が悪役なんですね。
おもしろそうだから読んでみよ。 で、音楽の感じ? うぅーーん、、、、 ファンファーレっぽいファンファーレです(汗)。
歌劇「ウィリアム・テル」 ロッシーニ(1828〜29)
歌劇「トロヴァトーレ」 ヴェルディ(1852)
歌劇「マクベス」 ヴェルディ(1846〜47)
スキタイ組曲(アラとロリー) プロコフィエフ
中央アジアの草原にて ボロディン(19世紀)
劇付随音楽「クリスティアン2世」 シベリウス
(フィンランド・1898) 第1期4曲、第2期3曲 約31分
クリスティアン2世とは、16世紀にノルウェー、スウェーデン、デンマークを支配し、波瀾万丈の人生を送った王。カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」 プロコフィエフ
劇では町娘と恋、弟との抗争、カルマル同盟の崩壊、グスタフ王ヴァーサの独立による敗北、などが描かれる。
もちろんシベリウスだから、フィンランドの愛国運動と関係あることは間違いない。 カレワラ組曲のような曲をもっと聴きたいような人
ならこの曲を聴いた方がいいが、カレワラよりちと個性が弱いな。
◎ロシアもの_
ビゼーの幻のオペラ。オラトリオ「イワン雷帝」プロコフィエフ (ソ連・1942〜44?) 全20曲 約1時間05分
もともとテアトル・リリック座で上演するために作曲されたが、度重なる上演の延期に腹を立てた作曲者が、作品をテアトル・リリック座から引き上げてパリ・オペラ座に送った。ところが、オペラ座ではこの作品は相手にされずにお蔵入り。ビゼーの没後、未完の手書き譜をアンリ・ビュセールが補筆完成させ、1946年に初演された。
幕開けの舞台はコーカサス。チェスケス人の族長テムルークの娘マリーは、旅の若い男性から花束を贈られ、胸をときめかせる。
しかしまもなく皇帝の軍勢が村を襲い、マリーは連れ去られる。首都の皇帝の宮殿に連れて行かれたマリーは、そのまま、他に攫われてきた娘たちや着飾ったロシアの貴族の令嬢たちとともに皇帝の嫁選びの会場へ引き出される。そこでマリーは、かつて自分に花を贈った見知らぬ旅の男が、「雷帝」と呼ばれる皇帝イワンだったことを知るのだ。
皇帝の腹心のヨルロフは、自分の娘を皇妃にすることをもくろんでいて、もし嫁選びで娘が選ばれなかったら、皇帝を殺害してしまおうと決意していた。拐われたマリーを救出するために、宮殿にやってきたマリーの兄のイゴールと父テムルークは、ヨルロフと出会い、皇帝を暗殺する計画に荷担することを約束する。
しかし、苦労の末マリーを発見した兄イゴールは、嫁選びの結果マリーが見事皇帝に見初められたことを知らなかった。皇帝暗殺計画をマリーに打ち明ける兄を、すでに皇帝を愛していたマリーは拒絶する。
そこに、ヨルロフが部下を引き連れて現れ、マリーとイゴールが共謀して皇帝暗殺を企んでいたとして、問答無用で逮捕してしまう。群衆が皇妃マリーの処刑を求めるなか、ヨルロフが自分の治世が訪れたことを宣言するが、マリーとイゴールが処刑される直前に真相を知った皇帝が現れ、逆臣ヨルロフは殺されてしまう。このように、グランド・オペラ仕立ての作品で、視覚的な見せ場も多い。グノー、マイアベーア、アレヴィなどの影響が色濃く見られるが、一方でビゼー独自の音使いや管弦楽法も健在で、きらりと光る部分も多い。「美しいパースの娘」の前奏曲の主題や、やがて「子供の遊び」の「ラッパと太鼓」として使用されることになる音楽など、耳になじみのある旋律も数多い。ただし、ロシアを舞台とした物語でありながら、音楽面でロシアを感じさせる要素はほとんど無い。
このオペラを経て「カルメン」にいたるビゼーの道が決して平坦ではなかったこと、また、グランド・オペラの様式にビゼーがかなり苦心した様子がうかがえる。★『レコード芸術』 2003年1月号 井上さつきの文章
ソ連の鬼才エイゼンシュテインの映画『イワン雷帝』のために作曲された曲。歌劇「ポリス・ゴドゥノフ」 ムソルグスキー(1868〜69)
この映画自体が(スターリンのせいで)第3部・完結編が制作されないままで終わったので、この曲もイワンの死が描かれないままになってしまった。 また、太陽領はまだこの映画を観ていないので、分からないのだが、この音楽は第1部の分だけなのかも知れない。 でもね、えっへっへっ、太陽領は3日前にパソコン用のDVD-ROMを注文したので、近い内にあの映画を観てどのように音楽が使われているか、確かめることが出来るのだ♪ ('99.11.25)
音楽は、破壊的な怒濤の音楽で始まって、最初から最後まで圧倒される。 高らかな合唱、イワンの叫び、王妃の叙情的な歌などふざけた歌などとても内容が盛りだくさんだ。 そして、ロシア正教会の聖歌をアレンジした合唱がクライマックス。
英雄を題材にした音楽の、決定版だと思う。1.序曲
2.若きイワンの行進
3.大海原
4.私は皇帝になるのだ
5.ウスペンスキー大聖堂
6.遙かなる歳月!
7.苦行僧
8.白鳥
8a.賛歌
9.敵の骨を踏みしだき
10.タタール人
11.砲兵
12.カザンへ!
12a.ポーランド宮廷
13.イワン、貴族たちに懇願す
13a.ステップはタタールのもの
14.イェフロシニアとアナスタシア
15.ビーバーの歌(少女イェフロシニアの子守歌)
16.アナスタシアの棺のそばに佇むイワン
17.オブリーチニク(親衛隊員)たちの合唱
17a.オブリーチニクたちの誓い
18.フョードル・バスマノフと親衛隊員の歌
19.オブリーチニクたちの踊り
20.フィナーレ
◎ルネッサンス期のイタリア_ |
歌劇「二人のフォスカリ」 ヴェルディ(伊・1844年) 全三幕 約1時間45分
ヴェルディの七作目のオペラ。歌劇「ルクレツィア・ボルジア」 ドニゼッティ (伊・1833) 約1時間15分
台本は、15世紀のヴァネツィアで実際に起こった事件をもとに、イタリアの独立運動に参加していたころ(1821年)の英雄的詩人バイロンが書いた悲劇。
台本は、とにかく「暗い」らしい。とにかく暗い。オペラにつきものの恋愛の“れ”の字も出てこない。などと本に書かれているもんだから、身構えてしまうじゃないですか。でも、確かにあらすじを読むと「本当にどーしょーもない」と思うものの、私の耳では音楽は全然深刻な悲劇には聞こえないんです。困ったものだ。
(中略) 筆者は1966年頃パルマで初めてこのオペラを聴いたとき、なんて暗い曲だろう、と思った。当時はLPも海賊版しかなく、スコアも全体が黄色くなった古本しかなかった。それで勉強して出かけたのだが、とにかく滅入った気持ちで劇場から出たのを覚えている。これまで筆者が滅入った曲はあと一つ、ボローニャでブルノの引っ越し公演だったヤナーチェクの「死の家」ぐらいだが、これは少なくとも最後に少し明るい希望があった。だが、この「二人のフォスカリ」には救いがない。 ★永竹由幸 『ヴェルディのオペラ』(音楽之友社,2002年)◎あらすじ ※舞台;1457年のヴェネツィア
かつてヴェネツィアの総督(ドージェ)を選ぶ選挙が行われたとき、フォスカリ家のフランチェスコとロレダーノ家のピエトロが激しく戦った。選挙では外交官として名を馳せていたフォスカリが勝利し(記憶力が抜群に優れ野心にあふれた人物であったという)、彼が総督となったが、以後ピエトロ・ロレダーノは総督を敵対視し、ことあるごとに総督の政策に異議を唱えた。その行動があまりにも露骨だったため、ある日総督は、「ロレダーノのせいで、まともに総督の仕事ができない」とつぶやいてしまったという。ところがそれからまもなく、ピエトロ・ロレダーノとその弟マルコ・ロレダーノが急死した。その死があまりにも不自然だったため、「総督の命で暗殺されたのかも」という噂が流れた。その噂はかなり広まり、怒り狂ったピエトロの息子ヤコポが父の墓碑銘に「復讐は必ずする」という文字を刻むほどだったが、その噂に対し総督は、「暗殺するんなら、あの息子も一緒に殺すはずさ」と相手にしなかったという。
ぶーー。なんだよ、この話は。 (ユーゴー原作) 主人公がルクレツィアである必要が無いじゃないか!!
兄チェーザレも父法王も出てこないし。 しかし、『アンナ・ボレーナ』の音楽に拒否感を感じた私でも、ずっと楽しめる音楽だった。
豪華でドラマティックで。 (でも、やはりボルジアとは馴染まない気もしないでもない、、、、 とは言うまい)
作曲当時、まだボルジアの末裔の貴族が健在で、また、ユーゴーからも抗議を受けたりして、作曲には苦労したんだって。
◎レコンキスタと新世界の時代_ |
万歳、カトリックの王と女王 カルロ・ヴェラルディ (伊・16世紀前半) 約2分
ローマ法王がグラナダ陥落(&新世界発見)を祝って、スペインに贈った曲らしい (作曲者がローマ法王の執事もしていた人物だから)。
む? このころのローマ法王って・・・・・ もしかしたら、あのお方? コロンブスの息子が建設したコロンブス図書館に所蔵されて
いる『コロンブス図書館の歌曲集』に含まれる一曲。 曲はなんの特徴もない(^^;)合唱曲。
悲しきスペイン ホアン・デル・エンシーナ (スペイン ・1497?
1504?) 約2分
スペインのイザベラ女王の逝去に対して書かれた挽歌(という説がある)。 名作とされているらしいが、特徴ナシ(暴言)。
歌劇「さまよえるオランダ人」 ワーグナー (独・1841)
大航海時代、喜望峰付近で嵐に遭い、神をののしったために永遠に海をさまようことになったオランダ人の物語。
神様もおひとが悪い。 めずらしく太陽領が好きなワーグナーの作品。 だって、初期の作品だからーー(^^;
歌劇「クリストフ・コロン」 ミヨー (仏・1930年初演)
コロンブスの霊が現代に召喚され、現代人により彼の業績が審判されるという物語なんだそうな。悪趣味です。歌劇「コロンブス」ヴェルナー・エク (独・1933初演)
ミヨーの音楽は非常にアレなんだという。 (聴いてみたかったりして)
クローデルの難解な詩に基づく実験的な作品。
「コロンブスのアメリカ発見の際に流れる呻くような音楽は、そのときから始まる侵略、収奪、先住民の奴隷化といった悲惨な歴史をつきつけ、コロンブスの罪を告発してやまぬ」(雑誌の評より)
ラジオ放送用に作曲されたオペラ。
上のと違って、英雄コロンブスの困難に打ち勝って大きな勝利を掴むさまを描いた正統的な(新古典派的な)佳品らしい。良かった。
イザベラ女王が出てくるぜ。
◎宗教改革と宗教紛争_ |
連作交響詩「わが祖国」〜ターボル、ブラニーク スメタナ(1878、1879)
序曲「フス教徒」 ドヴォルザーク (チェコ・1883) 約13分
フス時代の僧侶たちが書いたコラールと、ボヘミアの中世の名君聖ヴァーツラフ1世を讃えるコラールが織り交ぜられているのだそ
うだ。 ・・・・・・・我が祖国と同じ曲じゃん。 このしつこくいつまでも食いついてくるメロディが、フス派の勇者の賛美歌なのかね。
作曲者が違うのに、同じ曲の別のバージョンを聴いているような気がしてくる。
交響曲「宗教改革」 メンデルスゾーン (独・1829〜30?) 約30分
ベルリンでおこなわれる、「アウグスブルク信仰告白」の300年周年の記念祭のために作曲されたのでこの名がある。 ただし、ド
イツ各地で計画されていたこの記念祭は、この当時ドイツの政治状況が急激に不安定になっていたことと、カトリック教会から猛
烈な抗議があったことで、中止されてしまった。(おいおいカトリック、抗議するなよ、宗教改革はおまえたちが悪いんだよ。)
だいたいこの曲自体も、メロディが少なすぎるということで不評だったという。(どこがだ) 第3楽章は無言歌だぞ。
第1楽章では「ドレスデン・アーメン」というルター派の礼拝で使用される旋律が取り入れられ、第4楽章ではルターが作曲した
賛美歌「われらが神は堅き砦」が使用されているが、曲全体は別にルターを賛美しているとか、カトリックを攻撃しているとか、そう
いうことはない。
カンタータ「我らが神は堅き砦」 大バッハ
シラーの詩による3つの交響的序曲「ヴァレンシュタイン」 ヴァンサン・ダンディ (仏・1873〜9)
おっ! 英雄的だ! でも(題名に反して)歌は無し。 すごく聞きやすい。しかも豪華。
第1曲 ヴァレンシュタインの陣営 第2曲 マックスとテクラ 第3曲 ヴァレンシュタインの死 の3曲から成ります。
戦闘(バッターリャ) ビーバー (独・1673) 約8分
なんじゃこりゃあ。ひどく脳天気な戦闘の風景が繰り広げられる。17世紀の戦争ってこんなもん?
冒頭の音が外れまくった音楽なんて、作曲者の正気を疑うが、あの「ロザリオのソナタ」を作曲した人なんだよなぁ。
◎異国趣味な音楽_ |
歌劇「マルコ・ボーロ」 譚盾(タン・ドゥン) (中国・1997) 全1幕 約1時間41分
なんだ、この曲? とりあえず、フビライハーンが登場することは確認。
しかしシェイクスピアとかダンテとか、シェエラザードとかも出てくるのだ。
歌劇「バヤゼット(タメルラーノ)」 ヴィヴァルディ
あのヴィヴァルディがこんな題材でオペラを書いていたなんてビックリだ。 バヤゼットとはオスマントルコ帝国第4代スルタン、
バヤジット1世(電光王)。 しかし副題のタメルラーノとは、このバヤジットをアンカラの戦いで打ち破ったティムール帝のことな
のだ。 もう、どっちがメインなのか、はっきりして欲しい、ってかんじ。
序曲しか聴いていない。 ちょっとタルいが、力作。 でも普通の(?)ヴィヴァルディの曲で、異国趣味などまったくない。